大変長らくお待たせいたしました(; ・`д・´)
ようやくSOS第十四話EP2公開いたします!!
今回はアイディアに詰まってしまい、だいぶ悩みながらカキカキしておりました。
今まで月に一回は更新していたのですが、とうとう月を跨いでしまうという事態に・・・
申し訳ございませんm(_ _;)m

今回のお話しは、マルカルスでのその後の出来事を前編に、そして帝国軍対策の為に動いたジョディスを中心とした後編の前後編で構成されています。
マルカルスでの水攻めの後、シルバー・ブラッド家のクーデターはどうなったのか?
フォースウォーンは?
現首長のイグマンドの運命は?

そして、プレイヤーの従者になってくれる人物、『ジョディス』なのですが。
彼女はある事が切っ掛けでファルクリースに派遣されました。
ゲーム上での彼女は、言葉遣いがお嬢様のようだとか、ソリチュードで従者になる事から、やはり都会っ子のイメージが強く、
リディアに比べてあまり目立たず、不遇な従者とも言われているようです。
SOSでの彼女は、一味違った存在として描いてみました。
これには作者なりに理由があるのですが、それはまた後々という事で・・・

それでは、はじまり、はじまりぃ~(´・ω・`)


1
【カースワスティンにて・・・】

ファリーンはフョトラを見つけた後、ここで兵を割き、後始末を申し付けた。
残された彼らは、マルカルスの様子など知る由もなく、黙々と仕事を続けていた。
だがこの後、彼らは思いもよらない襲撃を受けていたのである。
2
地面を覆いつくすような巨大な影。
空から聞こえる轟音の様な羽ばたきと、雷のような嘶(いなな)き。
ドラゴンの炎の咆哮が、彼らを襲ったのである。
3
マルカルスは石の町と言われるだけあってか、家々が石でできている。
いままで街での被害は、皆無に等しかった。
そのせいもあり、ドラゴン対策というのは殆ど取られていない。
そしてドラゴンボーンが、”邪竜アルドゥイン”を退治した事から、ドラゴンの脅威など昔話になっていた。
慌てた彼らは、一目散に鉱山洞窟へと避難するしかなく、その場から一歩も動けなかった。
4
宵に差し掛かろうとした時。
奇妙な身形をした5人が、この村に足を踏み入れた。
5
ドゥーマーの鎧に身を包んだ彼らは、村の真ん中で佇んでいたドラゴンに、果敢にも立ち向かって行ったのである。
それに気づいたドラゴンも、慌てて両の翼を羽ばたかせる。
6
中空に逃げようとするが、一人の手に仕込まれた飛び出し矢が、大きな眼に突き刺さり、余計に混乱するハメになってしまった。
7
洞窟の入口から様子を伺っていたマルカルス兵達も加勢し、一斉にドラゴンに襲い掛かった。
パニックに陥りながらも、炎を吐き出し必死に抵抗するドラゴンを、下から弓矢で攻撃する。
矢は、ドラゴンの固い甲羅のような皮膚に当たる事はあっても、刺さる事はなかった。
8
それでも分の悪さに感づいてか、ドラゴンは一目散に西の空へと退散していった。
その場にいた誰もが、その様子を眺めていた。
マルカルス兵達は、一時はどうなるかと思ったほどだった。
しかし勇敢な5人のおかげで、何とか無事にやり過ごすことができたのである。

だがドゥーマーの鎧を着こんだ一人が、おもむろに兜を取った瞬間、兵士達は驚いた。
9
マルカルス兵士達
『しゅ、首長!?』

彼らが目にしたのは、こんな所にいるはずがないマルカルス首長である”イグマンド”その人だった。




10
マルカルスでは、フォースウォーンが撃退された事を見越して、シルバー・ブラッド家によるクーデターが成功していた。
ソーナーは傭兵達を動かし、アンダーストーン砦を占拠。
すぐさま玉座についた。
砦の外では、マルカルス兵達がフォースウォーンの二次攻撃に備えて、再び水を貯める作業を進めていた頃である。
11
隊長クラスの者が、何人か砦へと報告に戻ろうとした時、門の前には鋼鉄鎧を着こんだ傭兵達が立ち並び、彼らの侵入を防いだのである。
最初はどういう事なのかわからなかった。
傭兵達が手に武器を構え、続々と姿を現し彼らを包囲する。
12
イングバー
『アンダーストーン砦は、シルバー・ブラッドが占拠したっ!!
大人しく降伏すれば良し!
抵抗するようなら、お前たちを謀反人と見なし、
生涯太陽を拝めなくしてやるぞっ!!』
13
シルバー・ブラッド=シドナ鉱山。
イングバーの一括に驚いた彼らは、皆武器を床に降ろし、両手を上げて降伏した。
それというのも、さっきまで一緒に戦っていた仲間の兵士達までもが、傭兵達に紛れ、弓矢を片手に取り囲んでいたからである。
多勢に無勢。
彼らには選択肢が無かった。
14
一方、首長の座を奪った”ソーナー”は、傭兵達がイグマンドとラエレクを始末し損ねた事に腹を立てていた。

ソーナー
『探せ!!何が何でも見つけ出し、あの二人の首をここに持って来い!!』

ソーナーは吐き捨てるように、傭兵達に激を飛ばした。
15
ついさっきまで、フォースウォーンと戦っていたはずなのに、あの二人の姿が見当たらないというのは、”裏切り者がいる”のかもしれないとまで考え始めていた。
16
ソーナー
『さっきまで交戦していたと報告したのはお前だろ!?
いったいどういう事だ!?』

たまらずレブルスを問い詰めた。

レブルス
『情報が錯綜しているのかもしれません。
街中がこのような状態では、報告の後先が、入れ替わる事もあるものです』
17
ソーナー
『だがフォースウォーンは退いたはずだ!
それは確認したんだろう!?』

レブルス
『つい先ほどの報告では、”サルヴィウス農園”に集まっているという話に変わりました』

正しくは”サルヴィウス農園方面に向かったのを見た”だった。
18
ソーナー
『くぅ・・・』

レブルス
『状況が落ち着くまで、情報収集に目を向けましょう。
今焦ると、兵士達だけでなく、良民達にまで不確かな情報が伝わり兼ねません。
そうなったら街は、パニックに陥ってしまいます』
19
しかしレブルスはわかっていた。
ソーナーが玉座についた事で、例えイグマンドが戻ってきても、再びこの椅子に座れるハズもない事を。
なので、”裏切り者”の存在も大方の予想が付いた。






20
マルカルスでのフォースウォーンの襲撃の際、イグマンドはカルセルモの奇策のおかげで、何とかその難を跳ね除ける事ができた。
だがカルセルモの進言は、この後も続いていたのである。
21
ソーンヴァーは、弟の説得は無理だと判断すると、トレジャーハウスを後にし、アンダーストーン砦へと足を運んでいた。
しかし彼が会いに行った人物は、首長のイグマンドではなく、カルセルモだった。
22
ソーンヴァー・シルバー・ブラッドという男は、一族の頭首であり、そしてクーデターを起こしたソーナーの兄でもある。
だが彼は、嘗てマルカルスをフォースウォーンの支配から解放してくれたのは、帝国ではなく、ウルフリック・ストームクロークだと、強く主張していた。
なので傍から見れば、彼は反乱軍の一人として見られている。
だが帝国がシルバー・ブラッド家の支援を受けている以上、イグマンドもこれを強く言えず、彼もウルフリックを悪く言えない理由があった。
しかし、マルカルスにはサルモールの支部もある。
彼らの意見も無視できなかった為に、イグマンドは板挟み状態だった。
ソーンヴァーの存在は、微妙な均衡の中に立っている人物でもあった。
23
ソーンヴァーが、よくアンダーストーン砦へと足を運んでいたのは、イグマンドとの対話による説得を考えていたからだった。
なのでカルセルモとは、時々顔を合わせていたのである。
だが弟がクーデターを起こす事がわかった以上、自分が此処にいれば、対話での説得は難しくなり、
仮にクーデターが失敗したとしたら、シルバー・ブラッド家の権威が落ちてしまう恐れがある。
そうなると、今度は自分の命が危うくなる。
また、弟との亀裂ができた以上、その逆も然りという事である。
24
カルセルモが、ドゥーマーの研究を続けていられるのは、その費用をサルモールとマルカルスで負担してくれていたからだった。
イグマンド政権下では、ドゥーマー研究は街の為になると判断し、懐柔策を取ってくれていた。
だがシルバー・ブラッド家による政権下に代わると、状況が180度の転換する恐れがある。
ソーナーは他人を信用しない性格なので、無駄だと判断した以上、打ち切りを要求するかもしれない。
仮に資金を提供してくれても、今までは無かった制限が付け加えられる事になるかもしれない。
サルモールは容認してくれても、マルカルスは容認しないなどなど・・・
様々な不安要素が重なってくる事になる。25
もし全面的支援が容認されたら、【兵器開発】の四文字が、今まで以上に色濃くなる事は間違いないだろう。
ハイエルフの中でも、温厚な性格の持ち主であるカルセルモにとって、これほど悩ましい事はなかった。
26
ソーンヴァーは、カルセルモを動かす材料があった。
”イグマンドの命令で、ファリーンをカースワスティンに派遣した”という事実を、近くで見聞きしていたのである。
なのでカルセルモには、”ファリーン”を取るか、”ドゥーマー”を取るかで強く迫った。
お互いの利害は一致していた。
それでも彼は迷った。
だがそれを決定づけさせたのは、一緒に研究をしている甥の”アイカンター”の言葉だった。
27
アイカンター
『せっかく見つけた人との繋がりを捨ててしまうなんて、間違っていると思います。
マルカルスは、ドゥーマー研究には最適な場所なのはよくわかります。
ですが、まだまだ発見されていない場所も沢山あるはずです。
今はむしろ、ファリーンに目を向けるべきです!』
28
カルセルモは目を覚まし、一目散にイグマンドの元に駆けつけたのである。
だが彼にとっては、ファリーンの情報が重要だった。
もし情報が得られなければ、このまま自分達だけで街を出て、彼女を探そうと考えていた。
29
しかし、偶然にもイグマンドは自分を呼び止めた。(第十三話EP3)
30
そして、街の構造を利用した策を授けると、シルバー・ブラッド家の陰謀を伝えたのである。
それを聞いた二人は驚く。
ラエレクがカルセルモを問いただすと、彼は数回軽く頷いた。

イグマンド
『証拠はあるのかっ!?』
31
ソーンヴァー
『俺が教えた』

後ろからソーンヴァーが姿を現した。
32
イグマンド
『きっさまぁぁああ!!!』

イグマンドは、有無を言わずソーンヴァーに殴りかかった。
33
だが彼は、それを軽く避けると、鳩尾に膝蹴りを喰らわせた。
イグマンドは床に四つん這いになり、体が痺れて動けなくなってしまった。
34
ソーンヴァー
『落ち着けイグマンド!
これは弟の仕業で、オレは関係ない!』
35
ラエレク
『ならばお前も同罪だっ!!
我々に話すべき有事を隠ぺいしていたんだからなっ!!』

ソーンヴァー
『俺は今日のこの日まで、何も知らされていなかったんだよっ!!』

ラエレク
『そんな出任せが通用するモノかっ!!』

ソーンヴァー
『だったら今、何でお前らの前に俺がいるんだっ!?』
35-1
ラエレク
『お前はいつもワシらに批判的だったではないか!?』

ソーンヴァー
『当たり前だ!
ホルフディルは、息子が首長の座に着いた時には、タロス崇拝を推し進めるようにと遺言で残したはずだっ!!
聖堂をひた隠しにし、あそこだけはサルモールに潰されまいと守り抜いたのは、その為だろっ!!
なのにお前らと来たら、帝国に頭(こうべ)を垂れてばかりで、サルモールを追い出そうともしない!!』
36
イグマンド
『状況が状況だ・・・仕方がないだろう・・・』

ソーンヴァー
『言い訳をするなっ!!
この街のノルドは、ホルフディルの約束があったから、お前を首長として認めたんだ!
なのにお前は、自分の父親を裏切ったばかりか、良民さえも裏切り続けたんだ!!
おかげでこの街には、病原菌がウジャウジャ蔓延るようになった!!
中途半端な帝国と同じ事をしているから、周りも同じ事をし出したんだよ!!』

38
ラエレク
『あの時、我々には選択肢が少なかったのだ・・・
ホルフディルの死後、彼の名誉を汚さぬ為にも、何が何でもイグマンドを首長の座に着かせねばならなかった!
帝国につくか、反乱につくか迫られた時、ウルフリックに与すれば、イグマンドは首長から引きずり降ろされ、一族さえも危うくなると考えたのだ・・・』

ソーンヴァー
『それでも叔父か?
落ちぶれた自分を悔やんでいたホルフディルが、自分と同じことを繰り返しているアンタ達を見て、喜ぶと思うかっ!?』

ラエレクは口を閉ざしてしまう。
39
ソーンヴァー
『アンタたちは・・・楽な道を選んだだけだ・・・』

イグマンドとラエレクは恥ずかしくなり、何も言えなくなってしまった。
ソーンヴァーは、真のノルドして、ホルフディルの遺言を守り通したかっただけだった。
しばしの空虚な時が流れる。
40
カルセルモ
『お三方、色々とあるだろうが、そろそろ次に進まないか?』

カルセルモは、ファリーンが心配でヤキモキし始めた。
41
イグマンド
『あんたが俺たちに味方してくれるって言うなら、反撃のチャンスもあるはずだ』

ソーンヴァー
味方じゃない!
お前達は今でも、俺にとっては政敵だ。
だが、弟のやり方を知った以上、今は利害が一致しているだけだ』
42
ソーンヴァー自身も、実の弟のこと故、ハッキリとは認めたくなかった。
彼は視線を逸らし下を向く。

ソーンヴァー
『残念だが・・・反撃はもう遅い・・・』

ラエレク
『何故だ?』
43
ソーンヴァー
『ソーナーは手練れの傭兵どもを、数えきれない程抱え込んでる。
俺にも把握しきれないほどにな。
弟の話だと、もう既にそいつらが動いている』
44
イグマンド
『アンダーストーン砦にも兵士達はいる』

ソーンヴァー
『まさか兵士の買収話が、夢物語だとでも思っていたのか?』

ラエレク
『ほ、本当だったのか・・・』

ラエレクの表情は青ざめた。
46
アイカンター
『おそらくですが、アンダーストーン砦を一歩でも出たら、もう戻ってこれないと考えた方が良いと思います』

イグマンドとラエレクは、目を見開いて驚いた。
事態はそこまで悪化していたのかと・・・
47
ソーンヴァー
『カルセルモ・・・どうやって街の外に出るんだ?』

カルセルモ
『まずは、外のファースウォーンを片付けるために、水攻めを優先しないといけない。
それが終わった後、再び水を貯める必要がある。
そうすれば、街の内外問わず、出入りが不可能になるからな
48
ソーンヴァー
『それじゃ、俺達だって出られないだろう?』
49
カルセルモは、イグマンドとラエレクに、再び水を貯める仕事を兵士達に任せた後、”死者の間”に集まるよう指示を出した。
50
その間残った三人で、アンダーストーン砦内を横切り、研究所から”ある物”を死者の間に運び込んだのである。
ソーンヴァーには、マルカルス兵士の格好に変装させ手伝わせた。
この時はまだ、シルバー・ブラッドによる占拠は始まっていなかった。
51
”死者の間”とは、土地の者の遺体を安置する場所であり、スカイリムの主要都市ならば大抵は設置されている施設である。
本来ここには”アーケイの司祭”がいるはずなのだが、マルカルスでは、ある不幸が起きてしまった為に不在であった。
おかげでここは封鎖され、誰も入れないよう鍵が掛けられていた。
52
しかしここは、アンダーストーン砦と外を結ぶもう一つの抜け道になっており、ラエレクは管理者権限として、ここの鍵を所持していたのである。
53
五人は死者の間に集まると、用意されたドゥーマーの鎧一式に着替えた。
そして研究所から運び込んだ”ある物”とは・・・
54
カルセルモ
”ドゥーマー・ヒュペリオン”と呼ばれる”外骨格強化パーツ”だ』

ソーンヴァー
『が、がいこっかく?』
55
アイカンター
『鎧の外側にこのパーツを装着すると、身体能力を大幅に強化してくれる装置です。
どんなに重い物でも軽く持ち上げ、飛べば自分の頭の倍以上の高さを越えられ、走れば突風の様に走る事ができます』
56
イグマンド
『そ、そんな物があったのか!?』

ラエレク
『兵士に利用するにはピッタリそうだな・・・』

ラエレクは何気なく口にした。
57
カルセルモ
正にそれだ・・・
これは発掘当初に発見した代物なのだが、構造が単純な故に量産が可能になる。
こんなモノを兵器として利用されたら、大変な事になるだろう。
なので全てを封印する事にしたのだ』

イグマンドとラエレクは息を飲む。
58
アイカンター
『兜には”水中呼吸”の符呪をしておきました。
これで遺跡内を泳いで行けます』

ソーンヴァー
『遺跡内?』
59
死者の間から外に出ると、すぐ右手にドゥーマーの遺跡に通じる地下道があった。
ここは嘗て、マダナックがシドナ鉱山から脱走し、出てきた場所である。
つまりはこの地下道を通り、今度は逆にシドナ鉱山から脱出しようというのである。
60
しかしマルカルスは、フォースウォーンとの戦いで南側半分が水没していた。
おかげでシドナ鉱山も水没していたのだ。
その為の水中呼吸である。
61
五人は水中を泳ぎながら、ドゥーマーの遺跡を抜け、シドナ鉱山に到達した。
カルセルモの道案内があったればこそなのだが、わずか5分と掛からない内に、マスカルスの外に出ることができた。
62
マルカルスの外壁の隅で頭を出した5人は、外の様子を伺った後、外壁から溢れ出る水の勢いに乗って、そのままカース川の支流に流されつつも、街から脱出する事ができたのである。
63
そしてその足で、カースワスティンへと向かって行ったのだ。



再びカースワスティンにて・・・
64
マルカルス兵A
『首長が・・・何故ここに!?』

マルカルス兵B
『フォースウォーンが街に侵入したんですか?』

マルカルス兵C
『マルカルスは、どうなったんですっ!?』

兵士達がイグマンドを質問攻めする。
皆の心配事は、首長が此処にいる以上、街がどうこう言うよりも、自分達の家族が心配だった。
65
ラエレク
『みんな落ち着け!フォースウォーンは撃退した』

マルカルス兵A
『じゃぁ・・・なんでここに?』

マルカルス兵B
『俺達の・・・救援ですか?』

彼らは一様に、イグマンドの行動を不可解に感じていた。
ラエレクには、兵士達の気難しい感情が手に取る様にわかった。
66
イグマンド
『シルバー・ブラッド家によるクーデターが起きたのだ』
67
マルカルス兵士達
『えっ・・・』

本来なら、何故街を離れたのか?という責め苦が返って来るものだが・・・
彼らは互いに顔を見合わせるだけで、さほど驚く様子を見せなかった。
まるで事の次第を予期していたかのように・・・
68
その態度を目にしたイグマンドは、自分の不甲斐無さを更に実感する事になる。

イグマンド
-情けない・・・-

彼は肩を落とす。
ラエレクには、掛けてやる言葉が思いつかなかった。
69
カルセルモ
『ファリーンはどこに行ったか知らないか?』

沈黙を破る様にカルセルモが前に出てきた。
70
マルカルス兵士C
『隊長殿なら、ここの後始末を我々に任せて、先にマルカルスへ帰還されました』

カルセルモ
『なんだとっ!?』
71
カルセルモの脳裏に不安が過った。
”まさか、フォースウォーンに捕らえられたんじゃ?・・・いやあるいは、シルバー・ブラッド家に捕まったんじゃ・・・”

ラエレク
『ファリーンは従士だ。
そうそう捕まるようなタマではない』

カルセルモの態度を読み取ったのか、ラエレクが声を掛けた。
73
マルカルス兵士A
『そういえば、女の子を一人救出しました。
隊長が抱えて行きましたよ』

ラエレク
『子供か?』

マルカルス兵A
『はい』
74
カルセルモを初めとする一行は、マルカルスを出た後ドワーフ・ヒュペリオンを利用し、サルヴィウス農園手前の山を登り、そのまま山伝いを使ってここに辿り着いていた。
マルカルスから離れた所まで逃げると、フォースウォーンに出くわす可能性もあったが、シルバー・ブラッドの見張りもいる可能性があると考えた末である。
また、カース川を氾濫させた以上、いくら自分達が強化されていたとしても、自然の勢いに流されてしまう可能性もあった。
75
カースワスティンの兵士達には、街の水が溢れ出ているため、2、3日様子を見てから戻るよう言い伝え、
彼らは一旦、カース川沿いをマルカルス方向に戻ってみる事にした。
76
コルスケッガ―鉱山手前に差し掛かった時、彼らもここで落石があった事がわかった。
岩山を上り下を覗くと、マルカルス兵達の無残な遺体の数々と遭遇したのである。
イグマンドは息を飲んだ。

ラエレクは、遺体に刺さった矢の方向から、彼らが囲まれて殺された事がわかった。
しかし、ファリーンの姿はここには見当たらない。
77
ラエレク
『カルセルモ、ファリーンは恐らく生きておるぞ』

カルセルモ
『そう、思うのか・・・?』

空からは、まるでカルセルモの心内を表現するかのように、雪が降り注いできた。

78
ラエレク
『彼女はフォースウォーンに囲まれた後、子供を抱えて川に飛び込んだに違いない』

カルセルモ
『こんな高い所から落ちたというのかっ!?』

ラエレク
『ファリーンは元々孤児だった。
生きる為の術を心得ているはずだ』
79
ソーンヴァー
『だがこの辺りは、急流の滝が続く。
もし生きていても、無傷じゃ済まないだろうな・・・』

カルセルモ
『うぅ・・・』

せっかくラエレクが気を使ったのに、ソーンヴァーの心無い一言で、彼は下を向いて項垂れてしまった。
80
アイカンター
『ですがおじ上、この川はこの先、右に曲がっています。
水の流れは一見、一定に見えますが、勢いは垂直なはず。
恐らくどこかの浅瀬に乗り上げているんじゃないですか?』

カルセルモ
『そうだっ!!
右に曲がるというなら、向かって右側に流れ着いているはずだ!』

甥の言葉に励まされる。
82
ソーンヴァー
『だが、今日はもうやめた方が良い』

カルセルモ
『なんだとっ!?』
83
ソーンヴァー
『辺りが暗くなっているし、雪が降り始めた。
こんな視界の悪い中で足を踏み外したら、俺達が被害にあってしまう』

ラエレク
『悪いがワシも同じ考えだ。
街中に水を再び溜めた以上、ソーナーがいつまた決壊させるか予想がつかない。
それにもし、フォースウォーンが退却してくるようなら、もっと厄介な事になる』
84
カルセルモ
『こんな寒い中で、女性と子供を放置するつもりか?
怪我をしているかもしれんのだぞ!?』

ラエレク
『気持ちはわかるが、二次災害の危険性があるのだ』
85
カルセルモ
『同じ仲間であろう!?』

ソーンヴァー
『シドナ鉱山を抜けた時から、俺達もびしょ濡れ状態だ。
夜中になると温度がもっと下がる。
俺達に凍え死ねって言うのか?カルセルモ?』
86
カルセルモ
『なんと薄情な連中なのだっ!!
これだから人間は、”劣等種”と呼ばれるのだっ!!』

ソーンヴァー
『なんだとっ!?』

彼らの気持ちを他所に、カルセルモは悪態をつき始めた。
最も一番の原因は、ソーンヴァーの月並みな発言なのだが・・・
87
カルセルモ
『サルモールの方が数倍頼りになるぞっ!!』

ソーンヴァー
『こおぉのジジイぃ~勝手な事言いやがってっ!』
87-1
カルセルモ
『やかましい!若禿の青二才がっ!!』

ソーンヴァー
『んだっと!ロリコンじじいっ!!』
88
サルモールのハイエルフ達は、スカイリム中を巡回しつつも、自分達こそが唯一無二の存在と吹聴していた。
それ故にノルド達には、高慢ちきな性格と思われ、忌み嫌われている事は明白だった。
89
嘗てオブリビオンクライシスという事件が、シロディールを中心に帝国を脅かした事があった。
【深淵の暁】と呼ばれたカルト集団が、オブリビオンの門を開けてしまい、”メイルーンズ・デイゴン”というデイドラの王子を呼び出してしまったのである。
90
これをオブリビオンに送り返したのが、嘗てクヴァッチの英雄と呼ばれた者と、セプティム家の最後の皇帝である、マーティン・セプティムだった。
しかしこの出来事は、シロディールに留まらなかった。
91
ハイエルフが故郷としている、サマーセット島にも被害が及んでいたのである。
シロディールには、”クヴァッチの英雄”やマーティンがいたが、サマーセット島ではサルモール達がこの門を自分達で塞いでいた
人間種は英雄やエイドラ神を頼ったくせに、ハイエルフ達は自分達で始末をつけたので、人間は劣等種だと決めつけられてしまった。
だがサルモールは嘗て、同種族の大虐殺を行った経緯もある。
92
なのでカルセルモの様に、人間に対して理解を示す者がいるのも確かなのである。
最もこの因縁は、更に昔からある物でもあるのだが・・・
93
だがカルセルモは、一人でも探すと言い張った。
それが影響してか、イグマンドも自責の念から手伝うと言い始める始末だった。
止む無くアイカンターも同行する事になり、ラエレクはソーンヴァーと、山小屋で待機する事にしたのである。

後編に続く・・・




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