Nadia's Skyrim

  -スカイリムRP妄想日記-
【スカイリム独立戦争編】

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帝国資本である東帝都貿易会社は、ウィンドヘルムにも拠点を置いていた事がある。
その頃の責任者は、アデライサ・ベンディッチというインペリアルで、壮年で経験豊富とされ、東帝都社所属の女性将校だった。
しかし、この地での業務は、初っ端から困難な事ばかりが続いていたのである。81
スカイリムの北東には、モロウィンドウからの避難者の為に、ダンマー(ダークエルフ)達に譲渡された”ソルスセイム島”がある。
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この島の一部では”黒檀”が採掘できたおかげで、東帝都社との交易もあり、これが島に潤いを齎(もたら)していた事があった。
そして、ソリチュードとの交易の橋渡し役として設置されたのが、ウィンドヘルムの支店である。
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だが手を伸ばした途端に、ソルスセイムでは鉱物が採れなくなり、当時の東帝都社の社長であるヴィットリアが打ち切りを要請。
いきなり頓挫してしまうという結果に。
アデライサは、皇族であるヴィットリアの命令に逆らえず、金策に右往左往する羽目になる。
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しかし問題は、ここに会社を設置した時から始まっていた。
元々ウィンドヘルムには、シャッターシールド社という貿易会社が存在している。
これを経営しているのが、トールビョルン・シャッターシールドという恰幅の良い老ノルドである。
彼はウィンドヘルムでは有力者の一人であり、スカイリムでは裕福な人物の一人とされている。
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しかし彼は、差別的な考え方の持ち主でもあった。
”ノルド以外は下賤の者”と考える、ノルド至上主義者の一人でもある。
その為、故郷を追いやられたアルゴ二アンを低賃金で働かせ、経営はダンマーに任せきっりで、自身は自宅でのんびりし、暇さえあれば市場を練り歩く事が日課になっていた。
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当然ながら東帝都社が、この土地に居を構える事を快く思っていなかった彼は、ライバル会社が設置される前から、追い出しの為の策を練っていたのである。

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スカイリムとソルスセイムとの間には、ジャフェット・フォリーという小さな島があり、ここは”ブラッド・ホーカー”と呼ばれる海賊達の拠点となっていた。
彼らの主な収入源は、輸送船の襲撃である。
シャッターシールド社も、彼らの被害に何度も頭を悩ませた事があった。
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ブラッド・ホーカーの頭である”ハルディン”という男は、別名”魔闘士”と呼ばれ、剣術も然ることながら魔法にも長けている人物だった。
オマケに狡賢い性格のレッドガードであり、護衛の為に雇った流れの傭兵程度では、金をドブに捨てるようなもので、悉く全てを奪っていく頭痛の種であった。
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トールビョルンは、ここで愚策を取る事になる。
ハルディンに毎月の上納金を納める代わりに、商船を襲わせないよう約束させたのである。
この時、彼はアデライサの話も持ちかけていた。
つまりは、東帝都社を餌にハルディンの目を自分達から逸らしたのである。
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おかげで東帝都社の倉庫はいつも空っぽ、クモの巣が張っているだけになってしまった。
そして更に問題は重なる。
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ドラゴンボーンと呼ばれていたナディアが、”世界を喰らう者アルドゥイン”を倒した事により、ソリチュードのテュリウス率いる帝国軍が動き出したのである。
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彼らは反乱鎮圧のため、ドーンスターからウィンターホールドを伺い、そしてウィンドヘルムへと軍を進めた。(第十話EP2)
一時はガルマルやウルフリックの策のおかげで、帝国危うしとまで思われた。
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この時、城内で勝利を確信したノルド達が、酒を飲みドンちゃん騒ぎを起こしたのである。
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テュリウスはこの時を逃さなかった。
すぐさま夜陰に乗じて兵を動かし、あっという間にウィンドヘルムを包囲してしまったのである。

しかし、ここから流石のテュリウスも手をこまねいた。
ウィンドヘルムの城門は高く、そして固い石造りであり、そこに到達するまでには長い橋を渡らなければいけない。
無理に力押しを繰り返せば、遠征軍であるこっちの被害を大きくする事は、火を見て明らかだった。
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そこで彼は、城の内部から責める策に切り替えた。
元々ウィンドヘルムでは、ダンマーやアルゴ二アンは酷い差別対象とされていた。
テュリウスは彼らに呼びかけ、内側から門を開けさせようと画策したのである。
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しかしこれが、現地の様々な企業に大きな打撃を与える結果となってしまった。
ウルフリックは内通者を特定するよりも、その元凶となる者を全員逮捕監禁する事で、テュリウスの策を未然に防いだのである。
その殆どがダンマーとアルゴ二アンであり、彼らは差別対象であったにも関わらず、重要な労働者でもあったのだ。
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おかげで東帝都社は、撤退を余儀なくされてしまい、アデライサはソリチュードに転属される事に。
今現在、彼女はソリチュードの東帝都社の倉庫管理を任されていた。
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スカイリムに来てからというもの、赴任当初から辛酸を舐める結果になってしまったのだが、実際彼女の身の回りでは不幸な事が相次いでいたのも事実である。
ソリチュードに転属が決まって、まだ日も浅いというのに、今度は重役であるヴィットリア・ヴィキが暗殺される羽目に。
この訃報には、さすがの彼女もショックを受けざる得なかった。
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迷信や言い伝えが、当たり前の様に謳われる時代である。
いくらスカイリムでは、先進的だとされているソリチュードと言えど、アデライサが”不幸を招く女”と噂される様になるのに三日とかからなかった。
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だが彼女も帝国将校の端くれである。
そんな流言に気落ちするよりも、なんとかしてこの汚名を晴らしたい気持ちで一杯だった。
なのでこれから来るシロディールからの輸送船を護衛し、無事にソリチュード港に入港させなくてはいけない。
そしてその物資を、ホワイトランで戦っているテュリウス率いる帝国軍に、無事届けるのである。






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スカイリムの北海ゴーストシーは、その名の如く【亡霊の海】と呼ばれている。
極寒の海には氷山があちこちに散々しており、温度差や風、水の流れによってピキピキと奇妙な音がしばしば響いてくる。
ある者はこの音が、怪物が獲物を探して叫んでいるのだとか、子供を失った母親の幽霊が泣きながら彷徨っているだとか、沈没したはずの幽霊船が漂っている音だとか・・・
様々な憶測や言い伝えが重なったおかげで、好んで近づこうとする者は少なかった。
それだけに、社会からのはみ出し者達の格好の隠れ蓑になり易い。
特に海賊たちにとっては、寒さを除けば、この上なく快適な住まいとなりうる。
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当初、海賊と言っても、大小様々と存在していた。
だが内戦に突入してからというモノ、突如互いに潰し合いを起こし、殲滅・壊滅を繰り返したのである。
生き残った者達は、より強い団体に吸収され、再び別の団体に戦いを挑むなどをし、奇妙な共食いを繰り返した。
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というのも、テュリウスはこの地に足を踏み入れた際、周囲のならず者達の一掃作戦を立てた事があった。
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正規の軍隊の強さには目を見張るものがあり、小さな集団など、彼らの敵ではなく、瞬く間に蹴散らされたのである。
他人の土地に土足で踏み入る際、現地の人間の信頼を得るためには、彼らが最も困っている問題事を解決に導いたほうが、心を勝ち得やすいという経験からである。
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だが、海賊となると海戦という形になる。
内陸に位置するシロディールは、陸戦には特化していても、足場の悪い海の上では分が悪い。
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そこでテュリウスは、現在の海賊の大まかな勢力図を作り、中規模な団体をいくつか定め、彼らに特別な待遇を約束させたのである。
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”外商”とは、売り場を通さず直接客に販売する事を指す。
そしてそれをソリチュードにて認めるという事であった。
今までアウトローとして名を通してきた者が、社会的な制約の元、正規の商人として受け入れられるという訳だ。
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だが傍から見れば、この程度の餌では”特別な待遇”としては物足りないのでは?と考えられる。
なので、側近のリッケなどはテュリウスに疑問符を投げた。
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リッケ
『海賊を生業としている連中は、無法行為を好んでいる者達ですよ?
そんな連中に免責特権を与えるから、真面目に働けなど・・・とても食いついて来るとは思えませんが?』

テュリウス
『食いつくさ。
社会の構図とは、上流層に行くほど、または下級層になるほど上下関係は激しくなるものだ。
上流層は作法の一種と言うだろうが、下は至極単純、力のある者が優位に立つ。
まして無法者の集まりとなれば、法など適用されん。
自然と下の者に不満が集まってくるものだ』
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リッケ
『頭を潰して自分達が成り上がるチャンスを与える・・・内部分裂を狙う訳ですか?』

テュリウス
『それも一つだ』
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リッケ
『確かに彼らは、力や恐怖心を利用し支配している場合が多いようですが、海賊となると、金や信用で繋がっている連中もいるかと思われます。
行き場を失った貿易船などが、生き残るために海賊に身を費やしたなど、よく耳にします』

テュリウス
『その為に中規模団体にターゲットを絞るんだ』
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この時のリッケには、テュリウスが何を考えているのかよく理解できなかった。
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しかし、首長であるエリシフには許しがたいモノがあった。
”外商”を許すという事は、スカイリムの首都であるソリチュードで、ならず者が大手を振って商売をする事となんら変わらない、それはつまり犯罪の温床になり兼ねない。
しかも、税関を通さないというのは、街中であり得ないモノまで流れる事を意味するのである。
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海賊の殆どは略奪によって得た戦利品が主である。
となると、首都で盗品が横行する結果になってしまう。
ただでさえ格差の激しいスカイリムである、一部の者が大量の買い占めなどを行えば、平等な富の分配という構図が崩れかねない。
しかもその盗品が、ソリチュードから外へ流れるような事態になれば、宮廷の権威さえ失墜しかねない。
公平であるとする事が、座右の銘のエリシフにとって、我慢のできる話ではなかった。
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だがテュリウスは違った、巨大な都市部を出身とする彼にとって、この程度の流通の変化は問題にもならないという点と、
寧ろスカイリムは、もっと流通を頻繁にさせる必要性があると考えていた。
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嘗て彼は、流通の中心地であるホワイトランを訪れた際、”こじんまりしている”と評価した事があった。(第十三話EP1)
各地の首長達が暇を持て余すようでは、スカイリムはやがて他国の侵入を容易に受け入れてしまう可能性がある。
寧ろ酒など飲んでいる暇など無いくらい働いてもらわないと、ウルフリックの単調な罠さえ気づかないくらいに緩んでしまう危険性もあった。
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そして、今現在においても格差が広がっているのは、ソリチュードという都市が、皇族との密接の繋がりがあり、公にはできな事が多いのも原因として考えられた。
もし、富の分配こそが公平であると言うならば、平民達に多くの仕事を与えられるようでなければ、それは意味を成さないと説いたのである。
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ファルク
『だからって!街中に海賊を入れて、中で商売をさせる気ですかっ!?』

テュリウス
『街中に入れなければいい。その為の外商許可だ』

ファルク
『そんな事を認めれば、この街はスク―マなどの麻薬の温床になってしまう!』
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テュリウス
『海賊たちは麻薬を持っているのか?
スク―マを商売の道具に使っているのか?』

ファルク
『え・・・?』
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テュリウス
『お前はそれを見たのかと聞いているんだ!?』

ファルク
『そ、それは・・・』
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テュリウス
『私個人の考えではあるが、私は憶測だけで物事を進める事を好まない。
”将”たるもの、いつ何時においても、確たるモノが無ければ決定してはならぬと、私は考えている』

ファルク
『うぅ・・・』
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テュリウス
『人が犯罪に手を染めるのは、貧困という現実がそうさせている場合が多い。
中にはそうでない者も確かにいるが、それでも、人は生まれつきの”悪”ではない。
そこに至る過程があってこその結果なのだ。
今では”海賊”などと評価はされているが、好んでその身を落とした訳じゃない者もいるはずだ』
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ファルクは反論ができなかった。

テュリウス
『それを考慮すれば、機会を与えてやる事こそ、エリシフの為にもなると思わないか?』
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名宰相として噂高いファルク・ファイアビアードが、完全に押し返された瞬間だった。
結局テュリウスのこの強硬とも思える策は、押し通されたのである。
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だが彼の考えはこれだけではなかった。
この事を餌に、海賊たちの共食いを狙ったのである。
その為に中規模団体に最初に情報を流した。
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大規模な団体になると、自分達こそが優遇されるべきだと思い込んでしまう。
成り上がり者ほど自己満足は高い。
それ故に何故自分達にご指名が来ないのかと、それ以下の団体は妬みや羨望の対象になり易い。
単純に数字で考えれば【1】【2】【3】と三つの数字があった場合、3-2=1であり、残った1-1で0という事になる。
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帝国軍にしてみれば、余計な戦力を割く必要もなく、勝手に自滅してくれるのだからこの上なくありがたい話である。
だがそれでも生き残る者がいるのも事実だった。
もしそれでも帝国軍に反抗するようであれば、その時軍を動かせばいいだけである。
たとえハメられたとわかったとしても、反抗さえしなければ、もう失う物は無いので、従えばいいだけなのだ。
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結果、現在のスカイリムの海賊と呼ばれる団体は、主に二つの勢力に納まった。

ソリチュードの東側に停泊している【ヴァゴス】を頭目とした【デインティ・スロード号】
ソリチュード港に停泊している【サフィア】を頭目とした【レッドウェーブ号】

そしてアデライサが目の敵としている【ハルディン】率いる【ブラッド・ホーカー】である。
ブラッド・ホーカーだけが、最後まで帝国に反抗し続けている海賊であった。
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だがどうしても見過ごせない組織が、もう一つだけあった。
【ブラック・ブラッド団】と呼ばれる、不気味なスキンヘッド集団である。
彼らは元々盗賊ギルドだったらしいのだが、盗むだけでは飽き足らず、殺人・誘拐・拷問・監禁と、金になるなら何でも有りの凶悪犯罪集団の組織として、帝国が目を付けている。

もしもこれから来る輸送船を襲うとしたら、ブラッド・ホーカーと、このブラック・ブラッド団の二つが上がっていた。
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しかしアデライサには、またも大きな困難が降りかかる。
ソリチュードには帝国軍の兵士は、2000人程いる。
内、彼女が直接に動かす事ができるのは、東帝都社所属の兵士50名のみとなっている。
そこにソリチュード衛兵を加えても、100人強程にしかならない。
残りの1900人は、本国あるいはテュリウスの直接的な命令が無い限り、ソリチュードから一歩も動く事を許されていないのである。
残念ながらエリシフにも、彼らをどうこうできる力は無かった。
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止む終えずアデライサは、ホワイトランのテュリウスの元に手紙を送り、兵を動かす許可を求めた。
しかし、その返答はややも冷たいものだった。
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テュリウス
”ソリチュードが最も恐れるべきは、ウルフリックによる北東からの進軍である。
【鶏を割くに焉(いずく)んぞ牛刀を用いん】という言葉がある。
山賊や盗賊、または海賊如きに正規の軍隊を動かしてばかりいたら、それこそ周辺住民の恐怖を煽る結果になる。
ソリチュードの帝国兵は、決して動かす事はまかりならない”

軍隊というモノは、今でいう戦車や戦闘機のようなモノである。
コンビニに強盗が入ったからと言って、戦車や戦闘機を用いるなどもっての他だという意味である。
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しかしアデライサは食って掛かった。

アデライサ
”周辺住民を脅かすために、兵士を動かすのではありません。
これから来る輸送船を守るために、威力として使わせてもらうだけです。
この輸送船が守れなければ、ソリチュードに住まう住民だけではなく、戦地の兵達に送るべき糧米さえも危うくなります。
どうかその半分だけでも、私めにお預けください。
必ず結果を出して見せます”
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テュリウス
”アデライサよ、そなたの言う【威力】というのが、どれほどのモノなのかは計り兼ねる。
私が言っているのは、ソリチュードから兵士を動かす事自体が、住民の不安を煽る結果になるという事である。
民とは、いわば赤子のようなモノで、兵士の鎧に一滴の血糊が着いているだけで、恐怖するものなのだ。
そして恐怖とは、容易に連鎖して広がり、気づいた時には手の施しようもなくなるモノである。
決して軽はずみな行動だけはするな。
どうしても人手が欲しいと言うのならば、ソリチュード港に停泊しているレッドウェーブ号のサフィアを頼るべし
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”海賊”の事は”海賊”に聞け と言うのである。

やむなくアデアライサは、サフィアと会合する事になる。
この”サフィア”こそ、テュリウスが一番最初に条件を持ち掛け、そしてその条件に乗ってきた人物である。






137
アデライサは、助手のオルサスを伴って、案内役の船員の後に着いて行く。
生まれて初めて海賊船に乗船する事に、少しの緊張感があった。
散らかし放題に荒れ放題かと思いきや、船内は思った以上に整理整頓が成され、きちんと掃除も行き届いており、時折棚の上に花が飾られていたりする。
海上で生活しているせいか、確かに魚の臭いは漂っているものの、海の荒くれ者が生活しているような環境にはとても見えなかった。
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そしてサフィアと対峙する。
アデライサ達は、彼女の顔に描かれた強烈な戦化粧に釘付けになった。

サフィア
『まぁ、そうしゃっちょこばるなよ将校さん。座れよ』

だが彼女は、思ったよりも気さくに話しかけてきた。
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サフィア
『驚いたかい?』

アデライサ
『う・ぁ・・・な、何が?』




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サフィア
『あたしの顔さw
あたしを始めて見る人間は、み~んなあんたみたいに、見世物小屋を見ているような目をするか、オドオドする奴ばっかなんだよ』

アデライサ
『・・・』
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サフィア
『ま、こっちとしちゃ、この顔のおかげで、商売もトントンってところだし、何よりあたしの命を狙おうなんて輩も、随分と減ったしねぇ~』

アデライサ
『貴方、命を狙われているの?』
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サフィア
『仕事が仕事だしさ、そういう事も何回か経験しているよ。
ぜ~んぶ返り討ちしてやったけどねw』

命を狙われているかもしれない人間にしては、随分と明るく話す女。
やはり海賊という荒くれ者を纏めるだけある、”女傑”とでも言うべきか・・・
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サフィア
『なぁ将校さんよ、さっさと本題と行こうや』

アデライサにとっても、それは賛成だった。

サフィア
『で?あたしらがあんたらを手伝ったら、あんたらはあたしらに何をしてくれるんだい?』
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心外な事を言うものだと、彼女は怪訝そうな表情を浮かべた。

アデライサ
『何を言っているの?
あなた達は、私達帝国軍の手助けをする事が条件で、ソリチュード港に停泊する事ができているのよ?』
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サフィア
『それは帝国軍との取り決めだ。
あんたは東帝都社の人間で、軍とは違うだろう?』

どうやらこのサフィアという人物、見た目以上に切れ者の様だ。
アデライサは完全に痛い所を突かれた。
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アデライサ
『私の事を随分と調べているようね?』

サフィア
『ソリチュードじゃ、今やあんたは有名人だもんなw』
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有名人=不幸を招く女・・・
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サフィア
『でも、気持ちも解らんでもないさ。
ウィンドヘルムでの出来事は、何もあんたの責任って訳じゃないし、あんたがソリチュードに来たからって、・・・え~っと・・・ヴィットリアだったっけ?
あの女が殺されたって訳じゃない。
裕福な連中は、噂がどうこうよりも、自分達に被害が及ばぬよう、隣が鳴けば自分も鳴かないと、仲間外れにされちまう。
それが嫌なだけさ』

アデライサ
『そこまで言うなら・・・』
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サフィア
『おぉ~っと、それとこれとは話は別だ”将校さん”。
そうだろう?
あんたは、あたしらに、昔の同族を裏切り、命を掛けろと言っているんだよ。
当然、それなりの見返りがなきゃ、あたしらだって動くはず無いだろう?』

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アデライサ
『望みは、なに?』

サフィアは急に真顔を見せる。

サフィア
『・・・あたしらも東帝都社の倉庫に入れてほしい』
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アデライサは驚く。
あの倉庫に入れるの者は、東帝都社の社員だけに限られている。

アデライサ
『じょ、冗談じゃないわ!
海賊を東帝都社に加えろと言うの!?・・・あり得ない!!』
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サフィア
『なんでだよっ!?』

サフィアはテーブルをグーで叩き、いきり立つ。

サフィア
『あたしらは元々、アンタたち東帝都社の品物を運んでいた商船の船乗りだったんだ!
ソルスセイムの黒檀を運んでいたのに、ヴィットリアのクソアマが、いきなり取引を中止しやがったせいで、あたしらは路頭に迷う結果になっちまった!』

ウップンを晴らすか如く、声を荒げた。
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サフィア
『売り手を探すのに必死だったよ!何せあたしはこの船の船長だからね!!
部下を食わせなにゃならない!!だから”海賊”になったのさ!!
誰が好き好んで”賊”なんて名乗るもんかっ!!』

あまりにイキナリだったせいか、アデライサは圧倒され声を喉に詰まらせた。
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サフィア
『あんたはっ!!ウィンドヘルムで倉庫番やってたんだろ!?
だったら、帳簿にうちの船の名前くらい書いてあったはずだ!
見てねーのかよ!?』
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アデライサ
『・・・』

彼女は完全に言葉を失ってしまった。
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サフィア
『チッ!これだから軍属ってのはよっ!!
上から目線で話せば、あたしらには何でも命令できると思ってやがるんだ!!』
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トップの勝手な決断が、そこに商機を得たはずの下請け業者にまで影響を及ぼすなどという事は、封建社会においては珍しい話ではなかった。
とは言え、サフィアの言う通り、自分は何も用意せずに、土足で交渉相手の領地に足を踏み入れてしまった。
代わりに元海賊と呼ばれていた者が、ここまで自分の事を値踏みしていたとは、思いもよらなかった。
いずれにせよ、帝国というバックグラウンドを盾にして、自惚れた態度をとってしまった事に恥じ入るしかなかった。

サフィアは、少し間を空けてから口を開く。
158
サフィア
『で?どうするんだい将校さん?』

アデライサ
『・・・少し考えさせてほしいわ』

輸送船の到着まで、まだ時間がある。
アデライサは事を急がず、慎重に運ぼうと考えた。



159
ヴィットリア・ヴィキが亡くなってから、ソリチュードの東帝都社の代理責任者はアデライサに任されていた。
だが、事実上の社長代理となると、首長のエリシフを於いて他はいない。
なので、アデライサはブルーパレスに参上し、首長を含め重臣達と協議する事にした。
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【海賊を東帝都社の一員として組み込む】

こんな事を容易に認めてくれるほど、お上は甘いものではない。
161
何より宮廷の者の方が、そんな話を耳にするだけで恐れおののき、悲鳴を上げる程である。
テュリウスの手紙の内容が、よく理解できた瞬間だった。
162
だがこの事について、一人だけアデライサに賛同してくれた人物がいた。
エリシフのもう一人の従士”エリクール”である。
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エリクール
『エリシフ首長。
この問題は、東帝都社の威厳と尊厳の問題でもありますが、長年帝都との繋がりが深いブルーパレスの対面問題にもなってきます。
それだけに無視する事は、皇帝陛下にも面目が立たず、下手をすれば元老院にも注視されてしまう危険性があります』
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エリシフ
『エリクール、私は無視する気などないわ。
ただ、夫のトリグが残してくれたこの城を、辱めるような真似だけはしたくないだけよ』

エリクール
『さようでございますか・・・』
165
すると執政のファルクが、エリクールに視線を移す。

ファルク
『何か良策でもあると?』
166
”きたな・・・”
エリクールは心中でほくそ笑んだ。
167
エリクール
『要は”海賊”を入れなければいいのです』
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エリシフ
『言っている事の意味がわからないわ?』
169
エリクール
『東帝都社で働く者には、決まった服を支給し、これを彼らにも着せるのです』
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ファルク
『なるほど・・・制服制度か・・・』

エリシフ
『でもそれでは”海賊”と分からなくなるだけで、彼らが行いを正す事には繋がらないわ』
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エリクール
『彼らの行動に見張りを付ければいいのです。
罪を侵せば厳罰な処置を施し、減給処分、行動の制限などなど・・・この程度ならこちらでいくらでも操作は可能です』

それでもエリシフは、いい気分になれなかった。
エリクールには、彼女が迷っている事が手に取る様にわかった。
171-1
エリクール
『エリシフ首長。
嘗てテュリウス将軍が行った一掃作戦のおかげで、残った残党は少なくはなっています。
ですが生き残った者は、精鋭中の精鋭。
ソリチュードの衛兵や東帝都社の兵士だけでは、猛者揃いと思われる襲撃者達と、まとも戦う事など不可能に近いと思われます』

アデライサを含め、側近たち全員がエリクールの話に耳を傾ける。
172
エリシフ
『ですが、私の力では、帝国兵を動かす事はできません』

エリクール
『ならば選択肢は限られております。
彼らに手を貸してもらうしか、方法は無いかと・・・』
173
そこにファルクが続く。

ファルク
『私もエリクールの意見に賛成です。
”海賊”を東帝都社の一員として迎え入れる事には、遺憾ではありますが、
シロディールからの輸送船を守れなければ、ソリチュードの市場が止まってしまう危険性があります。
遠征軍に送る事ができなければ、テュリウス将軍はホワイトランを諦めねばなりません。
そしてそれらの不満と責任は、自然と宮廷に向けられてしまいます。
それは即ち、首長である”あなた”に向けられるという事です』
173-1
エリシフは一瞬背筋に悪寒が走った。
174
エリクール
『ファルク殿の仰る通りです。
ソリチュードの民は、勤勉で働き者は多いですが、噂好きでもあります。
宮廷で妙な噂が立てば、瞬く間に広がってしまい、それは帝都の失墜にも繋がりかねません。
そうなれば、元老院はあなたをこの城から排除し、別の者を立てる可能性もあります』
175
エリシフは、首長である以上まとめ役でもあった。
上級王だった夫の突然の死。
ウルフリックの反乱。
シロディールからの帝国軍の専横。
ただでさえ女の身であり、そして代替えの首長である。
176
引き籠りたい、もう何もかもを捨ててしまいたい、毎日そんな悩みに振り回され、毎朝自然と恐怖していた。
だがそれでも、このプレッシャーに必死に堪え続けていた。
自分を支持してくれる者、頼りにしてくれる者、夫の威信を損なわないように、市民を裏切らないように・・・
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彼女は両手で顔を覆い隠し、前かがみになって声を潰す。
それを目にした重臣達が、心配そうに彼女を見守る。
178
束の間、彼女は意を決したかのように顔を上げた。



179
エリシフ
『わかりました。
至急、東帝都社の者に制服を用意させ、”海賊”の者達にも支給させてください。
エリクール、貴方におまかせします』

エリクール
『かしこまりました。
レディアント装具店を中心に至急用意させます』
180
エリシフ
『それと、しっかりと彼らを見張る様にっ!』

エリクール
『心得ております』
180-1
そしてアデライサには、サフィア達の協力を執り付かせ、必ず輸送船を守る様にと強く言い聞かせた。
181
エリクールの助けがあったおかげで、アデライサは一時安堵する。
しかし、彼女は全く気づくことが出来なかった。
”影を歩く者”の存在を・・・


SOS 第十五話EP1 後編に続く・・・




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[備考]

◎東帝都社とシャッターシールド社
共に起源は分かっていません。
社長のトールビョルンが、ブラッド・ホーカーのハルディンと繋がりがあるかどうかも不明です。
ですが、二社の間にはライバル関係は成立しているようです。
それを裏付ける要因として、シャッターシールド社の倉庫は木箱などが多く設置されているが、東帝都社の倉庫はほぼ空っぽです。
お互い切磋琢磨していると表現するより、トールビョルンがウィンドヘルムの輸送業を仕切っている為に、他社の入る余地が無いようみえるため、今回はこういう話を作ってみました。

またトールビョルンは”ノルド至上主義”だと書きましたが、彼の下で働いているスヴァリス・アセロンというダンマーの話から、
『トールビョルンは運送業で金を稼ぎたがっている。それを私が実現させるの・・・』というセリフを聞く事ができます。
差別主義者と言われているようですが、市場でもエルフのニルインとも話をする事があるので、一概に偏った考えを持っている人物でもないようです。

◎ジャフェット・フォリー島
ナディアは最初、氷山を掘って作られた拠点かと思っていたのですが、所々に土があったので”島”だとわかりました。
元々は誰もいなかった島に、ジャフェットという男が仲間を引き連れ入植し、ここで砦を築いて生活を始めたのが最初のようです。

この土地の古くからある呪いに悩まされながらも、なんとか地に足を着けようとしたのでしょうか?
男女の間引きなど、よくわからない行動をとっていたようです。
そのうち物資の輸送が止まってしまい、自給自足を余儀なくされるのですが、ここは辺り一面氷だらけなので作物が育つ環境とは思えません。
最終的には神頼みをしたようですが・・・
この事は、砦内で遺体で発見されるジャフェット本人の日記で、確認する事ができます。
どうやらまともな土地ではないようです。

因みにこの島は、地図ではハッキリと表示されません。
地域的には北東のウィンターホールドに属しているらしく、クエスト『東から昇る』の舞台となる島で、一回っきりのみしか行けない場所です。
コンソールで向かう事は可能です。

◎テュリウスの一掃作戦
ここはバニラには無い要素です。
テュリウスがスカイリムに着任して、3年の間いったい何をしていたのか?という事の一部として設定しました。
この時の”賊”は海賊だけではなく、山賊や野盗なども含まれています。
例え同じ帝国市民であったとしても、シロディールとスカイリムは別の国であり、また見た目も恐ろしい外国人が押し寄せてくるようなモノです。
ましてシロディールに比べればスカイリムは、文明の差も否めないかと思われます。
なので、そんな不安を少しでも軽減するために、”軍隊”がやれる一番手近な方法として立てた作戦です。
ある意味常套手段とも言えます。

◎海賊とは・・・
島嶼(とうしょ)や沿岸を根拠地として武装した船舶により海洋を横行し、武力を用いて航行中の船舶や沿岸の部落から収奪を行う組織の事。
(Wikipediaより)
とあるのですが、国などが金品などを代償に盗賊行為を取り締まる側に立つ場合もあるそうです。
なので、時には軍の代わりに国の為に行動を起こす組織もあったらしく、正規の軍隊(特に海軍)との境界が曖昧な所が多い。
また、交易などの商売を目的としている者が、交渉決裂や競争相手とのいざこざにより海賊と化す場合もある。
おそらく、海域などの関係上、亡命するために止む無く”賊”を名乗ったり、なんてのもあるのかもしれません。
いずれにせよ、賊は賊でも、特殊な部類に入る”ならず者”とでも言うのでしょうか?

今話においてテュリウスが彼らに撒いた餌、すなわち”外商”なのですが・・・
極端に説明すると、”ソリチュードにいてもいいけど、商売は自分達の船の中でやれよ”という事だと思ってください。
なので、ファルクが麻薬が横行するかもしれないと懸念しているのは、この事を言ってます。
ただテュリウスは、この辺の事を全部加味した上で、”やれ”と言ってるのです。

というのは、スカイリムで諸外国と最も交易が盛んなのは、皇族との繋がりが深く、東帝都社の拠点があるソリチュードだけだと思われます。
ホワイトランは内陸に位置しているため、諸外国よりも国内の貿易の中心地、という違いでしょうか。
ヴィットリアが皇族である以上、ソリチュードが閉鎖的であったとしても、諸外国との繋がりがあったおかげで、なんとかやってこれた・・・
が!このままだと、スカイリムはソリチュードばかり発展して、他の都市はドンドン衰退していく可能性を孕んでます。
となると、隙あらば帝国を貶めようとする他国の侵入を許してしまいかねない恐れが出てくる。
だから、もっと広い見方をして海賊でもいいから、人を入れて町を発展させましょう・・・とテュリウスは説いているという事です。

とまぁ非合理的な感じもしないでもないですが、なんとなくわかってもらえるとありがたいです(;´Д`)

◎デインティン・スロード号の船長は?
この船のバニラの実際の船長は【ヴォルフ】という人物らしいのですが、麻薬所持の疑いが掛かったらしく逮捕?されたようです。
その後の彼の足取りは掴めていません。なのでCKなどでも見る事ができない人物でした。
なので、新しく別のキャラクターとして【ヴァゴス】と勝手に名前を付けたキャラクターを作成ました。
彼はバニラでは【最初の仲間】というオークです。
CKで『captain』で検索すると、デインティン・スロード号のキャプテン?で出てきたので、代役として彼をこの船の船長にしました。

◎サフィア
ソリチュードの東帝都社倉庫前の港にいつも停泊している船の船長。
彼らは”海賊”です。
何故彼らがここにいるのかが、バニラでは描かれていなかったので、そこにオリジナリティを加えてみました。
ゲーム内での彼女は、闇の一党クエストによって暗殺対象になります。
なので、彼女自身の会話からも分かる通り、何度も狙われた経験がある人物です。

◎ソリチュードの東帝都社巨大倉庫
ここに出入りできるのは、会社関係者のみとなっています。
プレイヤーも、内戦クエストでどちら側になろうと関係ありません。
見つかれば犯罪者扱いされます。

◎軍属
軍人ではないが、軍隊に勤務する者の事。
今回はアデライサに投げた、サフィアの詰(なじ)り言葉に加えてみました。
アデライサは、帝国軍の将校ではありますが、彼女の所属はあくまで東帝都社となっているようです。
帝国軍と東帝都社は、スポンサーは一緒でも、会社に例えたら別個になると思われます。
なので彼女は、軍隊には所属していないとしました。

◎レディアント装具店
ソリチュードにある着衣専門のお店。
二人のハイエルフが経営しており、ブルーパレス御用達のお店でもある。





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リサ
『あっ!』




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8-1





8-2
リサ
『や、やっべ~のぜ・・・』








Nadiaでございます。
大変お待たせいたしました。
【SOS第十五話EP1】本日公開いたしますっ!!

書く度に徐々に長くなっていたのですが、今回は今までで一番の最長ですΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン
あまりに長いので前・中・後編と3部構成となっております。
SS総数も300枚以上、複数の新キャラ登場に、新しい物語。
嘗てないボリューミーさでお送りいたしますw


8-3

ヴィットリアの死によって頭を失ったスカイリムの東帝都社。
その穴埋めをするために、皇族専用の船に乗って彼らはやってきます。
しかし、彼らの乗って来た船は、ただの船ではありませんでした。

一方、シロディールからの輸送船を護衛するために、現在の東帝都社の責任者であるアデライサは、右往左往する事になります。
テュリウスの助言を受けた後、彼女が取った行動とは?

そしてこの輸送船を奪取する為に、ポエットがナディアに与えた策がついに始動します。
しかし、道中ナディアはとんでもない事に巻き込まれてしまいます。

スカイリム西方の乱が一段落付きましたが、今度は東側で何かが起きようとしています。
ホワイトランの戦いを中心に、様々な人々の運命が流転します。
輸送船を守るために、スカイリムの帝国軍はどう動くのか?
ナディア達率いる盗賊ギルドは、どんな作戦を立ててくるのか?

とまぁ、前置きはこんな感じにしておきましょう^^;
今年ようやく二回目の更新となります。
が!、更新頻度が極端に減ってしまい大変申し訳ございませんm(_ _;)m
それでは長くなりましたが、続きをお楽しみください^^ノ








10
ユリア
『こぉおぉぉのぉぉお~バカリサぁ~!!!』

リサ
『わるかったのぜぇ~><;』
11
ユリア
『悪かったで済む話じゃないわ!!あんた私達を殺すつもり!?』

リサ
『いや、そんなつもりはないのぜぇ~><;』
12
ユリア
『またトーリンまで壊してっ!!いったい何回目だと思っているのよっ!?』

リサ
『え・・・えーとぉ~・・・に、二回かな・・・(;^ω^)』
14
ユリア
『ふざけんなぁこらぁああ!!( ・`д・´)』

リサ
『イタタタタタタッ!!
その金属棒真面目に痛いのぜぇ~(:_;)』

15
ユリア
『うるさいっ!!アンタも一度スクラップなった方がいいのよっ!!』

リサ
『それは嫌なのぜぇ~(;´Д`)』




16
目の前の騒ぎに何事かと、アリッサは護衛兵を問い詰めた。

アリッサ
『さっきの揺れと何か関係があるの?』

護衛兵
『なんでもリサ殿が、機関室の前を歩いていた時、ユリア様のカラクリ玉が誤って足に当たったらしく、それが飛んで機械が壊れたとか・・・』

アリッサはため息を着く。
17
アリッサ
『・・・航行に支障は?』

護衛兵
『船体が傾いているので、恐らく進路が反れているのではないかと・・・
それ以外は私共には・・・よくわからなくて・・・』
18
すると伝声管から大きな声が鳴り響く。

???
『ユリア様!!エンジンが熱々でごわすぅ~!!
どげんしたらイイとですたいっ!?
おいどんにはわからんですたいっ!!
こっち来てくんちゃい!!』

方言丸出しの癖のある声に、皆の視線が自然に集まる。
19
ユリア
『応急処置したのに・・・排熱ファンの機能は戻ってないみたいね・・・』

ユリアは思考を巡らし、構造から答えを導き出す。
20
ユリア
『ロンッ!1と10、それと4と7のエンジンを、そして11も止めて航行を一旦中止よ!』

ロン
『窯炊きはどうするでごわすかっ!?』

ユリア
『続けてなさいっ!』

ロン
『了解でごわす!!』
21
彼女は足早に出口へ向かう

ユリア
『機関室に行くわ。アリッサも着いてきて』

アリッサ
『わかりました』
22
ユリア
『リサ!!あんたはここでジッとしてなさいっ!!余計な物触るんじゃないわよっ!!』

リサ
『ヘイヘイ・・・』23
すれ違いざまにアリッサがリサに視線を移すと、彼女は”了解”と目で相槌をうった。







24
シロディール朝廷にて・・・

アリッサは、玉座の階下から更に二歩下がった所で跪いた。

タイタス二世
『最近の娘の様子は?』

アリッサ
『至極お達者でございます』

皇帝は深いため息をつく。
25
タイタス二世
『相変わらず、ドゥーマーの機械に夢中なのか?』

アリッサ
『・・・』

彼女には答えようが無かった。
25-1
タイタス二世
『余は普段、公務で忙しい身だ。
ろくに娘の相手もできん。
たまたま部下の一人が拾って来たガラクタを渡したのは、余だ。
娘に口止めされているのはわかるが、せめて、親と共通な話題で、今どんな様子なのか知るくらいいいだろう?
お前を責める気はない』

ハッキリと、そしてゆっくりとした口調で彼は語った。
26
アリッサ
『・・・は、はい・・・』

アリッサは言葉に迷った。

タイタス二世
『で?』

タイタス二世は、彼女を急かすように問い詰める。
アリッサは咄嗟に思いついた事を話した。
27
アリッサ
『ユリア様は、トーリンを元に、新たなオートマトンを作ろうと考えておられるようです。
今はその事に心酔しておられるご様子で・・・』
28
タイタス二世
『商人達から、多量のガラクタを買い占めたという報告を受けている。あれはその為か?』

アリッサ
『何分シロディールには、ドゥーマーの遺跡が少ないので、遠方への行商を生業とする者達に、集めてもらっている次第です。
彼らにとっても、いい商売と思われているようなので・・・』
29
タイタス二世
『因果なモノだな。
余が望んだのは、花のように可憐で嫋(たお)やかな女性であった。
だがどうであろうか、蓋を開けたら、毎日油まみれのヤンチャ娘になってしまったわい』

彼にとっては、まさか自分の血筋から、あんな娘が生まれると考えてもいなかったらしい。
それは驚きではあっただろうが、それでも自慢げに語る姿は、内心娘を誇りに思っているようである。
30
アリッサ
『しかし、ユリア様の技術力の高さは、帝都で並ぶ者無しと評されております。
有名な鍛冶職人であっても、皇女様の技術力の高さには、目を見張るものがあるとか。
その道を進む者にとっては、目標とされるほど、市民の人望も厚いお方でございます』
31
タイタス二世
『確かにお前の言う通り、ユリアは自身で自分の能力を伸ばしたという事には変わりはない。
裕福さに事欠けて自堕落に陥るよりも、ずっと魅力的ではあるだろう。
だが羨望の的になる方向性がなぁ~・・・親の願望でしかないが、もっと女性的な魅力であって欲しかったものだ』
31-1
アリッサ
『お言葉ですが陛下、私も女の身ではありますので・・・
その私から見ても、ユリア様には女性としての魅力も、しっかりと備わっているかと思われます。
ただ、ご余興の際に、時には汚れされてしまう事もありますが、祭事や行事の際には勿論ですが、普段に置かれましても清潔さには随分と気を使っておられるかと・・・』

このやり取りは、アリッサにとってデジャブの繰り返しに近かった。
朝廷に参内する際には、皇帝は必ずユリアの事を彼女に聞いていたからである。
32
タイタス二世
『そうか・・・余の杞憂であってほしいものだわい・・・』

彼はアリッサに諭(さと)されると、弱い笑顔を見せ安心するかのように口を閉じた。。
だがしばしの沈黙が続いた後、その表情は徐々に険しくなり、そしてゆっくりと再び語り出した。
33
タイタス二世
『あれは正室の子ではない・・・妾に産ませた子供だ』

まるで自分にとって、”過ち”だとでも言わんばかりに視線を逸らす
この事はアリッサも知っていた。

タイタス二世
『妻はユリアを”忌み子(いみご)”だと言う』
34
タイタス二世
『生まれた時。
余はこの手で・・・この手の上にユリアを乗せ庭園を歩いた。
小さなカルミアが、きれいに色鮮やかに咲き誇っておってな。
この子もこの花のように、美しく可憐であって欲しいと願ったものだ』

皇帝は夢想するかのように、娘を抱いた手を眺める。
35
タイタス二世
『その時、6枚葉に割れたカルミアを見つけた』

アリッサは口を閉じ、話に耳を立てた。
36
タイタス二世
『庭師の話では、これは非常に稀であり、娘には”大きな希望”が宿っていると言われたのを・・・覚えている』

彼女は沈黙を続ける。
37
タイタス二世
『私は娘を愛しているのだ。ユリアをな』
38
アリッサ
『陛下・・・』

この時アリッサは、何故か胸の奥が掻き毟られる感覚を覚えた。
39
タイタス二世
『ユリアは継承権を認めてもらえなかった。同じ血を引く娘であっても、あの子には将来が無い・・・』

例え皇族であっても、継承権が無い以上、いずれは娘を手放さなければいけない。
彼は吐き捨てるように語った。
40
アリッサ
『心中、お察しいたします・・・』

だがアリッサには、正直よくわからなかった。
なのでこの場合は、こう返せば良い事を知っていた。
41
タイタス二世
『アリッサよ』

アリッサ
『はっ!』

彼女は下げた頭を、さらに深く下げた。
42
タイタス二世
『お前の事だ、きっともう耳に入っているのだろう』

彼は深刻な表情を見せる。
彼女には、皇帝が何を言わんとしているのか、見当がついていた。
43
タイタス二世
『ヴィットリアが死んだ・・・彼女は暗殺されたのだ』

アリッサ
『お悔やみ申し上げます』

アリッサは眉一つ動かさなかった。

タイタス二世
『元老院とも話し合い、先ほど急遽決まった。
後釜としてユリアを据え置くとな』

アリッサは下を向き続け、次の言葉を待った。

44
タイタス二世
『アリッサよ、面を上げい』

ゆっくりと顔を上げ、視線を皇帝の目に向けた。
45
彼の眼は、辛辣なほど細くなっている。

タイタス二世
『おぬしに命ずる。
ユリアを連れ、スカイリムのソリチュードへ向かい、東帝都社の運営を任せる。
そちには、業務に支障を来さぬよう、しっかり彼女をサポート及び護衛をしてもらいたい』
46
アリッサ
『ハッ!お任せくださいませ』

タイタス二世にとっては、まだ成人にも満たない愛娘を自分の傍から離すなど、その身を引き裂かれるような思いだった。
だが選択肢は無い。
アリッサにも、それは理解できた。
47
タイタス二世
『くれぐれも・・・娘を頼んだぞ・・・』






48
ユリア
『現在位置は?』
49
アリッサ
『ホワイトラン周辺。おそらくこの山は・・・”世界の喉”の近くかと・・・』
50
ユリアは操作パネルの前に立ち、傾いていた船が元に戻った事を確認した。

ユリア
『さてと・・・ここからが難解ね』
51
操作盤を弄り、およそ5分前まで異常だった時の記録を出す。

ユリア
『船体が左に傾いてるわ。しかも方向も左に向かっている。縦軸が前に傾いてるって事は・・・』

アリッサ
『前方のエンジンの何れかが機能してませんね』
52
ユリア
『あちゃ~・・・これって10番のエンジンがおかしくなったのかも・・・』

アリッサ
『わかるんですか?』

ユリア
『いつも同じエンジンがおかしくなるのよ。もう癖みたいになってるから・・・』

54
ユリア
『10番のレバーを上げてみて!』

スターターパネルを担当しているオークが、ユリアの命令に通りに確認する。

オーク
『ユリアざまぁ~!ダメです!反応がありませ~ん!』

オーク特有の雲掛かった声が帰って来た。
55
ユリア
『やっぱり・・・あのエンジン一番新しいから、まだ聞き分けを聞いてくれないみたいねぇ』

彼女は落胆する。

ユリア
『さて、どうしようかしらねぇ~?』
56
アリッサ
『10番のエンジンが故障という事であれば、面舵がほぼ皆無ですね』
57
ユリア
『そう、だから前進と取り舵だけでソリチュードを目指す事になるわ』

アリッサ
『よろしいですか?』
58
アリッサは何かを思いついたかのように、近くにあった羽ペンで地図に直接、図を描き始めた。
58-1
点と線を結び、いくつかの四角を描く、その後頂点を結ぶように弧を描いた。
最終的には、渦を巻いた線が、所々重なり、奇妙な図柄が浮かび上がる。
59
ユリア
『なるほどぉ~フィボナッチね!』
60
アリッサ
『取り舵しかできないという事なら、内側のなだらかな弧に沿って航行すれば、距離は伸びますが、支障が少ない状態でソリチュードに向かう事が可能かと・・・』

ユリア
『ふむふむ』
61
アリッサ
『問題は最初の突入箇所と、ソリチュード港に着水する際、微妙な調整が再度必要という所でしょうか』

ユリア
『世界の喉の脇を通る訳だから・・・ハイフロスガーの付近って・・・逆風が吹き荒れてるんだったっけ?』

アリッサ
『聞いた話では、その風が一部で壁を作っているとか・・・』

ユリア
『となると横風が強いかもしれないから、その計算も必要ね』
62
アリッサ
『ユリア様の見識には恐れ入ります』

アリッサは頭を下げた。

ユリア
『何言ってるのよ!咄嗟にフィボナッチを思いつくなんて、あなたぐらいなモノよ^^』
63
アリッサ
『恐縮でございます』

ユリア
『あなたには悪いと思うけど、ホントに対照的な姉妹よねw』
64





65
だが同時に問題もあった。

ロナルド
『すがしぃ~この航路を辿るどぉ~、ばってん反乱軍の首領がおる、ウィンドヘルムを迂回するでごわすよぉ~』

ユリア
『ちょっとくらい(゚ε゚)キニシナイのっ!!』
66
ユリア
『それより!何か着なさいよねっ!!』

ロナルド
『いやぁ~汗かき過ぎたでごわすよぉ~ガハハハハッ!!』

ユリア
『ロン・・・それ、笑い事じゃないからねぇ~(-_-)』
67
ここまで語れば、察しの良い方ならお分かりいただけるだろう。
彼らが乗っている船とは、空飛ぶ船、【飛空艇】である。
68
タイタス・ミード二世の第四子であるユリアは、父親からもらったドゥーマーのガラクタを使い、トーリンと名付けたドワーフ・スフィアを再生させる。
この小さな出来事がきっかけとなり、その延長から、およそ3年という年月をかけてこの船を設計、そして造船にまで関わった。
この時、彼女はわずか13歳。
まさに帝国が誇る【天才児】【異端児】である。
試作品ではあったモノの、まさか自分の子供がこんな事をやってのけるとは、皇帝も思いもよらなかったのだ。
69
その後、彼女は何度も試作を繰り返し、再び3年の時を費やし、ほぼ完成にこじつける事ができた。
今回の航行は、ユリアにとっても、彼女の下で働く者たちに取っても、これほどの長い距離を飛ばしたのは初めてであり、そしてこれは処女航空でもあった。
70
船の名は【飛空艇マルキア号】
”マルキア”とは、若くしてこの世を去ったユリアの実母の名前である。





71
程なくして伝声管から声が響く。
船の甲板にて外の様子を伺っていた、監視兵からの声だった。

監視兵
『ユ、ユリアさまぁ~!たっ、大変ですっ!!』

それはかなりの焦り声だった。
72
ユリア
『どうしたのっ!?』
73
監視兵
『ドラ・・・ゴゴゴゴゴ~』

声の背景からうねりの様な轟音が混じり、よく聞き取れない。
74
ユリア
『何!?なんなの!?』
75
監視兵
『ドラゴンですっ!!ドラゴンが・・・あぁああああっ!』

そのまま聞こえなくなってしまった。

機関室の護衛兵達の顔が青くなる。
皆一様に唾を飲み込んだ。
76
だがユリアは焦らなかった。
彼女は別の伝声管を使い、声を跳ね上げる。

ユリア
『リサッ!!仕事の時間よっ!!』
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指令室にて言いつけを守っていたリサが、部屋に響いた声に気が付く。

ユリア
『甲板に出て、ドラゴンを蹴散らしてきなさいっ!!』
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リサ
『へへっ、あぃよぉ~姫さん~』
79
リサ
『任せるのぜぇ~!!』

ユリア
『船を壊すんじゃないわよっ!!』


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SOS 第十五話EP1 中編に続く・・・


[備考]

◎Julia Mede(ユリア・ミード)について・・・
彼女は、SOSにおける完全オリジナルキャラクターです。

a

バニラのタイタス・ミード二世には、三人の子供がいるらしく、【Aurelian】【Carinus】【Valerian】と、どうやら何れも男性のようです。
ユリアは、彼の晩年に授かった子であり、そして”正室ではない妾に産ませた”という設定になっています。
将校が拾って来たドゥーマーのガラクタを、タイタス二世が彼女に玩具代わりに与えたのがきっかけとなり、機械好きな工業系女子になったというエピソードにしました。

彼女の名前は、実在したローマ皇帝の実の娘から取りました。
父親のタイタスとは【Titus】の英語表記であり、ラテン語では”ティトゥス”と読むそうです。
第十代ローマ皇帝のティトゥス・フラウィウス・ウェスパシアヌス【Titus Flavius Vespasianus】が元となっており、
彼の娘である”フラウィア・ユリア・ティティ【Flavia Julia Titi】から取りました。
そしてその母親の名前が”マルキア・フルニッラ【Marcia Furnilla】であり、マルキアはユリアの実の母であり、皇帝の二番目の妻だったそうです。

因みにドワーフ・スフィアの”トーリン”は、有名な『ホビットの冒険』に登場するドワーフの長、”トーリン・オーケンシールド【Thorin Oakenshield】”から取ってます。

◎ロン
ロナルド・マウリシオ・ジェラード【Ronald.M.Gerard】
ナディアが自作した8人目のフォロワーさんです。
初期の段階では、ベルセルクに登場する聖鉄鎖騎士団副団長の『アザン』をイメージした人物です。
生真面目な性格で、嘗てはそれなりに名の通った人物であり、経験豊富な補佐役。
という感じの人物が作りたかったのですが・・・
何故か博多弁を話す、筋骨隆々な髭の厚い、胸板も厚いオヤジができちゃいましたw
彼の場合は、スケルトンを弄って上半身マッチョにしてあります。
本当は腹ボテオヤジを考えていたのですが・・・色々と問題がありまして(;´Д`)アフゥ

彼はユリアにとって最も古い付き合いのある護衛役を設定しました。
皇族護衛のペニトゥスオクラトスに所属している、ユリアの護衛を専門とする将校です。

因みに彼の名前は、ナディアの好きな映画監督の”ロン・ハワード”からロナルドを、
たまたま見ていた映画から”ジェラルド・バトラー”(彼のジェラルドはジェラードが原音に近いそうです)を使いました。
そしてミドルネームの”M”ですが、これは”マウリシオ”としています。

ミドルネームは、自分が尊敬する人物の名前から貰う事もあるそうで、
C
SOSでは第十一話EP2に登場した”マウリシオ”を意識させています。
マウリシオは、ウェストリーチにて起きた”リーチ事変”の際、ロザリーとナディアをハイロックから脱出させた人物として登場させました。
ロンは過去に彼となんらかの繋がりがあり、彼を尊敬しているという事から名前を頂いています。

注意:一応博多弁翻訳などを使って表記はしているのですが、誤表記があるかもしれません。間違っていたら大変申し訳ございませんm(_ _;)m

◎取り舵・面舵
面舵(おもかじ)とは、船舶の航行において、進行方向右に舵を転ずること。
取舵(とりかじ)とは、船舶の航行において、進行方向左に舵を転ずること。

ナディアは航海士ではないので、あまり詳しい事はわかりませんが、単純に右折左折と考えました。

◎フィボナッチ
イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチにちなんで名付けられた数の事。
なのでフィボナッチ自身は、スカイリムには存在していませんw
フィボナッチ数は、自然界に存在する数値らしく、花の花弁の数や、ひまわりの螺旋状に並んだ種の数だとかが一致するそうです。
その他、現代においても株だとかFXにも応用されているようで、自然的な統計とでも言えるようです。

今回はアリッサが、船を安全な航路に戻す為の方法として、フィボナッチを使ってみました。
実際の飛行機は、空を飛びながら、横風だとか、揚力だとか色々と複雑な要素と絡み合いながら、姿勢を保っているのだと思われます。
それらを加味した上での、より安全な方法という事で、この螺旋は使えるんじゃないかな?と作者の勝手な想像ですw
なのでそういう点でのツッコミはご了承くださいm(_ _;)m

因みに”ハイフロスガー付近の逆風”とは、世界の喉の頂上にいるパーサーナックスに会いに行くために体得する、『晴天の空』というシャウトを使う場所です。

◎アンヴィル(シロディール)→ソリチュード(スカイリム)
TESシリーズでは飛空艇は登場してません。
浮島のような物は存在しているようですが・・・

そもそもシロディールからスカイリムまで”海路”でどのくらいの日数がかかるのか?
作者も前々から考えていたのですが、これについてはスカイリムの【ダイナス・ヴァレンの日記】で確認する事ができます。
これによると、第四紀201年暁星の月22日にアイスランナーに乗り、第四紀201年薄明の月2日に”船長からソリチュードまで残り3週間と言われた”と書かれています。
暁星の月は31日まであり、薄明の月は28日まであります。
22日~31日=10日
翌月の2日から3週間なので、7×3=21と一日(ついたち)をプラスして22日
総数32日間。
単純に計算して最低1ヵ月という事になります。

b

どのくらいの距離なのかは、正確には計り兼ねますが、上図のように赤い線が最短距離かと思われるので、この航路だとおよそ1ヵ月は掛かると考えられます。
因みにアイスランナー号は、プラウティスが乗って来た輸送船と同型の船です。

ユリアが開発した飛行船ですが、マルキア号は空を航行出来るので、上図緑の線のように、山を突っ切っていく事が可能となります。
明らかに飛行船の方が距離が短く、機動力も海を航行するよりも遥かに速いと考えられるので、今の所1日~2日でソリチュードに向かう事が可能という設定にしてます。
またこの出発点も、一応シロディールのインペリアルシティを設定しています。
サンダーバードみたいなのができたらいいですねぇw(今後色々と変わるかもしれませんが・・・)

◎飛空艇での事故詳細
トーリンが排煙ファンに絡まってしまったために、ファンが損傷してしまい、エンジンの排熱ができなくなっていまう。
このままだと、エンジンが高温になってしまい、やがて他のエンジンまで巻き込んで船が墜落していまう。
止む終えず、排熱が出来ていないエンジンを一旦ストップする事に。
しかし、たった一基のエンジンが停止してしまったために、今度はバランスがうまく取れなくなってしまう。
このままでは船の姿勢が安定しないので、壊れた側の姿勢補正エンジンを全て止める事に。
これで『前進』と『取り舵』はできても、『面舵』が出来なくなってしまった。
そこでアリッサはフィボナッチを使って、グルグルと周り、ソリチュード港に着水する案を提案する。


[使用MOD]

Risa-Follower・・・言わずもがなの火野さんが作成された、リサさんフォロワーです^^

Dwemer Skyship fully flyable・・・ドゥーマーの飛空艇(外観をSOS用に改変しています)

Snow Elf Palace・・・スノーエルフをテーマにした宮殿MOD(SOSではシロディールの朝廷という事で使わせてもらいました)

Sgt Mauricio - Follower and Father・・・老軍人マウリシオ軍曹フォロワー




ポチットお願いしますm(_ _)m

【マルカルス アンダーストーン砦にて・・・】
74
ソーナーは、イグマンド達を取り逃がした事を酷く後悔していた。
それに加え、カルセルモだけではなく、甥のアイカンターさえも姿を消していた事を知って驚いた。
まさかあのカルセルモが、ドゥーマーの研究を放棄してしまうとは、思いもよらなかったのである。
75
マルカルスには、イグマンドの父親の代から、ハイエルフで組織されたサルモール達が常駐している。
彼らもカルセルモの研究資金を提供していたので、見事に出し抜かれたと思い、その意外性に驚いていた。
76
実はソーナーが、クーデターを成功させる事ができたのは、自分が抱えている傭兵団の力だけでできた事ではない。
裏でサルモール達が、暗躍してくれていたからだった
といっても彼らとは、やはり”銀”の繋がりがでしかないのは確かなのだが、話を持ち掛けたのはソーナー自身であった。
77
マルカルスは、カルセルモの読み通り、嘗てのドゥーマー達が作り上げた強大な都市国家であった。
その影響力は主にタムリエル北部で、しかも地上だけではなく地下までもが、彼らの支配地域として広がっていた。
なので彼らの事を【ディープエルフ】と呼ぶ場合もある。
ドゥーマーの技術力は非常に高く、現在に至ってもその解明は難題の一つとされている。
78
しかし、そんなマルカルスだが、【歪んでいる】と評価する者も少なくない。
記録として残っているだけだが、嘗てのドゥーマー達は、自分達の技術力の高さには、相当なプライドと自信があったらしく、
自らの限界でも試そうとしたのか、神をも恐れぬような所業を何度も繰り返していたとか。
【恐ろしく不可解。知的で勤勉ではあるが、残酷でさえある】
もしかすると、世界の創造に至る真実まで、解き明かそうとしていたのではないだろうか?
それについては、真偽のほどはわかっていない。
79
だが一つだけ確かな事実が残されている。
”理性と倫理に重きを置いたと思われる彼らは、デイドラ神への崇拝を軽蔑し嘲笑していた”という事である。

ドゥーマー達が謎のまま姿を消してからというもの、マルカルスの支配権は人間種達によって取って代わる事になる。
以後様々な勢力が興亡を繰り返してきたのだが、現在確認できる範囲でこの問題に直面していたのは、
ホルフディル以降になり、もちろんイグマンドもその一人として含まれいる。
噂だが、マダナックもこの事に関わっていたらしい。
80
これはこの街の”特記事項”として、首長となった者達にだけに、代々語られてきた話になる・・・
マルカルスには【強大な獣が潜んでいる】と言い伝えられてきたのだ。
81
イグマンドが、フォースウォーンの対処に遅れが出ていたのは、これが大きな原因だった。
というのも、前文でも説明したが、かつてマルカルスでは、ナミラの信奉者によるおぞましい事件が発生していた
しかし事件はこれだけではなく、無人のはずだった住居の一つから、あるはずのないモラグバルの祭壇が発見されたのである
82
デイドラ関連の問題が連発したせいか、自分たちでは手に余ると考え、イグマンドは【ステンダールの番人】と呼ばれる組織と手を組む事になる。
82-1
ところが、彼らが拠点としていた【ストゥーン渓谷】が、吸血鬼達の急襲を受けてしまった
突然の襲来に対し、準備もままならなかった彼らは劣勢に追い込まれてしまう。
82-2
その為、壊滅的なダメージを受けてしまい、一気に力を失ってしまったのだ
しかし、問題は人外の者の事だけではない。
82-3
この機に乗じてウルフリックが上級王トリグを殺し、スカイリムで内戦を引き起こし、イグマンド自身にもその火の粉が飛んできたのである
もはやフォースウォーンなど、貸す耳すら持てない状態だった。
83
しかし、これらの出来事の一部にサルモールが絡んでいた事を知るのは、ほんの一握りの者しかいない。
その一握りが、ソーナーとレブルスである。
ソーナーにとっては、街の実権を握る為、サルモールにとっては、帝国の弱体化の一端を担う為の策であった





【マルカルス城外にて・・・】
84
コルスケッガ―鉱山前で立ち往生していたリッケは、何度もマルカルスに密偵を送り、街の様子を探らせていた。
早い段階で中の様子を知りたかったからである。
とは言えフォースウォーン達は、退却する様子も無く、街中からの洪水は止みそうもなかった。
どこからか使者をねじ込む方法も考えていたのだが・・・
85
二日ほど経過した頃、フォースウォーン達の姿がサルヴィウス農園から消えたという報告を受けた
ようやく諦めがついたのか、ネズミの穴に潜ったようである。
85-1
リッケはここでワザと隊を分け、少数兵でマルカルスに向かう事にした。
街中からの洪水により、布陣できる場所が小さく、フォースウォーンによる被害を最小限にするというのも理由なのだが・・・
本命は、マルカルスの首長が誰になったのか?である。
事と次第によっては、こちらも手を打っておく必要があったからだ。
86
だが、農場に足を踏み入れた途端、唐突に目に入り込んできたモノは、その場にいる者全員にショックを与えるには十分な惨状だった。
人はかくもここまで残酷になれるモノなのか?と、問い詰めたくなる。
フォースウォーンとは、行き場を失った者が最後にたどり着く終着点だと、リッケは聞いた事があった
ともすればこれは、彼らの厳しい戒律による結果なのか、或いは最後に至ってまで悪足掻きをした結末なのか?

注意:次のSSは残酷な描写となっております!!心してご覧ください。










86-1
目の前に現れたのは、本当にあのマダナックなのか?
そう疑いたくもなった。
86-2
体中に剣を刺し込まれ、手足にも杭のように剣や斧が差し込まれている。
恐らく背中から刺された大剣が、最初の一撃だったのではないだろうか?
例えそうでなくでも、そうであって欲しいと願わんばかりだ。
その後に体を固定され、遠巻きに矢を打ち込んだといった所だろう。
87
何故彼が、こんな最後を迎えなければいけなかったのか?
その真実は不明のままだが、それでもリッケは彼と、彼と死を共にした者を懇(ねんご)ろに弔ってやるよう、兵士達に指示した。
嘗てはリーチの王としてこの地に君臨し、帝国を散々に悩ませた男。
彼らの習慣が何であれ、一つの時代に生きた勇者であった事には変わりはない。
87-1
彼らの遺体は、草木に覆われた場所にある、一本の痩せた木の下に埋葬された。
決して目立たぬよう、それでも”此処に有りき”と示せるよう、精一杯の心意気として。
87-2
そしてリッケは、無人になったサルヴィウス農園に簡易的に陣を敷く事にした。
個人宅が在るのだが、不在の為そこは使わず、暫くの間だけ外を使わせてもらう事にしたのである。
生死は不明だが、ここを去る際にでも土地を整備し、僅かな賃金と手紙を認(したた)める事で許してもらおうと彼女は考えた。
軍の勝手による、良民に対する迷惑への最低限の配慮である。
88
ソーナーも帝国軍の存在に気づき、街から水を引かせる段取りを取る必要性を感じていた。
元々彼自身が呼んだようなモノなのなのだが、本来ならイグマンドとラエレクの死体があるはずだった。
だが、この二人を仕留め損なっている。
89
【この二人が死んだので、止む終えず首長の座に就く事にした】
というシナリオを設定していたのだ。
90
だがレブルスは、その事に関して重きを置いていなかった。
傭兵団の力があり、それによりマルカルス兵達も支配している。
更にアンダーストーン砦を占拠した以上、この街の実権はソーナー自身が持っている訳で、
今更になってイグマンドが戻ってきたとしても、状況は何も変わらないとわかっていたからである。

だが主君の悩みも解らない訳ではなかった。
91
レブルス
『二人を仕留め損なった事を後悔しても始まりません』

ソーナー
『だがあの二人がいないと、帝国は私を正式なマルカルスの首長として認めない。
そう言ったのはお前だぞっ!!

レブルス
『その可能性があると言っただけで、必ずしも認めないとは限りません』

ソーナー
『どういう事だ?』
92
レブルス
『シルバー・ブラッド家は、この街の利権を殆ど手中に治めています。
それはホルフディルの代であった頃より、スカイリム中で知れ渡っている事です。
シルバー・ブラッド家の持つ利権と人脈は、帝国にとっても非常に有用的であるはず。
彼らが内戦を治めようと考えている以上、今もこれからもこの関係を崩そうなどとは、
余ほどの馬鹿でもない限り、考えようとはしないでしょう』

ソーナー
『う~ん』
93
レブルス
『しかし、帝国も恐らくシドナ鉱山の所有権を狙っているとは思えます』

ソーナー
『だろうな・・・我々にとって最もな弱みだ・・・
もしクーデターが明るみになったら、帝国は我々を罪人扱いし、鉱山を奪いかねないぞ?』
93-1
レブルス
『なので排水をする前に、なんとか外に出て、帝国軍と接触する必要があります』

ソーナー
『こっちから先に出向くと言うのか?』
94
レブルス
『そうです。
帝国もシドナ鉱山を欲しがるでしょうが、それよりも守りたいモノがあるはず
そちらの方に話を持っていくためにも、こちらから先に出向くのです』
94-1
ソーナー
『帝国が守りたいものとは・・・なんだ?』

レブルス
『それについては、私が帰って来てからにしましょう』

ソーナーにとっては、彼のここまでの惜しまぬ尽力を考えれば、この程度のワガママは見逃すに値した。
一方のレブルスにとっては、この事が彼を追い詰める事であっても、説得できる自信があった。
95
ソーナー
『それはいいが、お前が行くのか?』

ソーナーとしては珍しい言動だった。

レブルス
『元々私が進めてきた計画です。
誰が指揮をとり、マルカルスの動きをどこまで知っているのか探り、状況に応じて対処します』
96
レブルスはシロディールでの自分の苦い経験を元に、ソーナーに対して、全てを掛けて補佐しようと考えていた。
彼にはそれだけの価値があると、認めていたからである。
97
抜け道がある訳ではないが、水が溢れ出ていない北側の壁を数人の兵士達に協力させ、ロープなどを使ってレブルスと共の者を街の外に出した。
98
そして馬を使いサルヴィウス農園の帝国軍の陣に到着すると、大将に謁見を求める。
この時彼は、自分の事をこう言った。

”シルバー・ブラッド家の使者だ”と・・・
99
その事を耳にしたリッケは、 ”やっぱり”という言葉が頭に浮かんだ。
ロリクステッドに来たマルカルス兵達が、フォースウォーンに進路を絶たれたハズなのに、考えていたよりも早く報告ができたのは、
シルバー・ブラッド家の手による者だという予想は、大方間違いないと確信できた。
彼らがこの混乱を利用しないハズがないと言えるのは、マルカルスにおけるシルバー・ブラッド家の影響力は、
嘗てのホルフディルを大きく上回っている事が、スカイリム中でも周知の事実だからだ。
100
しかし問題は二つある。
いったいどうやってクーデーターを引き起こしたのか?
そして今現在の首長は?
101
だが反面、ここで彼らを追い詰めるような事をすれば、シルバー・ブラッド家との亀裂が生じる危険性がある。
彼らのマルカルスでの影響力を考えると、第二のウルフリックを作る事になり兼ねない恐れもあった。
とはいえ、 【シルバー・ブラッド故の帝国有き】という構図だけは、避けねばならい・・・
102
レブルス
『レブルス・クインティリアスと申します』

リッケ
『大将のリッケだ』
103
リッケ
『シルバー・ブラッド家の使者と聞いたが?』

それでもやはり、この名前を口にするには奇妙な違和感を感じざる得なかった。
104
レブルス
『その通りでございます』

レブルスは真顔で答えた。
105
リッケ
『マルカルスの首長は、イグマンドだったと思ったが?
何故シルバー・ブラッド家の使者が此処に来る?』

レブルス
『実はそのイグマンド首長なのですが、執政のラエレク及び従士のファリーンを含め、行方不明となっており、現在街中にて捜索をしている次第です』
106
シピウス
『なんだとっ!?いったいどういう事だっ!?』

リッケを差し置いて、シピウスは即座に反応した。
レブルスは、自分がいったい誰と話をしているのか一瞬迷った。
107
リッケ
『あなたは黙ってなさいっ!』

リッケが有無を言わさず喝を入れる。
彼は”しまった”とばかりに口を噤んだ。
108
『では、今現在マルカルスを統括しているのは誰?』

レブルス
『現在、仮の首長として、シルバー・ブラッド家の二男で有らせられる ”ソーナー様”が、マルカルスを統括なさっております』
109
シピウスを含め、側近達も少なからず驚いた。
だがリッケは、ある程度覚悟はしていた。
そしてその名前を聞いた聞いた時、少々安心できたのは事実である。
ポエットが関わっていないと確信できたからだ
110
リッケ
『どういう事なのか説明して欲しいわ』

彼女は落ち着いた表情を見せて口にした。
111
レブルス
『フォースウォーンが攻めてきた時、首長のイグマンドは排水溝を堰き止め、街中に水を貯め、水攻めを使って彼らを退(しりぞ)きました』

レブルスは平然とし淡々と語る。

レブルス
『その後、我々シルバー・ブラッド家の元に一人の兵士が訪れ、首長が不在の為に代わりに指揮を執って欲しいという要請を受け、現在に至っている次第です』
112
リッケ
『イグマンドが突然、職務を放棄したというの?』

リッケは眉を顰める。
113
レブルス
『詳しい内容は、御本人が不在なので我々にも理解しかねています。
ですが、何故かイグマンド首長の一派だけではなく、我々シルバー・ブラッド家の長兄であるソーンヴァー殿も、行方を暗ませています』
114
リッケ
”ソーンヴァーも・・・?”

自分達の方にも奇妙な出来事が起きていると、まるで被害者寄りの言い分だった。

シピウス
『ゆくえふめぇって・・・おまえなぁ~~』

あまりにも都合の良い話のせいか、シピウスは呆れぎみだ。
だがリッケはそれを無視し、問答を続けた。
115
リッケ
『レブルスとやら。
お主の話の内容を聞く限りでは、随分と都合が良い様に思えてならないのだが?』

レブルス
『しかし、我々としても、どう答えようもありません。
実際、フォースウォーンが攻めてきた時、シルバー・ブラッド家は一切関わっていなかったのですから』

これは事実である。
116
リッケ
『水攻めで攻勢に転じている以上、要請もしてこなかった訳か・・・』

レブルス
『おそらくはそういう事かと・・・』

リッケ
『その後に、上層部が突如として姿を消し、困った兵士達がそなた等を頼ったと?』

レブルス
『その通りです』

レブルスは、しごく平然と答えた。
117
この問答は酷く幼稚な印象であり、はぐらかされているようにしか思えない。
だが当のイグマンドの立場にしてみれば、何かの危険を察知し、マルカルスから脱出を図ったとも考えられた
それにコルスケッガ―にて、マルカルス兵達の遺体を目にしている事から、フォースウォーンが攻めて来るのを知って、兵を先行させた可能性もある
だがどれも、これと言って証拠となるものは見当たらない。
元々シルバー・ブラッド家が、自分達を呼びよせたのだと思われるが、その確たるモノすらない。
これらの人物を行方不明扱いにする事は、一見稚拙(ちせつ)の様にも見えるが、”常套手段”と表現したほうが適切だと思えた
118
彼女は一息つくと、椅子から立ち上がり口を開いた。

リッケ
『私が考えていた事を話そう』

”そらきた”
レブルスは心中で囁いた。
119
リッケ
『私はこの一連の出来事を、フォースウォーンを利用したシルバー・ブラッド家の仕業と見ている

しかし、リッケの唐突とも思えるこの言葉には、冷や汗を掻かざる得なかった。
120
レブルス
『それは・・・どういう事でしょうか?』
121
リッケ
『そもそもの発端は、ロリクステッドに来たマルカルスの伝達兵だ』

レブルス
『・・・』

リッケ
『そこでそなたに聞きたい。
コスルケッガ―鉱山の前で落石が起きていた事と、マルカルス手前の橋が沈められていた事は、知っているか?』
122
レブルス
『街の目の前の橋が壊されているという報告は受けましたが、コスルケッガ―については初耳でございます』
123
リッケ
『なるほど。
という事は、仮にイグマンドが、伝達兵をロリクステッドに送ったとしても、簡単には到達できないという事は理解できるな?』

レブルス
『マルカルスから外に出るには、通常この二本の道しか存在していませんので・・・』
123-1
リッケ
『となると、マルカルスはその伝達兵を”いつ”送ったかという事になる』

レブルス
『帝国軍に救援を求めに行った伝達兵という訳ですね』

リッケ
『そうだ』
124
レブルス
『残念ながらその事について、我が君ソーナー様も、私も一切関与していないので、答えようがございません』

シピウス
『なんだとぉ~!!』

シピウスは歯ぎしりをして口にする。
しかし、間髪入れずリッケが言葉を綴る。
125
リッケ
『だろうな』

そしてレブルスとの間を急に詰め、彼の事を疑わしいと言わんばかりに見下ろす。

リッケ
『残念ながら我々も、シルバー・ブラッド家が、この件に関わったという決定的な証拠を持ち合わせてない。
何せ我々に知らせた後、”その伝達兵は姿を暗ませたからな”』

舐めずり回すような言葉遣いに、レブルスは思わず唾を飲み込んでしまった。
126
リッケ
『それにっ!』

リッケは急に語尾を強く発すると、レブルスの目を蟻一匹逃すまいと刺すような視線で凝視した。
そして更に顔を近づける
126-1
リッケ
『裏付けをしようにも、送ったと思われる本人が行方不明となれば、尚の事都合がいいと感じないか?』

彼女が本当に言いたい事は、
”誰も呼んでないと言うなら、なんで私たちが此処にいるんだ?”という明らかな矛盾である。
そしてこれは、シピウスが怒った事を代弁しつつ、暗に”帝国を舐めるなよ”と威圧している意味も含まれている。
127
そしてその意味は、レブルスにも嫌というほど理解できた。
心の焦りが表に出てくる。
リッケが自分を覗き込む瞳は獣のようであり、思考ごと飲み込まれていきそうな感覚があった。
本物の将とは、 【爪痕を敵の心に刻むものだ】と聞いた事がある。
ある程度は承知ではあったが、百聞は一見に如かずとは正にこの事だと実感できた。
とはいえ自分がここでしなくてはいけな事は、徹底的にシラを切り通す事である
彼は声の上擦りを防ぐため、気づかれまいと唾を飲み込んでから口を開いた。
128
レブルス
『私が知る限り、マルカルス兵はフォースウォーンとの戦いの際、一兵卒も城門の外へは出ていないはずです』

リッケ
『何故そう言い切れる?』

幸いにも、帝国軍が決定的な証拠を持ち合わせていない事が確認できた。
”強気に出ろ”そう自分に言い聞かせる。
129
レブルス
『戦闘の後、現場で戦っていたマルカルス兵から、直接得た情報ですので。
何度も言うようですが、シルバー・ブラッド家は、フォースウォーンとの戦いの際、イグマンド首長には一切手を貸していません。
戦いがほぼを終わりを見せてから、我々の所に要請が来たのです。
私共シルバー・ブラッド家が知っている事は、戦闘以後の事であり、戦闘以前や最中に関しては答えようが無いという事です』
129-1
レブルスの抗弁はさらに過熱する。

レブルス
『そして我々シルバー・ブラッド家は、マルカルスにおける名士ではありますが、決してイグマンド首長との確執があった訳ではありません。
我々は常に、街の事を第一に考えています。
だからこそ信用があり、多くの住民達から支持を得ていられるのです。
ソーナー様が、帝国軍を支援しているのも、マルカルスという街を考えての事。
イグマンド首長の身に何があったにせよ、彼がこの街を投げ捨てたのは事実です』
130
リッケはレブルスの語りに、一切水を差さなかった。

レブルス
『しかしソーナー様が、この街を今現在統括されていますが、混乱一つ起きておりません。
私が知る限りでは、一度(ひとたび)戦が起きれば、力のない良民達は第一の被害者になります。
この街の統括を受け入れた以上、シルバー・ブラッド家はその責務を全うしなくてはいけません。
今回のフォースウォーンの襲撃が、イグマンド殿が招いた事なのかは不明であっても、最も大変な後始末を投げ捨てたのは明白なハズ!
我々がどの様に疑われようと、この事実は覆りませんっ!!』

レブルスは、心内に燻(くすぶ)っているモノを吐き出すかのように言い切った。
シルバー・ブラッド家によるクーデターなど無い。
職務を放棄したイグマンドこそ、戦犯に問われるべきである
と言わんばかりに熱弁を振るった。
131
リッケ
『そなたは、イグマンドより、ソーナーこそ、この街の首長に相応しいと言いたげだな・・・?』

それを聞いた時レブルスは、一瞬背筋が凍り、思わず奥歯を強く噛みしめた。
”しまったっ!ミス待ちしていたのかっ!?”
132
実際、シルバー・ブラッド家というのは、帝国軍内部においても謎の多い一族ではあった。
シドナ鉱山で採掘される”銀”によって成り上がり、帝国だけではなく、サルモールに至るまで広い人脈を持ってはいるが、把握すらできていない組織とも繋がりがあるとか・・・
黒い噂も絶えない分、彼らを支持する者が多いのも事実である。
寧ろそんな一族が、マルカルスを支配していない事自体がおかしいと言わんばかりに。
実兄である”ソーンヴァー”でさえも行方不明扱いにする事に、何かの不気味ささえ感じ得なかった。
133
レブルス
『それは・・・私個人としての見解ですので・・・』

彼は気まずそうに口にした。

しかしリッケは、仮にこの不可解と思われる出来事を不問にしたとしても、帝国軍としての権威(プライド)だけは守り通さねばならないと考えていた。
134
なのでこれ以上の問答は、お互いの為にならないと考え、早々に切り上げ、椅子に腰かけてから話を進める事にした。

リッケ
『マルカルスには、いつ入れる?』
134-1
この言葉に、レブルスは落ち着きを取り戻した。
だが”ため息”だけは絶対しなかった。

レブルス
『現在マルカルス内にて、積み上げた土嚢を取り除く作業をしております。
早ければ今日の夕方頃には、町の北側よりアンダーストーン砦へご案内できるかと・・・』
135
しかしそれでも”楔(くさび)だけは打つ”

リッケ
『よし、ならば水が引き次第、こちらも入城するとしよう。
しかしそれがわかるよう、お前達も外に出て来て、我々を出迎えて欲しい』
136
レブルス
『わ、私達と申しますと?』
137
リッケ
『ソーナー以下、重臣達全員だっ!』

リッケは睨むような目つきで、ぶっきらぼうに答えた。
要するに”臣下の礼をとれ”と言っているのである。
マルカルスにて権威を振るっているシルバー・ブラッド家と言っても、それは帝国が着いてくれているからだという事を暗に示したかったのだ。






138
レブルスは、 ”やはりそうきたか”と胸中を抓(つね)る思いだったが、それでも今後の事を考えれば選択肢は無い事も分かっていた。
だが当初の目的通り、鉱山目当てよりも、帝国の権威を守らせる事で好条件を引き出せた。
と同時にリッケという人物が、ノルドであっても中々の切れ者であり、要注意である事もわかった。
あとは残りの後始末だが、ソーナー本人の激怒は免れなかった。
139
ソーナー
『なにっ!!臣下の礼だと!?』

それも当然である。
ソーナーにとっては【シルバー・ブラッド故の帝国有き】が、プライドの一つだったからだ。
140
レブルス
『我が君、ここは辛抱する所です・・・』

ソーナー
『ぐぬぬ・・・ テュリウスの腰巾着に頭を下げろと言うのか ・・・』
141
レブルス
『我が君は、まだ正式な首長と認められた訳ではありません』

ソーナー
そんな事は百も承知だ!!
シルバー・ブラッドは、帝国を散々に支援してきたっ!
なのに!私を足元に据え置こうと言うのかっ!?

142
レブルス
『私はリッケ大将と、クーデターの話は一切していません。
疑っているような衒(てら)いはありましたが、彼らも我々との関係にヒビが入る事を最も恐れているようでした』

ソーナー
それがお前の言う、帝国が銀鉱山を手に入れるより、守りたいと言っていた事なのかっ!?

レブルス
『いいえそれだけではなく、それを含めた上での帝国としての権威を守る事ですっ!』

ソーナーは気難しい表情を浮かべながら、暫く黙り込んだ。
そして言葉をゆっくりと吐く・・・
143
ソーナー
”帝国有き故のシルバー・ブラッド”を示したい訳だな・・・

ようやく彼が、プライドの枷(かせ)を一つ外したようだった。
144
レブルス
『リッケ大将は、証拠を一つも持ち合わせていないと、私に直接話しました』

ソーナー
『それは、 ”今は持っていない”という事だろう?』
145
レブルスは表情を急に強張らせる。

レブルス
『我が君。
今の帝国軍にとって最も重要なのは、シルバー・ブラッド家のクーデターを糾弾する事ではありません!
スカイリムの独立を阻止し、ウルフリックの反乱を鎮圧する事ですっ!

ソーナーは再び口を閉ざした。
146
レブルス
『テュリウスが、我々との繋がりを持っているのは、自分達だけでリーチを治める事は、難しいと考えているからですっ!
なぜなら彼は、スカイリムにとって外国人であり、現地の人間では無いからですっ!
その為の多少のリスクも承知のはずっ!』
147
ソーナー
テュリウスが、我々のクーデターを不問にすると?
148
レブルス
不問にするのではなく、おそらく帝国全体の事を考え、揉み消しを図るでしょう。
それだけではありません、我が君がこの街の首長となる方向性だけでも決まれば、
イグマンド達は、”職務放棄”他多数の”犯罪人”として、帝国軍が処罰してくれます!

流石にこれには、ソーナーも驚きを隠せなかった。
149
レブルス
『なので今回はプライドを捨て、この”臣下の礼”を一つ守れば、シドナ鉱山の利権を奪われる事も無いはずです』
150
”やはりこの男はデキル。自分には無い物を持っている”
ソーナーは単純にそう感じ、奇妙にも身震いさえした。
時にハラハラさせる所もあるが、自分の右腕としては申し分のない人材だと感心した。
151
元々彼は商人である。
”益”こそが、彼を説得する唯一の方法だとレブルスは心得ていた。
同じ数字を扱っていた彼にとっても、一番に理解できる事でもあった。
152
ソーナーは不愉快な気持ちはあったが、レブルスの説得もあり、演技を続ける事にした。
152-1
街中の水を引かせた後、彼は城門前に立ち、 ”臣下の礼”を取ってリッケ率いる帝国軍を迎え入れた。
153
リッケはソーナー以下重臣達を含め、今後のマルカルスの方針を端的に話し合った。

リッケ
マルカルスは、帝国統治の元で治められる事で、商業、医療、工業などの産業支援を受け続ける事ができる。
ただし、軍による行動は制限され、本国(これはテュリウス将軍も含まれる)の命令が無い限り、勝手な行動は一切認められない!
マルカルスは帝国軍の一部として統合され、共にスカイリムの和平及び帝国法制度における順守に活用される物とする!

153-1
これはつまり、シルバー・ブラッド家がマルカルスを統治するのなら、彼らの持つ私兵も、帝国軍の兵士と見なされる事を指す。
そしてその”帝国軍兵士”によってマルカルスは守られる代わりに、現在遠征軍として、ソリチュードを拠点に活動している帝国軍を全面的に支援しなくてはいけない。
という事はソーナーは、帝国軍に対して”銀”の供給を止めてはならない という事になる。

リッケはこの時、サルモール達も会談に臨ませた。
首長の交代に同意させ、なおかつマルカルスが帝国軍傘下に治まる事を”証人”として立ち合わせたのだ。
154
そしてリッケは、ホワイトランホールドに陣取るテュリウスに手紙を送った。
受け取ったテュリウスは、その内容にかなり驚いた。
154-1
将兵達の間では、しばしば不満の声が上がった。

”腹黒い事で有名なシルバー・ブラッド家を首長に据えるなど・・・”

”そのうち帝国を裏切るに違いない!”

”信用にならない・・・”

それでも現在の状況を考えれば、リッケは最善の方法を取ってくれたとテュリウスには思えた。

154-2
将兵達の意見も最もだが、今はホワイトランを奪還せねばならない。
その為には、マルカルスを敵に回すような事だけは控えねば・・・

今回は素直に受け入れる事で、目の前の問題に注視しようと判断した。
そしてソリチュードとロリクステッドの陣に手紙を送ったのである。
155
ソリチュードのエリシフには、マルカルス首長として”ソーナー・シルバー・ブラッド”を推挙する内容を。
そしてロリクステッドのバルグルーフには・・・
156
ホワイトランホールドから西側一帯に、多数の捜索隊を差し向けるよう指示を出した。
目的は ”元マルカルス首長のイグマンド”、”元執政のラエレク”、”元従士のファリーン”
この三名の逮捕である
そしてこの逮捕には”生死を問わず”と付け加えた。
しかもこの内容は、ソリチュードに送った手紙にも書き加えられていたのである。
だがこの中には、カルセルモとアイカンターの二人は除外されていた。




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<備考>

◎アーンリーフ・アンド・サンズ貿易会社
初代の名前はアーンリーフであり、その息子がグンナールで、息子の嫁がリスベットです。
そしてイメドゥナインとコスナッチは、アーンリーフが存命からの従業員でした。
この事は、リスベットとイメドゥナインから直接聞く事ができます。

おそらく『アーンリーフ・アンド・サンズ』という店名は『アーンリーフとその息子達(子供達)』とでも解釈できると思われるので、
初代のアーンリーフは、血筋よりも家族の輪を大切にした人物だったのかもしれません。
ゲーム内では、リスベットはグンナールといつ結婚したのかはわかっていません。
スカイリムの始まりは【E4 201(第四紀の201年)】となっているので、その五年前にグンナールがフォースウォーンの襲撃で命を落としています。

SOSではアーンリーフ・アンド・サンス貿易会社の起源について、いつ発足されたのかまでは書きませんでした。
そのうえでワザと”マルカルス事件”を跨がせています。
実際のマルカルス事件は176年に起きているようで、帝国対アルドメリによる大戦終結の翌年という形になります。
なので、SOSにおけるアーンリーフ・アンド・サンズ貿易会社は、20年以上続いている老舗という形にしてあります。
ただし、シルバーブラッド家による買収話があったかどうかは分かりません。

マルグレッドと言う人物の日記には、ソーナーはマルカルスのあちこちで地上げをし、土地を買い漁っていた。
とあるので、アーンリーフ・アンド・サンズもその対象であった可能性はあると思われます。
という所からストーリーに仕立てました。


◎シルバー・ブラット家のバナー

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このバナーは、著者のオリジナルですw
銀のインゴットに血が注がれているというイメージです。
マルカルスには血と銀が流れているを比喩しましたw


◎イメドゥナインとコスナッチ
彼ら二人は従兄弟同士だというのは、イメドゥナインから聞く事ができます。
二人ともブレトンですが、二人でのイベントは見当たりません。
共に同種族のブレトンではあるのですが、ゲーム内でイメドゥナインは店で雑務を担当し、コスナッチは宿屋シルバー・ブラッドで酒ばっかり飲んでますw
SOSでは”互いにブレトンという種族でありながら、ノルドの影響が強いらしく、消耗する事に必死だったようである。”と表現してみました。
ちなみにコスナッチは、プレイヤーとの殴り合いのイベントがあり、これに勝利するとフォロワーになってくれます。

”ブレトン”という種族は”人間”と”エルフ”の混血種であり、ハイロックに住みついたネディック(人間種)が、エルフに支配されていた時代に誕生したとされています。
当時は”マンマー”と呼ばれていたらしく、マンは人間、マーはエルフなのでそのマンマーでしょうw
オマンマではないのだ(´・ω・`)あふぅ?
彼らの特徴は、人間種でありながら魔法も使えるバイリンガル的な要素を持ち、情熱的であり知的であり気高く独創的であるとされています。
そんな彼らだからこそ、プライドも高いはずなのですが・・・
彼ら二人は完全に落ち目といった存在にしか見えませんw
ブレトンと言えば、フォースウォーンもブレトンを主軸として構成されていますが、二人は彼らとの関りは無いようです。

因みにSOS主人公のナディアも、何を隠そうブレトン種ですw


◎シルバー・ブラッド家の傭兵団の起源
シルバー・ブラッド家の傘下に入った、アーン・リーフ・アンドサンズでの仕事の為に傭兵団が発足されたという話は、架空ですw


Particle Field
ライアーの隠居所にて毒ガスのイメージを、こちらのフォグを使わせていただきました^^
綺麗なSSを撮影するには持ってこいのMODで、ナディアも以前個人撮影で使わせてもらった事があります^^
フォグ以外にも、羽とか花びらとか泡とかが、自分の周りを飛び回ったりします
すばらしいMODですね^^ノ


◎ファルメル(ファルマー)
タムリエル大陸を元々支配していたのは、ハイエルフ種族だったそうです。
彼らから派生した種族が多数おり、実はファルメルもその一つです。
彼らは元々スカイリムに定住していた、スノーエルフと呼ばれる種族だったのですが、アトモーラ大陸から人間種(イスグラモル)が入り込んできたおかげで住処を失い、
嘗てのドゥーマー(ドワーフ)を頼る事で地下に潜ります。
しかしそのドワーフに騙され、毒キノコを食べされたおかげで視力を失い、完全に奴隷扱いされ、ドゥーマーが姿を消した後も、何世代にも渡って地下に住み続ける事によって、
現在の醜悪な姿に変化してしまったという、悲しい過去を持つ種族でもあります。
そして、だからなのですが、ドゥーマーの遺跡の傍には彼らが多数蔓延っている事が多々あります。


◎クリフサイドとライアーの隠居所
二つのロケーションは、実際のスカイリムでも地図上ではほぼ密接しています。
ライアーの隠居所は、ブロークンタワー要塞からクリフサイドに向かう途中にあるのですが、個人的に意外と気付き難いと感じました。
またこの場所は、元々山賊達が占拠していたのですが、ファルメル達が地上に出るために穴を掘っており、彼らと戦った為に全滅させられたというエピソードになっています。
そしてプレイヤーがこの場所を訪れると、すでに事が終わっているのですが、たまたま外に出っ張っていた山賊達が帰って来て、戦闘になるイベント付きです。
今回はこの辺をチョコチョコ変えて、新米の傭兵団を抱えたコスナッチが、マルカルスに戻れないから、中継点として予定していたライアーの隠居所を訪れたのだが、
カルセルモとアイカンターの二人が迷い込んでいた所に鉢合わせ、その上ファルメル達が襲って来た。
そのファルメル達が壁の穴を掘っていた音が、たまたま地上にいたマリアの耳に入ったという設定にしてみました。
因みに本編では『ナミラの祠』は出てきませんw


◎リッケの警戒
リッケがサルヴィウス農園に向かう際に、兵を少数編成させた理由は・・・
①使える土地の狭さ。
②フォースウォーンの奇襲への対処。
③マルカルスの首長が誰になったのか?という警戒から。
と書きました。

使える土地が狭いのは、事前に偵察隊の報告によるものです。

フォースウォーンの奇襲は、ネズミの巣からの襲撃があった場合、道幅が限られている場所で、多数兵による戦闘は不利になり易いです。
また少数で戦いになったとしても、援軍があれば逆に奇襲になります。
そして、すぐに逃げられるようにするという意味もあります。

マルカルスの首長については、リッケはこの時点ではまだ兄であるソーンヴァーが、クーデター?か何かの首謀者と考えてます。(SOS第十三話EP3後編)
そうなると、ホワイトランにいるはずのポエットが関わっているのでは?という疑いが浮上してきます。
もしこれが当たりなら、即座に戦闘態勢に切り替えなければいけないからです。
その為の少数兵であり、そして偵察という意味も含めてあります。


◎モラグバルとナミラ
共にデイドラの王子です。

●モラグバル
支配・使役・冒涜・不和を司るデイドラロード。
元々はデイドロスという、ワニを二足歩行させたようなデイドラだったが、デイドラロードに伸し上がった。
以前、タムリエルに吸血症をもたらしたデイドラロードと書いたのですが、どうやら彼が直接広めた訳ではないようです。
この病の発端は、ラマエ・ベオルファグという一人の女性が関わってきます。
モラグバルは、彼女を散々に冒涜した事により、彼女の負の部分が増大し、それが元で吸血症が広まったというお話しです。
これはスカイリム内の【オプスカルス・ラマエ・バル】という書籍で確認できます。

●ナミラ
古代の闇を司るデイドラ、または霊魂のデイドラとも呼ばれ、あらゆる悪霊や邪霊を統べている。
蜘蛛、昆虫、ナメクジなどの人間が本能的に嫌悪する薄金悪い生物と関りがある。
『廃滅の女公』とも呼ばれている。
今作スカイリムでは、最も弾けているクエストを持つデイドラとも呼ばれていたりします。
内容に関しては、敢えて言及しませんが・・・
ナミラに関しての書籍は少なく、有名な一冊は『物乞い王子』です。
デイドラロードの中では、大人しい部類に入るかと思われてもいるようです。

ちなみにSOS十一話EP2の、ロザリーがナディアを助けた時のお話しに使ったロケーションは、『Beyond Reach』というクエストMODを使用しています。
このMODにはナミラが密接に関係してくる内容であり、彼女が支配する領域『スカトリングヴォイド』に足を踏み入れる事ができます。



◎ストゥーン渓谷
ストゥーン渓谷は実際のゲーム上のスカイリムには存在していません。
クエストMOD『Vigilant』にて登場する架空のロケーションです。
ゲーム上には『番人の間』と呼ばれるロケーションがあり、DLCであるDawnguardを導入する事によって、吸血鬼達に襲われたという設定になります。
今回は、筆者がVigilantをプレイしていた事と、ステンダールの拠点が印象的に良かった点で使わせてもらいました^^
非常に人気があるMODですのでお勧めですw

また”ストゥーン”とはステンダールの昔の名前だそうです。
なので九大神の一人である【ステンダール】の事を指します。
因みに前話である【第十四話EP2後編】に登場した、ファルクリース首長のデンジャールは、正式には”ストゥーンのデンジェール”という二つ名となっています。
彼との会話で『ファルクリースはステンダールに守られるだろう』と語る場面がありますが、どうやら彼はステンダールの信者のようです。
彼の親族が吸血鬼になっていたりと、奇妙な繋がりがあるようなので、この点は間違いがないと思われます。
最もステンダールの番人とは、関りがあるのかどうなのかは不明です。


◎ステンダールの番人
オブリビオンクライシスを起源として組織された集団。
主にデイドラ及びその崇拝者、または人外の者を排除・殲滅を目的としている。


◎イグマンドとラエレク、そしてファリーンとカルセルモ
イグマンドとラエレクは伯父、甥という関係で家族ですが、ファリーンは血筋が違います。
ソーナーが、イグマンドとラエレクの命を狙うのは、自分が正式に首長の座につくためという野心があるからなのですが、何故かファリーンだけターゲットに入ってません。
それはファリーンがカルセルモに見初められたからです。
彼女を亡き者にされたら、カルセルモの怒りを買い、マルカルスから出ていく、あるいは復讐しに来るなどの、デメリットの可能性がある為にリストに入れてませんでした。
カルセルモと言う人はマルカルスだけでなく、タムリエル全土における貴重な財産、人間国宝級の人物とSOSでは考えているので、主要人物からは基本的にターゲット外という事にしています。
寧ろ重宝した方が、自分にも利益があると考えられるからです。
ファリーンはその保護があるおかげで、今はリストに入っていないという事です。
これがもし、イグマンドと血筋が繋がっていたとしたら、状況はまた複雑になっていたかもしれませんw
ただし物語上では、ソーナーはこの全員を取り逃がしていますw
そしてこれは、マルカルスの裏の支配者らしい選択と表現しているつもりです。
というのも、帝国軍のテュリウスやリッケにとっては、カルセルモとファリーンの関係など問題に入っていません。
あるいは知らないのかも・・・?





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