今回のお話しは、スカイリムで内戦が起こればこんな事が起きても不思議では無いのではないか?
いや、むしろ起きて当たり前なのでは?(時期は別として)
という事をテーマにしてみました。

今回から話がやや複雑になっていきます・・・
伏線に次ぐ伏線になりますが、前作オブリビオンのパッケージにも【世界は生きている】っというキャッチが書いてありました。
谷川俊太郎の【朝のリレー】のように、生き生きしている物語にしたいなという作者の思いからなのですが・・・
こんなに美しい詩ではなく、実際は血みどろなので比較対象してはいけないんだろうけど・・・・
大変申し訳ありません・・・m(_ _;)m

ちなみにポポちゃんやナディアは今回は出ませんw
なのでポポちゃんの供養SSだけ出しましたw

お楽しみください(´▽`*)


1
今やスカイリムは、内戦激化のせいで二大勢力の名を知らぬ者などいない。
いや寧ろ、タムリエルにおいて、最も注目されている戦いと言っても過言ではないだろう。
だが歴史を振り返ってみると、大小様々な派閥が未だ健在なのも事実である。
2
ナディアがマスターを務める【盗賊ギルド】と【ウィンターホールド魔術師大学】。
ホワイトランを拠点としている【同胞団】。
ノルド達のタロス崇拝を監視するハイエルフで組織された【サルモール】。
暗殺を生業としている【闇の一党】。
などなど数えればキリがない。
3
だがここに、古くからノルド達が恐れてやまなかった集団があった。
【フォースウォーン】である。

彼らはリーチの先住民族であり、主にブレトン種を中心として構成されている。
他種族も含まれているが、殆どが行き場を失った流れ者である。
その原型はハイロックのウィッチマンにあるのだとか。
原始的な生活を送り、不可思議な魔術や錬金術を得意とする。

動物の骨や皮を使用した装具品を作り、戦いに勝つことで力の誇示を示す。
故に一人一人が屈強な戦士であり、非常に好戦的な組織でもある。
4
マダナックという男は、壮齢など当の昔に終えた随分な老男でありながら、未だ野望に燃えた反骨心の塊のような男である。
フォースウォーンは、彼の事をこう呼ぶ【ボロを纏った王】と。
現にマダナックはフォースウォーンの王であった。
5
嘗て、スカイリム西方地域のリーチを手中に収めた彼等は、帝国に対し統治を求めた。
エルフとの大戦、隣国の離反が相次ぐ中、帝国にとっては忌々しき事態以外の何物でもなかった。
6
だがアルドメリとの大戦が終結したばかりの帝国には、他国に派兵する余裕など持ち合わせてない。
皇帝は元老院達との協議の上、スカイリムにおけるタロス崇拝を認め、ウフルリック・ストーム・クロークにリーチ地方の都市マルカルスの奪還を命じたのである。
7
ウルフリックはフォースウォーンを制圧。
見事に都市の奪還に成功。
リーチは再び帝国の手に戻った。
8
当然ながらこれを黙っていなかったのが、アルドメリ自治領のサルモールである。
白金協定により、タロス崇拝の廃止を条項文に加えているにもかかわらず、ノルドが主流のスカイリムに、タロス崇拝を無許可で認めるなど許されるはずもない。
怒ったサルモールが、檄文にも似た表文を使者に持たせ帝国に派遣した。
慌てた帝国は、ウルフリックを逮捕監禁する事でなんとかその場を治めた。
9
これが【マルカルス事件】である。
内戦勃発の発端と言われている。
ウルフリックが停戦協定に於いて、マルカルスを所望したのは、これが理由の一つだったのかもしれない。
10
話を戻そう。
マダナック率いるフォースウォーンの生き残りは、ウルフリックに捕らえられた後、マルカルスのシドナ鉱山に幽閉された。
シドナ鉱山はマルカルスの有力者である、シルバーブラッド家が個人経営する刑務所である。
この鉱山こそがスカイリム一の銀鉱山であり、帝国の銀供給源の一つとなっていた。
11
マダナックはなかなか狡猾な男ではあるが、奇妙なカリスマ性も持ち合わせており、受刑者達を仲間に引き入れ、ある有力者の力を利用しこの鉱山から密かに脱走する事に成功していた。
その後彼は、自らの秘密拠点であるドルアダッチ洞窟に隠れ、反骨心を養い、ひたすら時を待ったのである。
12
テュリウス率いる帝国軍が、ウィンドヘルム攻略に躍起になっている最中。
マダナック率いるフォースウォーンは、マルカルス奪還の計画を練っていた。
既に多くの仲間の同調を得ることができ、いつでも襲撃は可能かと思われていた。
13
しかしテュリウスは、彼らへの警戒心を緩める事はなく、リーチ周辺に多数派兵をし、巡回パトロールをさせていた。
彼はウィンドヘルムの陥落に失敗すると、ソリチュードに帰還はしたのだが、殆ど休む間もなくホワイトラン攻略に乗り出していた。
13-1
その際テュリウスは、リーチ周辺の警戒を小規模にさせ、殆どを自身の本隊と合流させていた。
フォースウォーンの活動が落ち着いた事を理由に、リーチ警戒の為の兵士を使い、ホワイトラン攻略の為の交代要員を作りたかったからである。

だがこの時もし、リッケが同行していたとしたら、この決定に対し反対意見をしていたかもしれない。
14
ウィンドヘルム周辺の海域は海抜が浅いため、船での乗り入れは困難と判断し、ソリチュード、ウィンドヘルム間は殆どが徒歩という困難な道のりだった。
雪山を歩く事が多かったため、足がぬかるみ歩き難い。
雪崩には見合わなかった物の、足を滑らせて谷底に落ち、命を落とす者は毎日のように現れた。
ソリチュードに到着した時には、殆どの兵士が息も絶え絶えの状態だったのだ。

この事に関して言えば、もう一つ理由がある。
実は停戦協定以後、本国シロディールからの支援の殆どが滞っていた。
よってスカイリムにおける帝国軍は、軍備の節約を余儀なくされていたのだ。
公には出来ないが、徒歩という選択肢を選んだのは、これが本筋の理由とも言えた。
15
マダナックは、帝国軍がリーチの警戒を緩めると、これを好機と判断しマルカルス奪還に乗り出した。
まずはブラインド・クリフ洞窟に身を潜めていた部隊を動かし、カース・ワスティンという小村を襲ったのである。
彼らは解き放たれた野獣のように虐殺の限りを尽くした。
(諸事情により地図が右に90℃回転してます。方角に注意!)





15-1
村長を殺し。






15-2
女を殺し。






15-3
子供を殺し。






15-4
手向かう者は心臓に一撃を加えた後、張り付けにして燃やす。






15-5
最後は家々に火を放ったのである。
殆ど無抵抗とも言える人々を、慈悲すら与えず全員処刑した。
15-6
この鬼のような所業に、身動き一つできずにいたマルカルス市警の一人を捕らえた。
そして彼に言い放った。

フォースウォーン
『帰ってイグマンドの甘ちゃんに伝えろっ!!!
ツケは倍にして返してもらうってなっ!!!』

事実上の宣戦布告である。
16
それを聞いたマルカルス首長のイグマンドは激怒し、すぐさま市警隊による救出部隊を編成。
従士のファリーンを大将に、カースワスティン救出・奪還の為に動いた。
17
だがその隙を伺うように、今度はドルアダッチ洞窟にてマダナック率いるフォースウォーンが動く。
17-1
彼らが狙ったのは、少し南に位置する小規模なリーチ帝国軍野営地である。
18
この野営地の指揮官であるエマニュエル・アドマンド特使は、突然のフォースウォーン襲撃に必死に抵抗した。
兵士達も一丸となって立ち向かう。

だがマダナック率いるフォースウォーンの攻撃は苛烈を極めていた。
19
多勢に無勢。
小規模な野営地を守る兵士程度では、狂暴なまでの圧倒的な力の前に次々と薙ぎ倒されていく。
みるみるうちに帝国軍の旗色が悪くなっていった。
19-1
味方の兵士が全滅してしまう前に、彼は何もかもを捨てて逃げ出した。
19-2
生きた心地がしないまま、死にもの狂いでマルカルスへと逃げて行ったのである。
20
その頃、ファリーン率いるマルカルス軍は、カースワスティンに到着していた。
彼らの見た光景は、穏やかな小村とは一転し、思わず目を覆いたくなるような地獄絵図だった。
辺り一面焦げ臭い匂いが漂う。
家屋はほぼ全焼。
貼り付けにされたまま焼かれた遺体。
地面には子供の遺体が、串刺しにされたまま放置されていた。
21
既にフォースウォーンの姿は見当たらなかった。
多くの村人が虐殺されてしまい、生存者は一人もいないと思われていた。
22
ところがフョトラという少女が、鉱山洞窟にて一人隠れており、たまたま出てきた所を保護する事ができた。
彼女を助け出す事ができたのが嬉しかったのか、ファリーンは思わず彼女を抱きしめていた。
22-1
彼女は、他にも生存者がいる可能性を考え、カース・ワスティン周辺と洞窟内部の探索、及び事後処理ために隊を分ける事にした。
そして自らは、首長に事の次第の報告とフョトラを連れて、一旦マルカルスへと引き返す事にしたのである。
22-2
ところがコルスケッガ―鉱山の山小屋前にて、先ほどまでなかったはずの信じ難い物を目にする事になる。
ファリーンは歯ぎしりをし、小さなフョトラには見せまいと抱いた手に力を入れた。
兵士達も握る手に力が入る。
23
フォースウォーンは元来、親族で集落を形成する事が多い。
なので各親族ごとにテリトリーを持っている。
そのテリトリーを示すために、オブジェを入口前に置き、侵入者に対する威嚇を行っている。
獣の首を使うことが多いのだが、中にはモンスターを使用する事もある。
これは戦利品を意味し、また部族間における力の象徴も表している。
23-1
だがここで見たそれは、獣でもなくモンスターでもない・・・
急所に一撃加えられた後、串刺しにされ、火で燃やされている人間達だ。
もはや、誰が誰なのか判別すら難しいほど、皮膚は焼け爛(ただ)れている。
だが一撃を加えた物が”つるはし”だった事から、ここの鉱山夫達だということは容易に理解できた。

まるで人間を玩具の様に弄ぶその所業に、兵士達は怒りを顕(あらわ)にする。

兵士A
『おのれぇ~クズどもめぇ~』

兵士B
『ケダモノ共めぇ~タダではすまさんぞっ!!』

ファリーンも同じ気持ちだった。
なので兵士たちの気持ちも解らないわけではない。
だが今は、一刻も早くマルカルスへ帰還することが優先だった。
24
マルカルスまではあと少しだったのだが、子供も連れているため、兵士達に周辺の警戒に当たらせた。

フョトラは、階段の段差に腰かけると、肩を落として項垂れてしまった。

ファリーンはその姿を見て唾を飲み込んだ。
マルカルスで従士職に就いている以上、フォースウォーンのやり口は知っている。
だがこれほどまでに、怒りを顕にした彼らの愚行は、ハッキリ言って見たことが無い。
怒りや憤りなどよりも、憎悪にも似た激しい憎しみを感じざる得なかった。

奴らは本気で攻め込んでくる。
そう考えた時、一瞬だが心が折れそうだった。
26
その時である、兵士の一人が大声で叫んだ。

マルカルス兵士
『あぶなーーーいっ!!!』

山の上から激しい落石が起こり、先ほど通ってきたカース・ワスティン方面の山の斜面が崩れ、土煙と共に巨大な岩が多数落ちてきた。
26-1
ファリーンは咄嗟にフョトラに覆いかぶさる。
兵士達も彼女達を助け様と、必死に駆け寄ってきた。
26-2
マルカルス兵士
『うわぁあああああ!!!』

地面が揺れ足場を取られ、逃げ遅れた数人の兵士が、落石の犠牲になってしまう。
27
この道は片側は高い岩山がそびえ立ち、反対側は斜面だが、あちこちと岩肌が露出している。
そしてその下には、カース川という急流の川が流れていた。
道幅はそれなりの広さを保っているが、一度外れると元の場所に戻るのは至難の業であり、落石など起きよう物ならば逃げ道を失いかねない。

被害は鉱山夫達の遺体から向こう側だったのだが、何人かの犠牲者を出してしまった。
しかもカース・ワスティン方面への道は、完全に塞がれてしまったのである。
28
この事故で生き残った兵士達は、弱腰を見せ始めていた。。
ファリーンはフョトラを抱きかかえ、兵士達を集めて言った。

ファリーン
『急いでマルカルスに戻るのよっ!!』

兵士A
『なら橋を渡って遠回りしましょう!』

ファリーン
『ダメよっ!』

兵士A
『そんな!?この道はマルカルス手前まで続くんですよ!
また落石の可能性もある!
危険なんじゃないですか!?』

兵士B
『そうですよ!橋を渡って遠回りしたほうが安全ですっ!!』

ファリーン
『何を言ってるの!?フォースウォーンがどこに潜んでるかわからないのよっ!
橋を渡ったら、山間の道を行くことになるわ!待ち伏せにうってつけよ!この人数じゃまともに戦えないわ!!』

兵士C
『でもそれは・・・このまま西の道を通っても同じだと思うんですけど・・・』

ファリーン
『細い道なら相手も幅を利かせられない!それにこの道なら片側は川だわ!その方が安全よっ!』

カース・ワスティンにて兵を割き、落石で犠牲者を出してしまった。
元々大軍を連れている訳ではなかったので、彼らの戦力は極端に落ちてしまっていた。
まして途中こんな事故が起こる危険など、ここ十数年聞いたこともなかったのである。

だがその原因を理解するのに、それほど時間は掛からなかった。
29
彼らは突如として姿を現した。

最初にそれを目にしたのは、ファリーン本人だった。
29-1
気が付けばマルカルス方面からも、橋の向こう側からも続々とフォースウォーンが集まってきた。
彼らは一様に弓矢で自分達を狙っている。
30
フォースウォーン
『フォースウォーンの物は取りモドォオオオスッ!!』

掛け声とともに矢が一斉に放たれた。
31
兵士達は慌てる。
そんな中でも、武器を携え果敢にも立ち向かって行く者。
防御姿勢を取り矢を防ごうとする者。
おびえて盾の陰に隠れる者と様々だ。

しかしファリーンは、咄嗟にフョトラを抱え、兵士達の間を抜け全速力で駆け出した。
32
彼女は力いっぱい地面を蹴り、躊躇うことなく川のある谷底に向かってジャンプしたのだ。
33
完全に四面楚歌の憂目に合い、逃げる術を見い出せなかった者は、たちまちハリネズミ状態となり命を落とした。
だが何人かは、ファリーンの後を追った。
34
マダナックはマルカルスの動きを大方予想していた。
まずは手薄なカース・ワスティンを襲わせる事で、イグマンドの目をそっちに向けさせる。
ファリーンが一隊を引き連れ、カースワスティン救出に動き出すと。
今度は、マダナック自らが動き、帝国軍野営地を襲う。
フォースウォーンの拠点は、リーチのあちこちに点在している。
彼らは地理に詳しく、彼らだけが使うような道を使い、短時間で伝達し合っていた。
マダナックの動きに合わせて、他の拠点からもフォースウォーンが動き出し、皆一路マルカルスを目指した。
ファリーンがカース・ワスティンの様相に驚愕していた頃、ブラインド・クリフからのフォースウォーンの軍団は、既にコルスケッガ―鉱山を後にしていた。
だが一隊は残り、ファリーンの隊に落石攻撃と弓矢攻撃を仕掛けたのである。
35
一方マダナック率いるフォースウォーン軍は、帝国野営地を後にすると、そのまま更に南下し、マルカルスにあるサルヴィウス農園に姿を現していた。
それを目にした市民は、慌ててマルカルスの城壁の向こうへと逃げて行く。
門番達さえも、そそくさと城門を締めてしまった。
36
北から東からと、続々と異様な軍隊が集まってくる。
マダナック率いるフォースウォーンは、城門前に集合し、遂にマルカルス奪還に後一歩と近づいたのである。

フォースウォーン
『リーチを我らの手にッ!!!』

『リーチを我らの手にッ!!!』

『リーチを我らの手にッ!!!』






37
ロザリー
『ホッ!ホッ!ホッ!』

陽も落ち辺りが暗くなった頃。
ロザリーはミーコを抱え、軽快なステップで急いでいた。

ロザリー
『セラーナさん!早く!早く!』

セラーナ
『なんで私がこんな事をしなければいけないんですの!?』

セラーナもまた、ポチを抱えてロザリーの後に続く。
39
ロザリー
『しょうがないじゃないぃ~この子達ったら、言っても全然暖炉から離れようとしないんだから~♪』

セラーナ
『そういう問題じゃありませんことヨ!!』

ワンコロなど置いて来ればいいとセラーナは思っていた。
40
エリジウムエステートは、西の監視塔のすぐ近くにあるナディアの自宅である。
だがグレイムーア砦は崩壊し、西の監視塔は無人となり、帝国軍は近くで陣を敷き始めていた。
二人はここに取り残されていたので、夜陰に乗じてナディアのもう一つの自宅があるホワイトランを目指していた。
41
セラーナ
『だいたいナディアは、なんで連絡一つしてこないんですの!?』

ロザリー
『忙しいんじゃないかしら?』
42
セラーナ
-この親在りて、あの娘ありですわね・・・絶対忘れてますわ!-
42-1
ホワイトランは、今後の戦いに備え厳戒態勢に入っている。
城外には多数の篝火が設けられ、新しく増築された城塞の防御を固める為に、ストームクローク兵達が一様に慌ただしくしていた。

門番を務める衛兵達は、夜も耽(ふけ)ってきたので門を閉じようとしていた。
43
ロザリー
『まってくださ~い^^;』

ロザリーが声をあげて衛兵に呼びかける。
43-1
だがその衛兵の目に映ったのは、セラーナの血のような赤い両目だった。

衛兵A
『うゎああああ!!吸血鬼の襲撃だァ~!!!!』

衛兵B
『早く閉めろぉぉ!!!』

衛兵達は慌てて鉄門を閉めてしまった。
44
締め出された二人と二匹が立ち往生する。





45
ロザリー
『やっぱりセラーナさんは来ないほうが良かったのかしら・・・?』

セラーナ
『あ・な・た・が連れてきたんですのよ!!
それにっ!?
サラッと私のせいみたいに言わないで欲しいですわっ!!』
46
ロザリー
『吸血鬼って蝙蝠(こうもり)になれるんじゃなかったかしら?』

セラーナ
『あなた達親子はっ!私をいったい何だと思ってるんですの!?』

ロザリー
『と、とりあえず、ルシアちゃんとソフィちゃんにお知らせに行ってくれないかしら?』

47
セラーナ
『まったく・・・年下のくせに年上をこき使うなんて、信じられませんわっ!?』

ロザリー
『よろしくお願いします^^』

なんだかんだ言っていたが、自分もここにいるわけにもいかないので、急ぎ呼びに行くセラーナだった。
48
ロザリーはある気配を感じていた。
ずっと自分を追い掛けていた気配。
ナディアがロザリーの元を去ってからだが、極たまにその気配を感じていた。
だがそれは、決して襲ってくる訳でもなく、ただ見守るようにジッとしている。
実は彼女は、スカイリムに入る際にもその気配を感じ取っていたのだが、試しにその主を巻いていた。
だが、ここに来てようやく追いついたようだ。
49
ロザリー
『そろそろお顔くらい見せてくれてもいいじゃないですかぁ~?』

彼女は誰もいないはずの暗闇に声を投げた。
だが答えは帰ってこない。
50
ロザリー
『私を追い掛けてきたの?それとも目的はこれかしら?』

懐から小さな袋を取り出し、暗闇に差し出した。

ロザリー
『・・・』
51
すると草陰からヒョコンと顔を出した者がいた。
辺りをキョロキョロと見渡すと、トコトコと彼女に近づいてきた。
ロザリーも驚いた。
見ればみすぼらしいボロを纏った少女のような女性だった。
しかも全身汚れに塗れている。
一見すると物乞いにしか見えない。
52
ロザリー
『あなたお名前は?』

ロザリーはニコニコしながら彼女を問い詰める。
が、彼女は口を一文字にしたまま答えない。
その瞳は、何か不思議な物でも見ているかのように、ロザリーの持つ小袋を瞠(みは)っていた。

ロザリー
『言葉がわからないのかしらねぇ?』
53
そうだ!と思いつき懐からロングタフィーを取り出し、彼女に差し出した。
すると彼女は、何も言わずそれを取り上げ口に加えた。

ロザリー
『お腹が空いていたいみたいね^^』
54
後ろの門がギギギッと不快な音を立てて開き始め、ルシアとソフィが顔を出した。

ルシア・ソフィ
『おばあちゃん!!^^』

セラーナは不快そうに腕組をしている。
55
同行てきた衛兵は、ロザリーに申し開きをする。

ホワイトラン衛兵
『も、申し訳ございません!!!従士殿の母君様とは露知らずっ!!!!』

彼女は気にしないでと言わんばかりに笑顔を見せていた。

56
正体不明の女性を連れた五人と二匹は、無事ブリーズホームに入ることができた。
使用人として働いているブレナインが、暖かいスープをテーブルに用意していた。
(第十話EP1)

ブレナイン
『外は寒かったでしょう^^残り物で申し訳ねんだが、スープ暖めておいたからよっ^^』

彼の様相も随分変わったもので、かつての彼とは違い、小奇麗なコック服で身を包み彼女達を迎えてくれた。
57
そんな言葉など耳にも入れず、正体不明の彼女はテーブルに猪突猛進し、食事をむさぼり始めていた。

ロザリー
『よっぽどお腹がすいていたのね^^;』

セラーナ
『何なんですのあの小汚い娘は?』

ロザリー
『さ、さぁ・・・・?^^;』

ロザリーも頭を捻(ひね)る。
59
ルシア
『セラーナ!セラーナ!お本読んでぇ~♪』

ソフィ
『読んでぇ~♪』

セラーナは吸血鬼でありながら妙に子供には人気があった。
60
セラーナ
『あなたたち、あんまり夜更かしすると吸血鬼に襲われますわよ』

ソフィア
『ええ!吸血鬼がくるのぉ?』

ルシア
『見たい!見たい!!』
61
セラーナ
『逆効果ですわ・・・』

セラーナはどことなくナディアと会話したような気がした。
だが、なんだかんだ言って三人とも子供部屋に姿を消していった。
62
正体不明の彼女は、ムシャムシャと飯に喰らい付き、食べるだけ食べるとロザリーの膝を枕にして眠ってしまった。

ブレナイン
『奥様よぉ、アッシはそろそろお暇(いとま)させていただきますワ。
暖炉の火はそのままにしときやすんで^^』

ロザリー
『あら、ご苦労様でした^^』

相変わらずの笑顔で答える。
シングルにも関わらず”奥様”と呼ばれる事に彼女はあまり抵抗はないようだ。

しかし、いったい誰が彼をここまで教育させたのかわからないが、妙に礼儀正しいブレナインに変っていた。
彼は二階に上がって行き、そのまま自室に入って行った。

63
誰もいなくなった一階に静けさが漂う。
青い小袋に反応した不思議な彼女は、スヤスヤと寝息を立てて寝ている。
ロザリーは彼女を起こすまいと、テーブルのヤカンからカニスの根茶をカップに注いだ。
バッグから読みかけの本をゆっくりと取り出すと、テーブルに広げいつものように読みふけった。
64
一時間ほど経過した頃、セラーナが子供部屋から出てきた。

ロザリー
『あら?ご苦労様です^^』

セラーナ
『まったく、子供の相手も楽じゃありませんわ・・・』

ロザリー
『ウフフ・・・^^』

実を言えばセラーナはロザリーがちょっと苦手だった。
彼女が住みついてからというもの、昼夜関係なしに自分の寝床(すみか)に押しかけてくるからだw
とは言えナディアの傍にいる連中に比べれば、遥かに親近感があるのも事実だった。

一方ロザリーと言えば、エリジウムエステートに来てからというもの、別段やる事が無いw
実はきちんとした理由はあるのだが、当の本人が不在のため現在待機中である。
そんな時に見つけた遊び相手だった。

そう、二人には共通点があるのだ。
それは内戦に直接的には関わっていないという事である。(今のところは・・・)
64-1
すると正体不明の彼女が目を覚ます。
彼女はムクッと起き上がると、目をこすり、ロザリーを見やった。

ロザリー
『あら、もうお目覚め?^^』

彼女は優しく答える。
66
???
『ア二タ』

起き駆けに彼女が初めて口にした言葉だった。

ロザリー
『ア二タ?』

???
『ア二タ』

ロザリーは少々悩んだが、ふと思いついた。
67
ロザリー
『ああ~あなたのお名前はア二タちゃんって言うのね^^』

ア二タと呼ばれた彼女は、思い切り首を横に振る。
69
ロザリー
『ん?ん?』

ア二タ?
『ア二タ!ア二タ!』

一向に同じことしか言わない彼女に、ロザリーは首を傾げる。
70
するとア二タと口する彼女は、両腕を上下に上げ、回転する仕草をして見せた。

ロザリー
『ん?ん?逆ってことかしら?』

セラーナ
『タニア?』
71
彼女はセラーナに向かって縦に頷く。

ロザリー
『なるほど・・・タニアちゃんね^^』
72
だがそれでも納得していないのか、今度は左手の人差し指で空に横一文字を強く表現する。

ロザリー
『ハイフンってことかしら?』

彼女は頷く。

ロザリー
『ターニーアーちゃん?』

明らかに変な名前だと首を傾げ腕組するセラーナ。
74
すると今度は空に【一 × ×】と表現した。
彼女は必死だ。

セラーナ
『今度は何?』
75
ロザリー
『ターニア?』

彼女は首を激しく縦に振る。

ロザリー
『ターニアちゃんなのねぇ~^^』
76
セラーナ
『いったいどういうことですの??』

ロザリーは少しの間、ターニアの目を覗き込んだ。
77
暫くすると、今度は自分を指さしながら言葉を繰り返す。

ロザリー
『私はロザリー、ロザリー、ロザリー、ロザリー』

彼女は真顔を見せ、まるで教え込むようにゆっくりと何度も繰り返した。
ターニアもそれに合わせて頷く。

ロザリー
『じゃぁ、私の名前を言ってみて^^』

78
ターニア
『リザロ』

セラーナは驚いた。

セラーナ
『逆さまに言ってますわ!ワザとですの?』
79
ロザリーは深刻な表情を見せながら口にする。

ロザリー
『逆言症だわ・・・』






80
セラーナ
『さかごしょう?なんですの?』

聞きなれない症状にセラーナは少し面くらった。

ロザリー
『文字通り言葉を逆さまに発してしまう病気よ。
相手の言っている事はちゃんと理解しているんだけど、限られた単語しか言えないのよ。
それも逆さまに。
でも怖いのは、ほっておくと病巣が広がって、そのうち自分で呼吸もできなくなるわ』

セラーナ
『呼吸ができないって・・・それじゃ死んでしまいますわ><;』

ロザリー
『進行具合にもよるのよ。さっき瞳を見た時、濁りが見えなかった。だからまだきっと初期の段階ね』
81
セラーナ
『でも・・・そんな病気聞いた事もありませんわ・・・』

ロザリー
『スカイリムには無い病気なのよ^^』

セラーナ
『じゃぁ、この子はスカイリムの外から来られまして?』

ロザリー
『そうなるわね^^』
82
セラーナ
『いったいどこが悪いんですの?』

ロザリー
『人間の頭の中には脳って言われる物があるのよ。
主に考えたり行動したりって・・・まぁ色々な事をするために必要な司令塔みたいな物ね。
彼女はこの脳の言語野の部分に障害があるのよ』

セラーナ
『言語野?』

ロザリー
『言葉の理解や表現を司る部分よ^^』

セラーナは口をポカーンと開けている。
83
ロザリー
『恐らくだけど、この言語野の部分が毒で犯されてるのね』

セラーナ
『ずいぶんと簡単そうに話しますわね・・・』

ロザリー
『まぁ原因がわかれば駆除は難しくないから^^』

セラーナ
『駆除?』
84
ロザリー
『ええ、彼女の頭の中に虫がいるのよ。その虫が・・・』

セラーナ
『む!虫っ!!!』

ロザリー
『ええ^^;その虫が麻痺毒みたいな物を吐いてるせいで、障害が起きてるのよ』
85
ロザリー
『大丈夫よ、ちゃんと治してあげるからね^^』

ターニアは不安そうな表情を見せている。
それを感じ取ったロザリーは、満面の笑みで彼女を勇気づけた。

セラーナは頭を抱えて気持ち悪そうにしている。

ロザリー
『駆除剤を作らなきゃいけないわねぇ~♪
錬金台はどこかしら?』

残念ながらナディアのブリーズホームには錬金台は無い。
ルシアとソフィを養子に向かえた時、子供部屋を作るために撤去してしまっていた。








86



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<備考>

◎マルカルス事件について
この事件について残っている記録は『マルカルスの暴れん坊』という書籍しか残っていません。
この書籍はインペリアル(帝国人)が記した書籍で、どこかしら政治的で都合がいいように書かれているようです。

フォースウォーンがリーチの統治を求めて来た時、帝国はアルドメリと大戦の最中だった。
だからウルフリックにフォースウォーンの退治を頼んだ。
ウルフリックは”タロス崇拝を認めるならやってあげるよ”と条件を出す。
帝国はこの条件をシブシブ呑んで、退治してもらった。
その後ウルフリックは、協力しなかった者は”スカイリムの反逆者”とレッテルを貼り女子供年寄関係なしに処刑した。

SOSでは大戦後に白金協定が結ばれ、その後フォースウォーンがリーチの統治を求めてきたという流れにしました。
何れにせよ、真相は闇なので個人的見解は控えます。

◎マルカルス-シドナ鉱山
スカイリムで難攻不落と言われている洞窟刑務所。
受刑者に銀の採掘をさせている。
マルカルスにおける名家であるシルバー・ブラット家が所有している。

SOSでは、帝国の銀供給源と書きましたが、実際はシルバー・ブラッド家が独占しているようで、帝国にはビタ一文入ってはいないようです。
彼らはリフテンにおけるブラック・ブライヤー家のように、金に対する執着心はかなりの物で、マルカルスの半分以上の土地を所有しており、さらに私兵まで雇っている始末です。
なのでテュリウスには、かなり警戒されているようで、マルカルスにスパイを放っているほどです。

◎フォースウォーンの陰謀
このクエストでプレイヤーはシドナ鉱山に投獄されてしまい、マダナックと一緒に脱走するという演出がなされています。
作者はこのクエストにおけるプレイヤーの必要性に疑問を感じ、SOSではマダナック単独での犯行にしています。
実際は受刑者全員が一気に脱走し、街中で散々大暴れした挙句、逃げて行くといった落ちなのですが・・・
SOSではマダナック一人が密かに脱走した設定にしました。

◎ドルアダッチ 要塞? 洞窟?
ゲーム内においては【ドルアダッチ要塞】となっています。
山の麓に入口があり、ドアはありません。
内部は広く大きな空洞となっています。
天井には穴が開いており、陽が差し込んでいる為、内部で植物を育て、ほぼ自給自足できるような生活空間となっているようです。
ですが、どう見ても要塞というイメージが無く、洞窟と言った方が適当なのではないか?
【要塞】を辞書で調べたのですが、明らかに違うようなのでSOSでは【ドルアダッチ洞窟】に変更しました。

◎ソリチュード←→ウィンドヘルム間
ウィンドヘルム周辺の海抜を調べてみました。
実際浅い所が多く、ウィンドヘルムの港に停泊している船は、一体どうやって出港寄港を繰り返しているのか?疑問に思えたほどです。
なので兵士を多数乗せた大船での直接的な乗り入れは、かなりの技術が必要かと思われます。
もし実際にやるとしたら、沖合に停泊し、そこから小舟で陸へ上がるといった方法しか考えられません。
となると例えガレオン船が一隻あったとしても、それに加えて小舟を何隻も新たに作らないといけなくなります。
時間や労力、そして戦費を費やしてしまう結果になります。
寒い地域なのに、装具品を付けて『泳げ』とはさすがにテュリウスも言わないでしょうw

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またSOSでは停戦協定の際、帝国とストームクロークとの間で『北の港町 ドーンスター』と『南の国境の町 ファルクリース』を交換しています。
なので帝国が本国より支援を受けるには、タムリエルを縦に半周程度の距離を船で渡ってこないといけないので、どうしても時間がかかります。
隣国のハイロックは一応帝国側に着いてはいますが、スカイリムの内戦次第なので、ハッキリ言って様子見をしていると考えるのが自然でしょう。
(SOS第七話スピンオフ)

◎リーチメン
フォースウォーンは嘗ては【リーチメン】と名乗っていました。
ウルフリックによりマルカルスを奪われた後、フォースウォーンと名乗るようになったそうです。
SOSではややこしいと判断し、全てフォースウォーンと統一しています。
ちなみに第十一話EP2にて登場した【ウィッチマン】は、フォースウォーンの原型としています。
ウィッチマンはTESの歴史にも実際に存在しているようです。

なおSOSにおいて【親族で集落を形成する】と書きましたが、実際はどうなのかわかりません。

◎市警隊
マルカルスでは、衛兵ではなく市警隊と呼ばれています。
また一部の市警隊は、ある名家に買収されています。
ターニア
ターニアちゃん登場!!!
実はSOSでは一度だけSS出演しています。
(SOS第六話)

彼女のキャラ設定としては今のところ秘密です。
ただ一つだけ言うなれば・・・彼女はロザリーとナディアの秘密を知る唯一の人物です。
それらの設定は、ターニアを作成された方のバックストーリーを元に多少の改編も行いました。

実際の彼女は300行の会話ラインを有しています。
ただし同じボイスタイプの別キャラの様々なセリフを引用しているようで(スカイリムMODデーターベース様より)、普段から言っている事に脈絡が無く、支離滅裂な時が多々ありますw
なのでこういう形で出演しても違和感がないのでは?という作者の勝手な思い込みから演出しました。

とはいう物の・・・作者はターニアちゃん大好きですw
実を言えば一番最初に入れたフォロワーさんです。
表情豊かでモーションも多く、またツンデレな所もあり、そしてなによりカワ(・∀・)イイ!!・・・
誰に何と言われようとも大好きです!!

作成者様に感謝感謝です^^

ロザリーとセラーナ
ロザリーさん再び登場!!

ロザリーさんは、ハイエルフ種族のため基本的に長寿。
SOS上ではすでに200歳を超えています。
今はナディアの元で、何らかの理由で住みついてしまっています。
個人的にですが、ロザリーさんは導入前から知的なイメージがありました。
なのでSOSでの彼女は、暇さえあればお茶を片手に本を読みふけっているインテリ女史といった感じです。
彼女の基本は毒学なのですが、様々な書籍に手を付けているので間違いなく博学です。
ただハイロックの一件以来、治癒学の必要性をより強く感じたのでしょうw
(SOS第十一話EP2)

セラーナは吸血鬼の純血種のため、基本的に不死身です。
タムリエルにおける第一紀の頃に封印されたらしいので、およそ3000~4000歳の間?あるいはそれ以上と推測されてます。
ただしこれは、彼女の発言(【シロディールに帝国?】や【ドワーフの遺跡が荒れ放題なのに驚く】・・・など・・・)からの推測であり、実数は全くの不明です。
でもプレイヤーであるNadiaの記憶だと『どの帝国ですの?』とも言っていた記憶があります。
なのでもっと若いのかもしれません。
ちなみにSOSでは、吸血鬼の王の娘であるため、好奇心旺盛なお嬢様だったのですが、ナディアの自宅が快適なのか、最近はやや出不精なお嬢様になり果ててますw

◎逆言症(さかごしょう)
SOSのオリジナルの病気です。

海外ドラマの【Dr.HOUSE シーズン2 第十話】を参考とさせていただきました。
内容はネタバレに繋がるのであまり言えませんが、【失語症】のせいで本当の病気がわからないといった感じです。
このドラマ、めちゃハマりましたw

また似たような症状に【ディスレクシア】といのもありますが、SOSにおける【逆言症】はこれとは全くの別物と判断してください。
あくまでオリジナルの症状です。

TESには医学という学問が無いようです。
病気や怪我の治療は九大神に祈りを捧げると治ってしまう事と、魔法や錬金術によって作られる薬が、それらを補っているという点から必要性を欠いているようです。
医学=魔法・錬金と言ったところでしょうか。
ただし治癒師という職はあるようなので、これが医者に該当すると思われます。

また解剖学に関しても同じことが言えるのかもしれません。
スカイリムには、動物実験などをやっているNPCさんもいたりするので、まだまだ未発達なのかも。
インガン・ブラック・ブライアーとか・・・(SOSでは存在していません)