Nadia's Skyrim

  -スカイリムRP妄想日記-
【スカイリム独立戦争編】

1

カルジョ達とはリフテンで別れることになった。

ドロマシ
『見つかるといいなドラゴンボーン^^』

ポエット
『ありがとう^^』

ザイナビ
『スクゥーマが手に入ったら教えてちょうだい・・・』

ポエット
『え、ええ・・・^^;』

アハカリ
『あなたはいい人のようね^^
困った事があればいつでも声をかけてちょうだい』

ポエット
『ありがとうアハカリ^^ノ』

カルジョ
『我が友よ、お前とはまた会えるような気がする。
旅の無事を祈ってるぞ^^』

ポエット
『カルジョもね・・・』

よき友ができた。
思わず涙があふれた。
それを拭うと笑顔を絞り出し、固く握手を交わした。
カルジョの言う通り、彼らとはきっとまた出会えると心に言い聞かせ。

再び長い旅路にでる。
実のところ、その人物についての知識はあまり持ち合わせていない。

各都市の従士職には就いていたので、スカイリム中でドラゴンボーンの名は知れ渡っている。
にもかかわらず、どの勢力にも属していない一匹オオカミであること。
帝国とストームクロークの内戦を停戦に持ち込んだこと。
邪竜アルドゥインを倒したこと。
噂ではウインターホールドでアークメイジに抜擢されたとか・・・

反乱軍に加わっている時に得た情報はこの程度だった。
とりあえず、手近な情報を元にウィンターホールドを目指すことにした。

2

かつてウィンターホールドはスカイリムの首都であった。
最北東に位置するこの街は、かつての栄光を誇った姿とは打って変わって、寂れた寒村になり果てている。
それというのも【大崩壊】と言われる未曾有の津波災害に見舞われてしまったせいだと云われている。

北の海沿いの町だというのに港さえ無い。
大雪と猛吹雪により植物も育ち難く、住民たちはその日その日を生活するのにやっとの状態。
当地の首長も日々頭を悩ませていた。

とは言え、そんなウィンターホールドにはタムリエルで唯一の魔術師大学が存在する。
かつてタムリエルには、魔術師ギルドなるものが存在したが、ここ200年の間で解体されてしまった。
なのでこの大学にはタムリエル各地から魔術師を目指す者達が集まってくる。

そんな中でのアークメイジとなれば、相当な魔術の達人と言えるだろう。

3

猛吹雪に飛ばされそうになりながらも、ようやくウィンターホールドに到着した彼女だったが、目的のドラゴンボーンには出会うことはできなかった。

4

魔術大学師範のトルフディルから、ソリチュードに居を構えているとの話を聞く事ができたので、休む間もなくソリチュードに赴くことにした。

5

ソリチュードに向かうにはウィンターホールドからさらに西に向かわなくてはいけない。
海岸沿いを歩き、ドーンスターの町を超え、雪道をぬかりさらに西へ。
夜になってようやく大雪を抜けると今度は一面湿地帯が現れた。

6

当然ながら山賊や獣、時には死霊術士などにも出くわすこともしばしばだったが、歩みを止めることはなかった。
なんとか翌日の午前中にはソリチュードに到着できた。

7

ソリチュードはスカイリムの現在の首都である。
スカイリムにとっての【首都】とは、各地の首長による合議によって選出された【上級王】が在籍している街のことである。
かつてこの街には【トリグ】という上級王がいた。
だがトリグはウルフリックによって殺されてしまったために、今は空席となっている。
現在この街の首長を務めているのは、トリグの妻でエリシフという女性首長だった。
内戦になった今では上級王は不在だが、帝国にとっては兵や物資を上陸させるための重要な拠点となっている。

そしてこの街にはポエットも以前訪れている。
だが今回の目的は違った。

街の衛兵にドラゴンボーンが購入したというブラウドスパイヤー邸の場所を聞き出し早速赴いた。

鍵も掛かってなかったので勝手に中に入った。

8
9

衛兵の話だと従者が一人いるとのことだったが、誰もおらず完全に空き家状態になっていた。

10

仕方なく町の宿屋の店主に話を聞いてみたところ、ガラム・エイという怪しいアルゴ二アンを紹介してもらった。

11

ポエット
『こんにちわ^^ノ』

ガラム・エイ
『ああ?お前誰だ?』

ポエット
『私はポエット、ドラゴンボーンを探しているの』

ガラム・エイ
『ドラゴンボーンだと?ま、スカイリムじゃ有名だよなぁ』

ポエット
『そうね!?今どこにいるか知らないかしら?』

ガラム・エイ
『お嬢ちゃん、最近は情報っていうのも安くないんだよ』

ポエット
『・・・』

ガラム・エイ
『教えてやってもいいが、なにせあのドラゴンボーンの情報となれば安くはないだろうな』

12

ポエット
『幾らなの?』

ガラム・エイ
『うむ。その背中に背負っている物。そいつはクロスボウってやつか?』

ポエット
『これが欲しいの?』

ガラム・エイ
『東帝都社からの卸物でもそんなもの見たことがないからな』

13

ポエット
『ソリチュードにいる人ってホントに目の付け所がいいわね^^
実はここに来る前に鍛冶屋さんの親父さんにも1000セプティムで売ってほしいって言われたんだけど・・・断ったのよ』

嘘である。

ガラム・エイ
『1000セプティム!!!』

14

ポエット
『だからぁ~こうしましょ^^
私は護身用のためにどうしてもこれが必要なのよ
残念だけどこれはあげられない。
でも、これがあった場所なら教えてあげられるわ』

ガラム・エイ
『ほぉ~そいつはどこだ?』

ポエット
『交換条件って言ったはずだけど?』

ガラム・エイ
『ああ、そうだったな』

ポエット
『で?ドラゴンボーンはどこにいるの?』

ガラム・エイ
『リフテンのハニーサイドって家に行ってみな。そこがナディアの家だよ』

ポエット
『ナディアって言うのドラゴンボーンの名前?』

ガラム・エイ
『ああ、そうだ』

ガラム・エイはややも上機嫌だった。

ガラム・エイ
『もし、誰もいないようだったら、盗賊ギルドのブリニョルフって男を訪ねてみるといい』

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ポエット
『じゃぁこれが場所の記した地図ね^^ありがとう!トカゲさん^^ノ』

16

ガラム・エイ
『まさか・・・この部品を使って作れっていうんじゃ・・・』

17

リフテンは、スカイリムに到着した際カルジョたちと別れた場所だった。
延々と北方を旅してきたのに、結局元に戻るとは思いもよらなかった。
だが彼女はあきらめなかった。
ドラゴンボーンに会いたいという一心でひたすらリフテンを目指した。

18

ここはスカイリム南西に位置する街で、シロディールとの国境を近くにした要塞である。
商業が非常に盛んなので国境を超えて商人たちの往来がいつも絶えない。
街中では多くの商人が出稼ぎに来ては露店を構えている。
往々にして人と金の流れの多い場所には、犯罪も自然と集まってくる。
スリ、強盗、殺人は日常茶飯事。
衛兵に至っても賄賂一つ渡せないようでは、情報一つ手に入れることができなかった。

この街には、それ以上に有名な『盗賊ギルド』の本拠地がある。
表沙汰口にはしないが、首長から下の者に至るまでみんな知っていた。

この街に訪れる旅人は色んな事に油断してはいけない。

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とりあえず衛兵に袖の下を渡しハニーサイドの場所を聞き出した。

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ハニーサイドに到着した彼女は、いつも通りノックもせず遠慮なく中に入る。

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相変わらずのもぬけの空で、どこか物悲しささえ感じた。

23

2日間ほどずっと旅続きでろくに寝てもいなかった彼女は、さすがに疲れ果て今夜はここで休むことにした。

翌朝・・・
仕方なくトカゲに教えてもらった通り、ブリニョルフなる人物を探すことにした。

24

リフテンが盗賊ギルドの根城だとは知っていた。
公式に認められているわけもないので、大声で本人を探すわけにもいかない。

慎重に動かないと自分がブタ箱行きになってしまう。

???
『ちょっとあなた・・・』

成人女性らしい滑らかな声がポエットを呼び止めた。

???
『子供がこんな町で一人歩くなんて危険よ。親御さんたちはどこにいるの?』

ポエットはあっけにとられた。
ここまで親切に子ども扱いされたのは初めてだった。
よく見たら、ゴツイ鎧を着こんだ女性だった。
顔には戦化粧をしている。

???
『私はムジョル・・・あなたは?』

ポエット
『私はポエット・・・』

ムジョル
『ポエット?かわいらしい名前ね^^
お父さんお母さんとは逸れちゃったの?』

ポエット
『えっ?あぁまぁ、逸れたというか・・・・』

ムジョル
『なんてこと!孤児なのね!』

ポエット
『えっ?』

ムジョル
『大丈夫よ!お姉さんが安全なところに連れて行ってあげるわ!』

ポエット
『は?』

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ポエット
『ちょっ!うわぁぁあああっ!』

一人の男性が慌てて駆け寄ってきた。

アエリン
『ダメだよムジョル!』

ムジョル
『何よアエリン?』

アエリン
『逸れたってことは、孤児じゃないよ!迷子ってことだよ^^;』

ムジョル
『あら・・・』

ポエット
『私!孤児でも迷子でもありません!それに子供でもありません!』

ムジョルとアエリンは驚いた顔をしていたが、気を取り直してポエットの話に耳を傾けた。

ムジョル
『ナディアならハニーサイドにいなかったの?』

ポエット
『昨日そこへ行ったんですけど、もぬけの空でした。
それで・・・ブリニョルフっていう人を探しているんですけど・・・』

ムジョル
『ブリニョルフですって!うむむむ』

ムジョルは急に腕組をして厳めしい顔をした。
アエリンがムジョルをなだめると、ポエットにブリニョルフの事を教えてくれた。
彼は最近まで街中で奇妙な薬を売っていた男で、盗賊ギルドの頭目をやっている男だということ。
彼と接触したいならビーアンドバルブにいるサファイアという女性を探せと。

26

ビーアンドバルブは街にある旅人向けの唯一の宿屋件酒場である。
ここはスカイリムでも珍しく、アルゴ二アンが経営するお店であり、リフテンでも多くの人が様々な理由でここを利用する。
ポエットは恐る恐る女性アルゴ二アンの主人の前に座った。

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キーラバ
『いらっしゃい・・・
なんだ子供かい!帰った帰った!
ここは子供が来る場所じゃないよ!』

ポエット
『ええ、よく言われるわ、でも私は大人よ』

キーラバ
『ホントかい?
それじゃ何か飲むのかい?』

ポエット
『じゃぁハチミツ酒って言いたいけど、朝からお酒もなんだからジャズベイブドウジュースで・・・^^;』

キーラバ
『あんた、ここら辺じゃ見ない顔だね』

ポエット
『ここにサファイアっていう人がいるって聞いたんだけど・・・』

キーラバはしばらく黙り込む。
すると向かい側の壁に立っていた女を睨みつけ言った。

キーラバ
『・・・それならそこにいるわよ』

サファイア
『な!なんで教えるのよトカゲ!』

キーラバ
『あんたらにそんなところに立たれると商売の邪魔なのよ!』

サファイア
『ただ立っているだけじゃない!なにも邪魔してないでしょ!』

キーラバ
『立ってられることが邪魔なのよ!』

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すかさずダレン・ジェイがサファイアに駆け寄った。

ダレン・ジェイ
『馬屋のシャドルなら今日は来ない』

サファイア
『なんで!?』

ダレン・ジェイ
『馬一頭ダメしてホフグリルにボコボコにさたそうだ』

ダレン・ジェイ
『金を取り返したきゃ、マーラ聖堂に行ったほうがいい』

サファイアはダレン・ジェイを睨んだが、すぐに踵を返した。
ポエットに来いと手招きすると、ダレン・ジェイに指さし言った。

サファイア
『これで貸し借りなしだからね!』

ポエットはアルゴ二アン二人に感謝すると彼女に連れられて外へ出て行った。
サファイアには真夜中に聖堂裏の墓地に来いと指示された。
言われるがまま薄気味悪い墓地の前に立っていると、彼女が姿を現した。

29

サファイア
『ブリュに何の用なんだい?』

ポエット
『ドラゴンボーンのナディアっていう人をさがしているの』

一番大きな大きな墓には仕掛けがしてあり、サファイアが何かをすると、石と石とがこすり合う不快な音を立てながら地下への入口が現れた。

地下へ降りていくと、かび臭い異様な臭いがした。
奥から人の笑い声などが聞こえてくる。

進むと薄暗い洞窟内に広いスペースが現れ、ポエットを圧倒した。
サファイアはさらに奥に進む。
やがて木材でできた壁に行きあたると再び彼女は何かをしだした。
すると木材の壁が開きだし、奥から再び道が現れた。

ポエットには驚きの連続だった。

サファイア
『キョロキョロすんじゃないよ!』

しばらく歩くと再び開けた場所にたどり着いた。

30

ブリニョルフ
『オナホールはここじゃないぞサファイア』

サファイア
『この小娘がマスターを探してるんだってさ』

ブリニョルフ
『なんだと?』

ポエット
『マ、マスター?』

さすがにその言葉を聞いて驚いた。
マスターの意味くらいはポエットにも理解できた。

ブリニョルフ
『嬢ちゃん。ここがどこだかわかってて聞いてるんだよな?』

ポエット
『えっ・・ええ、もちろん。
だから・・・ただでとは言わないわ』

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ヴェックス
『へぇ~なかなか上物じゃないかw
小娘にしちゃ世渡りが上手ぜブリュ』

32

ブリニョルフ
『そのようだな。おい、お前何者だ?』

ポエット
『・・・』

ブリニョルフ
『子供が一人で宝石持ち歩ているなんて、どう考えたっておかしいゼ』

ブリニョルフ
『見たところいい所のお嬢さんって雰囲気じゃなさそうだな。
情婦にしては幼い。とは言え、中にはお前みたいなのを買いたがる変態もいる』

ポエット
『じょ、情婦・・・』

ブリニョルフ
『大方そっち方面で手に入れたか?』

ポエット
『ちっ!違うわ!』

ブリニョルフ
『何でもいいさ。とは言え、俺たちが尊敬するマスターの事を、たかだか宝石2、3個で教えてくれなんて、随分と都合がよくないか?』

ポエット
『だって、もうこれしか持ってないし・・・』

ブリニョルフ
『これだけ出せるんだったら、きっとお得意さんもいるんだろう』

ポエット
『何よそれ!どういう意味!!!』

ブリニョルフ
『そのままさ。
俺たちのシマに、平気で土足で踏み込んでくる連中がいることは知っている。
チビなお前を見れば、チンケなこそ泥だって楽にこなせるだろう。
どうせどこかのろくでもない組織から、俺たちのスパイでもしてこいとでも言われたか?』

ここにきてポエットはカチンッときた。

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ポエット
『あなったってホント失礼な人ね!
私はポエット!これでもれっきとした大人なの!!
チビチビチビチビってッ!
チンパンノルドの女性はこれ以上成長しないの!
それに!この宝石は私が兵役している時に自分で稼いだ物よ!
あなたたちみたいに人から盗んだものじゃないわ!』

ポエットの威圧にブリニョルフは一瞬たじろいでしまった。

ブリニョルフ
『え、あ・・・』

ポエット
『私がスパイですって!?
これでも軍役経験者ですからね!
潜入するならもっと上手くやるわ!
その時はあなたの寝首が最初でしょうね!』

ブリニョルフ
『う・・・あ、、、』

ポエット
『あなたこそなによ!
そんなデッカイ図体して!
か弱い女性を見たら、みんなアバズレだとでも思ってるの!?
偉そうに髭なんかはやしちゃって!
ノルドっていっつもそう、口ばっかり達者で、いざって時になると役に立たないんだから!』

ブリニョルフ
『そ、そりゃ・・・』

???
『そのぐらいにしておいてやって・・・』

34

ブリニョルフ
『お嬢、来てたのか・・・』

???
『たった今ね^^』

35

???
『ブリュはギルドの事を思って言ったことなの、どうか許してあげて^^』

ポエット
『あ、あなたは?』

???
『私はカーリア。盗賊ギルドの一員で、ノクターナルの使徒でナイチンゲールよ』

ポエット
『ええ!?ナイチンゲールってあの本で出てくる・・・』

カーリア
『そうね。ところであなた、どうしてナディアを探しているの?』

ポエット
『ドラゴンボーンにお仕えしたいの・・・』

カーリア
『お仕え?』

ポエット
『馬鹿げてるって思われたくないからあんまり言いたくないんだけど・・・
私は、将来人望があって、私を重要視してくれる主君に仕えたいの。
そして今の大戦を終わらせて、タムリエルを統一し、戦乱の無い世の中を作ってくれる人を探しているのよ!』

ブリニョルフ
『そ、それが・・・ナディアだ・・と?・・・』

ポエット
『そう・・信じてる』

36

ヴェックス
『あはははっは!おもしれーなぁそいつ!
聞いたかよデルビン!あの小娘が救世主だとよ!』

ブリニョルフ
『ヴェックス マスターだぞ!』

ヴェックス
『だってよぉ~その話笑えるぜぇ~』

37

デルビン
『お前まさか【テオ】なのか?』

ブリニョルフ
『テオってなんだ?』

デルビン
『チンパンノルドにはテオっていう未来を予知できる者がいるって聞いたことがあるんだ』

ブリニョルフ
『お前、未来がわかるのか?』

ポエット
『残念だけど私はテオじゃないわ。
ただ、ドラゴンボーンを探したいだけ。
それにもし私がテオなら、あなたたちに聞いたりしないと思うんだけど?』

34

カーリア
『なかなか興味をそそられる事言う娘じゃない。
親切に手間賃も貰っているわけだし、得に害があるわけでもなさそうだし、教えてあげてもいんじゃないブリュ?』

ブリニョルフ
『・・・』

カーリア
『それに、あながたじろいでいる姿なんて久しぶりに見たわ^^』

ブリニョルフ
『・・・わかったよ・・・・』

38

ブリニョルフ
『最近は来てないんだ。仕事は頼んであるんだがな。
ホワイトランの南にエリジウムエステートっていう屋敷が建ってる。
たぶん今もそこにいると思うぜ』

ポエット
『たぶんって?』

ブリニョルフ
『あいつはスカイリム中を旅していて、一つのところに留まったりすることは滅多になんだよ。だからいるかどうかまでは保証できない』

ポエット
『・・・』

カーリア
『私が一緒に行ってあげるわ、彼女にちょっと用があるのよね^^』

35

ポエット
『彼女って・・・女性なの?』

カーリア
『そうよ^^ナディアって女性の名前でしょ?男だと思っていたの?』

ポエット
『う、うん』

カーリア
『ほんとにおもしろい娘ね^^』

習慣的な違いからか、ポエットには男性女性の名前の区別がつかなかった。

こうしてポエットはエリジウムエステートへ行くこととなる。

39

ポエット
『ありがとう^^』

ブリニョルフ
『おおぅ、すまなかったな。気を付けて行けよ。
それと、ナディアにたまには顔出せって言っといてくれ』




ポチットお願いしますm(_ _)m


<備考>

◎アークメイジ
ウィンターホールド魔術師大学の最高責任者

◎オナホール
リフテンにある孤児院の名前
かの有名な【親切物のグレロットおばさん】がいる。

◎テオ
第6話を参照

◎ナイチンゲール
デイドラの王子ノクターナルの使徒。
ナイチンゲールの存在はスカイリムに限らず盗賊ギルドの間でも知られているが、殆どは伝説扱いになっている。
盗賊ギルドのなかでも最も有能な3人が選ばれ黄昏の墓所を守る役に就く。

<謝辞>
今回もポエットちゃんの冒険ストーリーを掲載させていただきました。
五鉄さんの設定ですとポエットちゃんの体重は30kgくらいということでしたので、ちょっとゴツイノルドの女性なら片手で引っ張ることができるくらい軽いのでは?
私のイメージだと手乗りポエットのイメージなので、だれでもヒョイヒョイ持っていける感じがしました。
いやでも、やっぱりカワ(・∀・)イイ!!ですね^^

ありがとうございます。

本当は七話でナディアに出会うまでを描こうかと思ったのですが、
どうしても尺が長くなりそうだったので、次回に持っていこうと思っています。
なのでもう一話ポエットちゃ中心で使わせていただきます^^

1

ナディア
『ポエット・・・ごめん・・・ド、ドラゴンボーンじゃなくなっちゃった・・・』

ポエット
『ええっ!?』

2

リバーウッドはホワイト川沿いに佇む小さな村落であり、
北にホワイトラン、南にヘルゲン、ファルクリースがある。
南北交易には欠かせない重要な交易街でもある。
村民の殆どが林業によって生計を立てている。

街中には雑貨店、宿屋、鍛冶屋、パブと。
旅行者、冒険者にとっての利便性は非常に高い。
交易路でもあるので人の往来が多いのも特徴である。

しかし、それだけ重要な交易路にもかかわらず、
高い防壁などが建てられていないのが問題だった。

過去にホワイトラン首長のバルグルーフが数名の衛兵を配置しただけで、
スカイリムの実権を握ったウルフリックも増兵はしたが、山賊や盗賊の被害が減ることは無かった。
もっとも懸念されているドラゴン襲来は未だに大きな課題となっている。


3

ホワイト・リバー・コテージ

内戦以後ナディアはここに居を構えることにした。
彼女の威光は強く、大抵の山賊達はその名前を聞いただけで震え上がり逃げ出すほどだった。
おかげで犯罪件数は減少、ドラゴン襲来は未だ無いにせよ。
山賊や野盗どもはリバーウッドには好んで近づこうとしなくなっていた。

現在、ここにはドラゴンボーンの従者二人が目を光らせている。

4

実はナディアに居を構えることを進言したのはポエットという一人の女性だった。

彼女はタムリエルでは珍しい放浪民の一人である。
放浪民になる前の彼らはヴァレンウッドを故郷とする少数部族の民だった。
ところがウッドエルフとの不和が数十年続き、
遂には種族間闘争にまで発展したために、故郷を追いやられたのだ。

彼らはチンパンノルドと呼ばれ華奢で小柄なのが特徴なノルドの一種である。
女性の場合は大人になっても体格は変わらないが、
男性の場合は成人すると体格も大柄になり、ワイルドノルドと呼ばれ、
普通のノルド人を二人並べて一人ほどの体躯をほこるようになる。

男性は主に狩猟や移動時の護衛を仕事としている。
とは言え必要以上に狩りをしたりはしないので、
普段は木の上などでハンモックを広げ、一日寝て過ごすことが多かった。
もともと穏やかな性格なのだが、同族の絆を何よりも重んじる習慣があるため、
一族に危機が及んだ場合は命を張ってこれを守ろうとする。
しかし、むやみに殺したりすることはまずないのだが、
彼らが激高した時の怪力は巨木さえ片手で持ち上げるほどだとか。

女性の場合は家事と娯楽に興じることが多かった。
特に娯楽に関しては、占星術、ダンス、音楽などに精通しており、
複数の言語を使いこなす才能がある。
お陰で町や村など人の集まるところでは、よく見世物などを披露して生活費を稼いでいた。
女性の中でも『テオ』と呼ばれる特別な存在が数十年に一度現れるとされている。
この『テオ』とは、古代ネディック人の言語で『未来を予知する者』と訳されている。
普段は人骨や獣の骨などを使った占星術なのだが、
『テオ』に関しては本人の意思次第でいつでも未来を見ることができるのだとか。

しかし、ポエットはそんな放浪民の血を引いているにもかかわらず、
一族の慣習をどうしても受け入難く感じていた。
彼女の興味はいつも兵法と政治、戦略などの文明的学問だった。
将来は人望ある主君に仕え、自分を重要視してくれる人の下で働きたかった。

5

17の頃、一族でエルスウェアとシロディールの国境沿いを放浪していた時、
偶然ウッドエルフの一団と鉢合わせてしまい、小競り合いになった。
形勢不利と考えたポエットの父は、かなり無茶な方法で彼女を逃がした。
片手で軽く彼女を持ち上げると、シロディールの国境先まで投げ飛ばしたのである。

6

気づいた時には、服の襟元が枝木に引っかかって宙に浮いていた。
あわてて元の場所に戻ろうと思ったが、国境警備兵に止められてしまった。
家族との再会は未だ実現できていない。

しかし、彼女はこの時を好機を考えた。
今まで一族とともに長い間過ごして来た。
離れた今こそ行動を起こすべきだと。

まずタムリエルの状況を分析してみた。

放浪民だった頃はシロディールとエルスウェアを往来するばかりだった。
ごく最近、北のハンマーフェルにも立ち寄ったが、
帝国がアルドメリにこの地域を明け渡してしまったので、すぐに離れることになった。

南方のブラックマーシュは帝国から離脱し、モロウィンドウまで支配地域を広めたらしい
レッドマウンテンの噴火を期にアルゴ二アン達が侵攻し、ダークエルフから故郷を奪ったのだ。
おそらくアルドメリや帝国にとって最も懸念すべき存在になりつつあるだろう。
加えてアルゴ二アン達が住む地域は、タムリエルの中でも最も衛生環境が悪く、
人間種が住みつける地域とは思えない。

現在のタムリエルは大まかに三つの勢力図に置き換えられる。

7

ハイエルフを主としたアルドメリ自治領
インペリアルという人間種を主とした帝国
アルゴ二アンという獣人種を主としたブラックマーシュ

アルドメリには、長年不和を続けてきたウッドエルフ達がいる。
差別になるがアルゴ二アンがタムリエルを支配するなど想像したもくない。

もし今身を寄せるならやはり人間種が妥当な選択だった。

現在帝国が所有している地域は、シロディールから北のスカイリムと、そこから北西のハイロックのみ。
白金協定の行く末次第によっては、ハイロックは孤立してしまう可能性がある。
タロス崇拝を禁止した帝国に対し、スカイリムのノルドが黙っている可能性は少ない。

誰が台頭を掲げるかはわからないが、内戦が始まる頃には自分の道も開けるだろうと思っていた。

8

目的地は決まった。
だが内心はタムリエルの色んな地域を旅し、もっと見知ってみたかった。
そうするにはタムリエルにもっと安全な地域を作らないといけない。

スカイリムを目指している旅の宿で話を耳にすることができた。
ウルフリック・ストームクロークがノルドの台頭を掲げ、帝国に反旗を翻したこと。
帝国が鎮圧軍としてテゥリウス将軍を派遣したこと。

9

そこで、まずソリチュードのドール城にいるテゥリウス将軍の元に赴いた。
作戦本部前にいた衛兵に帝国軍に加わりたいと伝えたが、
【ここは子供のくる場所じゃない】と一括され、突き返された。
自分が外見で判断されることには慣れていた。

帝国軍に加われば、アルドメリを打つ機会に出会える。
そうすれば故郷であるヴァレンウッドを取り戻せるかもしれない。

念のためテゥリウス将軍が何かの用事でドール城から出てくるのを待ってみた。
夕方頃に数人の護衛兵をつれて出てきた所を狙い、もう一度声をかけてみた。

ポエット
『私も帝国軍に加えてください!』

叫んだ大きな声にテゥリウスが振り向いた。

テゥリウス
『なんだあの小娘は?』

衛兵
『午前中に作戦本部前に姿を現した者ですが、軍に加わりたいと』

テゥリウスが近寄ってきてポエットに言う

テゥリウス
『小娘にしてはなかなか気概がありそうだな。
だが帝国は子供さえ使わなければ、
鎮圧もできないのかと反乱軍に馬鹿にされかねない。
・・・その勇気は称えるがな』

そう言うと彼は振り向きもせずブルーパレスに向かって行った。

ポエットはある程度のデメリットは覚悟していたが、
あくまで外見でしか判断できないようでは、帝国の明日は短いかもしれないと悟った。

10

やむ終えず、今度は反乱軍のウルフリックに会いに行った。

ウルフリックはテゥリウス将軍と違い、
ポエットの気持ちを何の抵抗もなく受け入れてくれた。

一つにはチンパンノルドは遠縁ではあるが同族であること。
一つには猫の手も借りたいからである。

ウルフリックはポエットを駐屯兵の職に就けた。

元々ストームクロークは、山賊や野盗の対応のため、スカイリム各地に駐屯兵を配置していた。
ウルフリックが帝国に反旗を翻し、帝国軍がスカイリムに入り始めてから間もなく、
帝国も同じように駐屯兵の配置を行ったのである。
まるで威嚇でもするかのように、ストームクロークの近くに配置することがほとんどだったので、
当然毎日のように小競り合いが起こった。

11

罵声の浴びせ合いから始まり、石の投げ合い、
何か物がなくなっただけで、子供のような殴り合いを始める。
当然、無意味な怪我人が出始める。
やがてお互いの間に憎しみが生まれ、
果ては殺し合いに繋がっていくようになった。

部隊長の言葉など耳に入らず、軍律などお構いなしの状態だった。

ある日のことである。
たまたま一人の市民が小競り合いしている間を通りかかった。

双方ともそんなことはつゆ知らず、矢の雨を浴びせあった。
やがて剣での斬り合いになり、なんとか痛み分けで夕刻頃ようやく落ち着いた。

その時初めて市民が犠牲になったことを彼らは知ったのである。

市民の頭には二本の矢が刺さっており、即死状態だった。
近くに狐の死骸がもあった。

武器も持っていなかったので、おそらく自分がかわいがっていたペットが、
逃げだしたので追い掛けてきた際、流れ矢に当たったのだろう。

12

衛兵A
『ノルドだ・・・』

衛兵B
『ヒ――――ッ!』

衛兵A
『落ち着け!これは事故だ!』

だが、実際こんな事は珍しくなかった。
ポエットが経験しただけでも、おそらく5回以上。
それ以上は数えていなかった。

【敵に遭遇し 敵を殺し 味方も殺し 自分を救った】

いつの間にか、一部の衛兵の間では、そんなジンクスのような暗号が呟かれるようになった。
やがて反乱軍の間では

【いつになったら帝国を追い出せるんだ!】
【ウルフリックは何をためらっているんだ!】
【早く帝国軍と戦いたい!】

などと、まるで飢えを抑えたオオカミのような声が聞こえ始めた。

反乱軍は帝国軍と比べたら正規軍という言葉とは程遠い物があった。
ウルフリックはタロス崇拝を掲げているため、ノルドらしい生き方を推奨するものの、
帝国と違って長年培ってきた軍律の重みが浅い。
お陰で上下関係もあやふやな面もあれば、イノシシ部隊が多いため烏合の衆に近かった。

あるときポエットはウルフリックにこう進言した。

13

ポエット
『兵にもっと訓練をさせ、上下関係をはっきりさせ、発言にも制限をかけ、軍律を厳しくするべきです』

ウルフリック
『ノルドは縛られるのを何よりも嫌う種族だ。
お前もノルドの血を引いているのなら、それがわかるであろう。
これ以上軍律を厳しくすれば、軍の中で反乱が起きかねない!』

ポエット
『今でも状況は変わりません。実際、兵達はイラついてます。
こういう時こそ剣の訓練や弓矢の訓練を行い、日頃から発散させるべきなんです』

ガルマル
『ポエット。帝国を倒す日も近い。
そのためには士気をあげておく必要がある。
兵達が日々イラついているのも承知の上なのだ』

ポエット
『兵士たちは酒を飲みながら愚痴っているんですよ!
そんな状況で士気が上がっていると本当にお思いですか!
それにっ!』

ガルマル
『黙れポエット!ノルドとはそういうものなのだ!』

ポエット
『・・・』

ウルフリック
『今の我らには、常日頃から込み上げてくるものを抑え込む必要があるのだ。
白金協定が結ばれた時点から、このイラつきは始まっている。
たかがハチミツ酒如きで、士気が下がるほど北国のノルドは軟ではない』

風船に空気を入れ続けるとやがて破裂する。
問題はそのタイミングだが、スカイリムにはもう一つ大きな問題がある。
その問題を解決しない限り、内戦は本格化しない。
どこかでガス抜きをしないと、やがて士気が萎えてしまう。

心配事は的中した。

帝国との停戦条約である。

14

スカイリムには内戦以外にも、【世界を喰らう者 アルドゥイン】の復活という難題があった。
ドラゴンボーンを中心に帝国とストームクロークとの停戦条約がハイフロスガーで決定したのである。

この条約にウルフリックが賛同した時点で、ポエットは彼の支配権の狭さを感じた。
ウルフリックはスカイリムの上級王止まりではないのだろうか?

ストームクローク軍のオオカミの声は、まるで雑音のようにウインドヘルムに広がった。

【ここに来て停戦だと!ふざけるな!】
【さっさと帝国に攻め込まないからだ!】
【ウルフリックは腰抜けだ!】

15

ポエットはストームクロークの軍を抜ける覚悟を決めた。
この頃、彼女は19歳になっていた。

ドラゴンボーンがアルドゥインを倒し、再びスカイリムは内戦状態に戻ったころ、
ポエットはシロディールの北の町ブルーマの酒場にいた。

一人のカジ―トが声をかけてきた。

16

カルジョ
『ポエット?』

ポエット
『カルジョ?』

カルジョ
『おいおい、久しぶりだなぁ~元気にしていたか?』

ポエット
『カルジョ~^^ノ』

カルジョ
『おまえ全然変わってないな!子供のままだぞ!』

ポエット
『私はこれ以上成長しないの!ヽ(`Д´)ノプンプン』

カルジョは2年前にポエットがシロディールからスカイリムに向かう際、
ひょんな事がきっかけで旅のお供をしてくれたカジ―トだった。
だが北の国境で衛兵に見つかってしまい窃盗の罪で逮捕され、帝都に送還されてしまったのである。

ポエット
『出てこれたの?』

カルジョ
『まぁな。といっても借金は増えたけどな・・・』

帝都にいた頃、カルジョは手癖の悪さで有名だった。
真夜中の寝静まった頃、彼は手際よくガキを開けると抜き足差し足で家の中を物色する。
プロらしく全部は盗まず適度に金塊などを袋に詰めると、サッサと退参した。、
ところが下水道に入ろうとしたところで衛兵に見つかってしまう。
慌てて下水道を走り、なんとか衛兵を巻くことに成功。
無事出口から外に出ることができて、ホッとしたところで袋の中身を確認した。

17

カルジョ
『オホホッ!これでしばらくは食いつないでいけるな。たまにはスクゥーマでも決めるか!』

と喜んでいる脇から・・・

ポエット
『おじさん何してるの?』

カルジョ
『ウォオオオオオオΣ(゚Д゚)!』

ビックリして一瞬息を呑んだが、よく見たら小さい子供だった。

カルジョ
『なんだ、子供か・・・』

ポエット
『子供じゃないよ!ヽ(`Д´)ノプンプン』

カルジョ
『真夜中だぞ!こんなところで何やってるんだ?』

ポエット
『これからスカイリムに向かうの』

カルジョ
『お前さんひとりでか?』

ポエット
『うん』

懐も温かくなったし、どのみち帝都にはしばらく近づけないと判断したカルジョは、かつて自分は傭兵をしていたこともあったんだと、
嘘をついてポエットの護衛をすることにしシロディールを離れようとした。

18

ポエット
『どうせまた賭け事とお酒でしょ』

カルジョ
『いいや、そうじゃない。
あそこにいるアハカリっていう雌猫に保釈金を肩代わりしてもらったのさ』

ポエット
『裏がありそうだね』

カルジョ
『これからスカイリムに行くんだよ』

ポエット
『何しに行くの?』

カルジョ
『行商さ。戦争は商売のチャンスになる。
カルジョはその護衛ってことで雇われた。
無収入だが食事と寝床にはありつける』

ポエット
『そっか・・・』

カルジョ
『お前がここにいるってことは、
盟主様ってのには出会ってないようだな』

ポエット
『・・・』

カルジョ
『どうするんだこれから?』

ポエット
『家族でも探そうかなって思っててね^^;』

カルジョ
『そうだよな、家族は大事なんだよな』

ポエット
『カルジョの家族はどこにいるの?』

カルジョ
『わからない』

ポエット
『わからないって、どういうこと?』

カルジョ
『親父はカルジョが小さい時に戦争に行ったきり帰ってこなかった。
兄貴は出稼ぎで鉱山労働をしにシロディールにいるらしいが、未だに音信不通だ。
母親は<たてがみ>奉公のせいでスクゥーマ狂いになっちまってな。
3年間母親の世話をしたが、結局スクゥーマがやめられなくて2年前に死んじまったよ』

ポエット
『<たてがみ>奉公って何?』

カルジョ
『<たてがみ>って言う生まれながらのエリートがいてな。
そいつの身の回りの世話をさせられるんだよ。
男の場合は狩りや飯の支度、運が悪いと剣や弓矢の的役。
女になるとクソの世話やケツ拭き、夜の相手までやらされる』

ポエット
『酷い・・・土地の有力者とか、権力者とか、そういうこと?』

カルジョ
『第三の月って呼ばれる日に生まれた子供の事さ。
その子供はどんなに下賤の者でも、
将来部族の長になることを約束されてるんだ』

ポエット
『なにそれ?・・生まれてすぐ長になるなんて変な風習ね』

カルジョ
『お前たち人間種からみれば不思議かもしれんが、カジ―トにとっては普通の事なのさ。
将来が約束されている者には、黙っていても金や食い物が舞い込んでくる。
一人じゃ食いきれないから、自分の部下に分け与える。
そうすれば自然と生活は安泰になってくるのさ。
それが嫌なら部族から出て行けってこった』

ポエット
『お母さんかわいそう・・・頭に来ないの?』

カルジョ
『当然、殺してやりたいとまで思ったさ。
だが、母親の面倒を見ている間に、<たてがみ>の奴がエルフの高官に殺されたんだよ』

ポエット
『どうして?』

カルジョ
『さぁな。後で聞いた話じゃ、連中と裏で繋がっていたらしい。
エルフ達は利用価値がなく、自分らに害でもあると判断して消したんだろうって』

ポエット
『・・・』

カルジョ
『とにかく俺にはやり場のない怒りだけが残ってな。
最初の頃はボロボロの母親に当たったりもした』

カルジョ
『だが、思ったよ。
こんなになりながらも俺をここまで育ててくれたんだなって。
守ってくれたんだなって』

ポエット
『いいお母さんじゃない^^』

カルジョ
『だから、家族は大事なんだよなってことだ』

ポエット
『お兄さん見つかってないの?』

カルジョ
『母親が死んでからシロディールに来たよ。
最初の二、三ヶ月くらいは探したんだがなぁ~それっきりだ』

ポエット
『それっきりって?探してないの?』

カルジョ
『金も食い物も尽きちまった時~ついうっかり物色しっちまってよ』

ポエット
『ぬ、盗んだの?』

カルジョ
『母親の世話をしてる時はよくやってたんだよ』

ポエット
『犯罪じゃないの!』

カルジョ
『カルジョはカジ―トだ。
お前たちにとっちゃ、泥棒だとか手癖の悪い奴なんて言うかもしれないが、
カジ―トにとっては、俺の物は俺の物、お前の物は俺の物がまかり通るんだよ』

ポエット
『なんなのその無茶苦茶な理論・・・私の物は私の物だからね!』

カルジョ
『こんな話をした相手から盗みをするほどカルジョは馬鹿じゃない』

ポエット
『お兄さんは探さないの?』

カルジョ
『カジ―トは独立心が強んだ。
いまさら兄貴を見つけて何になる。
何も変わりはしないさ』

カルジョ
『それにシロディールに来てからというもの、
カルジョも人間種について色々と学んだよ。
酒と賭け事をイッペンにやるもんじゃないともな^^』

ポエット
『ふ~ん』

19

カルジョ
『家族の手掛かりはあるのか?』

ポエット
『・・・ない・・・』

カルジョ
『たしか、見世物とかをやるんだろう?
どこかでやっていれば、人が集まって賑やかになるはずだ。
その辺を手掛かりにしたらどうだ?』

ポエット
『そんなことわかってるよっ!』

カルジョ
『なんだ?家族の元に帰りたくないのか?』

ポエット
『だってさぁ~17年間ずっと放浪民をしてきたんだよ。
あちこち旅するのには慣れてるんだけどさ』

カルジョ
『うむ』

ポエット
『なんていうか、やっぱり窮屈なんだよね。
私って小さい時から一族とは違う考え方を持っていたし、
それに今更会ってもどうなんだろうってさぁ~』

カルジョ
『うーむ。インペリアルには”故郷に錦を飾る”という言葉があるらしい』

ポエット
『錦?』

カルジョ
『色鮮やかな織物のことだよ。
つまり”故郷を離れていた者が、立身出世して華やかになって帰ってくる”という意味だ』

ポエット
『私に出世してから帰れって言ってるの?』

カルジョ
『なにもそうしろと言ってはいない。
お前自身の事だ。カルジョには決められないよ。
ただ、そういう言葉もあるということだ』

ポエット
『う~ん』

カルジョ
『どうするかはお前が決めることだ』

20

カルジョと別れた後、ポエットは一人宿屋の一室で横になり
しばらく考えにふけった。

もし、また家族の元に戻れたとして、私は必要な存在なのだろうか?
一ヶ月、半年、一年たった頃、きっとまた窮屈な思いをしてしまうんじゃないだろうか?

それにタムリエル中どこに行っても安全とは言えない。

そんなに偉い人に仕えたいわけじゃない。
帝国だってストームクロークだって私にとってはチャンスだと思ったけど、
組織としては成熟し尽くしているところがあった。

私はただ自分を必要としてくれる人。
重要視してくれる人。
今まで学んできた知識を生かしてくれる人。
そういう人の下で働きたい。

するとある一つことが思い浮かんだ。
かつて帝国を築き上げ、タムリエルを一つにまとめた者。

翌日早朝、ポエットの顔には迷いが消えていた。

21

ポエット
『カルジョ!!』

カルジョ
『ああ?』

ポエット
『私もスカイリムに行くよ!』

こうして彼女は目標を立て直し、再びスカイリムへと戻る事にした。

ドラゴンボーンを探すために。



ポチットお願いしますm(_ _)m

<備考>

◎白金協定
タムリエルでは元々八大神の信仰が主だった。
第三期にタムリエルを統一し、皇帝となったタイバー・セプティムが神格化され、これが加わり九大神の信仰がはじまった。
しかし、これを良しとしなかったのがアルドメリ自治領のハイエルフ達だった。

大戦でエルフは一度はシロディールにある帝都を奪ったものの、帝国は再びこの地を取り戻した。
しかし帝国は大きな損害を受けてしまい、エルフ達との停戦協定を結ぶことにしたのである。

これが白金協定である。

この条項の一つにタロス信仰の廃止が入っていた。
タロスとは前述のタイバー・セプティムの事である。
彼はノルド人であったためスカイリムではタロス信仰が根強かった。

帝国がこの条項を受け入れたことで、スカイリムの人々の反感を買い、
内戦に繋がったのである。


◎スクゥーマ
主にカジ―トの間で流通している麻薬の一種。
カジ―トにとっては、それほど害はないようだが、
他の種族にとっては非常に中毒性の高い麻薬。
しかし、カジ―トも常用すると中毒になる。

ムーンシュガーという原料を精製することで作ることができる。

◎ブルーマ
帝国が支配するシロディールの北にある町。
後半このブルーマを舞台にしたのですが、
スカイリムにはないのでドーンスターの酒場を使用してます。
作者はオブリビオンプレイヤーなのですが、
たしかブルーマって雪あったよな?
あと、シロディールの英雄像があったよな程度しか覚えていません。


<謝辞>
今回から”五鉄さん”のポエットちゃんに出演してもらいました。
どっから見ても抱きつきたくなるほどカワ(・∀・)イイ!!ですね。

”五鉄さん”の脳内設定をちょっとだけ変えて、大幅に追加している感じです。
イメージ的には【三国志の諸葛亮孔明】を考えています。
【演技】のほうですけど。

ポエットちゃんには、これからナディアにとって欠かせない頭脳になってもらおうと思っているので、色々と活躍してもらうつもりです。

よいフォロワーを作っていただき感謝です^^

スカイ・ヘイヴン聖堂にて...
1
エズバーン 
『たった一週間とはな...』

デルフィン
『何も無いよりましよ』

エズバーン
『既に半日以上が経過しているという訳か...』
1-2
デルフィン
『いいえ、昨日からだから、一日と半日が過ぎているわ』

エズバーンは、テーブルの上の地図に向かって大きくため息を着いた。

エズバーン
『そうか、ならば急いで見つけないとな...』


2
エズバーン
『さっそくだがカズ殿。
ウェイレストではこの、【亡命者】の...鏡文字についてどう解釈していた?』

カズ
『私もその事に初めて気付いたのですが、ウェイレストで目にした【亡命者】は、鏡文字を使っていません。
全ての文章が通常の書き方で綴られています』
3
デルフィン
『それってどういう事?あなたが読んだ【亡命者】が原本のはずでしょ?』

カズ
『そう、言われても...』

私は眉を傾げた。
4
エズバーン
『いや、そうとは言い切れまい。
グラムは尖った王冠を持ってハイロックへ行っただけで、その後の足取りは掴めていない。
領主のメロサは子孫らしいが、彼が残したとされる【亡命者】には、事件の大まかな内容が書かれているだけで、後の事は別人が書き残したのだろうからな』
5
カズ
『ウェイレストの【亡命者】は、グラムの後継者と目される人物が翻訳をし、読み易いようにしたのかもしれませんね』

エズバーン
『しかし鏡文字を使うというのは、単に読み難くしたという事だけではあるまい。
別な意味の可能性もあるかもしれん...』

怪しいと思われる点に拘るのは同意できるのだが...
6
カズ
『使う理由はいくつかあります。
本の増刷をし易くするという事、反転筆記を常用しているという事、そして確か”逆語症”という特殊な病を患った者が、こういう書き方をすると聞いた事があります』
7
デルフィン
『グラムはレジスタンスだったのよ。
なのに自分の手記を増刷するなんて考え難いわ。
反転筆記なんて、なんだか眉唾物ね...』
8
エズバーン
『逆語症はブラックマーシュに住む虫が原因らしい。
ただでさえ失敗が多かった作戦だというのだから、グラムがアルゴ二アンの土地に足を踏み入れたとは考え難いだろう』

謎が謎を呼んでいるらしく、余計訳が分からなくなってしまっている。
私はここで、問題を別方向から見てみる事にした。
9
カズ
『デルフィン殿。
ディバイドで貴方は、王冠の眠る場所に見当をつけていると言っておられた...それはいったいどこなのだ?』


10
[吹雪を吐き出す青き竜を制し、
ここに凍える冬を往くは、
尖った王冠を頂きし上級王なり]

エズバーンの話によれば、元々は子供達の童謡に使われた文章だったらしい。
当時の上級王を英雄らしく語らしめるには、子供を活用する方が浸透しやすいと、お上が推奨したのが切っ掛けだと思われる。
だがそれにしては短すぎるとも考えられるので、続きの言葉が存在していたのではないだろうか?...と推測していたと言う訳だ。
11
ボルガス王以降、およそ50年に渡る継承戦争へと移行し、隻眼のオラフが上級王となる。
だがその間に、記録や書物も焼失してしまい、人々の記憶だけに残されるようになっていった。
もしかするとこの一文は、幼い頃の最も印象に残った言葉だったのかもしれない。

さて、この短い文章が何故場所を示しているのかという点だが...
12
スカイリムで現存するノルドの最も古い都市となると、ウィンドヘルムを置いて他にはない。
ここは第一紀以前のメレシック(神話時代)の後期に、イスグラモルによって建てられ、スカイリム王国を建国した際の最初の首都である。
歴史が正しければ、おそらくイスグラモル最後の血筋とされる、ボルガス王までの間、首都であり続けた街だ。

なので、詩歌から”尖った王冠”の行方を読み解こうとするならば、ここが起点となる事は大方予想がつく。
13
ところで、ウィンドヘルムを内包する地域をイーストマーチと呼ぶのだが、ここと隣接する地域をペイルと呼ぶ。
このペイルとは、元々”蒼白””青白い”といった意味があるらしい。
13-2
これはヨルグリム湖に浮かぶ”氷の塊”を表現したモノなのだという。
14
このヨルグリム湖は、ウィンドヘルム港から内陸に延びるホワイト川に繋がっている。
詩歌の一つである”青き竜”とは、おそらくこの川の事を指し、湖が竜の頭を現している。
15
そしてウィンドヘルムは、スカイリム一の豪雪地帯であり、ここから吹く風は海から陸へと吹いている。
ウィンドヘルム港を最初とすると、そこから西に向かって常に風が吹いている。
16
最初の”吹雪を吐き出す”とはこの恒常風(こうじょうふう)の事を指し、”ここに凍える冬を往くは”とは、ウィンドヘルムから川沿いに西に進めという意味であり、
そして最後の”尖った王冠を頂きし上級王なり”とは、ボルガス王の事を指している。

つまりこの解釈からすると、その湖の頭から西に風が吹いている付近の”古いノルドの遺跡”こそが、”尖った王冠”の眠る場所という訳である。

17
デルフィン
『コルバンヤンド遺跡よ』
18
エズバーン
『コルバンヤンドは名前こそ残っていたが、実際はどこにあるのかはわかっていなかった。
というのもここ最近まで、完全に雪と氷で埋もれていたのだ』

カズ
『何故分かったのです?』
19
エズバーン
『う~ん、詳しい内容は教えられていない。
近くに住んでいた農夫が、穴に落ちた事が始まりらしいが...』
20
デルフィン
『この依頼は元々、ウルフリックから直接受けたのよ』
21
どうやらディバイドへの援軍要請だけではなく、帝国に追いやられた”ブレイズ”の再興にも手を貸すと言った所か...
大義の方向性は一緒だ。
ウルフリックにとってもブレイズが味方に加われば、これほど頼もしい連中はいないだろう。

だがこの事は、今はさほど重要ではない。

22
そして時代は進み、およそ3000年後の第二紀に、アカヴィリ軍がモロウィンドウからタムリエルに侵攻。
この頃にツァエシのレジスタンス達が、アカヴィリの人間種を守る為にハイロックへと亡命。
その時、尖った王冠も盗み出していった。
23
この頃の尖った王冠とボルガス王は、どこに埋葬されていたのか?
それは記録が消失してしまった為に不明である。
24
なので如何様にも解釈は可能なのだが、おそらくこの二つは、一緒に埋葬されていなかったのではないだろうか?
だから王冠を手に入れる事ができた。
と考える方が自然だと思われる。
25
ではどこから手に入れたのか?
この事についても、グラム・オーカーは記録を残していない。
当時レジスタンスだった彼は、これを残す事は今後不都合になり得ると考えたのだろう。
26
そしてもう一つ、この王冠は再びスカイリムへと返還されている。
これもいつ頃の事なのか記録が残っていない。
それはおそらく、この王冠を被ったハイロックの上級王が、相次ぐ不審死を起こした事が起因していると思われる。
返還された後、当時のノルドの上級王はこれを使う事を恐れ、密かに封印の儀式を行い何処かに隠したのだ。
27
ただ一つ、グラム・オーカーの後継者と思われる人物が残した”詩歌”だけを残して...

[吹雪を吐き出す青き竜を従えるは、
白銀の静寂(しじま)を遡りし風なり]
  [ここに凍える冬を往くは、
              大樹に抱かれし十の角なり]
     [銀の夜を舞う竜を手にする者は、
               尖った王冠を頂きし上級王なり]
28
先の詩歌にそれぞれ並ぶようにして、新たなフレーズが加えられている。(SOS第二話)
恐らく後になって付け加えた訳だが、あたかも最初からこうであったかのように違和感を感じさせない所は称賛に値するだろう。
最も私にとっては、これが最初に見知った一文なのだから、なおさらなのだが...
29
カズ
『とりあえず鏡文字の事は忘れましょう。
今は兎に角、新たに加わった内容を読み解く事が優先かと...』

だがエズバーンは、私に訝し気(いぶかしげ)な視線を送って来た。
30
エズバーン
『お前さんには、わからんのか?』

唐突に聞かれたせいで、一瞬呆気にとられた。

カズ
『私には全く分かりません。
最初に読んで覚えた文章だけに、寧ろ無い方が不自然に聞こえるのですから』
31

エズバーン
『そういう意味じゃない』

カズ
『え?』

私は老体の質問にどう答えたらいいのか詰まった。
32
エズバーン
『場所が分かったとして、次に必要なモノは何だ?』

これはいったい何の試験だろうか?
だが場所と来れば残りは、入口を示す扉しかない。
33
カズ
...鍵?
34
エズバーン
『その通りだ。
お前さんが付け加えた文は、鍵の在りかを表している』

カズ
『...どうしてそうだとわかるんです?』
35
デルフィン
『最後の部分の”銀の夜を舞う竜を手にする者”の事よ』

カズ
『???』

40
スカイリムに点在するノルドの遺跡の殆どは、鍵のかかった石製の扉が設置されているらしい。
その扉は特別な仕掛けがあるため、暗号となる絵柄が刻印された鍵が必要になる。
仮に間違ったやり方でこの扉を開けた場合、様々な罠が設置されている為に、生きて帰ってこれる保証は無い。
またこの扉を開けるための鍵は、遺跡内で採掘される鉱石によって作られている事が多く、また形も嘗ての竜教団にちなんで”竜の爪”の形をしているらしい。
41
タケオ
『ノルドは昔から”黒檀”の事を”夜に光る銀”と呼びます』

カズ
『なるほど...じゃぁその鍵は、”黒檀の爪”という訳か』
42
という事は...
[白銀の静寂(しじま)を遡りし風なり][大樹に抱かれし十の角なり]
残ったこの二つの文が、爪の在りか示している訳だ。

面白い...実に面白い。

43
エズバーン
『まてよ...』

老体はそう言い残すと、イソイソと聖堂の奥へ歩いて行ってしまった。
その後を追うように、タケオが着いていく。
44
話題の中心人物が離れてしまった為か、急に時間が止まってしまった錯覚に陥る。
しかし私は、ある一つの疑問がどうしてもぬぐいきれなかった。
45
カズ
『どちらか一冊は、おそらく原本だろう。
単純に考えて、反転筆記で書かれている方がそれにあたると思われる。
だがわからないのは、何故翻訳のような事をし、それぞれが別々の場所に存在していたのかという事だ』

デルフィンは私に視線を合わせると、真顔で口を開いた。

デルフィン
『跡を継いだ者がいるからって事でしょ?』
46
カズ
『だが王冠は呪われていたはずだ。
なのにどうしてその後継者は、その在りかを示すような文を残す必要があった?』

デルフィンは深くため息を着く。
47
デルフィン
『...ハッキリ言って、【尖った王冠】に関しての謎を追い詰めていくと、おかしな事だらけよ。
ウルフリックから依頼があった当初は、雲を掴むような話だったわ』
48
彼女の話によると、ある日突然ウィンドヘルムの宮殿に呼び出され、秘密裏に【尖った王冠】の捜索を依頼されたらしい。
ウルフリックは、近くの農夫が穴に落ちたという事と、その穴が昔コルバンヤンドだった可能性があると示唆しただけで、あとは任せると投げやりな形だった。
だが私が思っていた通り、その後のブレイズとの協定及び捜索への全面的な支援を約束する事で、彼らは動くことになる。
49
デルフィン
『後になって分かった事だけど、農夫が落ちたなんて話は、最初から無かったのよ。
何があったのかまでは問い詰めなかったけど、おそらく彼等は彼等で何かを知っているようだった。
でもスカイリムは内戦の最中だったから、話したくない事や隠したい事は山ほどあるだろうし、私達も自分を守る事で精いっぱいだった。
この本(亡命者)を聖堂で見つける事ができたのは、本当に偶然だったのよ』
50
ここまで到達するのに丸一年費やしたらしい。
長い間続いて来た組織の最後の末路を目にしているような気もするが、彼らも生き残るために必死だった事が伝わってきた。
51
デルフィン
『今の私達に取っては、グラムの後継者が何を考えていたのかなんて関係ないわ。
見つけて欲しいって言うなら、見つけてあげるまでよ』
52
デルフィンの答えも、最もだと思えた。
だが私の頭の中では、ディバイドでの擦り付けの出来事が過る。
どうやらここでも、把握しきれない事があるようだ。
53
私の視線は、自然と二人の護衛に向いていた。

54
そうこうしていたらタケオが一人戻ってきた。

タケオ
『皆さん、着いてきてください』

彼は足早に戻るなり我々を先導した。
55
向かった先は聖堂の入口。
エズバーンはそこに一人立っていた。
彼は持っていた本を手の上に広げて語り出す。

エズバーン
『この本によると、この聖堂には昔大きな霊木があったらしい』

カズ
『霊木?』

エズバーン
『うむ、当時の記録によるとその木は...【ギルダーグリーン】だったそうだ』
56
カズ
『ギルダーグリーンというと、古代の植物と言われている?』

エズバーン
『女神キナレスに祝福された地エルダーグリームに成る樹で、その手の信者にとっては信仰の対象とされる樹木だ』
57
エズバーン
『だが...暫くしてから切り倒されたと書かれている』

デルフィン
『オカシイわね?
ギルダーグリーンは、普通の道具じゃ傷をつける事が出来ないはずよ?』
58
エズバーン
『この聖堂を作った者の記録によると、ギルダーグリーンが存在していた事が、ここをブレイズの聖堂にする切っ掛けになったらしい。
だが完成して間もなく、その樹木がギルダーグリーンじゃない事が分かった。
それと似通った木で、カンティクルというのがあり、それだったと言うのだ』
59
タケオ
『カンティクルの木といえば、確か【聖蚕(せいさん)の僧】の...星霜の書が読めるようになるという...』

エズバーン
『その通りだ。だが、その事実がわかる前に切り倒してしまったのだ』
60
カズ
『その木は、もしかして大きかったのですか?』
60-2
エズバーン
『空を覆い隠すほどの勢いだったとか...』

60-3
カズ
『では十の角とは?』

エズバーン
『それが全くわからんのだ...』
61
タケオ
『カンティクルの木の根の事ではないでしょうか?』

エズバーン
『木の根が地面から出てくるというのか?』

タケオ
『この木は、風穴のある湿った洞窟内などを好む習性があるらしいです。
なんでも生命力が非常に強く、大気中からも養分を吸い取るとか...』
62
この若者は妙な事に詳しいものだと、率直に思えた。
だが私も昔、高山に住む者から話を聞いたことがある。
62-1
トマトは水分を得るために大気中の水滴を葉に集め、養分を得るために飛んできた虫さえ食べるのだとか...
植物の生命力は、想像を超える力を持っている事が多々ある。
そういう面から考えれば、タケオの言う事も解る気がした。
63
だがここでデルフィンがエズバーンの元に歩み寄ると、なにやらコソコソと話し始めた。
こういう場面は、正直あまりいい気がしない。
もっともそれは、私だけでは無いと思うのだが...

二人は束の間何かを相談した後、私に近づいて来て話かけた。
64
デルフィン
『カズ...あなたが読んだ【亡命者】には、他に何か書かれていなかった?』

ディバイドを出てから、ここスカイ・ヘイヴン聖堂に到着する間に、グラム・オーカーの著書である【亡命者】に付け加えられたモノは他にないか?
道中思い出すよう、しつこくデルフィンにせがまれていた事を思い出す。
65
抜け落ちていた詩歌を思い出しただけでも、普通はスゴイと評価するのだろうが、彼らはそれ以上を私に求めてくる。
人間の記憶力というのは、通常は一日の内3/4は忘れてしまうんだそうだ。
それでも瞬間的に目にしたモノは、細部までは思い出せなくても、その輪郭や構造などをボンヤリとでもインプットされているらしい...
66
カズ
『う~ん...たしか、絵が描いてあったと思う』

私は思い出すように口にする。

エズバーン
『ふむふむ』

カズ
『かお...顔だ...顔が描いてあった』

デルフィン
『顔って...それだけ?』

額にしわ寄せ真剣に思い出そうするが、なかなか言葉にならない。
67
エズバーン
『どんな顔だった?笑っていたのか?怒っていたのか?しかめっ面か?それとも...』

カズ
『普通だと思うが....』

デルフィン
『髪の色とか、肌の色とかは?目は?』
68
カズ
『白黒だ。色は無い...それに...』

デルフィン
『...それに?』

彼女は興味深そうに私の目を除きこむ。
69
カズ
『髪の毛は無かったと思う...難しそうな表情にも見えるし、角度によっては笑っている?ようにも見えた』

69-2
デルフィン
『...』

デルフィンは口を紡ぐと、エズバーンの方に視線を向ける。
69-3
すると彼は、私に着いて来いと手で合図する。
そして先ほど降りてきた階段の登り口で足を止め、おもむろに天井を指さした。
70
エズバーン
『あれか?』

その言葉につられるように視線を移す。
71
カズ
『これだ...これですよ』

目に入った途端に発していた。
72
今まで全く気が付かなかったが、巨大な石製の顔が天井に重なる様に終われている。
こんな技術は初めて目にする。
まるでドゥーマーの技術を見ているかのような、そんな錯覚さえ覚えた。
73
松明の明かりを向けると、その異様さが余計露になる。
一枚岩から作られた見事な彫刻だ。
まるでそれを見ている我々一人一人を、覗き返しているかのようにも見える。
角度を変えてみると、それは睨んでいたり、あるいは笑っていたり、または悲しんでいるようにも見える。
74
デルフィン
『やっぱり...となると...』

彼女は何かを言いかけた。
75
エズバーン
『【白銀の静寂を遡りし風なり】とは、恐らく【血の印】の事だ』

カズ
『血の印?』

初めて耳する言葉に、私は眉を潜めた。
76
すると彼は、入口の先にある円形の遺跡の前で跪く。

エズバーン
『これは”血の印”と言う鍵穴だ。
鍵穴はアルドゥインの壁が完成した当時、除幕式が行われ、ドラゴンボーンであるレマン二世の血を捧げる事で完成したという』

カズ
『それって...どういう...』
77
彼は天井の顔を見上げながら答える。

エズバーン
『恐らくだが、我々が探している”黒檀の爪”は、あの顔の裏にある』

カズ
『う、裏...?』
79
デルフィン
『つまり、この扉を開け閉めできるようにしないといけないって事よ』
80
彼らが言うには、前回この扉を開けた時、竜巻のような白い光が上空へと遡っていくのを見たらしい。
これはカンティクルの木に群がってくる聖蚕の力によるものらしく、その小さな蚕達の光が、白い雪が昇天するかのように消えていくんだそうだ。
81
エズバーン
『ブレイズの聖堂はタムリエル中に存在しているが、【血の印】が設置されている場所は限られている。
カンティクルの木があったからこそ出来た業なのかもしれないな...』

カズ
『しかし、そう言う事なら...』
82
デルフィン
『そう、ドラゴンボーンが必要ってこと...』

意外な事実が判明した。
83
椿
『でも、それなら...スカイリムにはドラゴンボーンがいるんじゃ?
その人に開けてもらえば...?』
84
エズバーン
『残念だがそれは難しい...』

椿
『どうして?』

エズバーン
『我々は今、ある事情によりドラゴンボーンと袂を別っているのだ』
85
椿
『あららぁ~』
86
タケオ
『もう一つ選択肢があります...お勧めはしませんが...』

エズバーン
『なんだ?』

タケオ
『破壊するのです』
87
カズ
な、なんだとっ!

私はこの若者が、とんでもない事を口走っていることに即座に反応した。
88
カズ
冗談じゃない!これほど歴史的に価値のあるモノを破壊するなんて、間違っているっ!

これは性だろうか?
やはり私は、こういう事に向いているのだ思った。

タケオ
『だからその...選択肢の一つなので...お勧めはしないと...』

彼は気まずそうに口にした。
90-1
エズバーン
『タムリエルにおいても血の印は貴重な物だ。
だがタケオの言う事も一理有る。
アルドゥインの脅威が去り、我々ブレイズは帝国からも疎まれているしな』
90-2
デルフィン
『年中開けっ放しの玄関って言うのも...逆に不用心よね...』

とんでもない会話をしていると思ったのは、私だけのようだ。
91
カズ
『ま、待ってください!ここにあるモノは、レマン朝時代の貴重な遺物ですよ!
この裏がどうなっているのか知りたいというだけで、この遺跡を破壊してしまうなんて...私も含め、幾らあなた方でもその権利は無いはずだ!』
92
デルフィン
『でも私達には時間が無いわ。
貴方が本からのヒントを思い出せないんじゃ、選択肢も限られてくるのよ...』

私は一人焦り、思考を巡らせた。
なんとか他の方法がないモノかと。
93
カズ
『そ、そうだ!
その鍵もノルドの遺物だ。
多分、それもぉ~...別な仕掛けによって隠されているんじゃぁ~
それともぉ~ここじゃない、もっと別な場所にぃ~』
94
???
大変だ―!

入口の向こうから、ブレイズの鎧を纏ったダンマーが、慌てた様子でこちらに走ってきた。

ダンマーのブレイズ
デルフィン大変だっ!
95
デルフィン
『いったいどうしたのよダン?』
96
ダン
『...ドラゴンだっ!ドラゴンがここに攻めてきたっ!


にわかに慌ただしくなる。
96-2
デルフィン
『あなた達はここにいてっ!』

仕切りたがり屋な所は相変わらずだが、今回は素直に頼もしく感じた。
彼女に言われた通り、エズバーンと私達は洞窟内で待機する事になった。
97
メアリー
『なぁ~つばきぃ~あたいらもちょっと見にいかないかぁ~?』

椿
『だめだよぉ~私たちの仕事は、カズさんとフェニクさんの護衛なんだから~』

椿達もドラゴンに興味があるようだが、任務が優先なので我慢していると言った所だ。
その実、私も一度くらいは拝見してみたい気持ちはあった。

98
ドラゴンは上空で雄たけびを上げ、轟音を撒き散らし、自分の存在を激しくアピールしていた。
そして旋回を繰り返しながら、地上の獲物を探し、都合のよさそうな相手を見つけると襲い掛かる。
中空でホバリングをしつつ、激しい炎を吐き出す。
まるで怒り狂った破壊神の如く、傍若無人ぶりを発揮していた。
99
彼らが何故襲ってくるのか?
スカイリムにおけるドラゴンの大部分は、現在のドラゴンボーンに服従を誓っている。
それはアルドゥインという強力なドラゴンが、ドラゴンボーンによって倒されたからだ。
100
だが中には、それを臨まない者もいる。
彼らは次なる王座を手に入れようと、日々力を蓄えていると目されているのだ。

103
ドラゴンは炎を吐き出し、集落のあちこちに放火してまわっていた。
大きな火が舞い上がり、真っ赤な光が辺りを照らす。
黒煙が立ち昇り、淀んだ悪魔が空を覆い隠していた。
穴埋めでもするかのように、所狭しと火炎の嵐を吹きまくっている。
104
デルフィン
『やってくれるわね...』

ダン
くっそおぉ~やりたい放題やりやがってぇ~

ダンは悪態をついた。
105
タケオ
デルフィン!西の高台になんとか誘い出してください!

デルフィン
わかったわ!

彼女は手慣れたように、タケオの指示に従う。
106
上空のドラゴンを警戒しつつも、石階段を駆け下りた。
その間にも、次々と無防備な仲間達が避難して来る。
107
デルフィン
ダン!全員に盾を持たせて高台に集めてっ!

ダン
了解だっ!

ダンはチリジリになった仲間を集めに行く。
その間もデルフィンは、点々としている仲間達の元に駆け寄り、声を掛け、走りながらだがバラバラだった者達を一ヵ所に集めた。
108
デルフィン
盾を頭の上に翳して、隊列を整えるのよっ!
四方の陣でドラゴンを高台に誘導するわっ!

ブレイズ達
了解っ!
109
皆が彼女の言う通りに動く。
左手に持つ盾を自分の頭上に翳し、くっついて大きい盾を作り出した。
その間もドラゴンは、上空を飛来し続けている。
110
時折降りてきては、頭上スレスレを滑空していった。
まるで何をしているのか興味があり、その様子に目を奪われてるかのように。

111
大きな盾は、少しづつ高台の階段を昇っていった。

デルフィン
慌てないで、ゆっくり進むのよっ!

隊列を崩すまいと、彼女は皆に聞こえる声で放った。
112
ドラゴンにとっては、この上なく奇妙な光景に映る事だろう。
いつもなら自分を見た人間たちは、恐れおののき、混乱して逃げ惑う事が殆どだからだ。
時には弓矢などを使い、反撃してくる事もあるが、大抵はこんな風に隊列を整えたりはしない。
建物の影に隠れたり、床下に隠れていたり、あるいは家の中へ逃げ込むはずだ。
113
だから逆に興味が沸いて来る。
どうやったらこの壁を壊せるのか?
叫んでみるか?
そんな風に考えているのかもしれない...
114
案の定、彼は上空でホバリングをし、そして大盾に対して激し炎を吐き出した。
115
デルフィン
耐えてっ!

彼女の掛け声とともに、皆の動きが止まる。

ブレイズA
うわーーーっ!

ブレイズB
あちちちちぃいいっ!

ブレイズC
くっそぉぉお!
116
盾と盾の隙間から、激しい熱風が噴き出してくる。
顔を下に埋(うず)めつつ、左手の盾だけは絶対に動かさなかった。
117
デルフィン
まだよ!まだ動かない!!
118
ドラゴンが炎を噴き出して、いったいどのくらい経ったのだろう?
1分?3分?それとも5分なのか?
様々な感覚が麻痺していく中、ひたすら高温の熱気に耐え続けた。
119
ブレイズ
ひ―――っ!!

デルフィン
大丈夫っ!この盾はドラゴンの炎を防ぐわ!これがある限り、私たちは無事よっ!
120
歴戦の兵(つわもの)とは言ったモノで、彼女も沢山の修羅場を潜ってきた一人だった。
だがそれでも、誰にでも限界はある。
額からは玉のような汗が流れ出し、歯がガチガチ震え、盾を持った左手がズキズキと痛む。
今にも全てが終わってしまいそうな、そんな恐怖心が心臓に食らいついて離れない。
121
それでも彼女は弱音を吐くまいと、空いた右手で自分の頬を叩いた。
122
ようやくドラゴンの咆哮が止まる。
大盾の表面は真っ赤に焼け、プスプスと言っては、焦げた匂いを漂わせた。
123
デルフィン
終わったわ!進むわよっ!

ブレイズ
おおぉぉっ!!
124
自分より強大な相手と戦う時、重要な事は絶対に心を折らない事。
相手の体躯が大きいからと言って、表情が厳めしいからと言って、動きが早いからと言って、
それらは全て”強い”という事に繋がる訳ではない。

たとえどんな状況にあっても、死地を見極め、地の利を得た者が、勝利という可能性を掴めるのだ。
125
デルフィン
進んで!ゆっくり進んで!

隊形を崩さず、愚鈍なまでに階段を登り続ける。
126
その間もドラゴンは、翼を激しく羽ばたかせ、上空から突風を送り込み、今度は風で持って隙を作らせようとしてきた。
127
デルフィン
止まってしゃがんで!!飛ばされないように固まるのよっ!!

ゴーッ!ゴーッ!と激しい突風が繰り返される。
上からの突風に加え、地面から跳ね返った風が、盾を持ち上げようとする。
128
ブレイズ
飛ばされるぅ―――ッ!
128-1
デルフィン
盾を降ろさないでっ!
絶対に隊形を崩しちゃダメよっ!

彼女は必死に声掛けを繰り返した。
129
ブレイズ
くっそぉ――っ!
やれるもんならやってみやがれっ!!

隊員たちも彼女を信じている。
ブレイズの強みは、仲間同士の結束にある。
チームワークこそが、相手をねじ伏せる最も有効な戦法だ。
130
突風でもビクともしないと分かったドラゴンは、ホバリングを止め、再び上空を旋回し始めた。
131
その隙を見て大盾は再び動き出す。
ようやく階段を昇り切ると、全員その場で態勢を低くし、デルフィンを中心に外側を向いた。
132
ここにきてデルフィンは、盾の隙間から外の様子に目をやった。
133
ドラゴンが上空で旋回を繰り返している。
二回、三回...四回目に差し掛かった時、今度は勢いをつけて体ごと突っ込んできた。
134
驚いて盾の影に隠れる。
頭上スレスレを巨体が通り過ぎていく、その瞬間激しい突風が吹き荒れる。
だが必死に体をくっつけ合う彼らには、通用しなかった。
大盾は固く、頑丈であり、決して崩れる様子を見せない。
135
そして再びドラゴンは、中空でホバリングを始め、どす黒い眼で彼らの盾に目をやる。
隙間でも探しているのか?
それとも、諸そうな場所を探しているのか?
136
だが再び激しい炎の咆哮を見舞ってきた。

デルフィン
うわ――――っ!!

思わず声が漏れ出てしまう。

137
そもそも”ブレイズ”とは、ドラゴンスレイヤーの集団である。
つまりはドラゴンを狩る事を専門とする組織なのだ。
前身であったドラゴンガードの頃より、ドラゴンの事は調べ尽くされている。
彼等の特徴、癖、動向、指向。
138
そして弱点...

139
そうドラゴンにも弱点がある。
大きな体、長い首に尻尾、全身を覆う硬い鱗、空を覆い隠すような翼、無数にある角や棘に鉤爪、そして何でも噛み砕く顎と鋭い牙。
彼らは全身が武器であり、鎧であり、まさに生きた兵器そのモノにしか見えない。
140
だがそんな彼らにも、致命的な弱点がある事を知っているのは、ドラゴンスレイヤーを公証する彼等(ブレイズ)しかいないだろう。
141
上空に留まっていたドラゴンの足元で、何かが強烈に破裂した。
と同時にドラゴンは体を震わせ驚く。
衝撃波と一緒に悲鳴のように激しく叫んだ。
142
それに気づいたデルフィン達も、盾を外し、ここぞとばかりに何かを投げた。
次々とドラゴンの周囲で爆発がおこる。
143
彼らが投げた物、それは”炸裂弾”である。
144
激しい爆発が続くほどに、ドラゴンはパニックに陥る。
自分の近場で爆発と爆音が何度となく繰り返され、パニックが助長し余計に体制が整えられない。
しかもそれが、見えない足枷となる。
145
やがて大きく羽ばたきを繰り返し、所かまわず炎を吐き出した。
145-1
ブレイズ達は咄嗟に中央に集まり、再び盾の影に隠れる。
闇雲な咆哮では当たらない。
146
そして別方向で待機していた仲間達が炸裂弾を投げる。
146-1
それはドラゴンの死角である背後を中心に攻める為、どこで何が起きているのか、全く理解が追い着かなくなる。
上空に逃げようとするのだが、そうはさせまいと地上から更に炸裂弾が投げ込まれた。
147-1
嫌がっているとわかると、炸裂弾はどんどんと投げ込まれる。
そしてあちこちで激しい爆発が繰り返される。

ブレイズ
これでもくらいやがれぇええっ!
147-2
ド――ンッ!!
147-3
ブレイズ
おらあぁぁぁぁっ!
147-4
ボ――ンッ!!
147-5
ブレイズ
堕ちなさいっ!
147-6
ボカ―ンッ!!
147-7
ブレイズ
うらあああぁっ!
147-8
ゴ――ン!!
147-9
ダン
堕ちてしまえっ!
147-10
バ――ンッ!!
147-11
デルフィン
堕ちろぉおおおおおっ!
147-12
ドゴーンッ!!
147-13
タケオ
『これで...』
147-14
タケオ
おわりだぁ―!
ドラゴォォォォンッ!
147-15
ギャアアアアアアアアアアアアッ!!
148
止む事を知らない爆音は、やがてドラゴン自身の思考を止めさた。

148-1
と同時に咆哮が止まり、羽ばたきも止まり、全てが止まってしまったかのように、轟音と共に地上へと落下してしまった。

148-2
落下したドラゴンはピクリともしなくなる。

149
ドラゴンの弱点とは”目”である。
普段の彼らは高所を好み、そこから地表を見下ろしている。
視力は相当高いらしく、数キロ先の獲物も見分けがつくらしい。


だがそんなに視力が良くても、彼等にも見えないモノがある。
それは己自身だ。

150
特に上空を飛来している時ほど、無防備な状態は無いだろう。
なぜならこの巨体を上空に持ち上げ、滑空し、旋回、さらにホバリングをする為には、高度で緻密なバランス感覚が要求されるからだ。
151
また彼らは、所有欲が非常に強い。
一度獲物と判断すると、仕留めるか飽きるまで決して目を離そうとしないのも特徴だ。
152
ブレイズはこの弱点を利用し、死角から炸裂弾を投げる事により、あちこちに気を散漫させ、パニックに陥れ地表へと誘導するのだ。
だがドラゴンは空中戦だけを得意という訳では無い、地面に降りたとしても、その凶暴さは決して衰えず、四方八方と攻撃を繰り出してくる。
153
それをストップさせる為には、彼らを疲れさせる必要がある。
ドラゴンは人間と違い、体の総体積に比べて脳の大きさは小さいと言われている。
この差は認知能力に若干の衰えをもたらす。
154
これは空間認識に影響を及ぼす所があるらしく、予測不可能な事態に対して即座に対応する事ができない。
だから、急激な視界の外からの出来事に対しては、どうしても時間が掛かってしまうのだ。
155
しかも炸裂弾となると、瞬間的に爆発はするが、すぐに姿を消してしまう。
これが連発して続くと、彼らは精神面を激しく圧迫し、ひどく暴れる事によって抵抗する。
だが実際には、どこで何が起きているのか理解が追いつかないせいで、それは激しい疲労へと繋がっていく。
156
特に恐怖を超えた絶望を感じた時の疲れは、想像を絶するモノがあるだろう。
一度このパニックに陥ったドラゴンは、自ら時間を停止してしまうのだ。

157
地上へ落ちたドラゴンは気絶してしまい、完全に隙だらけになる。
ここで止めを刺すのだが、ドラゴンの骨格は恐ろしいまでに固い。
その固さは、タムリエルでも加工が難しいされる、黒檀やスタルリムを凌ぐ硬度を持っている。
この硬度のおかげで彼らは、外からの刺激に敏感に反応する事ができているのでは?...と考えられている。
158
一番簡単なのは、背中から刃を差し込み、心臓を一突きする事である。
だがこれにはいくつか問題がある。
ドラゴンの体の中で、胸部は最も厚い作りになっている。
個体差はあるが、この部分は骨も厚く、筋肉も発達している事が多々あるため刃が心臓に到達しにくい。
その為、専用の武器を用いないと完全に仕留める事が出来ない。
159
最も有効的なのは、頭骨にある眉間の切れ目を見極め、そこから刃を差し込み、脳を突き刺す事だ。
ドラゴンの脳はその殆どが外骨格で覆われているせいで、口や鼻、目などから差し込んでも刃が弾かれてしまう。
よって最後の止めは、熟練した殺傷技術を持った者が担当する事になる。
160
余談だが、ドラゴンは不死の存在である。
それでもこれで動きを止める事が可能なので、最も有効的な手段と考えられている。

161
エズバーン
『オブリビオンクライシスから200年、当時のブレイズはこの事を知っていたらしい。
破壊される前の曇王(どんおう)の神殿で、ドラゴン研究を専門としていたワシとて知らなんだ事だが...』
161-1
エズバーン
『何故かあの男だけは、ブレイズが今までどうやってドラゴンを倒していたのかを知っていた』
161-2
エズバーン
『もっとも、タケオのおかげでブレイズ存続の意義を再び掲げる事が出来たのも...事実だがな...』

162
デルフィンはブレイズの団長らしく、共に窮地を耐え抜いた者達を称賛し、労った。

デルフィン
みんなっ!今日はよくやったわっ!久しぶりにハチミツ酒の樽を開けるわよっ!
162-1
ブレイズA
うっひょーっ!

ブレイズB
やったぜぇ~!

ブレイズC
酒が呑めるぅ~^^

ブレイズD
さすが俺たちの団長だぁ!

久しぶりの勝利の酒とあれば、味も格別であろう事を想像すると気分も高揚する。
163
タケオ
!!!

その事に最初に気づいたは、タケオだった。
突然自分の周囲が炎のように燃え、神々しく光を放ち始める。
163-1
ドラゴンの肉体が赤い光を放ち、皮膚が次々と剥がれていっては、灰が舞い上がるように消え散っていく。
164
そしてその周囲から、帯状の光る何かが、突風のように吹き荒れ、やがて激しく眩しい嵐が舞い始めた。
164-1
帯状の嵐はまるで何かに引き寄せられるかのように、丘の上へと吸い込まれて行き...
164-2
そこに立っていた一人の人物に襲い掛かった。
165
椿
わ、わ、わ、わあぁあああああ!

驚いた椿は咄嗟に防御態勢を取り、目を逸らす。

メアリー
おいっ!ツバキッ!
165-1
メアリーの心配を他所に、ギュルギュルと激しく音を立てては彼女の体の中に入り込んでいく。
やがて光の軌道が消えると、しばしの間彼女を優しい光で包見込み、何事も無かったかのように静かに消えて行った。
166
エズバーンとカズの二人も驚きを隠せない。
167
それは下にいる者達も同様だった。

タケオ
『まさか...あれが...』

デルフィン
『う、嘘でしょ...』
169
エズバーン
『彼女もドラゴンボーンなのか...』(To be continue...)


ポチットお願いしますm(_ _)m

[備考]

◎ペイル=青白い・蒼白
UESPにおけるペイル地域について...

氷原と氷河の堆積物に覆われたPale(その冴えない青白さから名付けられたとも言われる)はSkyrimの最古のNord入植地域のひとつです。
この地域の地図上の領域を見て「古びたブーツ」になぞらえる者がいるような形をしています。
常に雪におおわれ、南東にあるYorgrim湖以外は水も乏しいなど厳しい環境故、この地域の居住地は港湾都市であり鉱山都市でもある首府Dawnstarに集中しています。
(Google Chrome翻訳)

以上の事からペイルには青白いという意味があると知りました。
物語上では蒼白とも付け加えています。

ちなみにこの地域を『Whiteshore』と表記している地図もありますが、制作過程の変更でもあったのか『Pale』が正しいようである。

◎恒常風(こうじょうふう)
年間を通して決まった方向に吹く風を意味する語。
主に偏西風、極東風、貿易風などの事を指します。
今回は”ウィンドヘルム港から西に向かって常に吹いている”という設定で使わせてもらいました。
特に表現できるモノが無かったので、急ごしらえで旗を置いて表現。

実際のゲーム内ではどうやら間逆の様で、やや北東?に吹いているようです。
これはウィンドヘルム港にある、東帝都社の入り口脇に設置された篝火から立ち昇る煙で確認できます。
A
矢印が煙 矢印が物語上の風の向き

◎黒檀の爪
本来はコルバンヤンド遺跡の最奥聖域に入る時の仕掛け扉の前に無造作に落ちてますw

◎ギルダーグリーンとカンティクルの木
カンティクルの木は、DLC『Dawnguard』で追加される『先人の湿地』と呼ばれるロケーションに生えている樹木です。
ギルダーグリーンと同じように、桃色の花を咲かせている樹ですが、ギルダーグリーンより低樹であり、湿地帯を好む質らしく、足元に草花を生やすような性質は無いようです。
Dawnguardでは、この樹に集まる蚕の力を使って、星霜の書を読むくだりがありますが、この点を活用してスカイ・ヘイブン聖堂にも過去に存在していたとしました。
もっとも先人の湿地のような場所は、タムリエル中に存在しているらしく特には珍しくないそうです。(デキソン曰く)
ギルダーグリーンが有るエルダーグリームは、スカイリムだけのようです。

因みにカンティクルの木をコンソールでステータスを見ると、『これは見えてはいけません』という名前が表示されます。
B
カンティクルの木
C
ギルダーグリーン

◎トマト
トマトは、南アメリカのアンデス山脈高原地帯原産のナス科の植物です。
元々は標高2000メートルの乾燥した荒地に育つ高山植物であり、痩せた土地でも力強く育ちます。
日本でもトマトのこの特徴を生かした『りょくけん農法(永田農法)』が有名であり、原産地の環境を作り、必要最小限の水と肥料で育てたトマトは、非常に生命力に溢れ、虫さえ食べてしまうんだとか。

◎『血の印』を開けるとき
実際には蚕は出てきませんw
竜巻のような白い光とか...ありませんw

◎ブレイズ=ドラゴンスレイヤー
TESにおけるブレイズとは、ドラゴンスレイヤ―の集団という設定になっており、今話同様元はドラゴンを狩る事を専門とする組織として登場します。
スカイ・ヘイブン聖堂には、彼らが倒したとされるドラゴンの名前が書かれた本(ドラゴンのマップ)は残っているのですが、肝心の”倒し方”について書かれた本は一冊もありません。
UESPや他のサイトを調べても見つかりませんでした。
なので一般に巨体を相手にした場合の倒し方を参考に、オリジナルの倒し方を今回は披露させてもらいました。

この戦いの前提には、”これまでのブレイズの技術や知識を盛り込んだ”という事が含まれています。
例えばデルフィン達が、階段から高台に昇るまでの間、ドラゴンは何故彼らに直接攻撃を加えなかったのか?
(スレスレを飛んで来た瞬間、大きな口で人を食べる...といった行為)
理由として上げるなら、ブレイズが着用する鎧や盾、特に盾に描かれた文様などがドラゴンが嫌がるモノだったり、あるいはその素材がドラゴンを近づけさせない、炎や冷気にめっぽう強い。
などなど...これはあくまで仮定です。
ブレイズの鎧は他の鎧に比べたら重量がやたら重かったりするので、こういう点から見て特別仕様と見てもいいんだと思います。

また、そんな重い鎧や盾を背負っていたら、炸裂弾を投げるのも一苦労ではないかと思い、先手を打って炸裂弾を投げるタケオには盾を持たせませんでした。
そういう観点から、一見ドラゴンの真下にいるデルフィン達の方が危険に見えますが、盾を持っている彼等の方が安全であり、食べられる心配もありません。
逆にタケオの方が死地に立っていると見ていいでしょう。

因みにドラゴンは第三紀の初期の頃まで存在していたらしく、その頃はちゃんとブレイズがドラゴン退治を行っていたようです。

◎所有欲
我が物にしたいという欲求の事。
映画『羊たちの沈黙』において、ハンニバル・レクタ―博士曰く『所有欲は目から始まる』という点をヒントにしています。

◎空間認識能力
物体の位置・方向・姿勢・大きさ・形状・間隔など、物体が三次元空間に占めている状態や関係を、すばやく正確に把握、認識する能力のこと。
この能力は一般的な生物なら必ずもっている能力です。
空間認識が衰えていると、お菓子の箱すら開けるのに苦労するといった障害に見舞われます。
ですがこの能力は鍛える事が可能です。
また生物が生きていくのに必要な、外敵から身を守ったり、迫りくる危険の度合いを測定するといった能力もこれに関係しているとされています。
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立方体の積み木は全部で幾つあるか?

◎黒檀 スタルリム ドラゴンの骨
黒檀とスタルリムは同じスキルで加工が可能ですが、ドラゴンの骨はその更に上のクラスのスキルが必要です。

【黒檀】
レッドマウンテンの火山活動によって生じた天然ガラスから一緒に採掘される謎物質。
モロウウィンド地方特産の鉱物資源として知られるが、ヴェロシ山脈を境にモロウウィンドと接するスカイリム東部の鉱山でも鉱石が産出する。

【スタルリム】
元々は墓荒らしから守るために使った氷魔法。
大地から力を得て『溶けない氷』となった物で、昔はこれを加工する事はご法度だったらしい。
主にソルスセイムで採掘される。

因みに黒檀の武具を装備して衛兵の側を通ると、「ほう、綺麗な剣だな。真夜中に光る銀のようだ」と声を掛けられることがあります。
今回はこれを使わせてもらいました。

◎曇王(どんおう)の神殿
前作オブリビオンに登場したブレイズの神殿です。
ブルーマの北西に位置する要塞で、アカヴィリ様式(和式)の作りが特徴。
ナディアはオブリビオンからのプレイヤーなので覚えているのですが、たしかここだけ引き戸が使われていたと思います。

エズバーンは元々ここで図書の管理をやっていたらしく、戦闘員という訳では無かったようです。
ただしいくつかの作戦に関わっていたらしく、『サルモール調査:エズバーン』によると、この事を見逃したせいで、見張りを任せていたサルモールのエルフは作戦から外され再教育させられています。

サルモールからはロアマスターと命名されており、どうやらドラゴンに関する専門的知識をもった人物の様で、この点においてはエルフからも一目置かれているようです。
ロアは恐らく『Lore(ローア)』の事を指しており、学問や知識、伝説、伝承などに詳しい人物の事を差していると思われます。

しかし曇王の神殿は、エルフ達の包囲攻撃によりスカイリムの時代には破壊されているという設定らしいです。


[使用MOD]

Idle Markers...今回初めて使わせてもらいました。NPCも可能ですがフォロワーの待機中に『仰向けで寝る』『本を読む』『祈る』などのモーションをさせる事ができる魔法が追加されます。

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