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同日同時刻...コルバンヤンド遺跡にて...
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リン
あ~くっそぉ~
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リンは毛皮の帽子を側に在った樽の上に置くと、体に着いた雪を払った。
良い匂いが漂ってくる。
部屋の中央でアルゴ二アンが調理をしていた。

リン
『おいっフロッグ、晩飯はなんだ?』
14-1
フロッグと呼ばれたアルゴ二アンが声に反応する。

フロッグ
『へいへい隊長さん、お帰りなさいねぇ~^^
今日はウサギのシチューさねぇ~』
14-2
リン
『もしかして、昨日マキューが獲ってきた奴か?』

フロッグ
『そうそう、サーベルタイガーと一緒に獲ってきたウサギさねぇ~
それをスノーベリー風味に仕上げたから、寒さ対策もバッチリね^^v』

暗に嫌味を言われた気がした。
14-2-1
リン
『そ、そいつは楽しみだな^^;』

フロッグ
『もう少しでできるから、椅子に座って待ってるさねぇ~』

アルゴ二アンは表情がよくわからない。
悪気が無いのは分かるのだが...
14-3
DJ
『収穫は?』

同僚のDJが気さくに声を掛けてくれた。
リンはそれに対し、両手を平にして答えるしかなかった。
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DJ
『まぁしょうがねぇよ。ペイルは故郷と全然違うしなw』

リン
『ノルドの話じゃ、スカイリムのシカは頭が良いんだそうだ。
ブルーマじゃ、ここまで厄介じゃなかったんだがなぁ...』

リンは上着を脱ぎながら申し訳なさそうに弁解する。
15-1
リン
『おっ、マキュー、ずいぶんと立派な扉が付いたな』

マキューと呼ばれたカジ―トは、隣の部屋との仕切りの為に、扉の設置作業をしていた。

マキュー
『あぁ、廃材の再利用だ』

リン
『流石だな』
15-2
マキュー
『上の方に隙間を作った。これで換気は問題ない』

リン
『明日来る姐さんに、文句言われんで済むな...ありがとうさん』

リンは彼の労をねぎらった。
15-3
テーブルではウッドエルフが読書をしている。
リンはその隣に座ると真っ先に近くのエールに手を伸ばした。
枯れた喉に流し込んで人心地着く。
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DJ
『なぁボーン、俺達に狩りのコツを教えてくれよ』

DJは真向かいウッドエルフに尋ねた。

リン
『そうだな、せっかく高台まで作って貰ったんだ。俺達もそいつを活かせないとな』
16-1
指名されたボーンは、おもむろに表を上げた。

ボーン
『狩りのコツは、殺気をいかに消すかだ』

DJ
『まぁ...気配を消すって言うのは分かるけどさ...高台から狙えば普通わからんもんだろう?』

ボーン
『動物というのは恐怖心の塊のようなモノだ。ただ身を隠しているだけで殺気は隠せるモノじゃない』
16-2
リン
『じゃぁ、どうすればいいんだ?』

ボーンはリンの顔をマジマジと見つめた。

ボーン
『畏怖、畏敬の念を持って感謝するんだ』
16-3
DJは眉を潜める。

DJ
『これから殺して食べようって相手にか?』

ボーン
『そうだ』
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そう言い切ったウッドエルフに対し、インペリアルの二人は目を丸くする。
17-1
マキュー
『ボーンが言っているのは、連鎖の輪の事だ』

リン
『連鎖の輪?』

カジ―トは席に着く。
17-2
マキュー
『この世界には目に見えない輪が存在している。
その輪が有るおかげで、世界は旨い具合に回っている訳だ』

リン
『食物連鎖の事か?』
17-2-1
マキュー
『そうそう、お前たちもその中に存在している。
だから必要以上の事をするとその輪が乱れる。
乱れた輪は元に戻ろうとする。
これが正しい道、正道だ』
17-3
二人のインペリアルは”うんうん”と頷く。

マキュー
『殺すぞという脅しや殺伐とした感情は、その輪を乱すモノでしかない。
輪は元に戻ろうとするから無視されるんだよ』

二人はカジ―トの言葉を漏らすまいと、真剣に耳を傾けた。
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マキュー
『だが逆に尊敬や感謝の気持ちで接すれば、輪は乱れる事無く、すんなり与えてくれるって訳だ』

DJ
『なるほどなぁ~』
18-1
ボーン
『イフレはいつも我々を見ている。相手を敬えば相手も我々を敬ってくれる』

二人には信心深いボズマーらしい言葉に思えた。
18-2
フロッグ
『さぁ~さぁ~難しい話はお終いねぇ~食事の時間だよぉ~』

アルゴ二アンが、スープをよそった器をトレーに乗せて一声を放つ。

DJ
『待ってましたっ!』

リン
『おお、今日もうまそうだなぁ~^^』
18-3
テーブルに並べられる食事に心が躍る。

フロッグ
『今日はウサギのスノーベリーシチューさぁ~』

甘く芳醇な香りが漂う。
茶色のドロッとしたスープは、見るからに食べ応えがあり、腹持ちもよさそうだ。
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アルゴ二アンは一人一人の前にスープを置くと、皆思い思いの方法で食事を始めた。
パンをかじりつつスープを飲む者、スープだけを飲む者、パンをスープにつけて食べる者と様々だ。
フロッグはその様子を誇らしげに眺めている。
19-1
DJ
『そいえばボーン。お前らボズマーって植物ダメなんじゃなかったけ?』

ボズマーが信仰するイフレという神は、植物を傷つける事を固く禁じているらしい。

ボーン
『フンッ!』

だが当の本人は、そんな事などお構いなしにスノーベリーの入ったスープに舌鼓をうっていた。


が、その時である。

19-2
リン
あれ?

急激に視界が歪む。
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ボーン
なんだか手が...

力が抜けていく...すり抜ける様に持っていた物を落としてしまう。
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DJ
おい...フロッ...
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DJ
あ...れ...
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SOS序章第四話公開!!

2018年一発目の公開という事で、前編・後編の二話という形になっております!
(文字数制限の為に急遽分けました...長くてm(_ _;)mスイマセン...)

今回のお話しは、ドラゴンボーンの存在意義について言及しています。
ドラゴンボーンとはいったい何なのか?何故存在しているのか?
帝国とドラゴンボーンとの関係などなど...SOS独自の解釈を含めて書き下ろしています。

そしていよいよ最終目的地であるコルバンヤンド遺跡に向かいます。
途中の道のりではトラブルに加え、スカイリムの特徴でもある雪の激しさや奥深さを表現してみました。

今話は実に沢山のフォロワーさんに参加していただきましたので、その点もお楽しみいただけるかと思います。

長くなりそうなので前説はこの辺で...

それではゆっくりと続きをお楽しみくださいませm(_ _)m

スカイ・ヘイヴン聖堂内にて...
23
エズバーン
『ドラゴンボーンという存在が何故現れるのか?その答えはハッキリとは出ていない。
一説によるとアカトッシュが常命の者に、何らかの形で関わった時に、その影響下でドラゴンボーンが現れると言われている』
24
椿がドラゴンソウルを吸収した事で状況が一変した。
だが当の本人といえば、自分の身に起きた事が上手く理解できず、不安な表情を浮かべている。
エズバーンは、ドラゴンボーンの解説をする事で、そんな彼女を落ち着かせようとしていた。
25
メアリー
『アカトッシュって、九大神のボスだろう?』

エズバーン
『そうだ』
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メアリー
『つばきぃ~?アカトッシュとお茶でもしたのか?』

椿
『う~ん、多分してないと思うんだけどなぁ?』

ジョークか...
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エズバーン
『だが一つだけ分かっている事がある。それは世襲で受け継がれるという事だ』
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カズ
『帝国評議会や元老院は否定しているらしので、あまり大きな声では言えませんが、私もその事については肯定する方です』
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椿
『評議会が否定しているって...どうしてですか?』

カズ
『タムリエルの歴史の中で、ドラゴンボーンという存在として名の通った人物と言えば、直近でタイバー・セプティム、その前はレマンとされている。
彼らに共通しているのは、タムリエルを統治していたという事だが、その子孫も皆ドラゴンボーンだった...』
30
エズバーン
『問題なのは、それが子々孫々と続くという事だ。
タイバー・セプティムの直系は早い段階で途絶えてしまうが、弟のアグノリスのおかげで、セプティム家は繁栄を遂げる事になる。
その最後の末裔とされているのが、マーティン・セプティムだが、元々彼の事は公にされていなかったのだ』
31
椿
『...隠し子...?』

エズバーン
『うん...マーティンの場合は世界を救ったという隠れ蓑があるが、皇室でそんな存在が他にもいるなんて事を正式に認めたら、それは大きな問題に発展するだろう』

椿
『だから否定的なんだ...』
32
カズ
『評議会の考えは神秘論が根底にあると言われている。
だが一般論が関わってくると一概にそれだけでは治まらないのも事実だ...それでもやはり世襲説は根強い説得力を持っている。
だからこの事が広まらないよう、それを反対する事で抵抗してるという訳だ』
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メアリー
『シャルも言っていたけど、ユリエル七世って結構波乱な人生だったんだろ?』

椿
『10年間監禁されていたって話もあるもんね』
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メアリー
『表じゃ名君なんて呼ばれていても、裏じゃあちこち種撒いていたのかねぇ~w』

椿
『やめなよぉ~メアリー...』
35
エズバーン
『嘗ての帝都には、ドラゴンファイアが灯っていた。それはドラゴンボーンの皇帝が生きていたからだ』

メアリー
『ドラゴンファイア?』

エズバーン
『ドラゴンファイアはオブリビオンとの境界に線を引く事のできる、アカトッシュから贈られた結界の事だ。
この炎が灯っている間は、デイドラ達は我々の住む二ルンには、足を踏み入れる事が出来ないと言われていた』
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エズバーン
『だがマーティンがアカトッシュの依代となって以降、その炎は消えてしまい新たな結界を張る事で線引きをする事になる』

椿
『シロディールのドラゴン像の事ですね』
37
エズバーン
『うむ...だからこそ昔からドラゴンボーンという存在は特別であり、我々の守り神のような存在とされていたのだ...
もしかするとドラゴンボーンと言うのは、定命の者がデイドラ神に対抗する為の手段として、アカトッシュから贈られた賜物なのかもしれない。
そう考えると、代々の皇帝が自分の子孫を広く残すという行為は、むしろ歓迎すべき行いなのかもしれないな...』
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メアリー
『なんだよぉ~それぇ~、ドラゴンボーンはやりたい放題って事じゃねーかぁ~』
39
カズ
『だからこそ評議会の言い分も、モラルの点から考えて一概に否定はできないんだよ...』
40
椿
『そりゃぁそうですよねぇ~、私もきっと評議会に一票入れる思う...』

椿は恨めしそうな目つきで口にした。
41
メアリー
『でもよぉ~それじゃぁ椿の祖先は、タイバー・セプティムって事になるんだよなぁw』

メアリーは歯を合わせてキシシッと笑みを浮かべている。

椿
『ちょっとメアリー、変な事考えないでよねぇ~』
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メアリー
『変な事って何だよぉ~?』

椿
『すぐ人に喋っちゃうんだからぁ~』

どうやらメアリーという人物は、仲間内の広報担当のようだ。
43
カズ
『この事に関しては、一切口外しない事を薦めるよ...』

メアリー
『あれ?そうなのかぁ?』

どうやら肴にしようとしていたのは図星らしい。

カズ
『真偽のほどは不明だが、帝国はスキャンダルを恐れて多くのドラゴンボーンを始末してきたと言われているんだ』

椿
『し、始末って...?』
45
カズ
『秘密裏の処刑...暗殺だよ。
今に始まった事じゃないが、ミード朝になってからが特に酷いという話は、ウェイレストでも有名だった。
国防を理由にその手の組織に仕事を請け負わせるなんて事もあるらしい...』

椿
『ええっ!』
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椿は焦り辺りを見渡して不信感を振りまいた。
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デルフィン
『私達の側にいる間は心配ないわ。
ブレイズの本来の仕事は、秘密を墓まで持っていく事よ。
異にドラゴンボーンに関しては、専門分野だから心配いらないわ』

デルフィンはそれを察し、椿に言い寄る。
彼女は少しホッとできたのか、胸をなでおろした。
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デルフィン
『まっ、どちらにせよ、ここでのあなたの最初の仕事はこれよ』

彼女はダガ―の刃を掴んで柄を差し出す。

椿
『え?』
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デルフィン
『え、じゃないわよw
あなたがドラゴンボーンだって事は確認できたわ。
だからあの扉の開け閉めができるのは、あなただけよ』

椿
『...き、切るの?』
48-1
デルフィン
『切らなきゃ血は出ないでしょ?』

椿
『い、痛そうだなぁ~^^;』
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デルフィン
『情けないわねぇ~あんたそれでも騎士団の団長なのぉ~!?』

椿はうねり声を上げ、明らかに嫌そうな目つきでデルフィンを見やった。
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デルフィン
『そんなに難しくないわ。
刃を指の上に置いて、少しだけ引けばいいのよ』

椿
『えぇ~だってぇ~><;』
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ごねる椿に苛立ちデルフィンはナイフを構える。

デルフィン
『だってもクソもじゃないでしょっ!さっさとやりなさい!』

椿
『わぁ~おっかな~いよぉ~><;』

咄嗟にメアリーを盾にして隠れた。
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メアリー
『おぃ、よせよぉ~』

デルフィン
『よせって、これはあんた達の問題でもあるのよ!?
王冠を手に入れられなきゃ、ディバイドを救える手立てが無くなるのよ!?』
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メアリー
『分かってるけど、まぁ~あれだよ...本なんかの物語じゃ、ナイフで手を切るなんて平然とやるだろうけど...なんであれ、切れば当然痛いからなぁ~』

彼女は自分の頬の傷を指さして言った。
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デルフィン
『ちょっと切るだけよ!すぐ終わるし、傷もすぐ塞がるでしょ!』

メアリー
『でもよぉ~^^;』

カミリア騎士団として、リーダーを守る気持ちも解らないでもない。
だが堅物なデルフィンとしては、この程度の事で椿の腰が引けるなど信じられなかった。
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エズバーン
『おーい、デルフィン』

護衛のタケオを含めエズバーンとカズの三人は、扉が閉まった後にすぐ対応できるよう、中で待機している。

エズバーン
『ナディアの時と同じようにやってもらえばいい』
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デルフィン
『そんなのダメよっ!』

エズバーン
『時間が無いんだ。その方が早いし、怪我もしなくてイイだろう』
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デルフィン
『あのバカのやった事は、祖先を冒涜している事と何ら変わらないのよっ!』

エズバーン
『早くしてくれ!扉の後ろが見たいんだ!!』

エズバーンにはどうでもいい事らしい。
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メアリー
『そのナディアって奴の時って、どんな事したんだよ?』

椿
『怪我しなくてイイなら、やってあげるよ^^』
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デルフィンは二人を背にしてボソッ口にする

デルフィン
『...を...はくのよ』

椿・メアリー
『え?』
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デルフィン
『唾を吐くのっ!!』
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キツネにつままれたような話だが、そんなに手軽ならという事でさっそく唾を飛ばしてみた。
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すると床の刻印が、まるで生き物のように波打ちを始めた。

椿
『うわぁあぁあぁあぁあぁ~』

メアリー
『つばきっ!』
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椿
『おぉおぉおぉおぉ~』

心臓の鼓動の様に地面が激しく揺れる。
彼女は思わず尻餅をついてしまった。
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振動が止まると、今度は地面から上空に向かって真っ直ぐ白い光の柱が伸びていく。

椿
『これが聖蚕の光...』

その光は、昼間の陽光よりも明るく辺りを照らした。
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同時に顔の扉が、石と石とがこすれ合う音を響かせ、天井から離れてゆっくり降りてくる。
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カズ
『おおっ!』
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最後はズサンッという衝突音と共に、扉は閉じてしまった。
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メアリー
『やったぜっ、ツバキィ!』

椿
『”唾液”に反応するんだァ~おもしろ~いw』

デルフィン
『うるさいっ!!』

デルフィンの必死の抵抗は空しく終わってしまった。
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一方扉の裏では...確かにそれはあった。

エズバーン
『あったぞっ!』

カズ
『ありましたね』
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【黒檀の爪】...これこそが詩歌の一説[銀の夜を舞う竜]の事らしい。
爪とはよく言ったモノで、ドラゴンの手の平の形をしており、腹の部分に三つの絵柄が彫り込まれている。
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エズバーンはそれを手に取ると、誇らしげに笑顔を浮かべた。
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閉じていた扉が再び動き出した。
どうやら外にいたドラゴンボーンが、鍵穴を動かしたようだ。
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厳めしい表情が、ゆっくりとこすれ合う鈍い音を立てて天井に終われる。
貴重な瞬間に出くわせた事は、私にとっても喜ばしい事だ。
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しかしエズバーンは、また額にしわを寄せ難しい表情を浮かべていた。
手にした爪に目を落としながら、そのまま喉を鳴らしている。

エズバーン
『う~ん...』

カズ
『...どうかしたんですか?』

彼はそのままゆっくりと口を開いた。
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エズバーン
『お前さんはデルフィンに、”尖った王冠は呪われている”と語ったそうだな?』

カズ
『えぇ、その通りです』

意外な事を指摘された気がした。
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エズバーン
『ふむぅ~...それは共通している内容だ。
だが私は呪いなど...最初から無いと考えている』

何を思いついたのかわからないが、老人の言動は自信に満ちているようだ。

カズ
『いったいどうしてです?』
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エズバーン
『今回はお嬢さんが扉を開けてくれたが、その前にこの扉に鍵を隠したのは、いったい誰だと思う?』

思いもよらない質問が返って来た。
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カズ
『う~ん...ウェイレスト王立図書館に秘蔵されていた...【亡命者】に書かれていた詩歌。
あの詩歌は...オーカーの...後継者が書き加えたと思われるので...』

エズバーン
『うむ、後継者か...』
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デルフィン
『違うの?』
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エズバーン
『グラム・オーカーは、第二紀中期の頃にアカヴィル大陸から渡ってきたツァエシだ。
彼等も長寿らしいが、オーカーがどのくらい生きたかはわかっていない。
だが彼は恐らく、ハイロックを最後の地にしたと思われる』

ディバイドのメロサが、自分はその血を引いていると語った以上、これは事実なのだろう。
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エズバーン
『この聖堂は、その頃には既に存在していた。
そしてこの扉を開ける事が出来るのは、ドラゴンボーンだけだ』
75-1
エズバーン
『オーカーはツァエシだったが、ドラゴンボーンだった可能性は...限りなく低いだろう。
だが、彼がハイロックに足を踏み入れてから...約250年後くらい...
えっとぉ~...何年になるかな?』
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その年で一番近いドラゴンボーンと言えば...

カズ
『...第二紀827年...タロスが生まれた年です』
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エズバーン
『そう、その通りだっ!』
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カズ
『ま、まさか...後継者と言うのは”タイバー・セプティム”だと仰るのですかっ!?』

エズバーン
『おかしいか?』

カズ
『いやっ、しかし...あ、あまりにも突飛かと...』
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エズバーン
『タロスが次に歴史の表舞台に出てくるのは、シロディールでの”サンクレトールの戦い”だ。
そして彼が最初に征服したのも、ハイロックだ』
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ハイロックとシロディールを行き来するには、海路を行くか、スカイリムを経由する事になる。
エズバーンは、おそらくその間にタロスが、スカイ・ヘイヴン聖堂に足を運んだのでは?と言いたいのだ。
82
エズバーン
『確かに突飛と言えは突飛だが、タロスなら王冠の呪いも解けたかもしれん。
あるいは、元々無かったのかもしれん...』

カズ
『なら、どうして封印の儀式なんて?』

エズバーンは私の目をしばし凝視する。
そしてゆっくりと一呼吸置くいてから口を開いた。
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エズバーン
『タイバー・セプティムという男は、若干27歳にして王座に着いた男だ。
零帝が暗殺され、その子息がいなかっただけの理由で出世し成り上がった者でもある。
経験豊富な周りから見ればそれは、嫉妬や妬みの対象にしかなず、年齢から見てもただの”若造”と、ずいぶんあしらわれたに違いない』
83-1
エズバーン
『さて、ここで問題だ。お前さんが当時の彼と同じ立場であり、手元に”尖った王冠”が有ったとしたら、それをどう思う?』

唐突に振られた私は少し焦ったが、慎重に思考を巡らし、ゆっくりと言葉を綴った。
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カズ
『わ、禍の元...』

エズバーン
『どうして?』
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カズ
『”尖った王冠”は、スカイリムを統治する真の王の証。
天に二日、土に二王無しという言葉が示すように、誰かに預ければ、愚かな若造と思われ自分以外の者が王に...それは反乱の種なるはず。
逆に破壊すれば、ノルドの貴重な遺産に手を掛けた事で、これも愚か者とあだ名され、中傷の的になる...』

そこにエズバーンは、すかさず言葉を挟んでくる。
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エズバーン
『タロスにとって王冠は...ハッキリ言って有ろうが無かろうが、どうでもいいのだ。
彼にとって重要なのは、自分の地位を脅かされない事。
その為には、王冠は呪われていた方が、都合がいいと思わないか?』
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カズ
『あっ...なるほど、そういう事か...』

私は重要な事を先に読み解かれた気がして、ややも悔しかった。
だが反面、エズバーンという老人に対して敬服の念を抱かざる得ない。
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メアリー
『呪われている方が都合が良いって...どういう意味だよ?』

デルフィン
『呪われてる物なら、誰も近づかないし、誰も掘り起こさないって事よ』

椿
『あぁ~そうかぁ~!』
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デルフィン
『しかもその儀式をやったのが、タイバー・セプティム本人なら、なおさら誰も手を出さないわ』
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エズバーン
『まぁこれは、今ここで思いついた仮説でしかないがな...』

皆エズバーンの話に喉を唸らせた。
当の私でさえ、その時は一点の曇りも感じ取れないほどスッキリできたのだから。
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だが何故だろうか?
どうしても腑に落ちない。
確かに呪われていれば誰も近づかないし、誰も掘り起こさない。
タロス本人がそこまで手を下せば、誰もがきっと信じるだろう。
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しかし果たして...タムリエルの統一まで成した男が、鍵を隠してまで封印するような事を実際にやるだろうか?
最高権力者だというのに...それとも、やはりこの話の通り、統一する以前にやった事だったのだろうか?
杞憂にも似た不安が過る...だが、少し考え過ぎかもしれない。
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最も今回は、ドラゴンの襲来というトラブルがあった事も有り、思わぬ収穫が得れたのも事実だ。
個人的なシコリは残っているにせよ、これで仲間の命を救えるかもしれないと思うと、少し心の荷が降ろせた気がした。

後編へ続く...



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[備考]

◎イフレ
ボズマー(ウッドエルフ)が信仰する自然の神であり、彼等はこの神に植物を傷つける事を固く禁ずる誓いを立てている。
ナディアの過去の経験からこのような形にさせてもらいました。
特に悪意がある訳ではなく、『郷に入っては郷に従え』という言葉もあるので、別段珍しくはない事だと思います。

◎スノーベリー
スカイリムの雪が良く積もっている場所に自生している赤い実の植物。
甘いベリー系の植物らしく、スノーベリーパイなどもある。
冷気のみならず、炎、雷などの耐性を持つ優秀な錬金素材にもなる。

◎元老院と帝国評議会(Elder Council)
元老院の主な仕事は、王や皇帝に対して助言及び諮問する事。そして空位時代の元首代行となっています。
映画【グラディエーター】では、【元老院=国民であり、国民に選ばれた、国民の代弁者】と表現していました。
ですがTESでの彼らは少し違っているらしく、特にオブリビオンクライシス以降の第四紀初期においては、皇帝に選ばれた多種族における少数の貴族で構成されていたようです。
恐らくこれはユリエル七世の頃の元老院の事だと思われます。因みに皇帝は彼等の決定を拒否する権限がありました。
帝国評議会は元老院を含めた議会の事で、第四紀初期の皇帝空位の時代を共に支えたという意味ではブレイズもここに含まれているんじゃないかと思われます。

◎タイバー・セプティムの家系
家系についてはUESPで公開されていますが、これを翻訳されたPapenさんのサイト【Manor's Bookcase -セプティム朝の皇帝の系譜図-】を参考にさせてもらいました。
A
◎ドラゴンファイア
マーティンが亡くなりドラゴンファイアが消えた後、オブリビオンとの境界を守るために、アカトッシュは新たな結界を作ったらしいですが、それがどんな結界なのかはわかっていません。
実際200年前に起きたメイルーンズ・デイゴン出現の際の出来事により、マーティンがアカトッシュのアバター(依代)となり、ドラゴン像になったのは分かるのですが。
そのドラゴン像が今も存在しているかについては不明でした。
ただし白金の塔は大戦の際に破壊されているので、この像ももしかすると破壊されているかもしれませんね。

◎ドラゴンボーンの暗殺
物語上真偽は不明です。
一応SOSでの設定では、第四紀に入ってからが最も激しいとしました。

スカイリムでは、プレイヤーキャラがドラゴンボーンとわかると闇の一党が引切り無しに刺客を送ってきます。
このランダムイベントに意味を持たせました。
闇の一党クエストに関わると送ってこなくなるようですが...他の暗殺ギルドからは送られてきますw

またここにはタイバー・セプティムが【アーリービヤード】、【ヒャルティ】、【タロス】など複数の名前を持つ事の意味も暗に含ませています。

◎唾液と血液
スカイヘイヴン聖堂の顔の扉を開ける際に、血液ではなく唾液を使ってみました。
唾液は血液から作られるので、成分的にはほぼ一致しているそうです。
近年では唾液から人の健康状態を知る事ができるとか...そのうち血液検査は不要になるかもしれませんねw
本当かどうかは分かりませんが、唾を吐き続けると唾液を作るのが間に合わなくなり、血液が出てくるんだとか...

◎零帝
皇帝クーレケインの事。
タロスが仕えた主君であり、ハイロックの暗殺者によって殺された。
この時タロス自身も首に深い傷を負ったらしいので、その頃の傷をSOSでは再現しました。

クーレケインには子息がいなかった事でタロスが王を名乗りました。
彼はよほど人望があったのではないかと思われます。
ただし27歳にしての即位なので、当然それを面白く思わなかった輩もいたと思われます。
その為彼は、日々様々な面で自分を磨いていったに違いありません。
そんな中での”尖った王冠”の仮説なのですが...あくまで仮説ですw

因みにSOSでのタロスはナディアが自作しました。
一応セプティム硬貨の顔を参考に若くして作成しています。
B
B-1
◎天に二日(ふたじつ)無し、土に二王(におう)無し
カズの言った『天に二日、土に二王無し』とはこれを略しています。
要するに”天=空に太陽が二つ無いのと同じように、一国に二人の王はいない”という事です。

横山光輝さんの三国志では、さらに略して『天に二日二王無し(ふたじつふたおうなし)』と書いてあったと思います。

2018/1/27/18:00


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