SOS第十三話EP2ようやく公開いたします。

今回のお話しは、二つのテーマを上げております。
一つはリディアの負傷を通して、ポエットの過去から現在に至る心情や、彼女を取り巻く環境。
そしてもう一つは、置いてきたはずの過去が追い掛けてきます。
ナディア達の優しくも厳しく、そして固い【絆】、そこに関わるポエットの立ち位置。
リディアは助かるのか?
イオナは?
アルギスは?
そしてロザリーは?

さらに! 夏だけに! 怖~い・・・SSが置いてあります
覚悟のある方だけご覧くださいw
覚悟の無い方もご覧くださいw
興味のある方は、画像大き目にして、よーーーーく見てみてくださいw
(トラウマになっても知りません( ゚Д゚)ボルァ!!)

また、このストーリーの為に、新しくフォロワーさんを作成いたしました^^
このフォロワーさんには、既にバックストーリーも作成済みです。

なんだか、より一層自分でも面白くなってきましたw
今回のお話しは、今までで一番長くなっていますw
SSの総数150枚・・・ちょっとやり過ぎのような・・・
スイマセン・・・m(_ _;)m
ホントにお時間のある時にでも、お楽しみいただければと思いますm(_ _)m

また今回から登場人物の紹介ページを設けています。
一番上にある『SOSブログについて』の画像をクリックorタップしてください。


1
ホワイトランの入口は騒然となった。
アルギスはリディアを抱え、遮二無二に走った。

ストームクローク兵A
『そこをどけ!!』

ストームクローク兵B
『道を開けろ!!』

兵士達が前方の道を開けるために、障害物を退かせる。
3
ナゼーム
『くそぉ~、ストームクロークの野蛮人どもめ!』

ナゼームは兵士に押され、尻餅をついてしまった。
4
リディアは出血の酷さから、意識が朦朧(もうろう)しはじめていた。
アルギスの両腕に抱えられながら、かすかに瞼を開け、通りすがる人々の姿を目にする。
ぼんやりとだが、見慣れている顔ばかりだったので、誰が誰なのかは理解できた。
男たちの怒声だけは耳によく響いた。
5
アルギス
『ダニカは!?』

ホワイトラン衛兵
『キナレス聖堂です!!』

ストームクローク兵
『負傷者だ!!道を開けろ!!』
6
リディアが最後に目にしたのは、微睡(まどろ)む意識の向こうに見える、ロザリーとセラーナの影のような姿だった。






7
それを目にしたロザリーは、アルギスを追い掛け問い詰める。

ロザリー
『何処を怪我したの!?』

アルギス
『胸を刺された!』
8
衛兵が聖堂のドアを開ける。
リディアを抱えたアルギス、ロザリー、そして兵士達はその中に吸い込まれて行った。

その様子を後ろから着いてきたポエットとイオナが見守る。
9
ドアがバタンと閉まった。
その音が、皆の胸中を駆け巡るように強く鳴り響いた。

彼女達は、何かから取り残されたかのように・・・ただ某立ちするしかなかった。






10
ナディア達が、ウィンドヘルムに向かう前夜の事である。

皆が寝静まった頃。
ロザリーは書斎の暖炉の前で本に読みふけっていた。
11
エリジウムエステートの書斎は、ナディアとリディアの部屋となっている。
明日のウィンドヘルム出発を控え、いつもならもう寝静まっているはずだったが、彼女達はホワイトランのブリーズホームに行ってしまった。
ナディアは、二人の娘と遊ぶと言って聞かなかったので、リディアも同行し御守(おもり)をしに行ったのである。
12
ポエット
『ロザリーさん・・・』

ポエットが部屋の入り口に立ち、小声で彼女を呼ぶ。

ロザリー
『あら、こんな夜更けにどうしたの?』

ロザリーは相変わらずの笑顔を見せ、彼女を部屋に招き入れた。
13
ポエットはややも落ち着かない様子だ。

ポエット
『あの・・・一つお聞きしたいことがありまして・・・』

ロザリー
『何かしら?』

ポエット
『あの・・・その・・・』

彼女は聞き方に迷っている。
14
ロザリー
『そんなに聞き難い事なの?』

ロザリーは笑顔で返してくれた。

ポエット
『あ、いや・・・そういう訳ではないんですが・・・^^;』

ロザリー
『???』
15
ポエット
『ロザリーさんはどうしてここに来られたのかな?・・・と思いまして^^;』

ポエットは気まずそうに視線を右上に向けた。
16
ロザリー
『親が娘の顔を見に来るのは、いけないのかしら?』

ロザリーは平然と答える。
17
ポエット
『えっ!あ、そ、そぉですよねア( ̄∇ ̄;)ハッハッハ』

ロザリーは大きな瞳でポエットの表情に目を向けた。

ポエット
『す、すみません、変なことを聞いてしまって^^;し、失礼します・・・』

そう言うと彼女は部屋を後にしようとした。
18
だがロザリーはおもむろに口を開く。

ロザリー
『ドラゴンボーンなんですって?』
19
ポエット
『え?』

その言葉にポエットは足を止めた。
20
ロザリー
『ここに来るまでに、あの子の色んな話を耳にしたわ』

ポエット
『あ、はぁ・・・』
21
ロザリー
『スカイリムは大変ね・・・アルドゥインの復活に帝国との内戦だなんて』

ポエット
『でも・・・アルドゥインは、ナディアが倒してくれました^^』

ロザリー
『ええ、それも聞いたわ^^』

ポエットはキョトンとしてしまった。

22
ロザリー
『ここに来たのは、ナディアの忘れ物を届けに来たのよ。
渡しそびれちゃったけどね^^』

ポエット
『ああ、そうだったんですか^^;』






22-1
ロザリー
『ポポちゃん』

ポエット
『あ、はい?』
23
ロザリー
『あなたたち、ナディアを担ぎ上げて一体何をしようとしているの?』
24
ポエット
『え・・・』

ロザリーの表情は一変し、まるで自分を敵視でもするかのように睨みつけていた。
ポエットは戸惑いを隠せなかった。
25
ロザリー
『私は戦略には疎い方だけど、今の帝国は衰退の一途を辿っている。
何れ帝国がサルモールによって、取って変わる可能性は大なんじゃないかしら?』

ポエット
『・・・』

ロザリー
『なのに、ナディアが反乱側に着いたっていう話も聞いたわ。
ナディアがドラゴンボーンだというのなら、どちら側に着くのではなく、大人しく静観している方が懸命だと思うんだけど?』
26
ロザリー
『反乱側に着くという事は、現状から考えて、最も困難な道を選んだ事になるわよね?』

ロザリーは、ポエットにグサグサと矢を打ち込むように口にする。
ポエットのこめかみを一筋の汗が流れる。
27
ロザリー
『スカイリムには確か・・・上級王制度があるわ』

ポエット
『・・・』

ロザリー
『私が知る限り、歴代の上級王は全員ノルドだったはずよ』
28
ロザリーの言葉は、まるで追い詰めた獲物に、ナイフを向けてジリジリと迫ってくるような感覚があった。
ポエットは身動き一つできず、自然と両の手に拳を握りしめていた。
29
ロザリー
『ブレトンのナディアを上級王にするつもり?』

果たして多くの年月を重ねた事が要因なのか?
それとも、多くの経験が言わせている事なのか?
彼女の言葉は、ポエットにこの上ない衝撃を与えた。
何故なら、心内(こころうち)の殆どを、今日来たばかりの人物に完全に把握されてしまったからである。
そしてポエットには、その事が手に取る様に理解できた。
30
ポエット
-ダメだ・・・この人は知っている-

彼女は観念するように、力なく言葉にする。

ポエット
『そ、そうです・・・』

ポエットの言葉は掠れ、ロザリーと視線を合わせるのを嫌がった。
31
ロザリー
『という事は・・・それだけじゃないわね?』

しかしロザリーは、更に追い打ちを掛ける。
彼女の目は、まるで子供を叱りつける大人の目をしていた。

ポエット
『・・・』

ロザリー
『スカイリムを足掛かりにするつもりなのね?』
32
ポエットに戦慄が走った。
そして背筋から一気に体温を奪われたような気さえした。
彼女の頭の中には”この人はもしかしたら・・・危険なんじゃ?”
その疑問でいっぱいになった。
33
ロザリーはため息をし、一間置くと話し始めた。

ロザリー
『昼間に私を見て、アルドメリのサルモールを警戒した事。
そして今、私の質問に対して戸惑いを見せた事・・・
あなたは、ナディアに変な虫が着かないように警戒してくれているのよね』

ポエット
『そ、そんな変な虫だなんて><;』
35
ロザリー
『分かっているわ・・・
ただ、タムリエルの歴代皇帝と言えば、その殆どがドラゴンボーンの血筋だったと言われている。
マーティン・セプティムが最後のドラゴンボーン。
でも彼は死に、現在の皇帝であるタイタス・ミード二世は、ドラゴンボーンではない。
となれば、ドラゴンボーンであるナディアにはその資格がある。
あなたはそう思っているんじゃない?』

ポエットは固唾を飲んだ。

ポエット
-すっ、すごい・・・-
36
ロザリーは、再びため息を漏らす。
そして暖炉の方に目を向けると、悲しげな表情を浮かべた。

ロザリー
『ごめなさいね・・・私は・・・私はあなたを責めている訳じゃないの・・・
ただ・・・あの子には、いえ、あなたた達には、私の様になって欲しくないのよ』

その言葉にポエットはハッとした。
37
ロザリーは再びポエットに向き直った。

ロザリー
『私はね・・・ナディアの事は、あなた達よりずっとよく知っているつもりよ』
38
ロザリー
『私も若い頃は血気盛んだったから、自分から戦争に参加したわ。
当時の私は、良い悪いなんて考えていなかった。
誰かの命を奪う事で、誰かの命を救った。
単純にそれは、名誉な事なんだと思っていた。
・・・でも残ったのは、多くの者を傷つけたという痛み。
そして、多くの近しい者を失った失望感だけ。
あの子を救えば、自分も救われるなんて思った時期も確かにあったわ。
でもそれは、ほんの一瞬の出来事。
血塗られたこの手を、ただナディアという手袋をして隠していただけなのよ。
未だに自分の事を、なんて烏滸(おこ)がましい存在なんだと、卑下する毎日を過ごしているわ』

ロザリーは淡々とした口調で語った。
だがその語りには”止めて欲しい”という重い意思が強く滲み出ていた。

ポエットには返す言葉が見つけられなかった。
40
ロザリー
『”戦争”っていうのはね。
沢山の傷跡と柵(しがらみ)は残っても、得る物は何もないの。
そして憎しみだけが、再び争いを産むのよ』

ポエット
『・・・』
41
ロザリー
『あなたはチンパンノルドよね』

その言葉にポエットは思わず驚いてしまった。

ロザリー
『あなた達の種族が、ウッドエルフによって故郷を追いやられ、未だに紛争を繰り返している事も知っているわ』
42
ポエットは一瞬こう思った。

ポエット
-この人はいったい、どこから来たんだろう?-

ロザリー
『そして何年もの間、辛い思いを繰り返し、放浪生活を続けている事も知っている。
だからあなたにだって、誰にも推し量れない程の痛みや悲しみ、辛さ、そして孤独があるはずよ』
43
ポエットは嘗て自分たちが、ウッドエルフによって心無い仕打ちを繰り返された事。
父が自分を守るために必死だった事を思い出した。
それは”凄惨”の一言に尽きた。
殺し殺され、そしてまた殺し、耳障りな悲鳴が飛び交い。
あちこちと血しぶきが飛び、世界が真っ赤に染まり、そこではどんな色も色あせてしまうおぞましい光景。
ただ一つ、まるで生を受けたかのような、どす黒い影だけがそれを覆い隠す事ができた。
まるで最初から何もなかったかのように・・・

しばし二人との間に無言な時が流れた。
44
石台の上にリディアは寝かされた。
既に意識が無いまま、体は徐々に生気を失い始めていた。
45
ロザリー
『あなたっ、何しているのっ?』

ダニカ
『え?麻酔薬を飲ませるのよ』
46
ロザリー
『彼女は意識が無いのよ!そんな物もう必要ないわ!』

ダニカ
『え、で、でも・・・』

ダニカがオドオドし始める。
48
ロザリー
『ここは私がやるわ!あなたは熱い湯を持って来て!』

彼女は強い口調で一括した。
48-1
ダニカにとってみれば、ここの責任者であるプライドがある。
なのに、まさか他所者に指図されるとは、思いもよらなかった。
彼女は目をギョロリとさせ、歯を食い縛り、ロザリーに無言の攻撃を仕掛けた。
49
ロザリーはその目にイラッとした・・・

ロザリー
『消毒用のお湯よっ!早く持ってきなさいっ!!』

普段滅多に声を荒げる事など無いのだが、この時ばかりの彼女は違っていた。






50
ロザリー
『でも私には・・・あなたがどんな気持ちで、自分の夢や希望をナディアに託したのか、分かるような気がするわ』

ポエットは、自分がうつろな表情を浮かべているのがわかった。
51
ロザリー
『私には、あなた達に”止めて”と言える権利は無い。
それに私は養母よ、実の母親じゃない。
だからこれから言う事も、ただの”我がまま”にしかならない事も分かっている・・・
でも知っておいて欲しいの。
たとえこの世界が、どんなであったとしても、あの子にだけはこんな辛い思いはして欲しくないの!
実のお母様も、きっと同じように望まれるはずよ。
それは、お母様も、私も、ナディアを愛しているからよ!
何よりも大切な存在なの!』

52
ポエットは、一人の女性の重い言葉に打ちひしがれていた。
誰も人形ではない、人には心があるから人でいられる。
確かにロザリーの言う通り”我がまま”ではあった。
だがそれは、たとえ血の繋がりは無くとも、それでも愛情を持って育ててきた親としての当然の言葉である。
それを都合よく利用している自分の方こそ、寧ろ彼女を蔑(ないがし)ろにしているのかもしれない。
そしてその心の叫びは、自分がいかに愚かな存在なのかを教えてくれていた。

ポエットの両目は自然と涙があふれ、ポロポロと零(こぼ)れ落ちていた。
53
たまらずロザリーは抱き寄せた。

ロザリー
『ごめんなさいね・・・あなたの気持ちを無下にするつもりじゃなかったんだけれど・・・』

彼女は知っていた。
現実と理想は大きくかけ離れている。
実際、既に戦争は起きており、一人の人間がやれる事など微細な事でしかない。
真の共存という道を見つけられない限り、この世界は殺し合い(戦争)から離れる事が出来ない事を。

だが目の前にいる小さな女の子は、そんな世界に毅然と立ち向かう決意をした。
ロザリーにとってそれは、嘗ての自分を思い起こさせるには十分だった。
53-1
ロザリー
『私は・・・長い間生きて来て、色んな事を見聞きしてきたわ。
その中で私が学んだ事はただ2つ・・・
自分は自分でしかない。
宿命からは逃れられないという事よ。
私はただ、ナディアがそうであって欲しくなかったの・・・』
54
ポエット
『宿命・・・?』

ポエットは、思いもよらない言葉を耳にした気がした。
55
ロザリー
『でも、あなたがここにいるって事は、ナディアがここにいて欲しいからなんだと思うわ。
ナディアが辛い思いをするのなら、私がそれを背負ってあげれば済む話よね・・・』
56
ポエットは、以前ナディアも似たような事を言っていたのを思い出した。

ナディア
『うん。でもウルフリックについてナディアもタロス押しって見られるのも嫌なのね。
でも、戦争になると罪もない人たちまで犠牲になっちゃうでしょ。
7:3って言ったのはさ、帝国についたらエルフの汚いやり方を認めることになっちゃうじゃん。
それならナディアが我慢して、ウルフリックについたほうが正しいんじゃないかなって思ったの』
(第八話)

だが同時に、ロザリーの言う”宿命”という言葉が胸に引っかかった。
57
ロザリー
『だから・・・私にも何かできる事があるなら協力するわ』

彼女は精一杯の笑顔をポエットに向けて見せてくれた。
58
嘗てのポエットは、沢山の死体を目にする度に胸が掻きむしられ、精神さえ何かに蝕まれていきそうだった。
それでも”死のう”とは考えなかった。
むしろ生き残るための術を身に着けようと考えた。
きっかけは一冊の書、ウッドエルフに対抗したカジートの事が書かれた【多兵科戦術】である。
幼かったにも関わらず、彼女はこれを応用し一族を助け、ウッドエルフを見事に撃退するに至った経緯があった。
これが始まりとなり、彼女は一族の習わしよりも、政治・兵法に強く惹かれ、スポンジが水を吸い上げるようにのめり込んでいく。
だがそれは、いわば現実逃避に近いものがあった。
次第に彼女は”戦”とはこういうモノなのだと、理解するよりも判別するようになっていった。
59
だがナディアの元に来てからというもの、彼女の人望の厚さ、ロザリーの重い言葉、イオナの普通の人にも似た涙、そしてリディアの負傷。
彼女自身、今までとは明らかに違うモノを感じ始めていた。







60
キナレス聖堂内は、嘗て経験した事のない緊張感で包まれていた。

ロザリーはアルギスに向き直った。

ロザリー
『セラーナを呼んできて!!』

アルギス
『セ、セラーナ?』

ロザリー
『早くっ!!!』

アルギス
『お、おうっ!!』

アルギスは慌てて外に出て行った。
61
更に近くにいた女兵士にも指示を出す。

ロザリー
『鎧を脱がせるのを手伝って!』

ストームクローク女兵士
『は、はいっ!』
62
ロザリーは、リディアを仰向けのまま両腕を頭の方に伸ばさせ、もう一人の兵士も巻き込んで胴体に覆いかぶさり、女兵士に鎧を引っ張らせた。

ロザリー
『シッカリ掴んでてっ!”せーの”で引っ張るのよっ!』

ストームクローク女性兵
『はいっ!』

ロザリー
『せーーのっ!!』

ストームクローク女性兵
『フンッ!!』

連携はうまくいき、鎧が一気にすっぽ抜けた。
女兵士は勢いで尻餅をついてしまった。
62-1
ストームクローク女兵士
『ひぃっ><;』

思わず口から戦慄(わなな)きが漏れ出てしまった。
床に転がっている鋼鉄鎧から、溜まりに溜まった血液が流れ出し、大きな血だまりが出来上がった。
63
ロザリー
『他の人は、ホワイトラン中の”清潔な布”をあるだけ集めて来てっ!!』

ストームクローク兵達
『りょ、了解しました!!』

指示を受けたストームクローク兵達が、聖堂の外に出て行った。
64
次の瞬間、ダニカはフンッ!と鼻を鳴らすと、ロザリーの傍に熱い湯を入れた洗面器を投げ捨てた。
勢いで跳ね上がった熱湯が、ロザリーの腕に掛かってしまった。

ロザリー
『あつっ!!』
65
イェンセン
『おいっ!ダニカッ!』

侍者のイェンセンが声を荒げる。
女兵士は、身震いしながら怒り顔でダニカを睨みつけた。
彼女は踵を返し、そのまま聖堂から出て行ってしまった。
65-1
ロザリー
-よかった、リディアさんには掛からなかったみたいね・・・-

ロザリーは少し安心した。

ロザリー
-死ぬのはまだ早いわっ!私が必ず助けてあげる!-






66
外には、更に多くのストームクローク兵が集まってきていた。
リディアが刺された現場に、直接居合わせた者の姿もあった。

アルギス
『セラーナ!』

セラーナ
『?』

アルギス
『ロザリーのお袋さんが呼んでるんだ!一緒に来てくれ!』
67
セラーナは腕組をして険しい表情を見せた。

セラーナ
『私は・・・中に入れませんことよ・・・』

アルギス
『な、なんでだよ!?』
68
セラーナ
『む、無理なモノは無理ですわ!』

アルギス
『そんな事言うなよっ!!』
69
セラーナ
『キャッ!?』

思わず悲鳴を上げる。
セラーナは、背中を誰かに押されたような感覚に襲われた。
70
セラーナ
『ちょっと!やめて下さらない!?』

咄嗟にポエットかイオナの仕業では?と疑り、左を振り向く。
71
だが彼女の目に入ってきたのは、自分の腕を掴んだターニアの姿だった。

セラーナ
『な、なんですの!?』

ターニア
『心配するな吸血鬼の女。
この娘と一緒にいれば、問題は無い』
72
セラーナは驚く。

セラーナ
『あ、あなた・・・だ、誰ですの?』

まともに話せないはずのターニアが、流暢に言葉を綴った。(SOS第十二話EP3)
73
アルギス
『おい!セラーナ!セラーナ!』

セラーナは驚いたままアルギスに向き直った。

セラーナ
『えっ?』

アルギス
『お前、大丈夫か?』
74
セラーナ
『あ、ちょっ!!ちょっと!?』

ターニアは嫌がる彼女の腕をグイグイと引っ張り、強引に聖堂の中へと連れて行ってしまった。
74-1
そこにいた誰もが、そのドアの向こう側に視線を向けていた。
不安だけがポトリ、ポトリと落ちてくる。
ポエットを始めイオナ、アルギス、そして多くのストームクローク兵達が、言葉では言い表せない物を喉に詰まらせていた。
75
アルギスがおもむろに口を開く。

アルギス
『ナディアに伝えたほうがいんじゃねーか?』

ポエット
『はい、後で送ります・・・』
76
彼はそのまま項垂れてしまった。

アルギス
『そうか・・・じゃぁ俺は・・・着替えて外の後片付けをしてくるわ・・・』

イオナ
『アルギス・・・』

アルギス
『俺がここにいても・・・何もできねぇしな』
77
彼は兵士達を引き連れ、その場を後にした。






78
イオナは地面に座り込んでしまった。
点々と赤い血だまりが続いている。
ポエットにとってそれは、決して初めての経験ではなかったが、ジワジワと思い出すような痛みを感じた。
78-1
あの時の言葉が、胸の中で爪を立てていた。

【残るのは多くの者を傷付けたという痛みと、多くの近しい者を失った失望感だけ】

言わんこっちゃない!
彼女は胸が張り裂けんばかりだった。
79
ポエット
『イオナさん・・・』

イオナ
『なに?』

ポエット
『私は・・・間違っていますか?』
80
イオナは、彼女の言葉にどう返したらいいのか迷った。
様々な事が脳裏を駆け巡る。
”間違い”・・・その言葉が意味するモノに、胸の奥から込み上げる物を感じた。
81
イオナ
『止めなさい!
今あなたが迷ったら、私たちが今までやってきたことが不意になってしまう!』

ポエットはハッとするようにイオナを見やる。

視線を向けられたイオナは一瞬躊躇った。
こんな事を口にする気はなかった・・・そう見えた。
一間開けると、前の方に視線を移し話始めた。
82
イオナ
『ナディアと私たちは・・・ずっと一緒にやってきた。
血や種族の壁を超えて、家族のような繋がりを持っている。
私やリディアを始め、皆、時にナディアの親であり、子であり、そして時に兄弟姉妹なのよ。
でも私たちは、それ以前にナディアを主として仕えている。
だからいざという時は、ナディアの盾になる覚悟はできているわ。
それは、自分自身に厳しくあり、そして時に他人にも厳しくなければいけない。
私たち一人一人は、そういう鬼の心を持っている』
83-1
イオナ
『でも、戦争の現実を知らなかった・・・
あなたが来てから、この現実と真っ向から向き合う事になった。
目の前にいる敵は、山賊や盗賊、吸血鬼やデイドラとは違う。
私たちが今まで経験してきたそれとは、まったく異なるモノなのだと知ったわ。
でも同時に、今まで私たちが選択してきたことは、間違っていなかった事も知ったのよ。
リディアやジョディスもアルギスもカルダーも、きっと同じ気持ちよ。
なのにあなたが迷ったら、私たちは自分を否定する事になるわ!』
83-2
イオナのその言葉は、必死の焦りと、そして後戻りはできない事を示していた。
だが同時に、自分はナディアの家族に絶大な信頼を得ている事を、そして、いつの間にか自分も家族の一員として、ちゃんと迎え入れられていた事を知った。
-決して裏切れない!!-
83-3
イオナはポエットを睨みつけて言った。

イオナ
『鬼に徹しなさい・・・あなたにはその責任があるわ!』

ポエットは、自分の作戦のせいでリディアを傷つけてしまった事に、どこか自信を失い掛けていた。
無駄口を嫌うイオナの言葉は、自分を後押ししてくれるには十分な答えだった。
83-4
ポエット
『はいっ!!』

彼女は迷うことなく、ハッキリとした答えを出すことができた。
84
一人の衛兵がポエットに近づいて来た。

ホワイトラン衛兵
『ポエット殿、首長がお呼びです』
85
ポエットはイオナに目線を向ける。

イオナ
『リディアなら心配いらないわ。
あの女はそう簡単に死ぬ玉じゃないのよ』

普段ムッツリ気味なイオナが、珍しく笑顔をのぞかせた。
86
イオナ
『何かあったら連絡するわ』

ポエット
『よろしくお願いしますm(_ _)m』

彼女は感謝の念を込めて一礼した。
87
ポエットはギルダーグリーンの外側を、一人の衛兵に連れられて歩いた。
するとやけに耳障りな声が聞こえてきた。

???
『恐ろしく強力なタロス!無価値な下僕である我々は称賛する!』
88
それは九大神の一人であるタロスを狂信的に崇拝する男の大声。
ヘイムカーの盛大な演説だった。

ヘイムスカ―
『八大神が九大神になる前!タロスは我々と共に歩まれた!偉大なタロス!神としてではなく、人間として!』

彼の演説は毎日のように行われているため、ウンザリしている者もいれば、ヘイムスカ―を頭のイカレタ変人と思う者も少なくなかった。
89
ヘイムスカ―
『北の大地に生まれしストームクラウンのタロスの力を見るが良い!我が息が長き冬となるぅ~!』

何を隠そうポエットもその一人だった。
だがこの時の彼女は違っていた。
不意に足が止まる。
90
ヘイムスカ―
『ああ、愛!愛!!人間としてさえ、タロスは我々を大事にして下さった!彼が我々一人一人の中に!スカイリムの未来を見ていたから!タムリエルの未来を!』
91
不謹慎と思いつつも笑みがこぼれてしまった。
そしていつもの変顔が始まる。

ポエット
『あ・・・!』

ヘイムスカ―
『我々こそが!エルフでもなく、彼らのおべっか使いでもなく、我々こそがスカイリムを支配する!永遠に!』
93
不意に衛兵の大きな顔が、ポエットの視界を遮った。

ホワイトラン衛兵
『ポエット殿?大丈夫ですか?』

ヘイムスカ―の演説に笑みを見せていた自分を見て、彼は気を利かせたのだろう。

ポエット
『えっ?あっ、大丈夫です^^;行きましょう~』
94
小っ恥ずかしくなってしまった。
彼女は衛兵を追い抜き、走ってドラゴンズリーチの階段を昇った。
誰かに何かを言われる前に、さっさとウィグナーの元にたどり着きたかった。
95
ホワイトラン衛兵
『そっちじゃありませんよ!ポエット殿!』

ポエット
『えっ?』

後ろから着いてきた衛兵が彼女を呼び止めた。

ホワイトラン衛兵
『行先は監獄です!首長がそこでお待ちなんです!』
96
ポエット
『監獄?』






97
監獄所のドアを開けて中に入る。
衛兵の言う通り、ウィグナーはそこにいた。
彼は新しく親衛隊長に任命した、シンミールと話をしていた。
98
ホワイトラン衛兵
『首長!ポエット殿をお連れしました!』

ウィグナーがそれに気づく。

ウィグナー
『おおポエット、忙しい所すまんな』

ポエット
『もしかして・・・バトルボーンの人たちに何かあったんですか?』

ポエットにしてみれば当然の質問だった。
99
ウィグナー
『いやいや、アイツらは大人しくしとるよ。
シンミール話てやれ』

シンミール
『実はぁ~、泥棒猫を一匹捕まえたんだが、そいつがお前に会わせろの一点張りでな』

ポエット
『泥棒猫?』

ポエットは眉を顰めた。
100
彼は席を立つと、容疑者のいる牢へ歩を進めた。

シンミール
『どこから侵入したのかは、まだ解っていないのだが、カルロッタの店から物を盗んだ所を目撃し、捕まえた』

ポエット
『そんな泥棒がなんで私に?』

ウィグナー
『なんでも重要な話があるそうなんじゃが・・・お前さんがいなきゃ話さんと言うのでな』
101
シンミール
『本来我々としても、警備上の問題があるので不本意なのだが、重要な要件だという事なので、首長と相談しこうして我々も同席しての謁見という形になった。
なので何かあれば、すぐにでも対処するつもりだ』

ポエット
『はぁ~・・・』
102
シンミールは牢獄の前に立つと、鉄格子をガンガンと蹴り音を立てた。

シンミール
『起きろ泥棒猫!お前の希望する人物を連れてきてやったぞ!』

???
『あ~』

彼はゆっくり立ち上がると、”やれやれ”と言わんばかりに近づいてきた。

ポエットは鉄格子の向こうに目を向けた。
確かに見覚えのある顔だった。






104
ポエット
『カ、カルジョ!?』

カルジョ
『オェ 友よぉ~ようやく来て くれたなぁ~待っていたぞぉ~♪ ゲッフ・・・』
105
ポエット
『こんな所で何してるの?』

カルジョ
『心配はぁ~いらないぞぉ~
お前が来てくれ たっ! という事はぁ~
カルジョはここから出れるという事だ』

カルジョは完全にろれつが回っていない。
105-1
シンミール
『そ、そんな約束はしてないぞ!!
それにお前!酔っぱらっているのか!?』
106
カルジョ
『カジートを酔わせてくれるのは、ムーンじゅガーのあぶいあぶい香り だけだ・・・
ハチミツじゃまだまだ 酔えないよ』
107
ポエット
『十分お酒臭いわよ。
それにそれっ!
いったいどこから持ってきたの!?』

ポエットは、カルジョの後ろに散らかっている物を指さした。
108
カルジョ
『こうぇは 持って来たんじゃない。
ななななんとぉ~♪
ここに入れられた時にぃ~ カルジョの ポケットに入っていたんだぁ~』

ポエット
『はぁ?』

カルジョ
『き きっと親切な へいへいさんが 哀れに思ったカジ―トにぃ お ぉ お 思いやりでし し 忍ばせてくれたんだろう』
108-1
シンミール
『そんな事をする訳ないだろぅこのバカ猫!!それに俺は親衛隊長だ!!』

さすがのシンミールも、まったく悪びれる様子を見せないカルジョに、堪忍袋の緒が切れそうだった。

カルジョ
『ノルドの隊長さん。
か かお 顔が・・・赤くなっているぞぉ~』
109
ウィグナーはため息を漏らす。

ウィグナー
『これじゃ話にならんな・・・』
110
ポエット
『カルジョは手癖が悪いんです・・・』(SOS第六話)

ウィグナー
『ああ?』

ポエット
『もう習慣になっているというか、無意識でやってるんですよ・・・』

ウィグナー
『いったいどういう教育を受け取るんじゃ・・・』
111
カルジョ
『あああっ!!!いかぁあああんっ!!』






111-1
カルジョ
『・・・もよおしてきた・・・』

シンミール
『・・・』






112
彼はおもむろに鉄格子に手をかけると、あたかも普通のドアを開閉するように押し開けてしまった。
そのなんとも自然な行為に、皆驚きを隠せない。
112-1
カルジョ
『へいへいさ~ん、出せる所はどこかなぁ?』

シンミールは唖然としてしまった。
112-2
シンミール
『き~さ~むわぁ~!!!
腐れ果てるまで此処に入れてやるわぁああっ!!』

カルジョ
『な!なんなんだいったい!?』

ポエットは彼の行動に呆れ果ててはいたが、どこかホッとした気持ちになれた。






113
スカッジは、焚火の前に屈むレッドガードの女性に温めたスープを手渡しした。
彼女はついさっき目を覚ましたばかりだったため、記憶がどこか曖昧で状況が旨く呑み込めていない。

スカッジ
『少しは落ち着いたか?』

スカッジは心配そうに声を掛ける。


『ここは・・・どこなの?』
114
スカッジ
『ここはクリフサイドっていう、狩人たちの休憩所みたいな場所さ』

彼女はハッとした。


『マルカルスに戻らなくては!!』

スカッジ
『落ち着けよ!今戻っても無駄に命を落とすだけだ!』


『どいうことっ!?』
115
スカッジ
『あんた・・・ファリーンだろ?』

ファリーン
『何故私を知っている!?』
116
スカッジ
『イグマンドの取り巻きの名前くらい知ってるさ』

ファリーン
『あなたは?』

スカッジ
『俺はスカッジ、レフトハンド鉱山を仕切ってる者だ』
117
レフトハンド鉱山とは、マルカルスの街を出てすぐ右手にある鉱山である。
ここには小さな集落があり、数人の家族と鉱山夫達が暮らしていた。
118
ファリーン
『あれからどれくらい経ったの?フォースウォーンは?マルカルスは?・・・』

ファリーンは焦りからか、思い出す様に矢継ぎ早に問い詰めた。

スカッジ
『落ち着けってば・・・俺たちだって必死に逃げてきたんだ』
119
スカッジの話によると、ダイレグの娘であるエリースが、サルヴィウス農園から現れたフォースウォーンの大軍を目撃し、自分たちに知らせ命辛々に逃げ延びたのだという。
しかし、コルスケッガ―鉱山の山小屋の前で、落石の山を発見し已む無く遠回りをする事になった。
119-1
山小屋の少し手前にある、急斜面の山道を登って【恋人の石碑】の前で一晩、眠れぬ夜を過ごした。
翌日早朝に出発したのだが、カース川沿いの道に戻る訳にもいかないので、更に高地に登り遠回りをする事にした。
119-2
だがその途中でマリアと言う女が、モンスターと戦かっていたのを目撃。
彼女が護衛に着いてくれ、カースワスティンを通り過ぎ、橋を渡ってブロークン・タワー要塞の手前で左折、道なりに山を上り無事ここに辿り着けたとの事。
あまりいい知らせではないが、彼女のおかげで近くの帝国軍の野営地が壊滅させられていた事も知ることができた。
120
スカッジ
『道中フォースウォーンの残党には出くわさなかったけど、モンスターや獣に鉢合わせてね。
マリアが全部退治してくれたんだ^^
彼女がいてくれなかったら、今頃俺たちも・・・』

彼も疲れ切っていたが、マリアにはどれほど助けられたか、心から感謝している事が表情から滲み出ていた。
121
スカッジ
『すまんね・・・俺たちもここに着いたばかりなんで、マルカルスがどうなったのかは知らないんだ・・・
鉱山内にいた仲間達に伝える余裕すらなくてね・・・くっそぉ!フォースウォーンの奴らめっ!

スカッジは一瞬悪態をついたが、諦めたようにため息をついた。
ファリーンは、彼らの境遇に言葉を失ってしまった。
122
ファリーン
『そうだ!フョトラという女の子がいなかった?』

彼女は肝心な事を思い出し問い詰める。
123
スカッジは小屋の方に視線を向けた。

スカッジ
『一緒にいた女の子なら、小屋のベッドに寝ているよ。
あの子があんたを救ってくれたんだ・・・』

ファリーンの目線からは、フョトラの丸まった背中しか見えなかったが、思わず安堵のため息が漏れた。
124
???
『子供は良い物だな。
誰であろうと何であろうと差別をしない・・・』

不意に聞き慣れない声がファリーンの耳に入ってきた。

スカッジが気づき紹介する。

スカッジ
『ああ~この人がさっき言っていたマリアだよ^^
俺たちを助けてくれた』

ファリーン
『ああ・・・』

浅黒の肌に銀色の髪。
そして怪しくも美しく光る翡翠の瞳。
見たこともないような深淵色の鎧。
彼女は自分と同じレッドガードだった。
124-1
マリア
『腐った馬鹿共(大人)を助けるよりは、ずっと価値がある。
あの娘はずいぶんと気丈だったぞ。
お前の居場所を教えるためにな』

マリアはギロリとファリーンに目を向けただけだった。
彼女の愛想の無い態度と言葉に、ファリーンは思わず眉を顰めた。
だが自分が居を置くマルカルスを思えば、確かにとしか答えられない。
124-2
スカッジ
『あははは(;'∀')・・・
フョトラだっけ?
マリアの言う通り、小さいのによく頑張ってくれたよあの子は^^
目が覚めたら感謝したほうがイイな^^』

すかさずスカッジがフォローに入った。

ファリーン
『ええ・・・そうね』
125
マリアは焚火の前に座ると、軽く自己紹介を始めた。

マリア
『紹介が遅れたな。
マリアだ。
私はエバーモアから派遣された、いわば特使だ』

ファリーン
『私はファリーン、マルカルスの従士よ・・・エバーモアって・・・あなたレッドガードでしょ?』
125-1 125-7-2
マリア
『生まれはダガーフォールだ』

つまりはハイロック生まれのレッドガードという事である。

ファリーン
『帝国の特使って事?』

マリア
『少し違うな。
実はある人物を追っている』

マリアは懐を漁り、二枚の手配書を広げて見せた。






125-3
マリア
『この女達を見たことはないか?』

ファリーンは難しい表情を見せながら、マジマジと手配書に目を落とした。
そこには二人の女の似顔絵が書かれていた。
一人の女の顔は知らぬ顔だった。
だがもう一人の顔は・・・見覚えがある。

ファリーン
-ナディア?-

マリア
『どうだ?見覚えはないか?』
125-4
ファリーン
『さぁ?・・・見たこともないわ・・・』

ファリーンはシラを切った。

マリア
『ふむぅ~・・・そうか』

ファリーンには、マリアがもっと残念がると思ったのだが。

ファリーン
『この二人が何をしたの?』
125-6 125-7-1
マリアはファリーンの顔を横眼で見やると、一間置いてから話始めた。

マリア
『”リーチ事変”を知っているか?』

ファリーン
『・・・たしか・・・ドラゴンスター傭兵団がウェストリーチを占拠して、帝国が追い払うために、リーチを焼け野原にしたって事件よね』

マリア
『大衆は時に都合のいいように解釈するものだ。
まるで帝国軍が悪者のようにな。
だが、帝国がリーチを焼け野原にしたのは、傭兵崩れを追い払うだけが目的ではない。
その場所で正体不明の奇病が発生したからだ』
125-6-1
ファリーン
『正体不明の奇病?』

マリア
『その奇病をバラ撒いたのが、この二人だと目されている』

ファリーンは内心焦った。
この女の言っている事がもし本当なら、ナディアは国を脅かした大罪人と言う事になる。
125-7
マリア
『エバーモア評議委員会は、この二人を最重要人物として指名手配しているのだ』

ファリーン
『その二人がスカイリムにいるってこと?』

マリア
『それについてはまだわかっていない。
まぁ、15年以上も昔の話だ、名前すら覚えている者もいないほど、古いからな』
125-6 125-7-1
マリア
『だがあの事変の直後に、帝国軍将校の一人に匿(かくま)われ、その将校がスカイリムに逃亡させたのではないかという情報を掴んだ。
評議員はこの二人が、スカイリムとシロディールのどちらかに潜んでいるのではないかと考えている』

ファリーン
『シロディール?』
125-1 125-7-2
マリア
『エバーモア評議員は、シロディールと繋がりを持っている。
あとはいわゆる、灯台下暗しだ。
だが私は、スカイリムの方が有力だろうと考えている』

ファリーン
『どうして?』

マリア
『内戦をしているからだ。隠れ蓑には打って付けだろう』

ファリーン
-ハイロックは現時点ではまだ帝国領土であることは変わりない。
エバーモアがシロディールと繋がっていると言うなら、帝国も二人を手配しているはず・・・
とはいえ時間が経ち過ぎているために、見過ごしているという事か-
125-8
マリアは、彼女に向かい合う形で視線を合わせた。
ファリーンは背筋にゾクッとするものを感じた。

マリア
『いずれにせよ、時間の問題である事には変わりはない。
自分の読みが外れた事は無いからな』

彼女は薄ら笑いを浮かべている。
125-9
マリア
『だが15年以上も逃げ続けたんだ。
よほど骨があるんだろう・・・少しは楽しめそうだしな。
煽りに煽ってズタボロになるまでイビってやる方が、私の性には合っている・・・』

ファリーンは初めて彼女を拝んだ。
顔の右半分が、大きな火傷の痕で赤く爛(ただ)れていた。
不気味な赤黒い肌が、翡翠の瞳を怪しくも光らせている。
それはまるで猛獣・・・いや、危険な悪魔が、定命の者に垂らした糸を一つ一つ切り落とし喜んでいるような、そんな不気味さを覚えた。







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◎自分は自分でしかない、宿命からは逃れられない
ポーカー勝負を題材にした映画、【ラウンダーズ(吹き替え)】に出てくる法律学の教授(マーティン・ランド―)のセリフから引用。
マット・デイモン エドワード・ノートン ジョン・マルコ・ビッチ ジョン・タトゥーロウ ファムケン・ヤンセンなどなど豪華俳優陣が出演した映画です。
これは真面目に面白です^^


この言葉をロザリーに引用させたのには意味を持たせています。
現在のポエットには、”母親としてのロザリーの言葉にしては不可思議だ”程度にしか思っていません。
また、今回のロザリーさんのお話しは、自己完結しているところがあり、どこか腑に落ちないと感じる所もあるかもしれません。
しかしロザリーには、ナディアと14年もの間、一緒に生活していたという事実があります。
その間に彼女が、自身の目で見てきたものとは・・・

ちなみに今回のロザリーさんとポポちゃんの対談は、SOS第十一話EP3においてチラッと出てきています。
これはポポちゃんが作った、ガルマルからの弊害の保険として、リディアがフッと思いついたSSに出していました。
なので実はこの部分は、この頃に作った文章なのですが、ずっと飛び飛びにしてようやく公開にいたったストーリーです。


◎多兵科戦術
第三紀394年に起きた、エルスウェアとヴァレンウッドの五年戦争でカジート達が使った戦術を分析した書物。
第一巻とあるのだが続きは見あたらない。
概要は、カジート達が樹木を伐採することで、ウッドエルフ達を誘い出し、兵力を分散させ彼らを壊滅状態まで追い込んだ事が書かれている。
ウッドエルフにとって伐採は罪という信仰がある。

今回ポエットが【戦】という点に関して【理解するよりも判別するようになっていった】と書いたのは、彼女には直接的に教えてくれた人物が存在していないためです。
本来ならば、そこに道徳的な事を教えてくれる先生が存在するはずですが、彼女は放浪民だった為に、一つ所に長く留まるという事があまりありませんでした。
当然ながら逗留する地によって、出会う人々はいたと思われますが、長期に渡り学ぶわけではないので、その殆どは多くの書物からの引用と応用が元を成しています。
彼女の道徳心は主に一族の慣習が元になっているので、ナディア達の考え方とは少し違う点があるという設定になっています。
その一つとして、ドアをノックするというマナーを彼女は知りません。
さらに言えば、人の家であろうと平気で勝手に漁り飲み食いし、寝泊まりします(SOS第七話)


◎ダニカ・ピュア・スプリング
ホワイトランのキナレス聖堂の神官。
内戦の影響でこの聖堂には怪我人もいる。
彼女は彼らのケア(治癒)も行っている。
一緒にいるイェンセンという人物が侍者ですので、おそらくこの聖堂の責任者だと思われます。
ちなみにスキルトレーナーでもあります。

Nadiaはスカイリム初期の頃、謝ってここの植物をひっこ抜いてしまった事があり、彼女に怒られました。
当然取ったモノは取り返されたのですが、知らないうちに賞金を掛けられてしまいました。
(この頃はスカイリムをよくわかってなかったんですねw)
何日かして夜中にホワイトランに戻って来た時に、突然数人の賞金稼ぎに襲われた経験があります。
それはあまりに突然の出来事で、レベルがまだまだ低かったせいもあり、殺られちゃいました・・・
要するにキナレス聖堂での一件が尾を引いていたために、狙われたのですが・・・
その後に【自然の祝福】のクエストを始めたんですけど、ネトルペインをダニカに取って来いと言われたので、取ってきてあげたのですが・・・
彼女のその時の言葉が、『そんな怪しい物触りたくない』そんな感じなことを言われた記憶があります。
『なんて野郎だこいつ!!!!』
そこから【ダニカ=根暗・陰険・性格悪い・クソビッチ】と答えを導き出しました。
なのでNadiaは個人的に好きなキャラではありません。
後にボコボコにしてやりましたがw


◎意識の無い状態で手術をする場合の麻酔
通常は意識が無い場合でも、全身麻酔はするんだそうです。
ただし、出血が多く具合が悪い為、全身麻酔には耐えられない時は無麻酔なんだそうです。
(医者ではないので詳しいことはお医者さんに聞いてくださいm(_ _)m)


◎セラーナがキナレス聖堂に入れない?
セラーナは吸血鬼であり、コールドハーバーの娘です。
コールドハーバーとは、【デイドラの王子】である【モラグバル】の支配する領域の事で、彼がタムリエルに吸血症という病を広めた張本人だとか。
つまりセラーナはモラグバルを支持している形になります。

一方【キナレス】とは、風や大気、空などを司る女神であり、タムリエルに於いて九大神と呼ばれる【エイドラ】の一人です。
極論から言えば【デイドラ=悪】【エイドラ=善】となり、お互い相容れない存在として位置付けられています。
”悪魔は神の家に入れない”といった所です。
だたしタムリエルでは、必ずしも【デイドラ=悪】【エイドラ=善】の構図式は成り立ちません。


◎イオナがポエットに言わんとした事・・・
この行においては、グダグダになるので余分な文章をだいぶ削除しました。
これはスカイリムにおける、リディアやイオナなどの従者職について独自の解釈を加えています。

基本的に各都市の首長職に就く者は、土地の有力者や高い功を成した者などが指名される。
そしてその周りを固めるのが、親族や友人が殆どであり(執政や従士)、そして彼らはそれぞれに私兵(従者)を持つ事になる。
その私兵になる者の殆どは、街の衛兵職を経ている。
大雑把ではあるが、これがスカイリムにおける身分制度。
というSOS独自の設定です。

しかし時として、ドラゴンボーンのような異例中の異例もあったりします。
ある日突然姿を現し、高い功を成し、首長さえその能力を認めざる得ない程の有能な人材。
彼らの元に恩賞の一つとして、強制的に【私兵(従者)】として回されてしまう者もいたりする。
回された者は、順風満帆だったはずの出世コースから外されたと言っても過言ではない。
今のところ”リディア”はその典型と言えます。(SOS第十三話EP1 イリレスとの確執で厄介払いされた)

彼らの人生は、仕えた従士によって運命づけられることが多い。
従士の従者になった者は、その従士が今後どのようにして功を成していくのかによって、自らの地位の高低が決まってしまう。
故に従者一人一人は、自身のそして家族の人生すら掛かっているために必死になろうとする。
リディアやイオナ達に家族がいるかは不明。

つまりは、宮仕えをし出世コースを選ぶという事は、ある意味大きな【博打】と表現できると思います。
本編においてイオナが『今まで私たちが選択してきたことは、間違っていなかった事も知ったのよ』と表現したのは、この点を指しています。

ちなみに登場初期のポエットは、首長に直接ナディアの従者として任命された訳ではありません。
ホワイトランでクーデターを起こし、ウィグナーを首長に置く事で、正式に従者と任命されています。
なので第十話EP3にて、ライラに対し自らをナディアの従者と名乗っていますが、第九話のバルグルーフには適当な事を言っていますw


◎ポエットの変顔
何かを思いつく、面白いことを妄想しているなどなど・・・
SOSの彼女は、咄嗟に出てきたアイディアに対して、こういう表情を見せる癖があります。
第十一話EP3にもチラッと出てきましたw
これはSOS特有の癖なので、お見知りおきを・・・m(_ _)m


◎シンミール
ホワイトランの首長がウィグナーに変わると、彼が親衛隊長に任命されます。


◎カルジョ
覚えておられる方もいると思いますが、ポエットがナディアの元に来る前に出てきたカジートです。
彼の一言が、彼女を突き動かしたのかどうかはわかりませんが、ポエットとは旧知の仲という設定です。
カルジョの過去は、SOS第六話にて執筆済みです。
とはいえ手癖の悪さは変わっておらず、更にレベルアップしているようですw
彼がなぜホワイトランの牢獄に繋がれていたかは、後々書いていくつもりです。

しかし、ゲーム内における彼はここまでチャランポランではありません。
ただし彼の発言から、過去に大きな失敗をし、それが為に今は反省をしているという形になっています。
SOSにおいての彼は、”人の性格はそう簡単には変えられない”という事から、また同じことを繰り返しているという設定になっています。


◎マリア
実は今話を作成するうえで、急遽作成した新しいフォロワーさんです^^;
ファリーンとフョトラを助けてくれる人物を、ずーーーーーっと考えていましたw
それこそ十二話EP3を作成している時からだったのですが、この部分だけがなかなか定まらず、ようやく自作するに至りました^^;
きっかけは【BLASCK LAGOON】です。
ですので彼女は、言わずと知れた【フライフェイスことバラライカ】がモデルとなっています。
マリアには、美しさや可愛らしさは求めませんでした。
寧ろ【強烈な個性を持つ指揮官・灰汁の強いならず者】などに偏って作成しました。
なので女性でありながら、顔の傷を隠さず、寧ろ相手を威圧するように見せつけています。
ただ性格が少々ネジ曲がっており、争い事や鉄火場を好む性分なので、戦争屋という点については似ているかもしれません。
加えて瞳の色を緑にすることにより、その美しさの裏に異質さ異様さを加えてみました。
彼女に関してのバックストーリーは既に完成済みです。


◎ナディアとファリーン
ナディアはマルカルスの従士職に就いています。
ファリーンはナディアが、嘗てマルカルスに多大な貢献をしてくれた事から、イグマンドより任命された事を知っています。
ですが、ナディアがドラゴンボーンであるという事実は知らない設定になっています。
ですので”ドラゴンボーンが反乱軍に着いた”という表面上の話は聞いていますが、ナディアが反乱軍に着いたという事は知りません。


◎リーチ事変
この事件はSOSにおける架空の事件です。
タムリエルの歴史には登場していません。
詳しくは、SOS第十一話EP2にて公開中です^^


◎エバーモア
ハイロック西方の都市。


◎揺り木馬レース
大の大人が、みっともない賭け事をしつつも楽しんでいる様子をSSにしてみましたw
ただそれだけw


☆☆おまけ☆☆(冒頭別バージョン)

A1

ストームクローク兵
『邪魔だどけぇ~!!!』

ナゼーム
『ぐわぁあああ!!』


A2

ストームクローク兵
『邪魔だっつってんのがわかんねーのかよ!!』

ナゼーム
『そんなに踏まなくてもいいだろぅ!!』

ストームクローク兵
『この辺ウロチョロすんな!撮影の邪魔だっつてんだよっ!!』

ナゼーム
『ごめんなさいぃいい><;』


END




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