コルバンヤンド遺跡入口キャンプ
1

2

3

4

5

6

7
メアリー
おいっ!フェニグッ!テメ―なにしてやがるっ!
8
ジプサム
なんだ?どうしたんだ?

デルフィン
『行くわよ』
9
ジプサム
『行くってどこへ?』

デルフィン
『...二人についていくのよ』
10
椿をおぶったフェニグは、壊れたドアを抜けると大きなテントの脇を通り越した。

メアリー
おいっ!フェニグッ!なんのつもりだっ!?

メアリーは彼の不可解な行動に怒号するも、本人は我関せずだ。
11
フェニグは椿を柱の陰に隠す。
だがメアリーの心情はただならるモノが...

メアリー
テメ~あたいのダチを攫(さら)うなんてイイ度胸してんじゃねぇかぁ~...あぁっ!?
12
だが後ろから着いてきたデルフィンが彼女を呼ぶ。

デルフィン
メアリー!こっちよっ!

メアリー
『あぁ?』
13
メアリー
『何なんだよ一体?』

デルフィン
『シ―――ッ...静かに...』

説明が無いままにメアリーは目を丸くし、デルフィンの後ろに隠れてしまう。
その後ろにはジプサムとヒスイの二人が。
14
しかし二手に分かれてしまったせいで、椿と反対側の柱の陰に陣取ってしまった。
フェニグは、壊れたドアの方に視線を向けている。
一体何が起こったのか全く理解できない。
15
メアリー
『なぁ?いったいなんなんだよ?』

デルフィン
『シ―――ッ!いいから黙ってなさい...』

彼女は眉を顰めるしかなかった。
16
だがその目線を再びフェニグに向けた時、彼女の目に移ったのは...

メアリー
あ、あれ?...だ...だれだ?

16-1

最奥聖域手前にて...
25
ここにドラウグルはいないのに腐臭が漂っている。
それはまるで、ウェイレストでの苦々しい宮廷生活を思い起こさせた。
何故だ...何故私はいつもこういう扱いをされてしまうのだ?
信用できる人物だと思っていたのに...言葉を投げかける気力すら無くなってしまった。
26
そういう私を察してか、最初に口火を切ったのはエズバーンの方だった。

エズバーン
『事実を話さなかったのには、理由があるからだ』
27
カズ
どんな理由ですかっ!?

私は噛みついた。
スカイヘイヴン聖堂での出会いから、最も信頼できる人物かと思っていたのに、いとも簡単に裏切られたのだから。
28
だが私の前に立ちはだかったのは、タケオだった。
彼は老人を守る為に体を張り表情を強張らせている。
状況は明らかに不利で複雑だ。
29
エズバーン
『二つあるが...今話せる事は一つだけ』

カズ
何です!?
30
エズバーン
『お前さんがウェイレストの人間だからだ』

私は唾を飲み込んだ。
31
エズバーン
『ウーサー王はサルモールと手を組みストーム・タロン聖堂を襲った。ブレイズを皆殺しにしたのだ』

寝耳に水。

エズバーン
『お前さんには直接関係はないだろうが、我々にとっては憂慮すべき問題だ』
32
カズ
『しかし...でも...援軍は?ディバイドはどうなるんですっ!?』

こうなると問題は私だけに限った話ではない。
メロサは?私と共に亡命してきた仲間たちの命は?
33
エズバーン
『それは問題ない。ディバイドには既に援軍が向かっている』

カズ
『...ウルフリックじゃないなら、いったいどこの軍です?』

エズバーン
『残念だが、それも話すことが出来ない』
34
カズ
『メロサ殿は承知なんですかっ!?』
34-1
エズバーン
『もちろんだ...』

言葉もない...空から地面に叩き付けられた気分だった。
35
カズ
『初めから私を騙すつもりだったのですね...』
36
エズバーン
『ウェイレストの王宮に聡明な人物がおり、その者はエメリック王の血を引いている。
宮廷では奴隷貴族として不遇な人生を強いられていたが、思慮深く、そして古書に精通しており、亡命したがっていると聞き、この計画に乗る事にした』
36-1
ん?“乗る事にした”?
彼らの計画ではないのか?
36-2
エズバーン
『お前さんには申し訳ないと思っていたが、王冠に繋がる鍵の所在を知る為には手段を選べなかった。
だが目的を果たした暁には、腹を割って話そうと考えていたんだ』
37
ブレイズは元々秘密を守る事に長けている連中だ。
今の私には、どこからが嘘でどこまでが本当なのか判断できない。
38
カズ
『でも、お、王冠をウルフリックに渡さないのなら...私たちはいったい...ここで何をしているんです?』

これは根本的な問題だ。
39
彼は自分を落ち着かせるため一呼吸置いてから語り出した。

エズバーン
『お前さんも学者の端くれならば、この世界の"塔"と"石"について...少しくらい見聞きした事はあるだろう?』

カズ
『塔と石?』
41
突然の事で少し戸惑ったが、ウェイレスト王立図書館では実に有意義な時間を過ごさせてもらっていた。
そのおかげで私は、命を失わずに済んだ事も有るくらいだ。
あちこち穴だらけで"知識の海原"とまではいかなくても、腐敗した宮廷生活の慰みにはなっていた。
41-1
こんなところでも寓話や伝承といった架空の話が揃っている。
だが私が知っているのは、それらは元々実際の出来事が切っ掛けとなって生まれたという事実だ。
言ってしまえば、ただの空想の産物としか理解していない。
42
カズ
『静寂の円環とかなんとか...
たしか...太陽の軌道や天候の変化...世界を構成する車輪の車軸が"塔"で、
"石"は...塔によって形成された世界を維持、安定の為に使われる....コントロールするようなモノ...古い伝承だったような』

再びエズバーンは語り出す。
43
エズバーン
『"ドラゴンボーンの書"には、アルドゥイン復活に至るまでのプロセスが書かれている。
その中には、実に多くの塔の崩壊についても明記されていた。
これは元々"星霜の書"による予言やアカヴィリの伝承だとも云われている。
我々はアルドゥイン復活と最後のドラゴンボーンの出現ばかりに目を奪われていたが、この予言にはもう一つ別な解釈があった』

カズ
『別な解釈...?』
45
エズバーン
『この世界には元々8つの塔が存在していた。
ウェイレストにある"アダ・マンティアの搭"は最初の一つであり、各地の塔の原型でもある。
この事はお前さんもよく知っているだろう?』
46
ウェイレストの南方にあるイリアック湾には、バルフィエラ島という島が存在する。
"搭"はこの島にある。
"アダ・マンティアの塔"は、世界的にも有名で別名"ディレ二の塔"とも呼ばれている。
47
エズバーン
『アルドゥインが復活した時点で、8つの内の6つが機能を失ってしまい、残る塔はあと2つ。
それが"アダ・マンティアの塔"と"雪の塔"...スカイリム最高峰"世界の喉"の事だ。
そして二ルンは、塔の崩壊によって少しづつだがその機能を失いつつある』
48
カズ
『機能を失う?』

エズバーン
『一部ではランドフォールと呼ぶ者もいる。または終焉、消滅、滅亡などと表現する者も。だが実際は何が起きどうなってしまうのか誰にも解らない』

なんだか、突飛な会話をしていてイマイチ現実味を感じられない。
49
エズバーン
『だが、今直面している問題はこの事ではない。
崩壊したはずの6つの塔の一つが、復活するかもしれない。
我々はそれを何としてでも阻止せねばならないのだ』
50
ミック
『爺さんボケてんのか?言ってる事がアベコベだぞ?』

思いがけない人物が声を上げてきた。
だが彼の言う事は正しい。
51
アイリ
『いいえ、おじいちゃんの言う通りよ』

情報共有していないのか?
52
アイリ
『ねぇおじさん、"真鍮の塔"って知ってる?』

彼女が真顔で問い詰めてくる。
だがそんな事は、おそらく学者と豪語する者なら誰でも知っている事だろう。
53
カズ
『それは..."ヌミディウム"の事だ』

アイリ
『そう...だから"それ"が復活するかもしれないって、話なのよ』
54
カズ
『バカな...ヌミディウムが復活するんて...ありえない!』

アイリ
『どうして?』
55
カズ
『どうしてって...ヌミディウムは、嘗てイリアック湾で起きた西の歪みの際、帝国軍によって完全に破壊されたと云われている』
55-1
カズ
『それに原動力となったマンテラは、アンダーキングのズーリンが取り戻している。例え残骸を集める事が出来ても、もう動かす事なんて出来ないはずだ』
56
エズバーン
『確かに史実ではそう書き残されている。
だが実際は"破壊"ではなく、厳密には"分解"の方が正しい』

その言葉に即座に反応したのはアイリだった。
57
アイリ
『やっぱり、そうだったのねっ!』

エズバーンの片方の眉が激しく反応する。
58
アイリ
『タイバー・セプティムが破壊命令を出したって言うのに、ブレイズがそれに背いたんじゃないかってずっと考えてたのよっ!』

エズバーン
『命令に背いたのは事実だが、裏切った訳ではない。
破壊するよりも、もしもの事を考えて再度建設ができるよう分解し、隠したのだ。
彼等は自分達の仕事をしたまでだ』

二人の会話の意味がよくわからない...
59
カズ
『タイバー・セプティムが破壊命令?ブレイズが隠した?...いったい...何の話をしているんです?』

エズバーンは再び私に向き直る。
60
エズバーン
『タロスが大陸統一後、アルドメリに攻撃を仕掛けるためにヌミディウムを使った事は知っているな?』

カズ
『サマーセット島攻略の際に使用したという...』
61
エズバーン
『そうだ。攻略の後、タロスはヌミディウムの破壊命令を出した。
だがそれを良しとしなかったのが、腹心のズーリン・アルクタスだ。
彼はそれを使い、セプティム家に歯向かう者達への抑止力にするよう進言した。
エルフに対しては特にな...』
62
カズ
『え?え?まっ、まってくださいっ!
それはオカシイ...統一後もヌミディウムを使い戦火を広げたのはタイバー・セプティム本人で、ズーリンはそれを止めるためにヌミディウムを破壊したんじゃ?』
63
エズバーン
『一般的に歴史書と呼ばれる書籍の殆どは、帝国贔屓(びいき)に綴られている事が多い。全てが全て事実とは限らないのだ』

カズ
『そんな...』
64
アイリ
『ズーリン・アルクタスっていう人は、タロスにとって大陸統一には欠かせない人物だったの』
65
アイリ
『でもタロス本人は、サマーセット攻略よりも、内戦で疲弊した国内の建て直しこそ優先だと考えていたのね。
一方のズーリンは、目の上のコブであるアルドメリを一掃する事こそ優先だと主張したのよ』
66
アイリ
『この頃から二人の間に溝が出来始めるんだけど...
タロスが最終的に自分勝手な暴走と書き残させたのは、ズーリンが内政にも大きな影響力を持っていたからだと云われているわ。
彼はヌミディウムを破壊し、アンダーキングになったいう話は有名だけど、帝都の学者達の間じゃ、タロスが秘密裏に処刑したんじゃないか?ってもっぱら囁かれてる』
66-1
アイリ
『もっともその方が、胡散臭い内容の報告より筋が通っているし、何より国内でまた武装蜂起されるよりマシだったはずよ』

確かに言われてみれば筋が通っている。
卓上の論理しか持ち合わせていない私には、彼女の話はやけに新鮮に感じられた。
67
エズバーン
『セプティム王朝時代のブレイズは、特に反映を遂げた世代でもある。
彼等にとっては例え王命に背いたとしても、主を守るためなら何でもやったのだ』
68
カズ
『つまり、サマーセット攻略後、他国への武力行使を勧めたズーリンの暴走を止めるためにヌミディウムの破壊命令を出したが、ブレイズはその命令を実行せず、秘密裏に分解隠蔽した。
そしてそれは、西の歪みの際に再び破壊...いや...また分解したという事なのか?』
69
【西の歪み】はセプティム王朝時代の末期に起きた出来事である。
別名【平和の奇跡】とも呼ばれた奇妙な現象の事だ。
この時にもヌミディウムは姿を現している。
イリアック湾で何かが爆発し、小競り合いを続けていた大小様々な国がたった一晩で四つに治まったが、
生き残った者の半数以上が記憶が無かったり、失踪者が相次ぐなど、不可解な現象が無数に発生した事でも知られている。

あまりに不可解故に、信憑性に欠ける面が有るのも否めない。
とはいえ、この出来事の調査及び報告書を作成したのは確か...ブレイズだった。
70
カズ
『じゃあ...分解したヌミディウムやマンテラはどこに?』

エズバーンは残念そうに項垂れ、首を横に振った。
71
カズ
『いや、待って...そもそも"それ"と"ここ"と...つまり、"ヌミディウム"と"尖った王冠"とが、一体どう繋がると言うのです?』

彼の私を見る目が変わる...だが先に反応したのはアイリの方だった。
72
アイリ
『なんだぁ~?てっきりわかっていると思ったのに...』

カズ
『え?』
74
アイリ
『サマーセット攻略の際にタイバー・セプティム本人が使った事...知っていたでしょ?』

カズ
『あぁ...』

アイリ
『どうやって動かしたぁ?』
75
カズ
『それは...ズーリンが作ったとされる"トーテム"を使って...』

しばし間が空く。

76
カズ
『あっ!まさか...』

私の頭の中で点と線がいきなり結ばれた。

77
カズ
『"尖った王冠"は"ヌミディウム"の...』

77-1
カズ
『""!?』

78
エズバーン
『ヌミディウムを初めて目にしたタロスは、あまりの大きさに圧倒されたという』
79
エズバーン
『まるで"山"そのものが動いているようだと』

79-1
エズバーン
『巨体でありながら、その動きは恐ろしく機敏であり。
空を飛ぶドラゴンさえ簡単に捕まえると、玩具でも扱うように弄んだらしい...』

80
エズバーン
『どこまでが本当かはわからんが』

80-1
エズバーン
『あの高慢ちきで、人を見下す事しか知らないエルフ共を』

80-2
エズバーン
『たった一発の砲撃で黙らせたのは事実だ』

80-3

241-1

81
エズバーン
『そんな化け物を再び復活させてしまったら、アルドゥインの厄災どころでは済まなくなってしまう。
まして化け物を操る事の出来る"石"を、個人の手に委ねるなどもってのほかなのだ』
82
王冠を封印したのは、周囲の嫉妬を呪いと偽ったためじゃない、本当に危険な物だと判断した為に儀式を行ったんだ。
そして限られた者にしか開ける事が出来ない扉の裏に鍵を隠す。
それも自らが最も信頼する者達(ブレイズ)の神殿において。
83
なるほど...塔の崩壊よりも急務というは、そういう事だったのか...
だが聞きたい事はまだ他にもある。
84
カズ
『では、なぜヌミディウムが復活するとわかるんです?』
85
エズバーン
『私は元々、シロディールの曇王の神殿に席を置いていた。
あそこには、分解されたヌミディウムとマンテラの所在について書かれた記録が眠っていたらしいのだ』

カズ
『...らいしい...とは?』
86
エズバーン
『残念ながら、私がいる間にその記録を目にする機会は得られなかった』

私は彼の目を凝視する。
果たして本当の事を話しているのだろうか?
88
エズバーン
『程無くしてサルモールによる破壊工作に見舞われた。
彼らは曇王の神殿を破壊し尽くしたが、私が思うにこれは内部の犯行であり、エルフに手引きした者がいたと推測している』
89
カズ
『つまり記録が内通者によって盗まれ、その事を隠蔽する為に神殿を徹底的に破壊したと?』
90
エズバーン
『その可能性は十分にある。
幸い王冠についての記録だけは、スカイ・ヘイブン聖堂に残されていた』
90-1
エズバーン
『それを辿っていくと、グラム・オーカーが王冠を盗み出しウェイレストに持ち込んでいた事実を知った』
90-2
エズバーン
『だが何故か後になって、スカイリムへと返還されている。
この奇妙なやり取りを調べていくうちに、タイバー・セプティムの可能性が浮上してきた』
90-3
エズバーン
『そして王冠がヌミディウムの石だったのではないか?という推測に辿り着き、お前さんが私の前に現れ、ウェイレストにある"亡命者"こそが原本であるという確信を得た』
90-4
エズバーン
『と同時に、私が読み解いていた"亡命者"は、タイバー・セプティムによって書かれた写しだという事を知った』

どうやら彼は事実を語っているようだ...
91
エズバーン
『逆さ文字などを使い随分と凝った作りだったが、おそらくそれは、タロスによる未来への警告だったのかもしれん...』
92
それなら...じゃぁ...

カズ
『あなたは...王冠を取りに来たんじゃない...破壊しに来たのか?』
93
エズバーン
『初めは回収すべきだと考えていた...だがおそらくタロスにとっては、それが望みであり、後の治世の為だと考えたはずだ』
94
アイリ
そんなの間違ってる!させないわよ絶対にっ!

突如アイリが割込んでくる。
95
エズバーン
『王冠など、この世界に残しておく事自体が問題なのだ。
私は先代の過ちを正そうとしているだけだ』
96
アイリ
『だいたいパーツがどこにあるのかも分からないんでしょ?
サルモールがヌミディウムを完成させていたら、どうやって止めるつもりよっ!?』

それは...確かに言える。
97
アイリ
『先に石を破壊してしまったら、完全に後の祭りじゃないっ!』
98
ヌミディウムがサルモールを簡単に降伏させた話は有名だ。
もしタロスが見たモノが事実であり、制御が効かなかくなった場合、とんでもない破壊神が二ルンの地表を歩き回る事になる。
100
だがエズバーンはジッとアイリを見つめていた。
そしてゆっくりと言葉を発する。

エズバーン
『おまえさんは...ノルドだな』

アイリ
『それが何よ?』

エズバーン
『トレジャーハンターとはいえ、ヌミディウムについて詳しいのは、差し詰めシロディールにおける有力者との繋がりをもっているからだろう...』
101
エズバーン
『それにあのガラクタだ』

彼はゼファーに視線を移す。
102
エズバーン
『確か...二世皇帝の末の娘はガラクタ好きだったはずだ...』

アイリの表情が強張る。
何かを察知したようだ。
103
アイリ
『だっ、だったら...どうだって言うのよっ!?』

口調がおかしい。
どやらエズバーンは、痛い所を読み当てたようだ。
104
エズバーン
『わからんのか?帝国はまた過ちを犯そうとしていると言っているのだっ!』
105
アイリ
『あ、あやっ、過ちかどうかは別として、少なくとも私の言っている事は正論でしょ?』

なるほど、彼女は帝国の...
106
ミック
『アイリ...』
107
エズバーン
帝国がこんな危険な物を手にしたら、世界は暗黒の時代に突入するんだぞっ!

アイリ
コントロールを失った方がもっと危険よっ!
108
エズバーン
それが思い上がりだと言うのだっ!?
タロスでさえ恐れ、慎重になり、鍵を封印までしたんだぞっ!
まして今の帝国が、あの化け物をどうこうできるとは思えん!
109
アイリ
それでも破壊してしまうよりはずっとマシだわ!
石を失った塔が暴走したら、破壊の限りを尽くす事になるのよっ!
110
エズバーン
いいや!寧ろ一人の人間が手にする事の方が遥かに害が大きい!
問題の種は一つでも潰しておいた方が、後の為になるのだっ!
110-1
アイリ
それはあんた達ブレイズにとっての話でしょっ!?
ミード家が再び大陸を制圧するのが、怖いだけなのよっ!

エズバーン
なんだとっ!
111
ミック
アイリッ!!
112

アイリ
なによっ!

彼の言葉がようやく届く。
113
ミック
『お客さんだ...』

ミックの視線の方へ皆が一斉に目を向けた。

113-2
何の前触れもなく、唐突に彼らは姿を現した。

白く冷たい冷気が辺りを包む。
最初に目に止まったのは、白い体に大きな赤い目と尖った耳を持った奇妙な生き物達だ。
114
後ろに控えているのは、赤い血のようなフードに包まれた大柄な者。
不気味な生き物達に守られながら堂々と立っている。
魔術師のような洋装をし、肩幅から察するに体躯はガッチリしているようだ。
中身はいったいどうなっているのか想像ができない。
115
アイリ
『あいつらいったいなんなの?』

エズバーン
『ファルメルだ...』
116
ファルメル?
ノルドに排除され、ドワーフに騙されたという悲運のエルフ族。

カズ
『たしか...スノーエルフとかいう...』
117
エズバーン
『こいつらだったのか...』

アイリ・カズ
『え?』

エズバーンの言葉に思わず声が漏れた。
119
エズバーン
『なんて事だ...ここまで来て追いつかれるとは...』

どうやら彼はまだ、何かを隠しているようだ。
120
赤いフードの男がおもむろに右手をかざすと、勢いよく電撃が迸った。
電撃は何の躊躇いもなく、真っ直ぐエズバーンに向かって飛んでいく。
121
エズバーン
うわぁっ!

懐に隠し持っていた【黒檀の爪】が姿を現す。
121-1
そしてまるで磁石で引き付けるかのように、自分の手元へと引き寄せた。
122
エズバーン自信驚いている。
自分の身に何が起きたのかよくわかっていない様子だ。
123
かく言う私も体を動かすことが出来ない。
何故か喉の奥で圧迫感を感じる。
呼吸がし難く息苦しい、胸のあたりに痛みが...
しかしそれは、どうやら私だけではないようだ。
124
アイリは悔しそうな表情のまま、仕切りに目玉を左の方に移動させ何かを示している。
あっち側には確かゼファーとかいうオートマトンが、大扉を押さえているはずだ。
125
フードの男は爪を手にすると、そのまま一人前進しこちらに向かってきた。
126
分け入るように我々の間を歩き始める。
誰も彼の歩みを止める事が出来ない。
声で反抗する事すらできない。
まるで時間が止まってしまったようにピクリとも動けない。
127
感覚はある、だから辺りを包むこの冷気が酷く痛むのだ。
しかし無視するという事は、赤服は我々には興味がないようだ。
恐らく抵抗しなければ無事にここから出れるかもしれない。
128
だが爪を奪ったという事は、赤服の狙いも"尖った王冠"。
ここにきて分かった事がもう一つ。
エズバーンがよそ者の私を騙していたのは、アイリ達以外にも王冠を狙う者が居たからだ。
129
赤服は一歩一歩前進しているようだが、体が動かせないために後ろで何をしているのか全く分からない。
129-1
"シャキーンッ!""ドカーンッ!ガシャーンッ!"と、金属のようなモノが破壊され部品が散らばった音が響く。
そして足元にその一部が転がってきた。
これはおそらく...
130
ギギギギ―――ッと今度は扉が開く。
その後に聞こえてきたのは、悲鳴と炸裂音に吸収音。
おそらく魔法でもって"守り人"を排除しているのだろう。
だがそれは、瞬(まばた)き程の速さで静かになった。
132
さっきからファルメル達は一歩も動こうとしない。
武器を構えたまま"フシュー、フシュー"と不気味な息遣いを荒げている。
よく見ると後にはまだ何体が控えているようだ。
133
後方からゴゴゴゴッっと、石と石とがこすれ合う音が聞こえてくる。
どうやら爪を使って扉を開けたようだ。
"歴史的瞬間を目にする事が出来なかった"という悔いが、無かったと言ったら嘘になるが、今はそれどころではない。
134
赤服はファルメル達に我々を見張らせているようだ。
アイリ達の存在も厄介だが、こいつらはその遥かに上を歩いていると感じた。
135
だがそれは、彼らも例外ではない。

136
140
ドドドドド――――ッン!!
大きな炸裂音と共に洞窟内で激しい振動が起こる。
暴発で何匹かのファルメル達が吹飛ばされ、驚いて辺りの異常に気付くと俄かに殺気立つ。
141
モウモウと立ち込める黒煙の中から矢が数本飛んでくると、更に何匹かを仕留めた。
142
ジプサム
今だ行けっ!
142-1
デルフィン
行くわよっ!

メアリー
おぉっ!やったるぜっ!

ジプサムの掛け声とともに、二人はファルメル達の中に斬り込んでいく。
143
デルフィン・メアリー
うぉ――――ッ!

不意を突かれたエルフ達は、モウモウと燻る煙の中で立ち往生してしまう。
動かない標的ほど倒しやすいモノは無い。
例え視界が悪くても二人にとっては格好の餌食だった。
144
デルフィンが右へ行けば、メアリーは左を、左に行けば今度は右を。
145
コンビネーションなど取った事も無いのに、自然と闘いのスタンスが整っていく。
146
相手の動きが鈍いからなのか、あるいは互いの腕前がそれに見合っているからなのか?
146-1
デルフィン
セイッ!

答えは不明だが、あっという間に突破口は開かれた。
147
彼女たちがファルメルを一掃すると、急に体の呪縛が解けた。
開放されると同時に一気に力が抜け地面に両手を着いてしまう。
148
デルフィン
エズバーンッ!

デルフィンは仰向けに倒れたエズバーンを目にし、驚き駆け寄った。
149
アイリ
ミック!フロッグ!いくよっ!

ミック
『たくぅ~年は取りたくねぇなぁ~』

この中で一番若いと思われるアイリは、既に健全のようだ。
代わりにミックは愚痴っている。
150
デルフィンは皆も連れて来てくれた。
見知った顔が並ぶとホッとする。
151
彼女はエズバーンの元に駆け寄ると、悲しそうな表情を浮かべて寄り添った。

デルフィン
『あぁ~なんて事なの...』

エズバーン
『と...とめろ、おぅ..かんをわ.た.しては...ゲフゲフゲフッ!!』

話すたびに酷く吐血する。
赤服が放っていた冷たい空気は、老人の体に深刻なダメージを刻んでいったようだ。
151-1
アイリ達はそんな事などお構いなしだ。
お宝を取られまいと赤服の跡を追い、最奥聖域に突っ走っていった。
152
メアリー
『カズ兄ぃ~あいつらいったい誰だよ?』

カズ
『と...トレジャー...ハンター...王冠を狙っている』

声が出しにくい、目もショボショボする。
麻痺から回復している感じで、捻り出さないと出てこない。

Sudden Death→もうちょっとだけ続きます^^;



ポチットお願いしますm(_ _)m


[備考]

◎ウーサー王
大型MOD『Beyond Reach』におけるウェイレストの架空の王です。

◎ストーム・タロン聖堂
ハイロックのウェイレストにあるとされるブレイズの聖堂。
こうしたブレイズの聖堂はタムリエル各地に存在するとされる。

この聖堂が破壊されたかどうかは不明。
SOSではサルモールがヌミディウムの記録を手に入れる為に、各地のブレイズを襲い、痕跡を消すために暗躍していると設定しています。
シロディールの曇王の神殿が破壊されたのは事実。

判明しているブレイズの聖堂

・ シロディールの曇王の神殿

・ スカイリムのスカイ・ヘヴン聖堂

・ ハンマーフェルのウィンド・スカウラー聖堂

・ ウェイレストのストーム・タロン聖堂

【ブレイズの盛衰】より抜粋

◎メロサ
大型MOD『Beyond Reach』におけるディバイドという街の領主をしています。
F

◎アダ・マンティア アダマンチン アダマント
色々な呼び名があるようですが、各地の塔の原型とされ最初に建設された塔だそうです。
嘗てのハイロックを支配していたエルフ達。
その名家であるディレ二―家が所有していた塔らしく、そこから【ディレニの塔】とも呼ばれている。

塔については【Sifka Venator】さんのサイト『白紙の手帳』を参考にさせて頂いています。
下記よりリンク有

◎タロスの大陸統一
ここではハイエルフの故郷であるサマーセット島(アリノール)を除いた陸続きの事を指します。
因みにモロウィンドウにあるレッドマウンテンは、ヴァ―デンフェルという島にあります。
この島が入るのかどうかは定かではないです。
A

◎アイリと帝国
SOSでは、現皇帝であるタイタス・ミード二世に末の娘がいる設定になっています。
彼女の名前はユリア・ミード。
ユリアはナディアの自作フォロワーです^^

ユリアは今回の仕事をアイリに託したという設定です。
アイリは作成者であるokameさんの設定で、ソルスセイム島のシルスク出身のノルドであり、そこを飛び出してトレジャーハンターになった人物です。

バニラでは、ソルスセイムは元々東帝都社と黒檀の取引があったのに、鉱床が枯渇してしまったために手切りをされています。
そのまま社長のヴィットリアが暗殺されてしまい、再度黒檀の鉱床を発見できても、結局お流れに...
この影響がシルスクやスコールなどにも広がってしまい、外に出ていたアイリの耳にも届く事に。

SOSではユリアはヴィットリアの跡を引き継いでいるので、彼女はもう一度ソルスセイムとの取引を再開する代わりに、アイリに仕事の依頼をしたという設定にしています。
B

okameさんが作成されたアイリちゃんのバックストーリーです。

◎タロスの出身はハイロックであってアトモーラではない

これは序章全体のキーワードです。

第二紀572年 アカヴィリ軍がモロウィンドウより侵攻した際、グラム・オーカーは捕食対象だった人間種を守るために軍に紛れタムリエルに上陸。
彼は【尖った王冠】を盗み出し、ハイロックのウェイレストへと亡命。
当時の上級王だったエメリック王に王冠を献上し取り入ったとされる。

その約250年後にヒャルティ・アーリビアード(後のタロス)が産まれ、彼は何らかの形で【尖った王冠】を手にした。
その後、主君であったクーレケインが暗殺されると、後釜に座る事に。
一説によると、この暗殺にはタロスも関わっていたとか...

そしてズーリン・アルクタスを腹心に据えると、大陸統一へと乗り出す。

タロスはハイロックのアルカイア出身だったらしいのですが、同じ国にグラム・オーカーがいたために【尖った王冠】を手にする機会を得ました。
彼がスカイリムへと持ち帰ってきたという事です。

因みにロアにおけるタロスの出身はハッキリとしていません。

◎ズーリン・アルクタス
元サイジックの魔術師でタロスの腹心。
タムリエル統一に貢献した人物とされるが、彼が何者なのかは全くの不明。
嘗てのスカイリムの上級王であるウルフハース王の成れの果てともいわれてる。
なので種族も定まっていません。
TES2においてはアンダーキングとして姿を現しています。
G

◎帝国の過ち
エズバーンの言うここでの過ちとは【白金協定】の事です。

◎ヌミディウム
今回の序章の元ネタ作品は、クエストMOD『Wheels of Lull』です。
このMODはTESの世界観に沿った内容だと云われており、『ドラゴンボーンの書』にも書かれている塔の崩壊によってもたらされるランドフォールという現象を防ぐために、ドラゴンボーンの本来の役割を綴った作品となっています。
D-1
ただしこのMODではヌミディウムは復活しないとされています。

SOSでは、このヌミディウムが敢えて復活するという設定にしました。
しかもこれをコントロールする為の道具が『尖った王冠』だったという、無茶苦茶な設定でw(ΦωΦ)フフフ…ヤッチマッタゼ
さらにバラバラになったはずのヌミディウムの破片は、ブレイズが隠していたなんていう...ロアな歴史を覆すとんでもねー事に...(*´Д`)ハァハァ

さて、今回の序章最終回の為にtwitterでお世話になっている【rireki】さんにSOS用の特製【ヌミディウム】を製造していただきました(*´▽`*)
顔の作りや胴体や足に、果ては武器や羽までw
細部に至るまで時間をかけて相談し、苦心の末に完成に至った作品でございます!(; ・`д・´)ハァハァ
全部ナディアのワガママを詰め込んだ一品となっております(*´Д`)ハァハァスミマセン
惜しむらくは、ナディアがENBを使えない事...本当に申し訳ないm(_ _;)m
D-2
rirekiさん、超絶カッコイイ【ヌミディウム】を作っていただき本当にありがとうございましたm(_ _)m
この場を借りて感謝の言葉を述べさせていただきますm(_ _)m
登場予定も大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。
今後とも是非大切に使わせていただきたいと思っておりますので、次回登場まで今しばらくお待ちくださいませm(_ _)m

因みにですが、TES作品のロアを書き上げた功労者のマイケル・カークブレイド氏による、TESの未来について書かれたサイトがあり、ここからもネタを使わせて頂いております。
rirekiさんに作成してもらったヌミディウムも、このサイトの絵をモデルにしてもらっています。
D-3
このサイトではタムリエルがヌミディウムによって破壊され、ダンマーとカジ―トがムンダス(月)に移住しコロニーを作るといった内容になっているようです。

下記リンク有り


[使用MOD]

Skystone...........................Lazz

Finnloch Library...................Seelabin

[参考MOD]

The Wheels of Lull.................Trainwiz

[Special Thanks Followers MOD]

Numidium...........................@rireki_lyman


Firone`s Followers................@DovahkiinFirone

Takeo Follower.....................@naritete_TES

FOMod Airi.........................@okame281

kskFollowers.......................@ksk201

FrogFollowerJP.....................@kenokichi3

MyuHechaMuCat......................@myunnv

Yagi...............................@Metenee_28

KMfollowersV2......................@kuromimisanS

Risa Follower......................@Hino_risa



[参考サイト]

 
 
UESP』Lore:The Towers  

C0DA』MICHAEL KIRKBRIDE
 

[序章/参考文献]

アカヴィルの不思議

2920年シリーズ

アークチュリアン異教

サルモール調査:デルフィン

サルモール調査:エズバーン

ブレイズの盛衰

ドラゴンボーンの書

ドラゴンのマップ

ドラゴン突破の時、どこにいたのか?

西の歪み(Oblivion)

2018/6/24/16:55


ポチットお願いしますm(_ _)m