1

テュリウスは質実剛健な男で、帝国に限らずエルフ率いるアルドメリ自治領からも一目置かれている。

シロディールの帝都がエルフ軍に占拠され、この地を取り戻すための先陣を任されたのがテュリウスだった。
彼は様々な戦略を用いて瞬く間にエルフの軍を追いやることに成功。
帝都の奪還に成功した。
以後、彼は皇帝以下臣民に至るまで絶大な支持を得ることになる。

しかし、この大戦における被害は、明らかにインペリアル率いる帝国側のほうが大きかった。
そこでアルドメリとの停戦条約を結ぶこととなる。

エルフの提示した条件はかなり厳しいものだった。

・ハンマーフェル南部の割譲
・ブレイズの解体
・帝国内でのタロス崇拝の禁止

元老院率いる長老たちの間では、特にハンマーフェルの割譲に関して反対意見が多かった。
第三期終期におけるオブリビオンの動乱以後、帝国は空位の時代が続き、周辺諸国が次々と離反していったため過去の栄光はすでに皆無になっている。
そのうえハンマーフェルまで奪われたとなれば、より帝国の弱体化が進むのは目に見えていた。

しかし、テュリウスの見解は違った。

2

ハンマーフェルはもともと帝国から離反したがっていた地域であり、砂漠の民であるレッドガードは帝都危機の際も援軍一つ送ってこなかった。
公こそ帝国領にはなっているものの、彼らはハンマーフェルを一つの国として認めてもらいたかった。
仮にエルフにこの地を譲渡する形になったとしても、エルフと協力関係を結ぶとは考えにくい。
しかも条項においては割譲とある。
自分たちの家を他人が勝手に割譲するなど、どこの世界にそんな馬鹿がいるだろうか?

3

ブレイズの解体はそれほど大きな問題ではなかった。
ブレイズとは代々皇帝の近衛兵の事であり、この200年の間で様変わりし、現在はペニトゥス・オクラトスという別組織がその仕事を受け継いでいる。

4

一番の問題はタロス崇拝の禁止である。
このことに関して周りは重要視していなかったが、
もしこの条項が受理されたら北方でノルド達の反乱が起こる可能性が高い。
もし内戦になったら一番得をするのはアルドメリ自治領のエルフ達である。

一番最初に反対したのはテゥリウス本人だった。
しかし元老院たちは一切耳を貸さない。
むしろノルドの事を北方の野蛮人などと罵り、
政治のような難しいことは田舎者には理解できないと突っぱねた。

元老院が耳を貸さないのならばと皇帝に直訴することにした。

皇帝タイタス・ミード二世は臣民からの信頼が高く、人望の厚い人物で有名だった。
そのため帝都を取り戻してくれた将軍テュリウスの意見も重く見てはいたのだが、
現在の帝国は皇帝よりも、元老院の方が力があるためこちらも無視できない。
とはいえ皇帝としての権威も守らなくてはいけないため、厳しい選択を迫られていた。

最終的に決定したのはこの三項目である。

・ブレイズの解体
・ハンマーフェルの割譲ではなく譲渡
・帝国内でのタロス崇拝の最終的な廃止

ハンマーフェルは手放すことによって独立を帝国は認める。
これにより帝国の庇護はなくなるが、ハンマーフェルは帝国に大きな借りを作ることになる。
以後はエルフの領土ではあるが、離反するかしないかは当地の国王に任せる。
元老院の反発の声は大きかったが、皇帝権威の元無理にでも納得させるしかなかった。

タロス崇拝は最終的な廃止という形にもっていけば、帝国は時期を見据えて事を進めることができる。
簡単に言えばすぐに事を始めるよりも、徐々に広げていけばやがては自然消滅するということである。

エルフはこの条項に同意することを渋ったが、帝国にサルモール大使館を設けるということで同意する形となった。

皇帝は元老院やテュリウスの考えを十分考慮した上で【白金協定】を結ぶことにしたが、彼の思惑よりも遥かに早く事は起きてしまった。

テュリウスを筆頭に鎮圧軍を編成し、スカイリムに向かわせることになる。
しかし、疲弊しきった帝国に大きな力はなくスカイリムに送ることができる軍は限られていた。
元老院は現皇帝に対し異様な不信感を持つようになるが、テュリウスは違った。
彼は何としてでも内戦に勝利しスカイリムを帝国に帰属させることを誓ったのである。
とはいえ兵はたったの1万。援軍は期待できない。
やむ終えず現地調達を余儀なくされることになる。

5

幸いなことにソリチュードのエリシフは、夫のトリグをウルフリックに殺されたため復讐心から賛同してくれた。
テュリウスは参謀役にノルド人のリッケを指名した。ノルドについて詳しい人物を傍に置きたかったらからである。
彼は戦略家としても実力のある人物だったので、反乱軍には最終的に無血開城させることを考えていた。
まず、各都市の首長に手紙を送り、誰が敵で誰が味方か見極める必要があった。
しかし、首長の殆どが自分たちの領地の問題で手いっぱいで、なかなか同意を得られない。
そこで、兵を割いて現地近くに陣を張り、各地の首長たちの支持を得ようとしたのである。

前話でも説明したが、ストームクロークもスカイリム中に陣を敷いている。
お互い目的はあっても完全に違えているため、各地で無意味な小競り合いが起こる羽目になる。

各都市の問題解決には時間はかかったが、なんとか何人かの首長の同意を得ることができた。

6

ソリチュードを起点とし、マルカルス、モーサル、ファルクリースを傘下に収めた。
ホワイトランの首長バルグルーフは未だに渋っている。
ウィンンドヘルムは反乱軍の拠点なので当然ながら無理。
ドーンスターの首長スカルドは帝国に対し徹底抗戦を言い放ってきた。
残すウィンターホールド、リフテンはノルドの血筋が濃いせいか、反乱軍に加勢することを宣言した。

今のところ経過も上々だったが、ここにきて無視できない問題が浮上する。

【世界を喰らう者 アルドゥイン】の襲来である。

このことについてはドラゴンボーンから接触してきた。
反乱軍との一時的な停戦条約を結んで欲しいということである。

テュリウスは表ではアルドゥインの存在など私には関係ないと言い張ったが、内心では喜んでいた。
もしこの条約が結ばれれば、一時的にでも時間を作ることができるからである。
当然そのためのリスクも承知しなければならないが、その点も考慮していた。

7

なので停戦協定を結ぶ際、ウルフリックが初っ端からマルカルスを所望してきたことには呆気にとられた。
真面目に【こいつアホだ】と確信したのである。
ウルフリックの気概から考えて交渉するために条件を提示してくるだろうと、リッケから聞いていたが、まさかマルカルスとは・・・

マルカルスはスカイリムの最も西に位置する都市でドゥーマーの遺跡を利用した頑強な要塞都市である。
ここは銀鉱山が有名で、銀の抽出量は帝国領内でもトップクラスである。
そのため帝国軍にとっても重要な資金源である。
しかしここは帝国領土内にある都市なので、ここをストームクロークが手に入れても、敵のど真ん中に陣を敷くようなものなのである。

本音を交える前にそれならリフテンを寄越せと言ってみたが、冗談じゃないと言い張ってきた。
まるで子が親におねだりするように・・・

これでは埒が明かないとグレイビアードが割って入り、ドラゴンボーンに採決してもらうことになった。

8

ナディアはしばらく考えた後、ため息をついてからこう提案した。

ナディア
『はぁ~・・・リフテンとマルカルスじゃ交換しても意味ないでしょw
ファルクリースとドーンスターの交換でいんでない?』

テュリウスは妥当だと思った。
しかし、ウルフリックは収まらなかった。

ウルフリック
『冗談じゃない!ドーンスターは我々にとって重要な防御拠点だ!
ここを帝国に渡せば、間違いなくウィンターホールドを伺われる!』

ナディア
『それならファルクリースだって同じじゃん。
リフテンとファルクリースを抑えればシロディールからの援軍の心配も減るでしょ。
それにウィンターホールドが心配なら、あそこに兵を配置すればいいじゃん。
自分の領地だって言う割には、ホッタラカシなんだからさ』

ウルフリック
『お前!どっちの味方なんだ!』

テュリウス
『ウルフリック!今はドラゴンボーンにどちら側に付くかの話をしているのではない』

ウルフリック
『くっ!』

テュリウス
『私はドラゴンボーンの意見に賛成だ』

アーンゲール
『ウルフリック。あとはおぬし次第だ。ドラゴンボーンの意見に賛成か?』

ウルフリックにとっては不満は多かったが、しぶしぶ賛成することにした。

テュリウスはドラゴンボーンのナディアという人物に一目置くようになった。
おそらく内戦に勝利するにはドラゴンボーンの力が必要不可欠になってくるのでは?と。

とにかくドール城に戻ったテゥリウスはファルクリースの明け渡しの準備と同時に、
ドーンスターの占領及びウィンターホールド攻略の準備を始めた。

9

ポエットがスカイリムに戻り、ソリチュードからリフテンに向かっているころ、帝国軍はウィンターホールドを落とすことに成功した。
スカイリムの勢力図は少しずつ変わり始めていた。




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<備考>

◎グレイビアード
停戦協定が行われた場所。
タムリエルで最も高い山【世界の喉】と呼ばれている頂き付近にあるハイフロスガ―の住民。
グレイビアードは声の伝道者であり、ドラゴンボーンにシャウトを教えた人物。
この山の頂上にはパーサーナックスというドラゴンが住んでいる。

◎テュリウスは帝都を取り戻す際、先陣を任されたなんて話はない。

◎ハンマーフェルはTESのストーリー上では帝国は譲渡していない。
実際は割譲してしまっているいので、よけいハンマーフェルの怒りを買っている。

◎停戦協定はゲームとは違った形にしています。

TESの実際の物語を織り交ぜながら、作者オリジナルを混ぜ混ぜにしてます。
たぶんこうなるんじゃねーの?って感じで書いてますので、全部を鵜のみにしないでくださいw