明けましておめでとうございます。
いつも読んでいただいている読者の方々には感謝に耐えません。
皆様の益々のご健勝をお祈りいたします。

今年もどうぞ、愚筆ではございますがよろしくお願いいたします。

さて今回の物語ですが戦争ものになっております。
読み応えがあるよう、はたまた見所があるよう十分に考慮して作成させていただきました。
しかしながら、お読みなられる方々の中には、非常に不快に思われる描画もございますのでご注意ください。

新年一発目の【スカイリム・オリジナル・ストーリー】

お楽しみくださいm(_ _)m

2016年  1月2日  作者より

1

ウィンドヘルムは北西に位置するスカイリム最古の街である。
かつてノルドの英雄イスグラモルが500の同胞団を引き連れて、ここよりエルフ達を追い出した。
その後の建造物で、スカイリムのノルドたちに取って非常に歴史ある都市でもある。
アンソール山脈の南側に寄り添うように石造りで建てられたこの城は、
200年以上の年月が経とうとも、その堅牢さは未だ健在である。

またこの地は、スカイリムにおいて最も降雪量の多い地域として有名である。
そのため作物が育ち難く、物資の調達は他の町からの援助がほとんどだった。
しかも本格的な冬将軍が訪れれば、完全に陸の孤島になってしまうほど厳しい環境である。

そんな場所だからこそ人々は知恵を出し合って生きる術を編み出す。
干物や冷凍に至るまで、保存のためのあらゆる知識は他の地域の類を見ない。
そのため食料の備蓄は、他の都市に比べて遥かに多い。
今現在ウィンドヘルムに住む人々を飢えさせることなく、約半年は援助なく過ごしていけるだけの蓄えがある。

2

テュリウスはウィンターホールドの陥落に成功すると、休む間もなくウィンドヘルムへ進軍した。
彼は停戦協定が結ばれた時点から、既にウィンドヘルムまでの攻略策を練っていた。

参謀役であるリッケは、かつてウルフリックの元にいた人物であったため、この城について最も詳しい人物だった。
食料の備蓄が多いこの城には兵糧攻めは効果がない。
ということは短期決戦が必然となる。

前述通りこの城の後ろにはアンソール山がそびえ立っている。
入口はホワイト川に掛かる巨大な石造りの連絡橋を渡った巨大な正門と、そして港工の奥にある隠し扉の2か所。
いずれも城の南側に位置している。

本来ならば敵の正面に陣を敷きたいところだが、リフテンからの後方支援の可能性があるため不可能だった。

そこでテュリウスは、東と西の2方向から正門を狙って挟撃することにした。

3

一方は東側の海沿いに位置するユンゴル墓地周辺。
ここに【トレイターズポスト】と呼ばれる山賊たちの拠点があった。
これをたやすく一掃すると、このボロ小屋を本陣として置くことにした。

4

もう一方はウィンターホールドから南西に位置するカスタブ砦である。
ここにも死霊術士が数人いたが、あっという間に片付けてしまい陣取りをしたのである。

5

一方ウルフリックは、帝国軍来るの報を受けてから城の正面に陣取りをさせた。

6

さらにカスタブ砦からの挟撃を考えて、アンガの工場付近にも陣を敷いたのである。

7

彼は撃って出るよりもあくまで籠城をしたほうが、落ちにくいことを知っていた。
持久戦はこの土地にとって定石といえた。

8

しかし最初に動いたのは反乱軍だった。
ガルマルはウルフリックに進言した。
帝国は戦続きで兵士の疲労がピークに来ている。
今こそ初戦を制し、敵の士気を挫くべきだと。

そこでウルフリックは帝国軍の本陣を夜陰に乗じて攻め込むことにした。

ウィンドヘルム南側には三つの農場がある。
その一つであるフラール農場の脇道を上り、狩人のキャンプを横目にさらに東へ進む。
雪と氷に覆われた山の急斜面を足元に気をつけながら進むと、敵の本陣である【トレイターズポスト】が見えてくる。

9

彼らは事前に用意した油玉を陣に向かって無数に投げつけた。
さらに火矢を打ち込むと瞬く間に大火事になったのである。

帝国兵たちは何事かと右往左往し始めた。
慌てた兵が火を消そうと、手近にあった桶の水をかける。
油を含む炎は、広範囲に広がるばかりで、兵士たちの狼狽が余計に広がった。

反乱軍はさらに油玉に火矢を打ち込む。
すると今度はウィンドヘルム城から歩兵が攻め込んできた。

帝国軍は上と下の両方から挟撃を受け、ホワイト川に逃げ出し、【雪帳の聖域】まで陣を後退させざる得なくなった。

ウルフリックは初戦を見事な勝利で飾ることができた。

10

実はテュリウスは、この事態をおおよそ予測していた。
なので本陣といえどそれほど兵も置いていなかったのである。
ただし、自分がそこにいないとウルフリックは攻めてくる可能性も少ないと考えていた。

戦に置いて重要なのは地の利である。
地元である反乱軍にはそれがあるものの、帝国側にはそれがない。
まさに死地に身を置いていることになる。

ではそれを回避するにはどうすればいいのか?
最小の犠牲で最大の利益を。

この城を落とすには、こちらから仕掛けるよりも、
まずは相手の出方を見て、犠牲を少なくしジッと耐えることが重要だった。

11

本陣を落としたことによって、ウルフリックはややも浮かれていた。

ウィンドヘルムの東側には急斜面の山道がある。
この道は岩山に隠れているため、一見するとただの山の群れにしか見えない。
ただここを上り切ると丁度カスタブ砦の裏手に出るのだ。

彼はテュリウスに目に物を見せてやる意気込みで、帝国に更なる追い打ちをかけた。
翌朝数十名の兵を引き連れてこの坂を上り、砦の裏から侵入。
突如として姿を現した反乱軍に帝国兵は浮足立ち、防戦一方になる。

しかし時の声とともに【アンガの工場】付近に陣取っていた兵も正面から現れ、二方向からの挟撃を受けてしまった。

12

カスタブ砦は瞬く間に占拠された。

13

反乱軍は初戦の2戦を制したことで喜び喚起し、
【帝国弱し!】【テュリウス腰抜け!】【ウルフリック万歳】
の三拍子の声で包まれ、ハチミツ酒を浴びるように飲んだ。

14

しかしテュリウスはこの機会を見逃さなかった。
密偵の報告を受けると、彼は今まで耐え続けていた物を吐き出すように、部下たちに矢継ぎ早に命令を下した。
そしてウィンドヘルムに総攻撃をしかけたのである。

15

一方はリッケ特使を大将に夜陰に乗じてホワイト川を渡り、正面の反乱軍に襲い掛かった。

15-3

酒に酔って眠りこけていた反乱軍は、突如として現れた帝国軍に完全に虚を突かれ右往左往し始めた。
明かりも乏しい中で敵味方入り乱れての乱戦状態となった。

16

さらにもう一方は、テュリウス自らが陣頭指揮を取り、ウィンターホールドからの援軍も加えカスタブ砦へ攻め込み、これをたやすく落とし進軍。
そしてアンガの工場付近の陣に襲い掛かると、これもいとも簡単に殲滅してしまった。
反乱軍は酔っぱらって酩酊していたため、帝国軍のされるがまま死体の山を築いていった。

快進撃を続ける帝国は、遂にウィンドヘルムを2方向からの挟撃に成功したのである。

16-3

これにはさすがの反乱軍も浮足立った。
慌てたウルフリックは正門を固く閉じ、入口に兵を集め虫一匹侵入させまいと必死に守りを固めた。
門の屋上から雨あられと反乱軍が火矢を浴びせる、油玉も一緒に投げ入れていたせいで、橋の上は大炎上。
湿り気のある強い寒風が炎を冗長させ、波ように帝国軍に襲い掛かり、彼らを灰になるまでまで焼き上げた。
反乱軍は辛うじて帝国の侵入を防ぐことができた。

その後、反乱軍は亀のように固く閉じこもって籠城せざる得なくなったのである。

16-4

一方帝国はウィンドヘルムという巨城を落すまでは行かなかったものの、反乱軍を徹底的に叩き追い詰めることに成功。
結果的に大勝利を治め、再びホワイト川を渡った。
トレイターズポストは燃え尽きてしまったので、そこからやや東にあるリフュージズ・レストに本陣を構えなおした。

しかし、反乱軍が籠城を決め込んでしまったせいで、帝国も容易には攻め込めなくなった。
そのためお互い睨み合いが続くようになる。

17

ウィンドヘルム正門前には焼け焦げた遺体が累々と続いた。
その殆どが帝国兵ではあるが、取り残された反乱軍の姿もそこにはあった。
この戦でストームクロークは兵の半数以上を失う大失態を犯してしまった。
城に閉じこもることで、なんとか帝国からの攻撃は防いではいたものの、ダメージが大きすぎ、すっかり意気消沈してしまった。

18

ポエットはホワイトランを制圧した後、すぐにカルダーをウィンドヘルムへ使わせた。
彼は丸一日かけて馬を走らせようやく到着することができた。

ウィンドヘルムの惨状を目の当たりにした彼は、簡単には入場できないことを悟り、少し南にあるカイネスグローブの宿屋にいた。

ウルフリックがいかに籠城を決め込んだとしても、どうしても門を開けなくてはいけない時がある。
それは【薪】である。
ウィンドヘルムは年間を通して降雪量が多いため、薪の保存に適していない。
そのために定期的に薪集めをしないと火が焚けなくなってしまう。

カルダーは門が開く薪集めの日を待つしかなかった。

19

カイネスグローブに到着してから2日後、ようやく開かずの門が開いた。
彼は皆が薪集めから戻ってくるの待ち、一緒に紛れ込むとようやく城へ入ることができた。

昔馴染みの衛兵に話をし、王宮の間に通してもらった。

20

ウルフリック
『貴様が姿を現したということは、ようやくナディアの気持ちも決まったようだな』

カルダー
『・・・』

ウルフリック
『我々に味方するということでいいんだな?』

カルダー
『さぁ・・・?』

ウルフリック
『さぁ?』

カルダー
『手紙を預かってきた』

ウルフリック
『手紙?』

21

ウルフリック
『カルダー・・・・これは本当の事なのか?』

カルダー
『ああ』

カルダーはぶっきらぼうに答える。

ガルマル
『何と書いてある?』

ウルフリック
『ナディアがホワイトランを落としたと』

ガルマル
『なんじゃと!?ちょっと見せてみろ!』

22

ウルフリック
『どうやって落としたんだ?』

カルダー
『さぁ・・・?』

カルダーはなぜか首をかしげて否定的な態度をとる。

ウフルリック
『さぁ!?どういう意味だそれは!?』

ウルフリックが勢いあまって問い詰める。

カルダー
『わからない』

ウフルリック
『わからないってお前、ナディアと一緒にいたんじゃないのか?』

間髪入れずガルマルが割って入ってきた。

ガルマル
『こうも書いてあるぞ。間もなく帝国がウィンドヘルムから撤退するだろうと。
そしてウィンターホールドも手放すだろうから、すぐにこれを占領せよと』

ウルフリック
『帝国が撤退?ホワイトランをナディアが落としたからって帝国が撤退するって言うのか?』

23

ガルマル
『どうもよくわからんな・・・おいっ、カルダー、何故撤退するんじゃ?』

カルダー
『さぁ・・・?』

24

カルダーの否定とも肯定ともとれない態度にウルフリックは苛立った。
彼の首根っこを掴むと顔前で怒鳴り散らす。

ウルフリック
『貴様ふざけてるのか!!!』

カルダー
『いいや?』

ガルマルが再び割って入った。

ガルマル
『いや、待て!』

皆がガルマルに注目した。

25

ガルマル
『カルダー、ここに書かれていることは本当の事なんだろうな?』

カルダー
『ああ』

ガルマル
『わかった。お前は下がってろ』

26










27

ウフルリック
『ガルマル!いったいどういうつもりだ!?なぜ奴を下がらせた!?』

ガルマル
『落ち着けウルフリック!』

ウルフリック
『これが落ち着いていられるか!?』

ガルマル
『もしこの内容が本当なら、ホワイトランからソリチュードまで最短距離で伺うことができる』

ウルフリック
『だからなんだ!?』

28

ガルマル
『今の帝国にとってソリチュードは喉元だ!ここを狙われたら!いかにテュリウスと言えど兵を引かざる得ない!』

ウルフリックは喉を詰まらせた。

ウフリック
『じゃぁ、ホワイトランが落ちたのは本当なのか?』

ガルマル
『その真偽はわからん。だがもし本当ならば、近く帝国は撤退するはずだ』

29

ウルフリック
『そういうことなら、奴は何故話さなかったんだ?』

ガルマル
『おそらく余計なことを話すなと言われとるんじゃ』

ウフルリック
『余計なこと?』

ガルマル
『お前がさっきナディアが反乱側につくのかと聞いたら、答えをはぐらかしたじゃろ』

ウルフリック
『ああ』

29-1

ガルマル
『ナディアは使者を連れてこいと言っとるんじゃ』

ウルフリック
『なんの使者だ?』

ガルマル
『ホワイトランを手土産にするからその見返りを寄越せと言っとるんじゃ』

ウルフリック
『・・・交渉の使者か・・・ってなんだと!?』

後半彼は声を荒げた。

30

ガルマル
『ホワイトランは我々にとって必要だ!
ナディアも必要だ!帝国に勝つにはあの女が必要なんだ!』

それ以上にガルマルは声を粗ぶり、ウルフリックの首根っこを掴んでいた。

ガルマル
『すまん・・・』

彼はハッと気づくと、掴んだ手を放した。
ウルフリックは一呼吸置いて自分を落ち着かせた。

31

ウルフリック
『なにを・・・何を要求してくると思う・・・』

ガルマル
『わからん・・・だがこの窮地を脱出できるのならば・・・選択の余地はないだろう』

反乱軍は現在窮地に陥っていた。
最もな要因は初戦の2戦を勝利したものの、その後の帝国の逆転劇に完全に士気を失いつつあった。
にも関わらず、やけ酒まで飲み始めている。状況は最悪に近かった。

それでもテュリウスは手を抜くことはなかった。
膠着状態が続くと、彼は実戦を全く行わず、諜報戦を仕掛けて来た。
その狙いはダンマーとアルゴ二アンであり、彼らを焚付け内側から門を開けるよう画策したのだ。

それはカルダーが到着する2日前に起きたことだった。
ダンマーの動きが妙だということを、エルフのニラナイが嗅ぎつけ、近くの衛兵に密告。
全てのダンマーとアルゴ二アン達を逮捕監禁することで未然に防ぐことができた。
しかし、これはガルマルを通すことなくウルフリックの独断で行われていた。

31-1

これが一部のノルド達の反感を買った。
ウィンドヘルムではダンマーとアルゴ二アンは迫害の対象となっている。
だが彼らの中にはノルドを頭とし、商売を行っている者も少なくない。
貴重な労働力を奪われたことに、ウルフリックに反感を持ち始めていたのである。

ガルマルはウルフリックに何度も訴えたのだが、まったく聞く耳持たずの状態だった。
実際彼自身、猜疑心に苛まれ始めていたのだ。

そんなときに来たナディアの助け舟である。
ウルフリックももちろんだが、ガルマルは藁にも縋りたい思いだったのだ。

32

テュリウスの元に知らせが届いたのは、カルダーがウルフリックに手紙を渡してから3日後の夕方ごろの事だった。

テュリウス
『クッソー―!あの女狐め!!!!』

テュリウスは怒号を放ち近くにあったものを力いっぱい蹴とばした。

リッケ
『・・・将軍』

テュリウス
『撤退だ!撤退の準備をしろ!』

アルディス兵長
『将軍!まずは情報の真偽を確認してからでも・・・』

テュリウス
『情報の真偽だと!?馬鹿者目が!!!
バルグルーフが直接言ってきてることが何よりの真実だろうが!!!』

ホワイトランが反乱軍の手に堕ちたという報は、瞬く間に帝国軍をウィンドヘルムから撤退させた。

ナディア達がホワイトランを落としてから既に6日以上が経過してた。

一人の小さな女性の策略は見事に功を奏したのである。
そしてこの事がスカイリムの情勢を一気に変化させたのだ。



ポチットお願いしますm(_ _)m

<備考>

【油玉】
主に牛や豚の腸などを一度乾燥させ、適当な大きさに切り分ける。
切り分けた干物を一晩かけて水戻しし、片方を固く縛り付け、
ここに点火しやすい獣油を注ぎこみ、風船のようにパンパンに膨らんだところでもう片方を縛り付ける。
投げつけ、物に当たると破裂し中身が飛び出る・・・かもしれない作者独自の想像物w

【トレイターズポスト】
日本語版スカイリムでは『裏切り者の位置』と翻訳されているが、
誤訳らしいので原文をカタカナで表記しました。

【ニラナイ】
ウィンドヘルムで働く金物屋の女ハイエルフ。
ハイエルフの中でも得に好戦的なのはサルモールという組織。
なのでハイエルフといえど全てのエルフが戦争に参加しているわけでない。
スカイリム各地には、サルモールとは関係のないハイエルフが多数生活している。