254-1
ギルフレが出ていく(諦める)と、皆思い思いの場所へ腰を降ろした。
だが誰も口を開こうとしない。 
ドーンスターからここまで、ほぼ休み無しで歩き続けた事もあり、体力の消耗はピークを迎えているはずだった。


254-2
グジャクは椅子に座ると貧乏ゆすりを始めた。


254-3
イルグニールはそれをジッと見ている。

グ『くっそ...』


254-4
座り行進は更に激しさを増す。


254-5
イルグニール『グジャク、みっともないから貧乏ゆすり止めてよね...』

グジャク『なんか...ソワソワするんだよ』


254-6
イ『こんなんだからアイアンブレイカーは稼ぎが悪いって言われるのよぉ』

グ『なんだよ、俺のせいか!?』


254-7
ロンド『止めなよ二人ともぉ~。俺たちは誰もそんな風に思っちゃいやしいないよぉ~』

ドーンスターには、鉄と水銀と二つ鉱山がある。
互いに鎬を削っている部分があるのだが、オーナー夫婦同士でのいざこざが絶えなかった。
因みにグジャクとイルグニールは鉄鉱山側だが、ロンドは水銀鉱山側である。


254-8
イルグニール『あの赤髪がうまくやってくれてるよきっと...強そうだったじゃん』

グ『あぁ...そうだったな』

とはいえ、彼の気持ちもわからない訳ではない。
いつもは仲違いをしていても、今はそれがよく理解できた。
要するに"安心"できないのだ。


254-9
幾分かまだギクシャクしている。
"二度あることは三度ある"ともいう。
ロンドも可能性は否めないと認めていた。


255-1
だがカジート達は、こういう事に慣れているのか行動が冷静に見える。
彼らは空いているベッド一つを複数人で使い、残りの者と交代で睡眠をとる事にした。
休める時に休んでおく。
あちこち旅するキャラバン隊だけあって野宿が基本の彼らには、この程度事は問題にもならないようだ。


255-2
それでもこの部屋は落ち着かない。
見慣れない風景もあるが、木屑やヤニに加え、労働者の汗の臭いが充満している。
雇われ者の宿舎のせいか、大きい割にあちこち継ぎ接ぎだらけだ。
そこに深夜の隙間風が入ってくる。
これがより一層肌寒さを感じさせた。


256
ところでドーン・スターから彼らを逃がすために命を張った彼女は、ナディアの回復魔法のお陰で彼らと行動を共にできた。
だが部屋に入るなり居心地が悪いのか、一人テーブル席に座って背を向けていた。


257
フ『ギルフレさん、食べ物があるって言ってたね』

ナ『(゚ω゚)(。_。)ウンウン』

フ『ナディアわかるのかい?』

ナ『樽の中見てくるのだ^^』

皆の様子とは別にナディアはポジティブだ。


258
フリダは何かをして気を紛らわそうと考えた。
干し草を集めて暖炉に火をくべる。
部屋が暖まれば少しは落ち着くかもしれない...
それほど広いわけでもないので近くにいる者の声がよく聞こえてきた。


260
グジャク『それにしても、なんで俺達の居場所がバレたんだろうな?』

イルグニール『私たちが一瞬外に出てきたのを目にしたのかも?』

ロンド『でもほんの少しの間じゃないか。それにもしそうだとしたら、近くに潜んでいたって事だろう?ってことは、俺達だけに的を絞って追いかけてきたって事になる』

イ『なによそれ?何か目的があるみたいな言い方じゃない?』

ロ『いや、だからさぁ~』


262-1
現在においても巨人の生態には謎が多いため、学者達の間でも論議の対象となっている。
しかし昔から【イスグラモルの伝説】の中で出てくる【シンムールとの戦い】だけは、土着民達の語り草となっていた。
北方の地アトモーラからやってきたノルドの王は、500の同胞団を率いてスカイリムからエルフ達を追い出し、独立国家を打ち建てた事は有名である。


262-2
だがこの戦いとは別に、彼は巨人達とも戦争をしていた。
中でも【シンムール】と呼ばれた巨人の酋長は、イスグラモルと激しく対立し、領土争いに関して一歩も引かなかったらしい。
最終的に巨人は敗北してしまうのだが、それでもシンムールの血は今でも脈々と受け継がれているのだとか。


262-3
人々は今においても、巨人に対して様々な懐柔策を講じているが、中にはドーンスターのように徹底排除の構えを見せている地域も珍しくはない。
防護壁が無い事が余計敏感にさせているともいえるが、ノルドの気質が強い地域だけに昔から"馬が合わなかったからだ"と語る者もいる。


263
???『わたしのせいなんです...』

ここに来て彼女は唐突に口を開いた。
思いがけない事だったので皆の視線が集まる。


264-1
グ『あんたのせいって...また、どうして?』

ロ『そうだよ。あんた俺達を逃がす為に盾になってくれたじゃないか?』


264-2
???『昔は腕に多少の自信があって...だからできる事をと...』


265
???『コレを巨人の野営地から取ってきたのです』

彼女は握った掌の中から一つの指輪を見せた。


266-1
古めかしい金属のアームに、何か文字のようなものが刻まれている。
型で固めたような造りだが、ゴワゴワしていて決して美しいと呼べる代物でもない。
そして最も目に映るモノといえば、トカゲの瞳のような石だ。
黄色く飛び出した眼は、なんとも不気味なモノを連想させる。


266-2
ロンドは彼女の傍まで行くと、その指輪を手に取った。

ロ『どれどれ?不思議な指輪だなぁ~こいつは目かな?』

???『あっ!素手で触らないほうがっ!』




266-3
???『やっぱりなのぜ!おまえら巨人は、昔から水が苦手だもんなっ!』


266-4
巨人『ヴアァァァァァッ!』

???『ナニッ!?』


266-5
ロ『うわぁああああ!!』

グ『ロンド!?』

彼は悲鳴を上げて床に倒れ、そのまま気絶してしまった。
イルグニールとグジャクが慌てて駆け寄る。


266-6
イ『なんなのよその指輪!?』

彼女はいきり立ち、指輪の持ち主を怒鳴りつけた。


267-1
彼女は自分の指でもってそのリングを掴んで見せる。

イ『あなた...なんともないの?』


267-2
???『はい...私が持っても何も起こらないんです』


267-3
イ『ロンドはどうなるの?』

???『大丈夫。ただ気絶しているだけなので、すぐに目を覚ますはずです』

それを聞いたイルグニールは少しホッとする。


268
イ『なんでそんな物を巨人の野営地から盗んできたのよ?』

グ『まてよ?巨人はそれを追って...なんてこったドーンスターがあんなになったのは...あんたがそれを取ってきたせいなのか?』


269
???『すみません...まさかこんな事態になってしまうなんて...』


270
イ『あんたっ!とんでもない事してくれたじゃない!』

英雄が地に落ちた瞬間だった。

グジャク『町をどうしてくれるんだよ!?』

イ『そうよ!住み慣れた町だったのに!とんだ迷惑だわっ!』


271-1
???『ラストリーフを返して...』

いつの間にかグジャク達の後ろに女が立っていた。
ドーンスターで旦那と共に鍛冶屋を営んでいたセレンだ。


271-2
セレン『私の夫を返して...』

声を震わせながら少しづつ近づいている。
ここに来る道中、彼女の夫は孤児のアレサンを救うために巨人に踏み殺されてしまっていた。


271-3
セ『返しなさいよ!この人殺し!!』

彼女は右手に持っていたナイフで襲い掛かった。


271-4
ジ『おっと!そこまでだ!』
ジプサムが咄嗟にセレンを止める。

セ『離しなさいネコ!あの女のせいで私の夫が!』


271-5
ジ『無茶な事はしないほうがいい。そんな事をしても旦那は戻ってこない』
セ『うるさいわね!』


271-6
フ『セレン!そのカジートの言う通りだよ。落ち着きなっ!』

セレンは歯をむき出してフリダの方を向いた。


271-7
フ『ほら...あの子が見ていじゃないか...』

フリダに言われると、彼女はアレサンの方に恐る恐る目を向ける。
ぶつける事の出来ない気持ちが溢れ、いたたまれなない。


271-8
セ『うわぁあぁぁぁあん!!』

抑えどころを見つけられず、彼女はその場で泣き崩れてしまった。


271-9
???『...』

指輪の持ち主は、何も言葉を発する事ができずにいた。









272-1
セレンはアハカリに支えられ、なんとかベッドに向かって歩いた。
彼女の心情は誰も図り得ないだろう。 


272-2
だが指輪の持ち主は、険しい表情を続けている。
少し肩が震えているようだが、何か固い決意のようなモノも感じ取れた。


272-3
話してもわかってもらえない、理解してもらえない。
そう訴えているようにも伺える。


273
フ『そんな顔をするって事は、あんたにも譲れない事情が有るみたいだね?』

気持ちを察知された彼女はフリダに向き直る。


274
フ『何であれ、あたしらにもそれを聞く理由がある。まず名前から聞こうかしらね?』

彼女は扉を少しだけ開かせる事にした。




275-1
???『私はボタンといいます。その...ちょっと前まで猛獣専門の賞金稼ぎをしていました』

フ『なるほどね。それで腕に自信があるって言ったんだね』

ボタン『はい...』


275-2
フ『今は何か別な事を?』

ボ『今は...リフテンの孤児院の手助けをしていて』

フ『孤児院?』









276-1
ボタンの話によると、彼女も昔はその孤児院で生活をしていたらしい。
十六歳になると独立ちの為に出されてしまうのが慣例であり、彼女もその一人だった。


276-2
およそ十年ぶりに顔を出し、自分が自立できた事を報告しようと立ち寄ってみたのだが...


277
グ『オナーホール孤児院か...最近はあんまりいい話を耳にしないなぁ~』

イ『ちゃんと子供の世話ができない親の掃き溜めよ。最低の場所だわ!』


278-1
この時代、生まれた境遇は様々であっても、子供にとっては決して生きやすい環境では無い。
戦争や病で親を失った者。捨てられたり、虐待を受けてきた子供たち。
様々な理由で孤児となった彼らは、毎日当たり前のように在っても、大人達は見て見ぬふりをするのが殆どだ。


278-2
路上で物乞いをしその日の食い扶持を手に入れても、雨風をしのぐ屋根もなければ、面倒を見てくれる人もいない。
病にかかれば自然と死を待つだけ。
誰かの下で下働き出来る者もいるが、しょせんは稀な話でしかなかった。


279
グ『それで...孤児院とその指輪とどう関係があるんだよ?』


280
初めボタンは、久々に帰ってきた嘗ての我が家の変わり様に驚いた。
院長のグレロットが子供達に対して独裁的な態度で接し、外界との接触を一切受け入れなくなっていたからだ。


282
グレロットには自分も世話になっていたので、きっと覚えているはずだと思い声をかけたのだが...


283
グ『フンッ!なんだい今頃ノコノコと帰ってきてっ!どこの馬の骨だい!?あたしはあんたなんか知らないよっ!さっさと出ておいきっ!』


284
何故かわからないが、酷く憎悪じみた答えが返ってきた。
ボタンにとっては信じ難いものだった。


286
ボ『昔のグレロットはあんな人じゃなかったんです。優しくて、太陽のような人でした。少なくとも私にはそう見えていた』


286-1
孤児院で暮らし始めた頃の彼女は、引っ込み思案な性格が仇となり同世代の子供によく虐められていた。


286-2
子供同士の喧嘩など珍しい話ではないが、グレロットはそんなボタンをしょっちゅう庇ってくれていた。


287
その頃の彼女は誰にでも平等であり、褒める時はとことん褒め、怒るときは本気で怒ってくれる。
確かに躾や礼儀に対して厳しい面もあったが、それでも彼女にはまだ笑顔があった。


288
十六歳になり、ここを去る事になったその日。
グレロットは溢れそうな涙を堪えながら見送ってくれた。


289
後になって知ったが、リュックの中に見慣れない小銭袋が一つ。
知らぬ間に路銀を忍ばせてくれてもいたのだ。


290
経営が苦しい中、あんなに優しかった人が何故ここまで変わり果ててしまったのか?
ボタンはその真相を知りたかった。


291-1
ボ『孤児院時代を一緒に過ごしたコンスタンスを色々と問い詰めたのですが、何も教えてくれませんでした。それどころか、何故か関わらない方がいいとまで言われて...』


291-2
フ『関わるなって、何か裏がありそうな言葉だね』

皆彼女の話に聞き入る。


291-3
ボ『だから私は、よけい黙っていられなかったんです』


292-1
ボタンはその後、リフテンの街に滞在し様子を見ることにした。
そして情報収集に専念することに...


292-2
だがこの街には、昔から他人事には口を挟まない、関わらないという暗黙の掟のようなものがあった。
その気質を利用して成りあがった者は少なくない。


293-1
それでも一人だけ、【雌ライオンのムジョル】と名乗る女性が、この閉鎖的な体制に対して真逆な態度を示している事を知った。
ボタンは彼女に近づき協力してもらえるよう持ちかけると、ムジョルも喜んで手を貸してくれる事に。
すると彼女を通じてアエリンという男性から、妙な二人組が孤児院に入っていくのを見たという情報を得る事ができた。


293-2
詳しく聞くと、二人は夕方の日暮れ過ぎに姿を現したらしく、水路側の階段を昇って孤児院に入っていったらしい。
一人は紺かグレーのローブを纏い、もう一人は黄色い帽子にローブ、その上からグレーのマントを羽織っていた。
だが一番におかしいと思ったのは、黄色いローブの男には尻尾が生えていた事だ。
アエリンは、"間違いなくあれはカジートだ"と断言していた。


293-3
ボタンはこの黄色いフードの人物について色々と調べた。(出奔記録)
リフテンは他の街と比べ多種族が住み着いている。
だがカジートだけは、出入りを認められていないのだ。
麻薬の温床となるムーン・シュガーの乱用が懸念されるからだ。
なのでキャラバン隊も、中での商売は認められていなかった。


293-4
もしその人物がカジートなら、かなり目立つはずである。
だが残念なことに、この街の気質は根底から何も変わっておらず、むしろブラック・ブライヤー家が力を持ち始めてから余計酷くなる一方だった。
アエリンもそれ以上の事はわからないと申し訳なさそうにしていた。


293-5
いっその事メイビン本人を問い詰めてみようと思ったが、何かの間違いで孤児院に影響が及んだら、それこそ子供たちに危害が及ぶ事になる。
さすがにそれだけは避けたかった。


293-6
だが状況は妙なところから動きだした。
最近一人の少年が、孤児院から逃げ出していた事がわかったのである。
責任者があんな状態なら子供が姿を消しても当たり前なのだが...
両親がおらず行く当てもないはずの子供が一人、いったいどこへ行ったというのか?


293-7
こっそりとコンスタンスに聞いてみたところ、少年の名前はアベンタス・アレティノといい、彼はウィンドヘルムから連れてこられたんだそうだ。
これ以上この街での情報収集は難しいと判断したボタンは、アレティノに直接会って話を聞いてみる事にした。


294
街に到着した彼女は、その足でアレティノの家に向かった。
しかしドアには鍵がかかっていたので、ノックや声を掛けてみたが反応は皆無だった。


295
不安になった彼女は、しばらく家の周りをウロウロしていると、ダンマーの女性が声を掛けてきた。
自分は孤児院の者だと明かすと、彼女はこの家の事について話してくれた。


296-1
彼には父親がおらず、母親と二人で暮らしていた。


296-2
だが母親が亡くなると、首長のウルフリックは有無を言わさず彼をリフテンのオナーホール孤児院へ送ったのだ。


297
ダンマーは孤児院で何があったのかは知らない。
だがある日突然、誰もいないはずの家の窓に明かりが灯るようになり、やがて昼夜問わず不気味な歌声が聞こえて来るようになった。

"Sweet Mother, sweet Mother, send your child unto me...

"Sweet Mother send your child unto me, for the sins of the unworthy..."

"Sweet Mother, sweet Mother..."


298
微かに聞こえるほどの微音なのだが、家の近くを通る者は不気味がるようなり、衛兵さえパトロールの時も避けて通るようになってしまう。
やがてこう囁かれるようになった。
"あの家は呪われている。近づかないほうがいい"と。


299
衛兵が避ける程ならと、ボタンは彼の家に忍び込む事にした。
だが彼女はそこで奇怪なモノを目にする事になる。


300
床に円を描くように蝋燭が並べられ火が灯されていた。
中心には人骨と何かの肉塊、そして紫の花が添えられ、まるで死体に見立てているようにも見える。


301
そしてアレティノはそこにいた。
彼はナイフを手に取り、死体に見立てた骸骨を崇めるように何度も床板に突き立てていた。

Sweet Mother 
Sweet Mother
Send your child unto me, for the sins of the unworthy must be baptized in blood and fear.


302
ボタンはこれが何なのか知っていた。
おぞましい儀式の一つとされている【黒き聖餐】である。
だがそんな事よりも、子供がどうやってこれらの道具や材料を集めたのか?
そっちの方が驚きだった。
彼は彼女の存在にすぐに気づく。


303
ア『ついに来てくれた!来てくれると思っていた!』

意外にもアレティノはボタンを快く迎え入れてくれた。

ア『成功だ!僕の祈りが届いたんだ!』

目が虚ろなのは疲れている証拠だが、にもかかわらず彼は喚起した。


304
ボタン『待ってアレティノ!』

ア『黒き聖餐をしたんだ!何度も何度も...死体とあれを使って。そしたら来てくれた!闇の一党の暗殺者だ!』


305-1
ボ『私は暗殺者じゃないわ!それに闇の一党でもない!』

ア『いいや、そうだよ!祈ったらお姉さんが来てくれたんだから、お願いだから仕事を受けて!』


305-2
ボタンは一瞬戸惑ったが、彼の要求を聞いてみる事にした。


306-1
ボ『アレティノ。いったい...誰を殺したいの?』

ア『そんなの決まってる!リフテンの孤児院のクソババァ!グレロットだよ!あいつを殺してほしいんだ!』

扉の鍵が一つ外れた。


306-3
ボ『どうしてグレロットを?』

ア『理由なんて聞いてどうするんだよ?』


306-4
そう言い返されると少し焦ってしまった。
子供相手だと思って舐めていたかもしれない。
だが彼女は気を取り直し強気に出る。


306-5
ボ『聞いて当然じゃない。その人が何をしている人で?どんな人なのか?どうして殺すのか?そういう細かい情報が暗殺には必要なのよ』

ア『あ、そっかぁ~...情報は大事だよね...ごめんなさい』

こういう所はやはり子供で、世間の闇に染まっていない純粋さを感じ得た。


307
ア『グレロットを殺さないと子供達全員が猫に連れて行かれちゃうんだ。コンスタンスはお腹いっぱい食べれるし、暖かいし、楽しい事がいっぱいだって...此処よりいい場所だって言ってたけど...僕聞いたんだ!』

ボ『聞いたって...何を?』


308
ア『連れて行かれた子供たちは、実験材料にされるんだ!』


309
その場に陰湿な空気が漂う。


310
ボ『まさかアレティノ本人から"カジート"の事を聞かされるとは思っていませんでした。私は仲間と相談する必要があると伝え、そのままリフテンに帰る事にしたのです。なによりグレロットに聞いてみる必要がある思ったので...』





311-1
だが遅すぎた。




311-2
グレロットは既に何者かの手により殺害されてしまったのだ。
彼女の遺体は、早朝孤児院の中庭で見つかった。
死因は腹部の刺殺...


315
グ『おぃおぃマジかよ!?ガキのやった儀式が、本当に闇の一党を呼んだってのか?』

ボ『わかりません...誰も見ていないので』


317
ボ『コンスタンスに事情を聴いて見ようと思ったのですが...』

フ『うんうん』

ボ『彼女はショックで寝込んでしまって、食事も喉を通らないほど憔悴しきっていました』


318
ボ『逆に子供達は喜んでいた。彼らはアレティノが【黒き聖餐】をやると聞いていたので、闇の一党を呼んでくれたと信じてました。でも私は...』


319-1
そう言いかけた時、彼女は自分の複雑な思いに潰されそうになってしまい、苦悶の表情を隠すように小さく蹲ってしまった。


319-2
フ『何てことだい...辛かったろうにねぇ...』

フリダはそんなボタンを哀れに思い、覆いかぶさるように抱きしめた。


320
周りの者もため息を漏らす。
世知辛い世の中なのは知っていても、他人事のように語る事と現実を体験した者とでは、背負う物の大きさが違う。
これ以上彼女を責めようとする者はいなかった。


321
ナディア『ブワッ!(இ௰இ`。)アフゥ~~~ナディアにはわからないけど、ナディアにも辛さはわかるのだぁ~(٭°̧̧̧ω°̧̧̧٭)キットこれから良い事が起こるのだ!そうに違いないのだぁ~(゚ω゚)(。_。)ウンウン』

ボタン『うぅぅ( ノД`)...』


322
ナディアはボタンの肩にそっと手をのせた。










323
ボタン:何?なんなの?この感覚...あぁ~体が浮いているような...

瞬間、時が止まったのかように彼女は奇妙な恍惚感を覚えた。









324
フリダ『...た...だい...じょうぶ...大丈夫かい?』

ボ『え?あっ...はいっ、大丈夫です』


325
今さっき、どこかへ飛ばされたようだったのだが...何があったのかよく思い出せない。

ボ:あれはいったい?


326-1
フ『それで?リフテンに戻ってきて?』

ボタンは思い出すように言葉が詰まってしまったが、すぐに持ち直した。


326-2
ボ『えっと...グレロットが殺された事を子供たちは喜んでいましたが、私は複雑でした。友達のコンスタンスはショックで寝込んでしまって...』

自分がデジャブな話をしたんじゃないかと思った。
だが何故だか気持ちが楽で、自分の事を他人事のように話せたのが理解できた。


327
ボ『それで...グレロットの遺体の傍にこの手紙が落ちていたんです』

フ『手紙?』

ボタンは自分の懐を探り、一通の手紙をフリダに手渡しした。
その手紙にはグレロットの血が...

328
フ『なんてことだい...』

内容を読んだ彼女は驚く。

ロ『ばあさん、なんて書いてあるんだ?』

フ『酷い内容だよ...』


黒き聖餐は行われた。

愚か者の死を望んだアレティノの希望は叶えた。

だが報酬の代わりに彼を預かっている。

赤い道峠 巨人の野営地にて黄金の瞳を取ってこい。

それと引き換えで子供は返す。

-アストリッド

ウィンドヘルムに置いてきたアレティノが誘拐されてしまう。
まるで奇を衒った犯行のように。


330
イルグニール『黄金の瞳...』

ジプサム『...』


331
ボ『自分のせいだと思いました。だから居ても立っても居られなかったんです...』

イ『それでこうなった訳ね...』


332-1
ボ『はい...ですが、まさかこんな事になってしまうとは、露ほども思っていなかったので...』

彼女は申し訳ない気持ちで再び項垂れてしまう。


332-2
グジャク『でも...なんか腑に落ちないんだよなぁ?それって本当に闇の一党の仕業なのか?』

イ『そうよねぇ~黒き聖餐はしているけど...なんだか、ちょっと違うような...』


333
ナ『この手紙おかしいのだ('ω')』

ナディアが重い空気を打ち破るように口を開いた。

フリダ『何がおかしいんだい?』


335
ナディアも懐から一枚の手紙を出すと、それを皆に見えるように両手で掲げて見せた。


指示に従い、必要とあればなんとしてもナディアを排除すること。

黒き聖餐は行われた。誰かがこの哀れな愚か者の死を望んでいる。

既に契約の支払いは受け取っている。失敗は許されない。

-アストリッド


336
グジャク『(。´・ω・)ん?嬢ちゃん、あんたの名前が書かれてないか?...それにこれってまさか...』

ナ『闇の一党が暗殺者に渡した手紙なのだ(⊙ꇴ⊙)アフゥ!』


337
イグニール『あなた、闇の一党に狙われているの?』

ナ『(゜.゜)うーん...そうみたいなのだ』

フ『なんだって!?』

ナディアはあっけらかんとしているが、フリダには寝耳に水だった。


338
フ『そうみたいって!?ナディア!?あんたいったい何したんだい!?』

ナ『(;´・ω・)え?(-ω-;)ウーンわからないのだぁ~(*´Д`)』


339
フ『わからないなんて事ないでしょう!闇の一党に狙われるなんて、あなた大変な事になっているのよ!わかっているの!?』

ナ『(;´・ω・)え?よくわからないのだぁ~(>_<)』


340
フ『ロザリーは知っているのかい!?』

ナ『あ、そおいえば話してないのだぁ~』


341-1
フ『話してないって...ほんとにもぉ~あんたわ小さい時から、どうしてこう心配ばっかり...』


341-2
ナ『(⊙ꇴ⊙)アフゥ』


342
フ『あふじゃないでしょ!まったく!』

ナ『ごめんなさいなのだぁ~(;´・ω・)』









343
ナディアがフリダに怒られている間に、鉱夫の二人は二つの手紙の内容を確認しあった。

グ『嬢ちゃんの言う通り、微妙だが筆跡が違うなぁ~』

イ『そうね、二枚とも署名が"アストリッド"ってなっているけど、これって別人が書いた感じよね』

確かにナディアの言う通り二枚の手紙は違うモノに見える。

グ『嬢ちゃんの持っていたのが本物の手紙なら、犯人は闇の一党を語った別人なんじゃないか?』

ボ『でも、じゃぁ、いったい誰がアレティノを...』


344
ジプサム『おそらくジャゼルの仕業だ...』

アハカリ『ヒヨコ売りだよ』


345-1
グジャク『ジャゼル?ヒヨコ?なんだよそれ?』


345-2
ジ『ヒヨコ売りは子供の売買を生業にしている。ジャゼルはその一人だ』

イ『じゃぁやっぱり、実験材料の為に子供を?』

ア『転売先は私たちにもわからないよ。けど、スカイリムは内戦の最中だし、黄色い服を着たカジートの事や子供が連れ去れているとなると、ヒヨコの可能性は高いだろうね』


345-3
グ『でも、そのヒヨコ売りがどうして指輪なんか欲しがるんだ?』

ジ『わからんが、おそらく金だろう。あいつらは色んな意味で感覚が麻痺しているらしいからな』

イ『つまり、子供よりその指輪の方が価値があるってこと?』


345-4
ジ『単純に言えばそうなるかもしれない...だが本来ヒヨコ売りは種族を食み出したりはしない。それはタブーとされているからな』

グ『それってどういう事だよ?』

ジ『それはつまり...』


346
ア『ボタン、あなたの持っている指輪。赤く光っていない?』

ボ『え?』


347
アハカリに促されるままに、彼女は手に持った指輪に視線を落とした。


348
その時だった。
突然、家の端々からミシミシ、バキバキと聞きなれない音が立ち始める。

ボ『え?』

イ『何の音?』


349
次の瞬間、ド――ンッ!!という衝撃と共に地鳴りが襲い、建物が激しく揺れだした。

イ『うわぁ!なんなのよ!?』


350
グ『おいっ!まさか、またなのか!?』

ガンガンガン!と外で何かが壁にぶつかる音が繰り返され、強烈なハリケーンが家を攻撃しているかのようだ。


351
フ『ナディア...』

激しい揺れと轟音が繰り返される中、聞いたこともないような響きの言霊が部屋中を駆け巡った。

"ヴェン・ガァル・ノス!!"





352
何かの呪文が聞こえた瞬間、家の壁や屋根が一気に吹き飛んでしまった。

『うわぁああぁぁああ!!』





353
激しい旋風が部屋中を駆け巡る。
身動きができない程の暴風だ。





354





355
だがそれは突然に勢力を弱め、まるで何もなかったかのように止んでしまった。

グ『あれ?...止まったぞ...』


356
ボ『!?』





357
フ『あ、あれはいったい...なんなのさっ!?』









358





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[備考]


◎ベッド脇の梯子
実際にはありません。
アモル砦で最上階に上がるには外からのみとなっています。


◎フリダ

本人の証言により数年前に夫を亡くしている。
"凍死した"と教えてくれるので、もしかすると死に際に会えなかったでのはないかと思われる。
それだけに悔やまれる部分もあり、心の傷として残っているという設定。

ナディアは幼い頃ロザリーに連れられてドーンスターを訪れ、暫くの間フリダの家で厄介になっていた。
彼女には子供が何人かいるようだが、皆出稼ぎに出てしまいずっと帰ってきていない。
それだけにナディアの存在は心の支えになっていたともいえる。

因みにフリダからは、夫の遺品である【純合金の指輪】の回収のクエストを受けることができる。
"見捨てられた洞窟"にて回収可能。


◎ミックスウォーター
アモル砦から北に向かう道を歩き、そのまま道なりに東に向かうと右手に見えてくる材木工場。
戦争が始まると従業員が逃げ出してしまい、女性オーナーであるギルフレが一人で運営している。
とはいえ女一人では手に余るらしく仕事は滞っているよう。
A


◎ナディアとリディア
ナディアがスカイリムに到着し、最初の従士として迎え入れたのがリディアでした。
彼女とはその後一緒に旅をし、親交を深め、現在では互いになくてはならない存在となっています。
ナディアとリディアは常に一緒だった為に、ナディアが単独で行動している姿はスカイリムでは珍しいので、セットと思っている者が殆どです。
B


◎アイアンブレイカー鉱山と水銀鉱山
ドーンスターにある鉱山。
アイアンブレイカー鉱山はベイディルドが所有し、水銀鉱山はレイゲルフが所有している。
二人は夫婦なのだが、お互い牽制し合いつつも別居している。
B-1
B-2


◎セレン

男の子を一緒に連れている女性はドーンスターの鍛冶屋のセレンです。
バニラでの彼女はラストリーフの妻であり、一緒に鍛冶屋を経営していました。
SOSではミニストーリーとして、ドーンスターから逃亡を図る際、孤児のアレサン(男の子)を連れて一緒に逃げています。
ですが途中、巨人の逆襲に合い夫のラストリーフを亡くしてしまう事に。
その後ボタンが巨人から彼らを守ったという設定となっており、以後セレンはアレサンと行動を共にしています。
C


◎猛獣専門の賞金稼ぎ

SOSでのボタンちゃんはリフテンのオナーホール孤児院を離れた後、シロディールの戦士ギルドに入隊する事に。
そこで腕を磨き、多くの賞金首を捕まえたが、時に人を殺めなければいけない事に喪失感を覚え、友人の紹介で猛獣専門の賞金稼ぎをする事になりました。
人間の賞金首を相手にするよりは実入りは少ないが、それでもまた別の意味で充実した日々を過ごしていたという設定です。

猛獣専門とは一般家屋に誤って入り込んでしまった猛獣(ライオンや熊)などを排除する仕事。
スカイリムでは同胞団のクエストで受けることができます。


◎グレロット

言わずと知れたリフテン【オナーホール孤児院】の鬼院長。
アレティノ曰く、子供をおもちゃのようにしか思っていないという悪院長。
しかし何故か【親切者のグレロット】と二つ名で知られている。

と、ゲーム内ではあまり良い印象の皆無なお婆ちゃんですが、SOSではボタンちゃんがいた頃は優しかったという設定しました。
ボタンちゃんがいた頃はおよそ10年前という事なので、今より少し頬に肉を付け色黒にして血色をよくさせる事でギスギス感を無くしたつもりです
グレロットがどうしてこんな風になってしまったのか?
その謎は追々書いていこうと思います。
D


◎巨人について

お話の中でチラッと出てくる【シンムール(Sinmur)】という巨人ですが、彼はイスグラモルと大規模な戦争をしており、イスグラモルの持つウースラドによって倒されたらしいです。
彼の遺体はファローンストーンの地下深くに埋葬されたのですが、とある死霊術師がリーチマンの力を借りて蘇生させました。
ですがその死霊術師の陰謀は止められ、ウースラドは何かの儀式でバラバラに、そして彼の魂はウースラドと融合し...
UESPにおける機械翻訳ではここまでが限界のようで、詳細はよくわかりませんでした><;

ESOでは登場しているようですが、作者は未プレイです><スイマセン

さて、今回SOSで登場していただいた巨人は、MihailさんのIce Titans- Mihail Monsters and Animalsを使わせて頂きました。
実に個性的で狂気丸出しな所が魅力的であり、textureやmeshだけじゃなく、CVに至るまで驚くほど細部まで作りこまれている所が素晴らしかったです。
巨人族のボスという設定なのですが、実に迫力あるキャラとして表現できたと思います。
本当に素晴らしいモンスターをありがとうございますm(_ _)m

物語上ではリサがアモル砦から出ていくシーンで、急に前に回り込む場面があったのですが、この巨人の特性を使わせていただきました。
なので本当に足が速いです。

ちなみにシンムールが葬られたというファローンストーンは、ショールストーンとボルダーフォール洞窟の間に存在していたようですが、スカイリムでは影も形もなくなっているようです。


シンムールについて→UESP:Sinmur
E


◎黄金の瞳について

第五話の前編にて、椿の瞳に現れた金環の事をブレイズでは【黄金の瞳】もしくは【竜の瞳】と呼んでいました。
この事を研究していたアシリウス・ボラ―によると、"ドラゴンを従わせる事ができるのでは?"と解釈してるようです。

今話ではこれを指輪として登場させましたが、果たしてこれとドラゴンとどう繋がるのか?
F


◎ヒヨコ売り

vicnさんが作成されたクエストMOD【VIGILANT】【Unslaad】【GLENMORIL】に登場するキャラで、特に孤児の売買を目的にしているようです。
今回はGLENMORILに登場するジャゼルさんを使わせていただきました。
また、SOSでは独自の解釈を用いているので、vicnさんの世界観とは全くの別と考えていただけるとありがたいです。
非常に意味深いキャラであり、幅広く活躍できる仕事だと思いますので、今後の作品がすごく楽しみです。




[使用MOD]


Never the Bride.......................................Noobshire

GLENMORIL.............................................Vicn



[Special Thanks Followers MOD]

Risa Follower.........................................@Hino_risa

BINBI_Followers_Botan.................................@binbinken532

MyuHechaMuCat.........................................@myunnv

Yagi..................................................@Metenee_28