お待たせいたしました。
ようやく第十一話EP3公開いたします。

今話のテーマは【大改革】です。
こういうお話しは、めんどくさかったり、難しかったりして、人によって好き嫌いあるかもしれません。
しかし、様々な方向性からできる限り思案して構築した次第でございます。
もしかすると『あり得ない』なんて思う方もいるかもしれません。

なので純粋にそうなんだなと思っていただければ幸でございます。

それではお楽しみください。

あっ・・・スイマセン・・・また長いです><;
短くしようとしてるんだけどなぁ~・・・

1











2












3

衛兵A
『テメ―の酒じゃねーだろう!!』

衛兵B
『うっせーなぁ!!ちょっともらっただけだろうがっ!』

五人の目に、激しく口論する衛兵二人の姿が目に入った。
どうやら一本の酒を巡って言い争いに発展したようだ。
しかも一人が、武器を取り出している。

味方同士の争いに四人は足が止まってしまった。

4

ガルマルの護衛役をしていたピアスが、たまらず割って入った。

ピアス
『やめろ!二人とも!』






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酔っ払い
『おい!!ジジイ!!邪魔なんだよっ!』

中年の男性が昼間から酔っ払い、気弱そうな初老の男性に蹴りを入れている。






6

トマト泥棒
『逃げろっ!!』

ニラナイ
『ちょっと!あんたち待ちなさいよっ!!!』

更に後ろでは、子供たちの盗人がトマト一つを盗んで逃げていった。






7

ガルマルもナディア達も、信じられない光景に目を丸くしていた。

ガルマル
『いったいどうなっとるんじゃ?』

彼もこの状況に困惑を隠せない。

リディア
『これじゃ・・・王都とは思えないですね・・・』

ポエット
『盗みや奪い合い、それに昼間から酔っ払いとは・・・オカシイですね?物資が足りてないんですか?』

ウィンドヘルムは食料の貯蔵量が他の地域に比べて多いはず。
かつてストームクロークに所属してたポエットには、疑念を抱かずにはいられなかった。

ガルマル
『そんなはずはない。物資の配給はヨルレイフに任せていたんじゃが・・・きっと何か手違いがあったんじゃ』

ガルマルは先に状況の確認を取る事にした。
三人には、後で迎えを寄越すのでキャンドル・ハースホールにて待機するよう伝えた。
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ガルマル
『ウルフリック!』

ウルフリック
『戻ったかガルマル・・・』

彼は安堵のため息をつく。

ガルマル
『外のあの状況は、どういうことなんじゃ!?』

ガルマルは予想外の出来事にやや慌てている。
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ウルフリック
『ヨルレイフ・・・』

ウルフリックは気まずそうにヨルレイフに話を振った。

ヨルレイフ
『三日前、食料貯蔵庫に何者かが火を放った』
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ポエット
『ええっ!?』

エルダ
『おかげで貯蔵庫は丸焼けよ!
この間の戦のせいで、シャッター・シールドは破産!
おまけに東帝都社まで撤退!
物資も全然入ってこないもんだから、こっちはとんだトバッチリよぉ~><;』

ポエット
『食べ物の値上げはそのせいですか・・・』

エルダ
『硬貨も鉄くず程度しか価値は無いけど、無いよりましだわ!』

キャンドル・ハースホールに待機させられた三人?は、宿の女将であるエルダに街の事情を聞いていた。

リディア
『他の都市からの援助はどうなってるの?』

エルダ
『リフテンに伝達兵を送ったらしいけど、無しのつぶてよ><;
ウィンターホールドは元々は寒村だしね』

リディア
『カイネスグローブは?』

エルダ
『あんな所から援助なんて受けられるわけないでしょっ!小村よっ!自分たちがやっていくのに精一杯だわ!』

リディアとポエットは顔を見合わせる。
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エルダ
『あら?そおいえば・・・リフテンの首長はここにいるのよねぇ~?』

ポエット
『え?ライラ首長がここにいるんですか?』

エルダ
『ええ、それだけじゃないわ。他の街の首長達もここにいるはずよ』

ポエットはすぐさま思いついた。
ガルマルの仕業だと。

ポエット
『シールド家が破産ってどういうことです?』
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エルダ
『あの爺さん、立て続けに身内に不幸があったでしょ。
この間の戦で貴重な労働力をウルフリックに取られて、いよいよやる気を無くしたってことよ』

シャッター・シールド家はウィンドヘルムにおける名家である。
彼の持つ会社は、スカイリムにおいて東帝都社と肩を並べていた貿易会社であった。
だが先の帝国と反乱軍との戦いの際、ウルフリックはダンマーとアルゴ二アンが帝国と内通していることを知り、彼らを一斉検挙したのである。
この二種族は東帝都社及びシャッター・シールド家にとって貴重な労働力だった。

リディアがあることに気づいた。

リディア
『あら?ナディアは?』
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シルダ
『あの爺さん、かわいそうにねぇ・・・闇の一党がらみで娘を失い、奥さんはそれを悔やんで自殺・・・その上今は自身が物乞いだなんてね・・・』

ナディア
『シルダァ~食べ物がないのぉ~?』

シルダ
『あたしにとっちゃ毎度の事だけど、町民にとっちゃ普段の生活が変わるのが怖いのよ』

ナディア
『う~ん・・・><』
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シルダはこの街で有名な物乞いである。
毎日夕方ごろになると、正門前をウロウロし、か弱い声で旅人や町人からせびっていた。
とはいうものの、実を言えばとんでもない狸でもある。
”不可視”のあだ名は伊達ではなく、スリの達人でもあるのだ。
ナディアは盗賊ギルドに入る際、スリの技術を彼女から学んでいた。

ナディア
『シルダ!いっぱい持ってるんだから出してあげればいいじゃん!』

この言葉にシルダの目つきが急に変わった。
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シルダ
『何言ってるのさっ!あたしゃ何も持っちゃいないよっ!!』

彼女は大声でナディアに怒鳴る。

ナディア
『うわぁ!!ごめんなさいっ!!』

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シルダ
『とはいえ、こんな状態じゃ・・・あたしも商売上がったりだよ・・・』

ナディア
『そうなのぉ~?』

フルダ
『疑うんだったら自分で確認してきたら?』

ナディア
『みんな困ってるのにそんなことしちゃいけないよぉ~><;』

シルダ
『なんでもいいのよ。とりあえずは、空腹を満たさないと荒れる一方よ』

ナディアが腕組をして考え始めた。
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ナディア
『そうだ!いいこと思いついちゃった^^』

シルダ
『ああ?』
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エルダ
『何事だろうね?』

皆が急ぎ駆け足で外へ出ていく。
リディアやポエットもキョトンとしてしまった。

すると黒ひげを蓄えた中年の男性がエルダに言った。
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ロンリー・ゲール
『エルダ!外で配給を配ってるらしいぞ!』

エルダ
『何ですって!』

エルダは急ぎ身支度を済ませると、そそくさと表で出て行った。
いつの間にか宿屋から人の喧騒が消え去り、後にはその勢いに圧倒された二人だけが残された。
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リディア
『配給が配られたってことは、まだ残ってたのかしらね?』

ポエット
『王宮や兵舎の貯蔵庫を開けたのかもしれませんね』

リディア
『あたしたちも行ってみましょう^^』

ポエット
『えっ?でも、迎えを待たないと・・・』

リディア
『ちょっとくらい大丈夫でしょw』
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リディア
『どうやら市場の方でやってるみたいね^^』

ポエット
『市場?』

彼女は眉を顰(ひそ)めた。

ポエット
-王宮の貯蔵庫を開けたのなら、市場じゃなく王宮前でやると思うんだけど・・・なんで市場なんかに?-

現場に近づくにつれ声は徐々に大きくなっていった。
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『おらっ!男は最後だよ!女子供が先っ!!』

あまり聞きなれない大声だったが、ポエットにはその声の主が理解できた。

ポエット
-シルダ!?-
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リディア
『随分と親切な人もいるものねぇ^^あれきっと個人よ。いったい誰かしら?』

ポエット
『あはは・・・^^;』

リディアは配給元の主が気になってしょうがない様子だ。
意外とミーハーなんだなぁとポエットは思った。

二人は群衆の中をかき分けて前へ出る。
だがその途中リディアが言った。

リディア
『あれ?ナディアじゃない?』

ポエット
『え?』
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ナディア
『はいはいはい!ならんでぇ~ならんでぇ~^^』

老町民
『いいのかいこんなに貰って?』

ナディア
『うん!大丈夫!』

子供
『ありがとう^^』

町民
『助かったぜナディア!^^』

町民
『さっすがドラゴンボーンは違うわねぇ~♪』

ナディは次々と出される手に、一つ一つ小麦粉を入れた袋を手渡していった。
皆その慈善行為に感謝の言葉を投げかけていく。
配給品を手にした者は、大切に両手で抱えていたり、喜んで上に向けてみたりと大はしゃぎだ。
間違いなく皆一様に笑顔を見せていた。

だが・・・そんな中でただ一人、その行為に青ざめた表情を浮かべていた者がいた。
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ポエットである。









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ポエット
-しまった!見られた!-

衛兵の急ぎ走っていく様子を目にした。
それを見たポエットは思わず口元を手で覆い隠した。
彼は王宮へ向かい、ナディアが配給品を配ったことを伝えに言ったのだ。

ポエット
-これは・・・まずいような・・・-

市場での騒ぎは、ものの三十分程度で治まった。
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人々は口々にナディアを褒め称えていた。

ナディア
『ああもぉ~そんなことないってばぁ~^^』

本人はと言えば、あまりに褒められて上機嫌を通り越して恥ずかしがっている。

シルダ
『あんたもやるねぇ~たまげたわ』

ナディア
『シルダ!手伝ってくれてありがとうぉ^^』

リディア
『ナディア!』
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ナディア
『あっ!リディア^^ポポちゃん^^』

リディア
『あんないっぱいの小麦粉、いったいどこにあったの?』

ナディア
『ヒジェリムだよ^^あそこの隠し戸の部屋に入れて置いたんだよ^^』

ポエットが慌てた様子で二人に駆け寄る。
二人の手を掴むと急いで人気の少ない墓地に引っ張っていった。
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すると彼女は二人にある不安を打ち明けた。

リディア
『それってただの嫉妬じゃない!?』

ポエット
『ガルマル殿は決して嫉妬深い人ではありません。
ただ、彼はストームクローク家の2代に仕えている重臣です。
ウルフリックに対しては・・・息子のような感情を持っています。
それに、一見穏やかに見えますが、その実非常に頑固です。
軍内部においても、彼以上に頑固な人は見当たりません。
ナディアに対しては、おそらく他家の娘という意識が強いでしょう。
ウルフリックがナディアに劣るなんて、決して認めたくないはずです』

リディア
『でも、そういう行為なら今まで沢山してきたでしょ?』

ポエット
『今までは家の外での話です。今回はウルフリックのおひざ元です・・・』
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リディア
『かぁ~・・・』

リディアは不味い物を口にした時の表情をした。

ナディア
『そんなぁ~><;いいことしたのに何でそうなっちゃうのぉ~!?』

ナディアはあからさまに不満を漏らす。
するとポエットはため息交じりに口にした。
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ポエット
『どうなるかわからないので、一応・・・保険は掛けたのですが・・・』

ナディア
『うーーーーー!?』

リディア
『保険?』
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その後三人は、王宮からの使者に連れられ、城の城門前でウルフリック達と鉢合わせた。

ウルフリック
『待っていたぞ我が兄妹(きょうだい)よ!よく来てくれたな^^』

ウルフリックはナディアを感謝の気持ちを持って抱擁し、笑顔で迎えてくれた。
ナディアは苦笑いをしていたが、ポエットとリディアは気まずそうな顔を現している。

ウルフリック
『さぁ、入ってくれ!』

彼は三人を手招きして王宮に先導する。
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城に入ると、いつもは中心にあるテーブルが除かれ、ストームクロークの猛者達がズラリと立ち並び、まるで三人を威嚇するように兜の下から覗き込んでいた。
これはガルマルが仕掛けた心理作戦だった。
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ストームクロークに加わるにおいてのある種の試験でもあるのだが・・・
ナディアは微塵も臆する様子を見せなかった。






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ウルフリックは三人を奥の作戦室に案内した。
するとそこには、反乱軍の錚々(そうそう)たる顔ぶれが揃っていた。

リフテンからライラ首長と私兵のアンミッド。
ドーンスターを追いやられたスカルド元首長にその私兵のジョッド。
ファルクリースより執政のテクラに護衛役のソリッグ。
ウィンターホールドよりコリール首長に、執政であり妻のタエナ。

ファルクリース首長のデンジェールは高齢のため、代わりにテクラが出席することになった。

ガルマルはホワイトランにてナディアたちとの会合を終えた後、すぐさま各地の首長に通達を出していた。
条項文を見た彼は、今後の反乱軍の方針変更もありうると考え、彼らになるたけ参加するよう促していたのである。

ウルフリック
『すまんな物々しい出迎えで。
だがドラゴンボーンが我々の味方になってくれるという話を聞いて、皆居ても立っても居られない様子だったのでな』

リディアとポエットは眉を顰める。
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ナディア
『ああっ!!屁こき親父!!!』

ナディアはスカルドを指さしいきなり信じられないことを口走った。

スカルド
『なんじゃと貴様!!なんたる無礼な奴じゃ!!』

首長達を始め全員、全く理解できない様子だ。
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ポエット
『ナディア!!突然なんてこと言うんですか!?』

警戒心からか、ポエットはナディアに大声を上げてしまった。

ナディア
『ポポちゃん知らないの?スカルドはオナラでドラゴン倒せるんだよ!!!』

ポエット
『ええっ!?』

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皆一様に”なんだと!”と言わんばかりにスカルドに目が行く。

スカルド
『何を訳の分からんことを言っとるんじゃ!!このクソガキめ!!』

彼は身に覚えのない言いがかりを付けられ悪態をついた。

スカルド
『だいたいお前はなっ!!』

たまらずウルフリックが割って入る。

ウルフリック
『スカルド殿!気持ちはわかるが、それは後にして欲しい!』

スカルドは思い切りナディアに不満をぶちまけたかったが、歯ぎしりして我慢した。(SOS第七話スピンオフ)
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破天荒な主君の唐突な一言ではあったが、緊張気味だったリディアとポエットは、少しだけ気持ちを落ち着かせることができた。

それでもガルマルの鋭い眼光は、ナディアに向けられていた。
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ウルフリック
『まずは、我がウィンドへムルの窮地を救ってくれた貴公ら英雄に感謝したい。諸子共々敬服している次第だ』

ウルフリックは簡単ではあるが、首長たちの前でナディア達に礼をした。

ウルフリック
『早速だが、貴公らを正式にストームクローク軍に迎え入れる前に、まずはこの条項文の内容についてだが』

これは、反乱軍へ加担するというナディアたちの条件が書かれた内容である。

ウルフリック
『重臣たちともよく相談し、全面的に受け入れる姿勢をとるつもりだ』

リディアは、彼の意外な言葉に少々面をくらった。

ウルフリック
『だが、今の我々にもできることとできないことがある。
また今後諸々の事情にて、お互いストームクローク軍の同志として、すれ違いなどが起きぬようにする為にも、
貴公らを交えて、じっくりと話合いをして行きたいと思う』
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ポエット
『かまいません』

ポエットは待ってましたと言わんばかりに気概を見せ、ウルフリックの前に立った。

ナディアたちがウルフリックに提示した条件は3つ。

まず一つ目は
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である。

だがこれには様々な弊害がついて回る。
ノルドは、自分たちの習慣や信仰について非常に高いプライドを持っている。
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当面の問題と言えば、先の戦の際に牢に閉じ込めた、ダンマーとアルゴ二アンである。
ポエットは彼らの恩赦付き釈放を求めた。
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ウルフリック
『我々ノルドがヤツらに対し、差別的な意識を持っていることは認めよう。
だがヤツらは我々を裏切った。
同じこの土地に住まう者としてそれは許せる事ではない。
まして恩赦などもってのほかだ。
それにもし釈放などしたら、帝国に走るに決まっている。
そうなればテュリウスに利するばかりだ』

ポエット
『彼らが帝国に走ることはまずありません』

ウルフリック
『何故そう言い切れる?』

ポエット
『彼らはここで仕事を得、生活をしているからです。
釈放したって何も変わりません。
普段の生活に戻るだけです。
寧ろ恩赦と生活の保障を与えれば、今まで以上の働き手になります』

ウルフリック
『それは随分と楽観的ではないのか?』
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ポエット
『門を開けようとしたのは、テュリウスに唆(そそのか)されただけです。
彼らのウィンドヘルムにおける立場を考えれば、そうなって当たり前だと思います!』

彼女のこの言葉にウルフリックは口を閉ざした。
ダンマーとアルゴ二アンは迫害の対象になっている。
ウルフリックは、これらの事実を見て見ぬふりをし続けていた。
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だがポエットは、兵卒の頃から彼らの事はよく知っている。
ダンマーやアルトマーが屯(たむろ)す、ニューグニシス・コーナクラブには、よく顔を出し交流を図っていた。
最初は珍妙な娘と煙たがられていたものの、対話をすることで彼らのおかれた状況の不満や葛藤などを、徐々にではあるが口にしてれるようになった。
アルゴ二アンに関しても、彼らが同族から故郷を追いやられた存在だということをよく知っていた。
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ポエット
『仮に帝国に走ったとしても、ウィンドヘルムに長く住まっていた彼らを、テュリウスが諸手を挙げて歓迎などしてくれるはずもありません。
またその逆があったとしても、常々スパイとして疑われ、生活も一からやり直し。
一兵卒に取り立てられたって、戦の最前線に置かれてさっさと死ねと宣告されるだけです』

現状から考えれば最もな理由だった。
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ポエット
『それに今!彼らに対する差別的な意識を変えないければ、それこそテュリウスに利することになります!!』

反乱軍はノルド至上主義を掲げている。
だが先の敗戦、兵の士気の低下、逃走兵および街を去る者の増加、さらには食料貯蔵庫の全焼など、度重なる問題がウルフリックの自尊心を削っていった。

ポエット
『ウィンドヘルムが火の車であることは事実です。
にも拘らずテュリウスは虎視眈々とホワイトランを伺っています。
我々には人材が必要なはずです!』

ウルフリックは額にしわ寄せ険しい表情を浮かべる。
ガルマルが溜め息交じりに口にした。
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ガルマル
『お前たちも知っているだろうが、食料貯蔵庫が燃やされた。
今のウィンドヘルムは物資が不足している。彼らを釈放しても回せる物がない』

ポエット
『王宮や兵舎の貯蔵庫を開けましょう。
それにホワイトランやファルクリースなど、遠方にもできるだけの支援をしてもらうんです。
そうすれば、何とかなるはずです』
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ドラゴンボーンが反乱軍に加担するという名目で恩赦という形を取り、
さらに帝国に加担した件は、一切問わないという事でダンマーとアルゴ二アンは釈放された。
彼らには、ウィンドヘルムに残出の選択肢を与えることにし、
残る者には生活の保障を、去る者には旅費を一定の額で支払うと約束させた。
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去る者もそれなりにはいたが、殆ど者がウィンドヘルムに残った。
ポエットの言う通り、帝国には自分たちの居場所など無いことを知っている為か、そちらに与しようとする者は一人もいなかった。
寧ろドラゴンボーンが反乱軍に加担することを知ると、彼らは喜び勇んで復旧作業に手を貸してくれた。
大多数のダンマーやアルゴ二アンは、ナディアに助けられた経緯がある。
彼女の人格を彼らは知っていたのだ。

(足場組めばよかった・・・)
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当然ながら彼らに対する差別は重罪として法を定めた。
早々に逮捕者が数人上がった。
その筆頭がロルフという男である。
彼は普段よりダンマーに対する不満を吹聴してまわっていた。
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ロルフは、ウルフリックの参謀であるガルマルの弟である。
彼は法が定まった事を知った瞬間激情し、釈放が決まった一人のダンマーに殴りかかった。
続々と聴衆が集まってくる中、ガルマルが姿を現したのである。
そして彼は、実の兄自身の手で逮捕された。
この事が、周りにいた町民や衛兵達にかなりの影響を与えた。
そのため二種族を迫害しようとする者はいなくなり、衛兵たちの気持ちが以前より引き締まったことは言うまでもない。

物資の不足はこの地域に多大な影響を及ぼしている。
だが、それよりも遥かに大きい問題がここにはある。
雪に覆われた僻地でありながら、大きな力を持った二つの輸送会社が機能していないのだ。
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ポエットはまずリフテンの首長ライラを問い詰めた。
彼女が言うには、自分たちも今日の午前中に到着したばかりで、その時に初めて知ったのだという。
ウルフリック自身も、物資より先に首長が到着したことに懸念を抱き、早急に捜索隊の編成をし、既に出発はさせていた。

そして肝心な今後の物資調達だが・・・
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ポエットは、カジ―トキャラバンの使用を強く推した。
彼らはタムリエルの最南であるエルスウェアから、内戦が激化している最北のスカイリムに来て、危うい地域を渡り歩き行商をしている連中である。
戦争は商売になる。
えげつない表現ではあるが、それだけに彼らの商魂は計り知れないものがあった。

当然ながら宮廷内においてもかなりの反発を招いた。
カジ―トは、スクゥーマの原材料になるムーンシュガーも売り歩いているからである。
それ故に彼らは、城はおろか街にさえ入れてもらえず、野外で自らテントなどを張り露店を行っているのだ。

特にライラは、この点において不満を抱かざる得なかった。
早々にポエットに食って掛かった。
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ライラ
『メイビンや盗賊ギルドをリフテンから追い出してくれたことは感謝しているわ。
でもカジ―トを街中に入れれば、また同じことの繰り返しになるはずよ!』

彼女はポエットに疑念の目を向ける。
だが彼女は寸分も怯(ひる)まなかった。

ポエット
『確かにライラ首長のおっしゃる通り、そうなってしまうかもしれません。
なので罪を犯した者は、処罰すればいいんです。
でもこれからの私たちは、どんな状況であろうと前向きな考え方を持ち続けなくてはいけません!』

ライラ
『前向き・・・?』
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ポエット
『私たちの本当の目的は、メイビンや盗賊ギルドを追い出すことではありません。
スカイリムから帝国を追い出すことです!』

大事の前の小事など気に病むなと、ポエットはライラを諭(さと)した。
彼女は、ライラがいかに正直で素直な性格なのか、前回の対談で理解していた。
だからこそ、細かい点まで説明する必要がないと判断したのである。
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ポエットは、カジート達に3つの約束事を守らせるのを条件に、各街中での店舗開設及び、領地内における貿易ルートの護衛を付けさせるよう首長たちに促した。
”スクゥーマとムーンシュガー、そしてそれに類似する品を【売らない】【買わない】【持ちこまない】”である。
カジート達にとっても商売の拡大は願ったりなので、二つ返事で受け入れてくれた。

とは言え、ウィンドヘルムは入ってくる物はあっても出ていく物がない。
干物を作るにしても時間もない。
手っ取り早い物ならば、木材、鉱物、海産物くらいである。
皆が大事に使っていた食料貯蔵庫が燃やされてしまった今、流通を円滑にさせるには更なる大きな利益を生む物が必要だった。

ポエットは更に進言する。
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ポエット
『ウィンドヘルムやウィンターホールドは海沿いの町です。塩を大量生産すればいいんです』

コリール
『塩だって?』

ポエット
『塩はどの家庭においても必需品です。錬金術士だって珍重します。どこに行っても売れるはずです』

ウィンターホールドの首長であるコリールは、興味津々に話を聞いていた。
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その事業は、まさに理にかなっていた。
塩は海水をろ過し、強火で水分を蒸発させれば済む話である。
だからそれほど時間のかかる作業でもない。
こちらから売る物が出来上がれば、流通が滞る心配も少なくなる。
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噂がが広がれば、カジ―トだけでなく、外国からの商人たちも集まってくる。
結果、生産量も増やすことができる。
仕事が増えれば人手も増える。
やがて国の財政も豊かになる。

ポエットは、今の反乱軍では帝国には到底敵わないことをよく知っていた。
各地の首長には”まず与えること、それから取る事”を政治の理念として徹底させた。
民が富めば、国が富む、財政が豊かになれば、兵が強くなる。
彼女は”富国強兵策”を彼らに強く推進させたのである。

そして二つ目は
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である。

ポエットは以前、ウルフリックにこう訴えた事があった。
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【兵にもっと訓練をさせ、上下関係をはっきりさせ、発言にも制限をかけ、軍律を厳しくするべき】だと。(SOS第六話)
63-1

反乱軍は言ってしまえば寄せ集めの集団である。
ウルフリックの意思に後押しされ着いてきた者たちが殆どであり、北方の蛮族と見られているノルドの集団だった。
正規の軍隊とは遥かにかけ離れた存在なので、戦い方一つとっても帝国のように訓練された戦い方ではなく、現地の獣を狩るスタイルが今日の基本となっている。
63-2

彼らは大きな戦槌や斧などを好んで使うため、剣を主戦力としている帝国には素早さに劣る。
さらに我流が多いため、剣術などの基本的な技術が劣っているのだ。
ただし弓の扱いだけは旨かった。
元々は極寒の地における狩猟民族だったせいか、この武器の扱いだけはヴァレンウッド出身のボズマーに引けを取らなかった。
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性格も大雑把な者が多かった。
なので家族や友人、知り合いにおいても相手には呼び捨てが基本。
今会ったばかりの相手でさえ、おい!お前!呼ばわり。
それだけならいいものの、官職に就いている上司にさえも呼び捨てを使う。
ただし、ウルフリックのように、各地の首長に対しては、敬意を持っているらしく珍しくデスマス調を使う。
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そしてポエットが何より懸念していたのが、”ノルド”と”酒”である。
彼らは仕事中でも平気でハチミツ酒やワインを口にする。(SOS第八話)
北方出身の彼らにとっては水代わりなのだろうが、アルコールが人にとってどれだけの害をもたらす物なのか、彼らには理解さえ出来ていなかった。

だが、先の敗戦の原因が間違いなく”酒”にあることをウルフリックは否定しなかった。
あの時酒さえ飲まなければ、あれだけの被害を出さずに済んだ事は明白である。(SOS第十話EP2)
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ウルフリック
『第二の項目についてだが・・・禁酒令を出した方が良いのではないか?』

彼にとっては、何度となく諫めてきた本人の前なので、それ以上の事をしなければと反省の意も含まれていた。

ポエット
『ノルドが縛られることを何よりも嫌うと言ったのは、閣下ではありませんでしたか?』

ウルフリック
『う、うーむ』

ポエット
『酒という物は報奨の一つと思えばいいのです。
私は彼らから奪えと言っているのではなく、その物の価値を上げろと言っているんです』

ウルフリック
『か、価値?』
67

ポエット
『価値のある物には誰もが寄ってきます。
いざ戦争になったとき、彼らは否応なしに死地に赴かなくてはいけません。
でも酒が自分たちにとって価値のあるものなら、誰も死のうなどと考えません。
生きて帰って旨い酒を飲もうと考えるはずです』

ウルフリックはポエットの最もな発言に溜飲が下がった。

ポエット
『その為の減り張りです』
68

以後反乱軍は、剣術指導を中心とした訓練を強化するようになる。
軍律や訓練を厳しくする代わりに、休養、休暇の息抜きを与えることとした。
だが、いざという時に動ける兵が一人もいないような事態を避けるため、交代制度を設けたのである。
69

今更になって、言葉遣いに関して事細かに説明する時間も労力もない。
だが食べる物や着る物、仕事やお金に不自由が無くなれば、道徳意識は自ずと高まっていくものである。
”衣食足りて礼節を知る”
ポエットの提示した条項は、全てに繋がって行く事を示していた。
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そして、現在の領土内において”能力のある者は種族問わず高禄を持って召し抱える”と布告を出した。
この布告は非常に高い効果を生み出すことになる。
”人の口に戸口は立てられない”とはよく言ったもので、反乱軍領土内に限らずスカイリム全体、
果てはシロディール、南のエルスウェア、そしてヴァレンウッドに至るまで瞬く間に広がった。
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すると様々な種族の入隊希望者が続々と現れた。
各地のオーク砦からオーシマ―と呼ばれるオーク達が、エルスウェア出身のカジ―トが、ハイロックにてリーチの騒動から逃れてきたブレトンが、
国を追われたダンマーやアルゴ二アンもさることながら、アルドメリの手から逃れてきたハイエルフやボズマーまでが次々と反乱軍に加わっていったのである。

反乱軍はたちまち不思議な軍隊が形成されるようになっていった。

彼らが集まった理由。
それはウルフリックへの賛同。新たな戦いへの渇望。
かつて帝国市民であった者。一族を追いやられた者。生活の糧を充てにする者。
その理由は様々で多岐にわたる。

だが”ドラゴンボーンを新たな盟主に”と考える者も確実にいた。
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余談だが、この日からポエットが夜な夜な薄ら笑いをするようになったのも言うまでもない・・・

そして最後の三つ目である。
これが、前述におけるポエットの不安に引っかかった項目だった。
73

前回、彼女が言っていた”全てを受け入れることはない”というのはこの事である。(SOS第十一話EP1)

ストームクローク軍における官職は、伝統色が強く”氷血の士”や”雪の鎚”はては”骨砕き”など、およそ他種族には受け入れ難い?理解ができない官職名が多かった。
ポエットは今後の見通しとして、他種族を取り込んでいくためにも、統一的な官職名を置く必要性を感じていた。
またこれらを置くことにより、兵士一人一人に目的意識を持たせ、優秀な人材を育成し、そして強い軍隊を作り上げる礎(いしずえ)になるのである。

だが問題なのは領主制度である。

ウルフリック
『これについて詳細な説明をして欲しい』

ポエットは、皆の前に立つと神妙な面持ちで口を開いた。
74

ポエット
『私は、現在ストームクロークが所持する領土をもっと強固な物にするために、簡略化したほうがいいと考えてます。
即ち、領土を三区分に分け、それぞれの区画に役目を持たせるのです』

コリールは眉を顰める。

コリール
『三区分?』

彼女はスカイリムの地図の前に立ち、言葉を綴る。
75

ポエット
『現在のストームクロークの領土は、北のウィンターホールドを始めとし、ペイルを挟みホワイトラン以南のファルクリース、そしてスカイリム東側一帯を所持しています』

彼女は地図を指で綴りながら語る。
75-1

ポエット
『そこで、ウィンターホールドとイーストマーチを併合、これをノース・ホールドとし。
そしてリフテンを含むリフトをイースト・ホールド。
さらにホワイトラン、ファルクリースを併合、これをサウス・ホールドとそれぞれ改称させます』

コリールとテクラは眉を顰めた。
76

テクラ
『何故そんなことを・・・?』

ポエット
『簡単に言えば、情報を密にし、更にお互いがお互い助け合えるという環境を作るためです。
ウィンターホールドは言ってしまえば寒村です。
物資の調達、援助が非常に厳しい場所です。
ファルクリースも南方との国境沿いの街ではありますが、城壁が無い分守りに適してはいません。
リフテンは中央からは遠いです。
なので、これらを三つのホールドに簡素化することにより、財政の共有、情報伝達、交通の便、物資の輸送などの簡略化が可能になります』

コリール
『領主制度を用いるってことは、首長制度はどうなるんだ?』
77

ポエットは地図の上に巻物を開いた。
そこには、簡単ではあるが領主制度における官職の役職名、及び職務内容が書かれていた。

ポエット
『首長制度に関しては据え置きをします。
現行の首長制度は一つの地域を丸ごと面倒を見ないといけませんでしたが、実際には手いっぱいの状況が現実です。
なので、各地の首長においては、基本的に自分たちの都市周辺のみの管理とし、他の領地の援助が欲しい場合は領主を通して了解を得る形となります。
ただし、今現在においては兼任や代行という形も止む終えないと思いますので・・・』
78

さすがにこれには、多方面からの質問や野次が雨霰(あめあられ)のように飛び交った。
山賊、野生動物およびモンスター、食糧、財政、支援、砦の増設、人材の確保などの質問が、彼女一人に矢継ぎ早に向けられる。
だがポエットは少しも臆することなく、次々と出される質問に一つ一つ丁寧に答えて行った。

彼女の提示した新制度は、ストームクロークに属する首長たち及びその市民にとって、計り知れない劇薬とも言える。
この事が為に更に別な弊害及び問題が発生することは分かり切っていた。

スカイリムには9つもの地域が存在する。
内戦勃発より各地の首長は、自分たちの街周辺の出来事で手いっぱいの状況で、それ以外の地域は殆ど放置に近い状態が続いていた。
なのでこうして各地の首長が集まり、情報を共有し合える機会も場も無く、また人数も多すぎるせいか意見も纏まり難く、皆好き勝手に行動するの当たり前になっていた。
過疎化が急速するウィンターホールドなどは、放置された地としてその典型と言える。

首長の上に領主という身分を置くことで、三人の代表になり、少ない人数での意見交換することで機会や場を設けやすくしようと考えたのである。
苛烈な論激が、たった一人の小さな女性に向けられる。
それでもポエットは、一歩も引く様子を見せなかった。
自身が最も信頼する主君を”上級王”にする為にも・・・

今まで黙っていたガルマルが、ここぞとばかりに重い口を開いた。
79

ガルマル
『領主制度は、各地の領主に自給自足をさせることだ。
土地が肥え、兵も強く鍛えることもできる。
だが、これは下手をすれば、一つの領地に大きな力を持たせる事もできるということじゃ。
となれば、謀反を起こそうと思えば、できるということではないのか?』

彼の目は細くそして鋭く、ポエットを刺すように睨んでいた。

リディアは思った。
80

リディア
-ガルマルの不信感によっておこる弊害の保険・・・そうか、あの事か・・・-
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ポエット
『ガルマル殿のおっしゃる通りです。
その懸念は間違いなくあるでしょう。
スカイリム北部においては、極寒の地だけに作物は育ち難いです。
ですが海辺が多い分、海産物は豊富です。
南部においてはやや暖かい気候なので、作物は育ちやすいですが、その分野生動物や野盗などの溜まり場になります。
私は三つの地域に分けることによって、お互いがお互い切磋琢磨できる環境を作ることが、今のストームクロークには重要だと思いました。
その上で、お互い意見交換をし、各地の情報を共有し、足りない物を補い合い、助け合う形を作ることで、お互いの信用と繋がりを作ることができるはずです。
それは例え領主が謀反の企みを持とうとも、下の者が着いてこなければできません。
下の者が謀反を企んでも、上の者が納得しなければできません。
ということは、謀反を起こさせるではなく、起こさせにくい形が作れるはずです』

ガルマルは顎髭を撫でながら気難しい表情を見せた。

ポエット
『ガルマル殿』

ガルマル
『うん?』

ポエット
『現行の封建制度を続けて、本当に帝国に勝てると思いますか?』

ガルマルは悟った。
今の反乱軍には、どうしてもポエットやナディアの力が必要であることを。
一時の感情で逆恨みをしても、今は何の得にもならないことを。
そして今は、この娘の言うことに従っていたほうが懸命であることを。
頑固であるということは、それだけに辛抱強さも持ち合わせているという事である。
82

ポエット
『現行の方法を続けたとして、例えばファルクリースに帝国が攻めてきたとします。
テクラさん、まず何をしますか?』

いきなり振られたテクラは焦った。
83

テクラ
えっ!?・・・わっ、私は首長ではないけど・・・ファルクリースだけの衛兵では到底町を守れるとは思えないわ。
だから・・・たぶん近くの街に救援を求めに行くでしょうね・・・』

ポエット
『ということは、一人の衛兵が情報を首長に伝え、首長が救援要請をする事を決め、伝達兵をホワイトランに向かわせますよね』

テクラ
『ええ』

ポエット
『ホワイトランに急ぎ向かった伝達兵が、街に到着し、首長に事の次第を伝え、皆で会議し、そして兵を送ることになります』

テクラ
『・・・』

ポエット
『ようやくホワイトランからファルクリースに援軍が到着しました。
町の様子はどうなってると思いますか?』
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テクラ
え!・・・ファルクリースから急ぎ伝達兵をホワイトランに送っても、片道で3、4時間はかかるわ。
でも隊になるとその倍以上はかかるでしょうから、到着する頃には・・・たぶん・・・せ、占領されていると思うわ』

テクラの後半の声はか細くなっていた。

ポエットは皆の方に向き直る。
85

ポエット
『現行の首長制度は、機能しているようでほとんど機能していません。
もし、ファルクリース周辺に更なる兵の陣を展開させていたとしたら?
あるいは、町に衛兵だけではなく、領主の持つ兵を駐屯させていたとしたら?』

これだけ大勢の錚々たる顔ぶれがいる中で、誰一人ポエットに反論できる者がいなかった。
86

ナディア
『ナディアは防げたと思う!!』

ナディアは手をあげて元気よく口にした。
ポエットも、彼女の思いがけない一言に強く勇気づけられた。

87

ウルフリック
『うむ、確かにお前の言う通りだ。
いかに我々が誇り高い戦士と誇張しても、今の帝国には到底及ばないだろう。
だがこれは・・・かなり大きな改革になる。
それにノルドは・・・』

ポエット
『変化を嫌うんですよね。
ですが閣下、あなた次第です!
あなた次第でストームクロークの未来が変わるんです!』

ウルフリックは口をつぐんだ
するとガルマルが口を開いた。
88

ガルマル
『これは間違いなく今のストームクロークに必要なことだ。
正直言えばワシは賛成じゃ。
だが、大きな問題がある』

彼は腕組をし、厳めしい顔をさらに険しくしてポエットに言った。

ガルマル
『時間じゃ・・・
帝国は負戦をしたわけではない、明日にでも攻め込んでくる可能性がある』

ポエット
『分かっています。
ですので、帝国の目を別方向へ反らす必要があります』

ウルフリック
『別方向とは・・・何処にだ?』

ウルフリックは険しい表情を浮かべる。









89

ポエット
『ハンマーフェルです!!』









90

ウルフリックは早急にでも改革を推し進めるため、各地の首長たちに指示を出し帰らせた。
各自における官職の任命は、少し時間がかかるので、決まり次第追って通達することにした。
91

首長達も、現行職を続けられるなら・・・
そういう野暮な考えを持つ者もいたが、誰一人反論しようとする者はいなかった。
92

ストームクローク内における大改革は、瞬く間に効果を上げて行った。
各都市へ続く道路を拡張し、多量の物資の流通が始まると、多くの人々の行き来が始まった。
93-1

雪に覆われた寒村のウィンターホールドさえも、塩の生産のおかげで、徐々にではあるが商人たちが集まるようになっていった。
首長であるコリールが、自ら先頭に立ち力仕事を買って出ることにより、多くの者の心を動かし始めた。
93-2

ナディアは、大学のトルフディルに、復旧に手を貸すよう指示を出した。
ウィンター・ホールドの住人たちは、かつてこの街を襲った崩壊の原因は、大学の魔術師の仕業だと疑っている。
同じ町に住んでいながら仲たがいを続けていたのだ。
94

魔術師大学が、町民たちの利益のために手を貸すという事態は、異例中の異例ともいえる。
それはつまり、内戦に関わるという意味を持つからだ。
しかし、大学の者はアークメイジの指示には逆らわなかった。
かつてこの大学を利用し、悪い事をしちゃったハイエルフを、容赦なくボコボコにした姿を見ていたからである。
94-1

最初は怪訝にしていたコリールも、彼らの必要以上の働きぶりに、考え方を変えざる得なくなっていった。
寒村と呼ばれ続けた町に、新たな光が差し込もうとしていた。
95-1

財政が豊かになれば、兵隊による強化が図れるようになる。
ウルフリックは、北方の守りを更に強固な物にするため、ノース・ホールドとペイルの境界に新たな陣を敷き、兵を増強させた。
95-2

ファルクリースにおいても、同様に境界における防御を更に固くし、常駐兵まで置くようになったのである。
96

イースト・ホールドでは、比較的暖かい気候を利用し、大量の農作物が作れるようにする為の努力を惜しまなかった。
これには実に様々な懐柔策を用いることで、多くの他種族を取り込んでいったのだ。
その最たるものはオーク達との協力体制である。
荒れた土地を開拓し、多くの耕作地を設け、種々様々な作物の育成に取り掛かることができた。
97-1

道路整備のおかげで、北と西との交易が楽になり、収穫の少ない土地に多量の物資の搬送が可能になった。
これでいつ何時帝国との戦争になったとしても、前線における食糧難は完全に防げるようになったと言っても過言ではなかった。
97-2

そしてこれらの陰には、かつてホワイトランにてバルグルーフの元にいた、プロベンタスの高い手腕があった事は言うまでもない。
98

確かに、大改革に対し多少の反発の芽もあったが、ポエットの策はこれらを早急に取り除く高い効果も持ち合わせていた。
99

ストームクローク領は、スカイリムの約半分を占めている。
ポエットは内戦における彼らの孤立を考え、少ない流通でも多くの利益を生み出せる方法を常日頃から考えていた。
その殆どは、一兵卒時代に綴った一冊のノートから始まっている。
ある時は兵舎のベッドの上で、ある時は酒場で、戦場での寝袋で・・・
暇さえあれば書き綴っていった。
それは、やがて来るその日のために、強い信念を抱き、少しずつ少しずつ書き加えられて行った。
100

スカルド
『フフフッ・・・ホワイトランにファルクリースか~・・・仕方がないのぉ~♪』


ポチットお願いしますm(_ _)m

<備考>

◎スカイリムにおける差別問題について
作者は決して差別問題を軽視しているわけではありません。
今話において、ウィンドヘルムにおけるダンマーとアルゴ二アンに対する迫害及び差別が、
ガルマルによる直接的な親族逮捕劇によって、全て治まるという安易な可能性はまずありえないと思っております。
SOSにおけるストームクローク軍は、先の敗戦によって大きなダメージを負っているという事。
逃走兵及び町から去る者の増加。貯蔵庫全焼による食料の不足。兵のみならず、町民に至るまでの士気の低下。
そこに来てウルフリックの自尊心の低下。
などなど、様々な外因による一時的な特効薬として表現しました。
ただし、街の有力者によるこのような行動は、時代背景から考えてもかなりの効果があったのではないかと推測しています。
また、上層部がこのような状態では、下の者に大きな不信感を抱かせる可能性があります。
なので、現在のウィンドヘルム及び反乱軍には他種族による協力がどうしても必要な事であると思ってもらえたらと思います。


◎ヒジェリム
ウィンドヘルムで手に入る自宅。
事故物件ではあるが、バニラの自宅でこの家だけ隠し戸がある。


◎マー
マーとはエルフを指すエルフ語。
多くのエルフ族はハイエルフを始祖としている。

アルトマー → ハイエルフ
ダンマー  → ダークエルフ
ボズマー  → ウッドエルフ
オーシマ― → オーク
ドゥーマー → ドワーフ
ファルマー → スノーエルフ・・・etc


◎スカルドについて
彼は35年に渡りドーンスターの首長を務めてきた重臣です。
SOSでは前話の通り、ある人の一言のせいで街を追いやられてしまったので、ウィンドヘルムでお世話になっています。
なので、決してオチャらけな人と言う訳ではないですw


◎スカルドとオナラとドラゴン
ドーンスターに住むある老婆のお話しをナディアが食い違えている。
正しくは、”ウルフリックがオナラでドラゴンを倒せるとスカルドが思っている”と老婆が思っているです。


◎ニューグニシス・コーナークラブ
ウィンドヘルムにあるダンマーが経営する酒場。
夜になるとダンマーやエルフが集まってくる。
グニシスはダンマーの故郷であるモロウィンドウの地名。
コーナークラブは酒場を意味するらしい。


◎アルゴ二アンについて
彼らが何故スカイリムにいるのかは不明。
故郷であるブラックマーシュについては、TESにおいて詳しく書かれた著書が無いため解説はできない。
ただ、彼らは少数単位の部落で生活しているという可能性があるらしく、カジート達のように、なんらかの理由で一族から追いやられたのでは?
と作者が勝手に妄想。
実際スカイリムにおける彼らの数は極端に少ない。
しかも、その殆どが労役に回されている。
長い迫害の歴史を持ち、裕福という言葉とは疎遠な所が強い。
しかし今においては、タムリエルの約三分の一を占領している大国となっている。
よって彼ら独特の風習のようなものを理由に追いやられたのではないかと判断した。


◎ノルドについて
ノルドは野蛮というイメージが強いが、実際は繊細な人も多数いる。
TESにおいても詩や歌詞などを自ら書いたり作ったりする者も多数いるので、一概に荒くれの集団と言うわけでない。


◎富国強兵
中国の歴史書で有名な【史記】より引用。
春秋五覇の一人である【斉の桓公(せいのかんこう)】に宰相として仕えた【管仲(かんちゅう)】の一節を使わせてもらいました。
彼は斉の国に商業を奨励し、民を安んじ、桓公を覇者にし、斉の国を一大強国に押し上げた名宰相と言われています。
作中に出てくる【衣食足りて礼節を知る】は彼が桓公に説いた略称言語の一つです。
正しくは【倉廩(そうりん)満ちて 礼節を知り 衣食足りて 栄辱(えいじょく)を知る】です。
また管仲は【管鮑の交わり(かんぽうのまじわり)】で有名な人です。

覇者とは、覇を持って制することから、武力の事を指します。
春秋時代の覇者とは、隣国の同盟国から毎年莫大な貢物を貰う変わりに、その国を襲う脅威から守ってくれる人の事を指します。
余談ですが、当時は周(しゅう)という王朝が存在していますので、いかに覇者となっても周王朝には忠誠を誓っています。


◎領主制度
官職画像
SOS上の領主制度は作者オリジナルです。
一応中国の漢王朝時代、第二次大戦中の日本軍、中世ヨーロッパなどを参考にしたのですが、もっと簡単にわかりやすくという点をモットーにしました。
TESには魔法使いもいるので、前作のロザリーさんの官職も含め、スカイリムのバニラにおける野生動物たちを頭名(かしらな)に使用しています。

実際の領主封建制度には、上に国王が存在しています。
ですがSOSにおける反乱軍は、まだ国として宣言などを行っていないので、国王というい地位は時期尚早と判断し、代わりに上級領主としました。
スカイリムの内戦においてもトリグの死後 上級王はいませんので、その点の中途半端さを利用しました。

今後はこれを基本にストーリーを進めていくつもりですが、作者は気まぐれなので変更の可能性もあるかもしれませんw
なのであまり難しく考えないで欲しいと思いますw
なお、ここに書かれている実数ですが・・・テキトーですw


◎ウィンターホールドで悪いことをしちゃったハイエルフ
アンカノというサルモール所属のハイエルフ。
クエスト【マグナスの目】の悪人役。
【マグナスの目】は非常に強力な魔力を持つアーティファクトとも呼ばれている。
彼はこれを利用し強大な力を得ようと、かつてのアークメイジであるサボス・アレン及びマスター・ウィザードのミラベル・アーヴィンを殺害。
”絶対に怒らせてはいけない人”の怒りを買う。

この行においての直接的な原因は、実際のRP中にアンカノがリディアに酷いことをしたから・・・麻痺させられたのが殺したと判断したのかもしれません。
うっすらとですが、そういう記憶があるからですw

ちなみにSOSにおけるマスター・ウィザードとは関係ございません。


Jaxonz Positioner
前にも紹介したことがあるのですが、今回は鬼のように使わせていただきました。
この話を作るうえで、どうしても欠かせないMODだと思い。
練習も兼ねて、もう一つの有名なMODであるHaven Bagの内装を改造しまくったりしましたw
両MODとも非常に優秀なMODであります。
このような素晴らしいMODを作成された作者様に感謝感謝です^^

ちなみに改造したHaven Bagですが・・・
1Fを作業場兼厨房 2Fをこじんまりとしたレストラン風 3Fは星?が流れる天井にホテルの一室風 そして風呂付にしてみましたw
H1
H2-1
H2-2
H3
H4