Nadia's Skyrim

  -スカイリムRP妄想日記-
【スカイリム独立戦争編】

96
ようやく辺りに陽が差し込めてきた。
暗がりでは見えなかったモノが姿を現す。
リッケはマルカルスの様子に疑いを持ち、再度偵察隊を派遣する事にした。
その理由は、川底の水嵩が減っていた事と、両端の岸にフォースウォーン達の死体が散乱していたからである。
97

シピウス
『上流から流されて来たみたいだな?』

リッケ
『水嵩が低いって事は、本筋の流路を外れたからよ。
おそらく上流で堰き止めて、鉄砲水を喰らわせたんだわ』

シピウス
鉄砲水?

リッケ
『カース川の源流は、マルカルスの街中にあるわ』
98
シピウス
『そうか!マルカルスで水を堰き止めて、鉄砲水喰らわせたのか!!』

奇妙な期待感が沸く。

シピウス
『それなら、まだ陥落していないんじゃないか?』

リッケ
『ええ、恐らくわ・・・』
99
すると、先ほど先行させた偵察隊が戻ってきた。
彼らの話によると・・・
マルカルスを包囲していたはずのフォースウォーン達は、サルヴィウス農園にて陣を構えてはいるが、完全に意気消沈していたと言うのである。
99-1
焚火の周りを囲うように座り込む者、怪我を負って寝転ぶ者、いつの間にか冷たくなった者を見下ろす者。
99-2
体中泥まみれで、負傷していない者は一人もおらず、激しい士気の低下が目で見てわかるほどだった。99-3
そしてマルカルスの前方は、城壁から溢れ出る水によって、地面があちこち水浸しになっており、そのせいで足がぬかるみ、水の勢いもあるので前進する事すら難しい状況だった。
当然ながらあんな状態では、街中に入る事は不可能である。

リッケは険しい表情を浮かべる。100
シピウス
『リッケ、さっさと叩いちまおうぜ!こんな状態なら朝飯前だ!』

もう勝った気でいるシピウスは、どこか浮足立っていた。

リッケは偵察兵を再度問い詰めた。

リッケ
『途中伏兵はいた?』

偵察兵A
『いえ、気配すら感じませんでした。
おそらくは・・・何処にもいないかと』
101
リッケは、彼の声が上擦っているのがわかった。

リッケ
”おそらくは”・・・ってどういう意味?』
102
彼は気まずそうに答える。

偵察兵A
『そのぉ~この辺の地形はフォースウォーンの庭のような物で、昔から奴らだけが使っている抜け道があるって、もっぱらの噂になっているんです。
どこかで穴を掘っているらしくて、それは未だに続いているらしく、仮に出身者であっても跡を追うのは難しいと・・・』

リッケ
『ふむ・・・』

偵察兵A
『ただ、オカシイな?って思った事があって・・・』
103
リッケ
『なに?』

偵察兵B
『撤退の準備をしているように見えないんですよ・・・
私共は・・・戦略云々(うんぬん)言える立場ではないので、あれなんですが・・・』

リッケ
『構わないわ』

偵察兵B
『・・・あれだけこっ酷くやられているなら、反撃なんてとても考えられません。
もう撤退した方がいいかと・・・』
104
シピウス
『ボロボロになっても、ヤル気だけはあるみたいだな』

リッケはため息を漏らす。

リッケ
『意地になっている可能性もあるわね。
ただ、”ネズミの穴”も無視できないわ』

シピウス
『どうするんだリッケ?
まさかここで足踏みする訳じゃないよな?』
105
リッケは軽く鼻息を漏らすと、険しい表情で腕組をした。

リッケ
『もう一つ問題があるのよ・・・』

シピウス
『問題?』
106
リッケ
『マルカルス前方の橋を落とし、コルスケッガ―で落石を起こしたのは、私たちの進路を一つにする為と言うのは解るわ。
これはフォースウォーンの仕業と考えて、まず間違いないはずよ。
彼らは前面のマルカルスを襲いつつも、後ろから来る私達を警戒していたのよ。
恐らく城兵の抵抗が思った以上だったから、きっと的が外れたのね』

シピウス
『水攻めは予想外だったんだろうな』

リッケ
『でも解らないのは、行方を暗ましたマルカルス兵達よ』

シピウス
『あいつらが?
まぁ確かに、行方を暗ましたって言う点はオカシイと思うが、ここまで無事に来れた訳だし・・・』
107
リッケ
『それは偵察隊を先行させた効果があったからよ。
そうではなく、彼らが姿を暗ませたのは、自分達が案内するのは、不都合だったからだと思わない?』

シピウス
『・・・?』

リッケ
『さっき私は、”進路を一つにする為”と言ったけど、これは逆の意味にも捕らえる事ができるわ』

シピウス
『逆?』

リッケ
『つまり、マルカルスからの伝達兵を出させない、あるいは、一本道にする事でそれを見張り易いという事よ』

シピウス
『うんうん』

リッケ
『ロリクステッドに来たマルカルス兵は、マルカルスがフォースウォーンに囲まれた事と、コスルケッガ―の前で落石があった事をハドバルに伝えたのよね?』

シピウス
『ああ、そうだ』
109
リッケは山小屋の前に並ぶ、マルカルス兵達の死体を指さした。

リッケ
『ここで落石を起こせば、フォースウォーンは自らの進路を塞ぐ事になる。
でもここで死でいるマルカルス兵達は、落石があった後に殺されている。
と言う事は、フォースウォーンの本隊は、落石を起こす前に通った可能性が高いわ』

シピウス
『ああ』
110
リッケ
『そして東側が落石で閉ざされているという事は、彼らは今来た私達の道の方向と、マルカルスの方向から囲まれて殺されたのよ』

シピウス
『逃げ道がない・・・』
111
リッケ
『という事は、彼らの中にもし生き残りがいたとしても、この橋を使てロリクステッドに向かうのは不可能だわ。
遺体の数からして、どこかで分隊した可能性はあるみたいだけど・・・
もし分隊していたとしたら、この分厚い石の向こう側、東側の道しかない』
111-1
リッケ
『でも東側の道は、川の途中で途切れているから、ロリクステッドに向かうには橋を渡る形になるわ。
その先には、フォースウォーンが蔓延っているブロークン・タワー要塞がある。
先へ進むには、嫌でもそこを横切らないといけない。
さらにその先には、山賊たちがウロウロしているはず・・・無傷で到着できるなんて至難の技よ

シピウス達は固唾を飲む。
112
リッケ
『仮に川に飛び込んで、運よく逃げ延びたとしても、ここは滝が幾つも続く急流よ。
それこそ、あんなに早く報告できるなんてあり得ないわ』

シピウス
『なぁ・・・ちょっ、ちょっと待ってくれ!
マルカルス兵がロリクステッドに報告に来るのがオカシイって事だろ?
でも昨日の夜、確かに来たじゃねーか?』

リッケ
『あなたは見てないでしょ?
寧ろ、ハドバルを怒鳴りつけていたんじゃなかった?』

シピウス
『ああ・・・』
114
リッケ
『ここいるマルカルス兵を殺したフォースウォーンは、本隊が通った後に落石を起こし、その後に配置されている。
ロリクステッドに来たマルカルス兵は、フォースウォーンの本隊が通った事から、マルカルスが包囲されたと予想し、そして落石が起きた事を見ていたのよ』

シピウスは一瞬背筋が凍った。
115
シピウス
『だ、だがよ、マルカルスで水攻めがあった後に送ってきた可能性も・・・ある訳だよな』

リッケ
『それなら水攻めの話があって当然よ。隠す理由は無いはず』

どう考えても、マルカルスからロリクステッドに伝達兵を送る事は、ほぼ不可能に近い。
116
シピウス
『となると、もしロリクステッドに向かうとなれば、先にこの橋を渡って、どこかの茂みに隠れているか、
壊される前の橋を渡って行くしか、道は無い訳だ・・・』
117
リッケ
『この辺りはフォースウォーンの庭よ。
どこを通ってもフォースウォーンと鉢合わせる可能性が高いわ。
マルカルス前面の橋を渡ってから、ここに戻ってきて、それからロリクステッドに行くなんて不自然よ』

シピウス
『じゃぁ・・・どうやってロリクステッドに来たって言うんだ?』
118
リッケ
『例えばマルカルス兵が、フォースウォーンに変装していたとしたら?』

シピウスは口をポカーンとしている。

シピウス
そうか!だったら筋が通る!
それならフォースウォーンに紛れるし、事の最初を目撃する事もできるぞ!
・・・なら・・・なんで姿を暗ましたんだ?』
119
リッケ
『つまり、イグマンドの寄越した使者ではない、別な誰かが、フォースウォーンの攻撃を”知ってて知らせた”って事よ』

シピウス
『知っててって・・・いったい誰なんだよ?』
120
リッケは思考を巡らせる。

リッケ
『仮にもし・・・仮にもしマルカルスで、そんな事ができるとしたら・・・シルバー・ブラットしか考えられないわ・・・

シピウス
『シルバー・ブラッドって、帝国と手を結んでいるんだろ?』

リッケ
『それは弟のソーナーの話よ』

シピウスが声を喉に詰まらせる。
121
リッケ
『シルバー・ブラッドの家長は、兄のソーンヴァー・シルバー・ブラッドよ』

シピウス
『それって・・・?』
122
リッケ
『彼はストームクローク側の人間よ!』

この一言により、二人の間には予想もしていなかった人物の名前が挙がった。
123
シピウス
『おい・・・まさか・・・ホワイトランと繋がって・・・?
また”ポエット”とかいうガキの仕業なんじゃ!?』

シピウスは、イオナとアルギス達との戦いで痛い目を見ている。
そしてグレイムーアでのアルディスの惨劇も知っており、それがポエットの仕業だという事も知らされていた。
そういう被害妄想にも似た、恐怖心を持ってもおかしくはなかった。
124
そしてそれは、リッケもまた同じ事が言える。
ホワイトランにおける攻城戦も加えれば、帝国軍は大きな被害を出し、そして二人も将を失った。
”考え過ぎ”とも思ったのだが・・・
あの軍神と唄われた”テュリウス”を、手の平で踊らせた”小娘”である。
今の彼女にとってみれば、例えようのないプレッシャーに押し潰されそうだった。






125
シルバー・ブラッド家とは、マルカルスの裏の顔持つ支配者と言われている。
彼らはシドナ鉱山を所有し、鉱山自体を巨大な刑務所に変え、犯罪者に採掘をさせている。
おかげで人件費は”タダ”。
経費もそれほど掛からない上に、多くの重罪人たちが、ほぼ毎日のようにリーチ中から集まってくるのだ。
126
ここで産出する鉱石は”銀”であり、これが彼らの莫大な収入源となっている。
彼らはこの銀で土地を買い漁り、事業を拡大し、傭兵を雇い入れ、私設兵団を作り、時にはマルカルス市警隊を買収することで、イグマンドの力を死角から削いでいた。
しかもソーナーは、その銀を利用しスカイリムにおける帝国軍を裏から支えてもいる。
127
マダナック率いるフォースウォーンの一団が、マルカルスを包囲すると、彼はすぐさま行動に移した。

まずは傭兵を使い、自分の周辺で使用人をしていた者をあらかた始末した。
128
その後に、帳簿係をしていた”鼻効きネポス”の宅に押し入り、一族と呼ばれていた全員も一掃したのだ。
129
ここに至る概要はこうである。

鼻効きネポスが、自分の目を盗み横領を繰り返していた事は前々から知っていた。
そしてその金を、秘密裏にマダナックに回していた事実も知っていたのである。
最初は怒り心頭だったが、さすがは守銭奴だけあるのか、ソーナーはこれを逆手に取る事にした。
130
彼はワザと極端なノルマの引き上げを、ネポスに勧告したのだ。
一日の採掘量は決まっているため、そうそう簡単にソーナーの期待には応えられない。

131
そうなると何故上げられないのかと、ソーナーが自分のところに調査員を回して来る可能性がある。
その危険性を回避するために、ソリチュードに使者を送り、産出量の減少を伝えたのである。
132
この事がテュリウスの耳に伝わり、やむなくリーチ周辺の巡回兵を交代要員とすることで、なんとか帳尻を合わせる事ができた。
133
ネポスは数字を誤魔化す事で、ノルマを達成させているように見せかける事には成功した。
だがまさかこれが、自分の首を絞める結果になるとは思いもよらなかった。
134
オドヴァンという受刑者の一人に取引を持ち掛け、彼にマダナックの監視をさせていた。
マダナックの性質からして、鎖を解けばすぐに行動に移すことは分かっていた。
そこに更に握らせれば(ネポスから回ってくる横領金)、自分たちの武装を分厚くするのは当然である。
135
そしてネポスも自分可愛さから、解放したマダナックに事の次第を伝える。
となればマダナックは、時期を見計らい、今まで我慢した物を、一気に吐き出す様に動き出すはずである。
136
ソーナーの思った通り、マダナックは見事に散り散りになったフォースウォーンの一族を掻き集めてくれた。
とはいえ大人数が集まれば、いかに堅牢と言われるマルカルスと言えど、陥落するのは時間の問題だった。
137
だがそれを一時的にでもイグマンドが押さえてくれればいい。
そう、せいぜい一日二日程度。
138
帝国軍がホワイトラン攻略の為に、ロリクステッドに陣を敷く事は知っていた。
これを早急に呼び寄せるためにも、マダナック達の蛮行を傍から見守り、即座に伝えに行ける伝達役が必要だった。
ここでの件(くだり)は、まさにリッケの予想通り、二人の傭兵たちを使い、フォースウォーンに扮装させ紛れ込ませたのである。
彼らはコルスケッガ―の落石を目撃しつつ、都合を合わせてロリクステッドに飛んでいった。
139
ソーナーの目的は、帝国軍の警戒網を緩める事で、マダナックを動かし、マルカルスにフォースウォーンを集結させ、これを救援に来てくれた帝国軍に討たせる事だった。
そしてあわよくば、フォースウォーンとの戦いでイグマンドの首も打ち取ってくれれば万々歳である。






フォースウォーンとの交戦中・・・トレジャーハウスにて・・・
140
ソーナー
『やってくれたなカルセルモめ・・・』

レブルス
『ここが主戦場になる事は、最初から分かっていた話です。
カルセルモの入れ知恵は、予想外ではありましたが、ここは妥協する方が賢明でしょう』
141
ソーナー
『随分と落ち着いているなお前は・・・』

レブルス
『ネポスの家から多量の銀が発見されました。
あれだけあれば、シドナ鉱山が水没していても、暫くは大丈夫かと』

レブルスは焦る様子など微塵も見せず、寧ろ打開策まで持ち合わせていた。
彼の無表情で淡々とした語りは、これからの出来事に、緊張感さえ微塵も感じさせない。
逆にこれが、当たり前だとでも言わんとしていた。

ソーナーにしてみれば、”なんなんだこいつ”と思えてはくるのだが、逆に面白い人材ではあった。
144
ソーナー
『イグマンドは?』

レブルス
『現在交戦中です』

ソーナーはため息を漏らす。
彼は寧ろ城の中ではなく、マルカルスの外で交戦して欲しかった。
145
レブルス
『ですが・・・やるなら今が好機かと・・・』

ソーナーは、彼の言葉に思わず口元が綻(ほころ)んだ。
146
ソーナー
『レブルス、舵取りをしてみたいか?』

レブルス
『勿論です』

147
ソーナー
『よし・・・傭兵共を動かせ。
買収した市警隊もだ。
一気にアンダーストーン砦を制圧し、シルバー・ブラッドの旗を掲げろ』

レブルス
『了解しました』
148
ソーナー
『イグマンドには、二度と砦の敷居を跨がせるなっ!!』




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<備考>

◎ソーンヴァー(兄) ソーナー(弟)
ゲーム上での彼らは、実際どちらが兄でどちらが弟なのか、あやふやな所があります。
SOSでは、トレジャーハウスの受付をしている”リアダ”と”ソーナー”自身の発言からソーンヴァーを兄とし、ソーナーを弟としました。
リアダは”一族の事業を取り仕切っているのがソーナーである”と言い。
ソーナー自身は”ソーンヴァーが一族のトップだ”と発言しています。

因みにリアダは、シルバー・ブラッド家のトレジャーハウスで働いている使用人で、主に受付をしている女性です。
フォースウォーンとは、直接的に関係は無いようです。

◎ソーナーの言った【王】とは?
彼の不穏当ともとれるこの発言は、マダナックの『ボロを纏った王』に近い意味を持っています。
つまりは『リーチの王』であって『スカイリムの王』とは違うと考えてください。
事実上では『マルカルスの首長』を指してはいるのですが、目標は大きくとでも表現しておきましょう。

その前に書いた【手近な物で”王”を作ってみようと思っただけだ】とは、
実在した『秦の始皇帝』の父親と言われている『呂不韋(りょふい)』という男の『奇貨居くべし(きかおくべし)』という故事を例としています。
一介の商人が皇帝を作ったというお話しです。
興味のある方は調べてみてください♪
なかなか面白いですよ^^

ちなみにこの件を書いた理由としては、ソーナーは表立って行動するよりも、裏でコソコソしている方が性分に合ってると自覚しているのでは?と思ったからです。
実際の彼自身は、自宅の部屋から全く出てこず、また彼自身の発言からも、どこか好んでやっているようにも思えました。
こういうのは権力者としてはよくあるパターンで、クレームを付きつけようにも、その根幹があやふやで分かりにくい所が腹立たしいという存在です。
リフテンのメイビン・ブラック・ブライヤーは、彼に比べたらずっと親切な存在だと思えてきます。
街の裏の顔とか言ってますが、彼女は毎日ちゃんと街中をウロウロしてますw

◎”こういう事態に陥る事を遠からず予測していた”
リッケが考えたテュリウスの思惑として、こう表現しました。
この件での意味は、フォースウォーンのマルカルスへの攻撃も含まれていますが、もう一つ、マルカルスへの道すがらに現れるだろうフォースウォーンの【伏兵】の事も指しています。
つまりは正規軍の大軍が行進すれば、それはかなりの威圧感を与えると思われるからです。
◎イグマンド自身が伝達兵を送り帝国軍に救援を求める隙がある?
この件ですが、”あれ?”と思われる方もいると思われます。
と言うのは、フォースウォーンがマルカルスを包囲する少し前に、イグマンドは外にいる市民や市警隊を避難させ、尚且つ水門を土嚢で防ぐ時間がありました。
なのでこの時点では、まだ前面の橋は壊されていないので、ホワイトランの帝国軍に救援を要請しに行かせられたのでは?
と思う方もいるかと思います。

結論から言うと、それは無理です。

A1

何故なら十二話EP3に置いて、フォースウォーンの進路について【マダナックの動きに合わせて、他の拠点からもフォースウォーンが動き出し、皆一路マルカルスを目指した。】
と書きました。
つまりは、この時点において救援の為の伝達兵が通る道は、どの道もフォースウォーンの通り道であり、
そしてホワイトランへ行く為の橋を渡る道は、フォースウォーン達が最も多く歩く道なので、鉢合わせる可能性がほぼ100%と言えるからです。

◎ドゥーマー(ドワーフ)が消えた理由
ドゥーマーが消えた理由を実際に知っている者はいません。
ですがその真実に近づけた者はいます。
因みにタムリエルでは、ドワーフの生き残りが一人だけいるとか・・・

◎ドワーフのオイル
ゲーム内のドワーフのオイルは、オートマトンなどを倒すとよく手に入る錬金素材です。
SOSでは高度な機械文明を持っていたドワーフ達が、オートマトンなどに使う潤滑油として設定しました。
グレイムーアやホワイトランの攻城戦で使われたオイルとは、別物と考えてください。

◎タール
有機物の熱分解によって得られる、粘り気のある黒から褐色の油状の液体。
大部分のタールは石炭からコークスを生産する際の副産物として産出されるが、石油、泥炭または木材その他の植物から作り出すこともできる。
by Wikipedia

今回はカルセルモが、ドゥーマーの潤滑油を作ろうとした際に、副産物として出たタールを有効活用したという設定にしてみました。
【ドゥーマーの事ならカルセルモ】と頭に浮かぶくらいなんだから、これくらいはしているんじゃないかと・・・
ゲーム上にはタールはありません。

◎ハグレイブン
カラスの羽の生えた老婆のような魔女。
主に火炎系の魔法を得意とするようだが、中には冷気系の魔法を使う者もいる。
フォースウォーンにはブライアン・ハートと呼ばれる、強力な兵士がいます。
彼らは自分の心臓をの代わりに、ブライアン・ハートと呼ばれる謎の心臓を移植され、強力な戦士へと変貌した改造人間です。
この術を施しているのがハグレイブンです。
ハグレイブンとフォース・ウォーンの関係はよくわかっていません。
もちろんハイロックにおけるウィッチマンとの繋がりも不明です。
元々忌み嫌われる存在だけに、一般の人々からは怪訝され、彼女たちも好んではいないようですが、すべての人間を嫌っている訳では無いようです。

◎トレジャーハウスの使用人
実際のゲーム内には使用人が三人います。
内二人は確実にフォースウォーンであり、スパイとして潜入しているようです。
今回はこの点を利用し、ソーナーは既にその事に気づいていたという設定になっています。

◎オドヴァン
シドナ鉱山の受刑者の一人。
フォースウォーンではないのにフォースウォーンだと思われ逮捕された。
本人曰く無罪。
本来ならマダナックの傍に行くには、彼を直接見張っている【野獣のボルクル】との殴り合いに勝たないといけない。
彼はシルバー・ブラッドによって逮捕された為に、個人的な恨みを持っていると思われる。
牢獄内で彼は正式にフォースウォーンになっている。
この辺を弄って、好条件を出しつつ、彼を抱き込んだ設定。

◎レブルス・クインティリアス
トレジャーハウスは、シルバー・ブラッド家の後援者達の為の寄宿舎のような場所です。
彼はここに住みついているインペリアルです。
いつも街中をウロウロしているのですが、話しかけても不機嫌そうに返してくるだけで、対話選択も一つしか選択できません。
ソーンヴァーは24時間アンダーストーン砦で突っ立っているのですが、レブルスは砦に入る事はなく、
寧ろトレジャーハウスのソーナーの部屋に入っては、鍋を掻き混ぜています。
内戦クエストをストクロでクリアすると、ソーンヴァーが首長になり、何故か面識の無いはずのレブルスが執政になりますw
SOSでは、弟のソーナーによるクーデターの補佐として設定しました。
インペリアルは基本的に対話能力が高いというのが、ゲーム上の設定なので、この点に重点を置いています。
性格もいつもスカしている感じで、嫌味な感じにも思えるのですが、補佐としてはピッタリな印象があると思っています。
なお、今回バックストーリーでレブルス自身の過去も書いているのですが、あくまで創作です。


◎歌い人のイングヴァ―
内戦クエストをストームクローク側でクリアすると従士となる。
ゲーム内で彼と会話すると、マルカルスの注意事項を教えてくれる。
”歌い人”というくらいなので詩歌の才能があり、あるサブクエストで、その能力を生かし手伝ってくれる。
一見良い人そうに見えるのだが、裏ではハグスキュアのボテラを脅し、上納金らしきものを恐喝している。(ボテラの話)
彼はシルバー・ブラッド家の傭兵の一人であり、トレジャーハウスで寝泊まりしている。
SOSでの彼は傭兵団の頭という設定にしました。
ネポスにノルマの上限を上げるように勧告しに来た、真ん中の人物が彼です。
他に、トレジャーハウスのフォースウォーンやネポスを始末するなど、主に汚れ仕事を担当しています。

◎マルカルスという街の作りについて・・・
マルカルスは、ドゥーマー達が作った街である以上、既に3000年以上の年月を費やしている都市です。(恐らく)
(ドゥーマーは第一紀に姿を消している 1E688~1E700)
そのとてつもなく長い年月は、石造りの建物を浸食させている可能性があるので、当時の街はもっと豪勢だったのでは?と推測しました。

A2

恐らくなんですが、上記の予想図のように、高所に幾つもの渡り廊下があったのでは?と勝手に推測しました。
そして今、店などがある場所は、ただの貯水池だったのかも・・・
下の方には階段が増設された跡が残っていたり、上の方には橋の土台みたいなのが残ってたり、手入れをしていたと思われる植物に、既に使われなくなった石の門が放置されてたりするので・・・
また、城壁の外側には幾つもの窓穴があるので、当時はあの窓穴を使って排水をさせていたのかもしれません。
あるいは、ちょっと飛躍しているのですが、今ある城壁はもしかしたら元々監獄だったんじゃないか?(材料が足りないのですが)
と、べセスダがイメージして作ったのかもw
因みに現在の水門は一ヵ所しかなく、それはシドナ鉱山入口付近の溶鉱炉の隣にあります。

もう一つ思った事なのですが、当時のマルカルスは今よりもっと海抜が高かったはずです。
というのも、ウィンドヘルム(ウルフリックが首長をしている街)は、地下にもっと大きな城があると云われています。
海抜が低くなったおかげで、嘗ての城は地下に沈んでしまい、今のウィドヘルムになったのだと云われています。
なので昔のウィンドヘルムはもっと大きかったそうです。
と言う事は今のカース川も、今よりもっと高い位置にあり、今よりもっと沢山の急流な滝が流れていたんじゃないかと思われます。
流れる水が石を侵食させだおかげで、今は切り立った岩山が多いのかもしれません。
あくまで仮説ですがw




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お待たせ致しました。
『SOS第十三話EP3』ようやく公開いたします(´▽`*)

今回のお話しは、リーチの覇権をめぐる戦いがメインとなっています。

嘗てマルカルスにて、フォースウォーンの王を名乗ったマダナック。
彼は帝国軍の隙をついて、マルカルス奪還に動きだし、大群を以てこれを包囲した。
首長イグマンドは、マルカルス軍総出でこれを迎え撃つ。
そしてリッケを大将とした1000の帝国軍も、救援の為にマルカルスに迫っていた。
しかしその裏では、更なる陰謀が暗躍していた。
果たしてマルカルスの運命やいかに!?

今回は、バニラのマルカルスらしく、いやそれ以上に”かな~~~り”陰謀じみています。
その陰謀も然ることながら、様々な面で考えさせられる点が多く、相当頭を使い込んだせいで、独自設定の色がかなり濃いと思われます。
とはいえ端々に、バニラの要素も入れているつもりであります。
もしかすると、ちょっと難しいかな?なんて思うのですが、自分なりには面白くできていると思うので、喜んでいただけたら万々歳なのですが・・・(;´Д`)

また今回もいつも通り長いです!前回よりも長いです!?スイマセン!
前回のEP2をBlogにアップする際、3時間も掛かってしまいました。
どうやらBlog自体も限界だったようなので、止む終えずEP3を前編・後編に分ける事にしました。

いつも通りお時間のある時にでも、一時の興奮を味わって頂けたらと思います^^b
ごゆるりとお楽しみくださいませm(_ _)m

マルカルス、トレジャーハウスの一室にて・・・

1
ソーンヴァ―
『お前・・・本気でそんな事を考えているのか・・・?』
2
ソーナー
『この街は一枚岩じゃない。
その元凶となっているのはイグマンドだ。
あんな矛盾した男を、帝国が首長に据え置かなければ、こんなにも複雑な街にはなっていなかったハズなんだよ』
3
ソーンヴァ―
『俺が心配しているのはそんな事じゃない!フォースウォーンの事だ!』

ソーナー
『フォースウォ―ンは兄さんの範疇じゃないだろうw』

ソーンヴァー
『どういう意味だ!?』

ソーナー
『日がな一日、イグマンドの足の裏を見ているだけじゃ、何も変わらないって事だよ』

ソーンヴァ―
『なんだとぉ!!』
4
ソーナー
『兄さん、俺たちは私設兵団を抱えている。そしてこの街の半分以上は俺たちの物だ。
この街のルールも俺たちだ。そして帝国軍とも繋がりを持っている』

ソーンヴァ―
『俺たちはノルドだ!!タロスを廃絶しようとする帝国を支援するなんて、もっての他だ!!』
5
ソーナー
『頼むから、もっと利口になってくれよ』

ソーンヴァ―
『お前!実の兄に言う事かそれが!?』
6
ソーナー
『これは兄弟の問題じゃない!
一族の存亡に関わる問題だ!!
今の世の中を生き残るには、帝国だろうとサルモールだろうと、手を組むのが利口な選択だ!
タロスに拝んでるだけじゃ、飯は食っていけねーんだよ!!』
7
ソーンヴァーは弟の怒声にたじろいでしまった。
彼の言う事は、正論だったからだ。
8
ソーナー
『俺は兄さんを廃絶しようなんて考えていない。
この世で唯一の家族だからな。
イグマンドを引きずり下ろした際には、兄さんにこの街の首長をやってもらおうと考えている。
そうすれば、シルバー・ブラッド家は安泰でいられるからだ』
9
ソーンヴァー
『俺は帝国の飼い犬にはならんぞ!』
10
ソーナーはため息をついた。

ソーナー
『イグマンドではなく、シルバー・ブラッド家があの椅子に座っていたのなら、それも通っただろうさ。
だが今は違うんだよ!ウルフリックを支持しても、俺たちには何にも得がないんだ!』
11
ソーンヴァー
『名誉がある!』

ソーナー
『その名誉には、何の価値もないだろっ!!』
12
ソーンヴァー
『忘れたのか!
マルカルスをフォースウォーンの手から解放してくれたのは!帝国でもない!サルモールでもない!ウルフリック・ストームクロークなんだぞ!』

ソーナー
『そのウルフリックが欲しがっているのは兄さんじゃない!
”俺たちの銀”だ!』
13
ソーンヴァ―は驚きを隠せなかった。
それは弟の自分を見る目が、血を分けた兄弟とは思えない程乾ききっていた事と、そして今後の自分の選択肢が、限られてしまった事を強く悟ったからである。
13-1
ソーナー
『なぁ兄さん、シルバー・ブラッド家はこの街で最も力の有る一族だ。
なのに、”王”を名乗れないなんて、おかしいと思うだろ?』

ソーンヴァー
『俺は・・・傀儡(かいらい)にはならん!!』

彼は弟に背を向け、部屋を出ていこうとした。
14
ソーナー
『ウルフリックの所に行っても、何も変わらないぞ!』

その言葉にソーンヴァーは、一瞬歩みを止めた。
15
ソーナー
『もう少しでマルカルスは、フォースウォーンに包囲されるだろう。
その時までに、身の振り方を考えておくんだな』

ソーンヴァーは何も言わず、そのまま部屋から出て行った。






16
一間置いてソーナーの後ろから一人の男が姿を現す。

レブルス
『ご家族には随分とお優しいのですね・・・』

ソーナー
『世間体ってやつだ。俺にとっては血を分けた兄だからな』

レブルス
『では、随分と寂しい話になりますな』
17
ソーナー
『俺はただ、手近な物で”王”を作ってみようと思っただけだ』

レブルス
『なかなか面白い余興かと』
18
ソーナー
『どのみち失う物はこれで無くなった。
兄が”王”を拒否するのなら、俺がやればいいだけの話だ』






19
リッケは、テュリウスの命令通りすぐさま行動に移した。
まずロリクステッドに向かい、ハドバルと打ち合わせをした。
この時、コルスケッガ―で落石があった事を知った。
なので用心の為、火急を知らせてきたマルカルス兵達に道案内をさせる事にしたのである。

ところが・・・
20
シピウス
『いないだと!?』

ハドバル
『申し訳ありません><;』
21
シピウス
『どういうことだ!?』

ハドバル
『それが・・・待機させていたはずのテントがもぬけの殻で・・・今、周辺を当たらせてはいるのですが・・・』

彼らはいつの間にか姿を暗ませていた。
22
シピウス
『馬鹿野郎!!急いで見つけてこいっ!!』

シピウスは、ハドバルの失態に怒りを顕にしてガナりつけた。
23
リッケ
『もういいわ!』

だがリッケがそれを止める。
二人とも声を詰まらせ、彼女に目線が行った。

リッケ
『偵察隊を先行させつつ、進軍することにする。
ハドバル、あなたはこの事を将軍に知らせなさい』

ハドバル
『了解しました!』

ハドバルは急いでその場を後にした。
24
シピウス
『リッケ、こんなのどう考えたっておかしいぞ・・・』

リッケ
『分かっているわ。
でも今問題なのは、私たちが足踏みしている間にも、フォースウォーンに時間を与えてしまう事よ』

シピウス
『しかし、状況がわからないまま進軍させるのはもっと危険だ』
25
リッケ
『だから偵察隊を先行させるのよ』

それでもシピウスは不満そうな表情を浮かべていた。

リッケ
『出来る事をやるしかないわ』
26
リーチ地方は、ハイロックを跨いで東西に分かれており、特に東側は高い山が乱立する独特の地形を擁していた。
川を挟んで切り立った岩肌の下や、断崖絶壁の上を進んで行くという道が多く、それらの高低差もまた、息を飲むほどの物が多数を占める。
現地人であるフォースウォーンには、地の利があるため、あちこちに伏兵の可能性がどうしても否めないのだ。
シピウスの不安は当然と言えた。
27
だがリッケは、テュリウスの焦り様から、 ”こういう事態に陥る事を遠からず予測していた”のだろうと判断していた。
彼が1000の兵を与えたのは、そういう意味もあったのかもしれない。
なので”マルカルスで何かが起きている”という事態は確かだと言えた。
28
またマルカルスは、スカイリム西方にあるリーチの首都である。
切り立った高い岩山に囲まれており、その岩肌を削って作り上げた石の街、またはかつてのドゥーマー(ドワーフ)達の要塞である。
中央に流れる川はカース川といい、街中を勢いよく流れる水が外にまで流れ出し、延々と続く川を形成している。
マルカルスは天然の岩山を利用した街であり、このカース川の源流に位置するよう鎮座している。
29
街を出ると二本の道があり、片方はカースワスティン、ソリチュード方面(北)へ、もう片方はホワイトラン、ファルクリース(東)へと続く。
北への道は、馬車の交差がやっとできる程度の街道ではあるが、一歩間違えればカース川へ転落しかねない断崖に作られた桟道である。
東への道はやや安全ではあるが、両方を切り立った岩肌が挟む形となり、奥に行くほど徐々に道は開けて行く。
兎にも角にも、マルカルスを行き来するには、この二つの道を使うしか方法はない。
30
リッケ率いる帝国軍は、夜陰に乗じてロリクステッドを出発した。
フォースウォーンを警戒しつつの、非常に難儀な進軍ではあったが、陽が昇り始める少し前には、コスルケッガ―鉱山前に辿り着く事ができた。
そして山小屋の前で、マルカルス兵達の無残な遺体と遭遇したのだ。
31
シピウス
『クッソー、やりがやったなフォースウォーンめ・・・』

シピウスは、馬上にて歯を食いしばった。
32
リッケは馬から降りると、今来た橋の向こう側と、落石によって道を塞いでしまった方向に目を向けた。
川沿いの傾斜は何とか通れる道のようだが、一歩間違えれば川底に転落と言った所だ。

シピウス
『なぁリッケ・・・俺たち誘い込まれてるんじゃないか?』

シピウスのその言葉に、不思議と彼女は感心した。
33

前述にも記載したが、マルカルスを行き来するには二つの道しか存在していない。
その一方のホワイトランへの行き来をする道は、コルスケッガ―鉱山の手前にある脇道に繋がっている。
その道をマルカルス方面に向かうと、カース川を渡るためにここだけ橋が掛けられていた。
33-1
ところが先行させた偵察隊により、この橋が既に破壊されてしまっている事を知った。
つまりは、自分たちがマルカルスへ向かうには、落石のあったこのコルスケッガ―沿いの道しか残されていないと言う事である。
それはシピウスの言う通りで、明らかに危険であり、想像以上の慎重さを求められるのだ。
34
だがリッケには、どうしても腑に落ちない点があった。
35
フォースウォーンの蛮行はあまりにも知れ渡っている。
戦術や兵器を用いるよりも、力を使い無理やりにでも押し通すといった強引かつ野蛮な行為。(第十二話EP3)
36
そして相手を精神的に追い詰め、恐怖に陥れるための過剰殺人。
文明からかけ離れた暴力こそが、彼らの力の象徴であり、そして彼らが彼ららしくあるためのアイデンティティ。(第十二話EP3)
37
橋を落としたり、落石で道路封鎖をするような単純なやり口は理解できる。
だから、シピウスの言う”誘い込み”は間違いないだろう。
気になるのは、姿を暗ましたマルカルス兵達だ。
どうしてもこの事だけが、繋がりを感じ取れなかった。
38
リッケ
『マルカルスがたった一日で落ちたと・・・?』

テュリウス
『あの街は一枚岩じゃないからな』(第十三話EP1)

テュリウスの言葉が頭を掠める。
40
マルカルスはもう目前だった。
しかし、不思議と殺伐とした気配すら感じ取れない。
先行させた偵察隊の話によると、マルカルスの前には篝火一つ灯っておらず、不気味なほど静まり返りっていたとの事だった。
シピウスの呟きには感心はしたが、代わりに妙な不安が脳裏を過った。






41
フォースウォーンはカースワスティンを襲撃した時、市警の一人をワザと生かし、マルカルスへ使者として送りつけた。(第十二話EP3)
イグマンドは激怒し、すぐさまファリーンを使いカースワスティンに派兵した。
その為フォースウォーンが、この街を狙って来ることは明白だった。
42
マルカルスの城壁は高く、そして石で出来ているため、一見すると非常に攻め難く見える。
目の前の広場には、高い塔の見張り台が二つあり、市警隊は常にこの塔に登り、一日中見張りに立っているため、遠くの異変にも気づきやすい。
そしてマルカルスの城壁も厚く、左右両方に壁内通路が設置されているため、ここからも常に見張りが立ち、さらに城門前にも二人の見張りが立っていた。

これだけの威風と警備を誇ってはいるのだが、この街には大きな弱点が二つもあった。
それは、街に出入りするには、正面の門からの一ヵ所しかない事と。
そして城壁の凹凸が多過ぎる事である。
43
フォースウォーンは、驚異的な身体能力を持ち合わせている。
近代的な兵器を用いるよりも、力を誇示するような破壊力もさることながら、寧ろ狡賢い(ずるがしこ)ゲリラ戦に富んでいた。
その証拠に壁をよじ登るにも、梯子やロープなどの道具を要せず、手足だけを使い、いとも簡単に登ってしまうのである。
今までもマルカルスでは、同じような小競り合いを何度も経験していた。
なので敵が、どんな戦い方をして来るのかはわかり切っていたのだが、イグマンドにはこれを完全に防ぐ手立てが見つけられないでいた。
44
イグマンド
『今までのような小競り合いと言う訳にはいかないぞ・・・』

ラエレク
『うむぅ~』

叔父のラエレクもさすがに頭を悩ます。
45
そんな時、珍しい男がヒョッコリと顔を出した。
カルセルモである。

カルセルモ
『首長・・・聞き難いことなのだがぁ・・・ふぁ、ファリーンを先発隊に遣わしたというのは、本当か?』
46
【カルセルモ】は、ドゥーマー研究者であり、タムリエルでも屈指の一人である。
研究の成果を著した本を出版し、ここマルカルスにおいては研究場も然(さ)る事ながら、遺跡の調査、発掘を一手に担っている人物でもある。
実は彼は、年甲斐もなくファリーンに恋文を送り、見事成功を修めた老ハイエルフだったw
その仲介を手伝ったのが、何を隠そう”ナディア”である。
彼の頭は、ドゥーマーの事で一杯である事は有名なのだが、ファリーンにはどこか骨抜きなところがあり、彼らしく心配をしていた。
47
ラエレク
『カルセルモか・・・気持ちはわからんでもないが、今はマルカルスの一大事なのだ』

一兵卒程度の相手なら、無礼だと怒鳴りつけるところだが、カルセルモほどの著名な人物になるとそうもいかない・・・
ラエレクはため息交じりに口にした。
48
カルセルモ
『ああ、すまない・・・そうだったな・・・』

カルセルモは一瞬ファリーンが頭に浮かんだ。
もう少し若ければ、もう少し力があれば・・・
非力な自分を嘆き、残念そうに振り返ると、トボトボと自分の研究場へ帰ろうとした。
49
イグマンド
『待て!カルセルモ!』

イグマンドの咄嗟の呼び声に彼は振り向く。
50
イグマンド
『お前はドゥーマー研究者だろ。
マルカルスは元々ドゥーマーが作った城だ。
フォースウォーンの攻撃を防ぐ、何かいい方法はないか?』

ラエレクは彼の最もな質問に感心した。

カルセルモ
『・・・』
51
イグマンド
『間もなくフォースウォーンは、城外に姿を現すだろう。
だがこれを排除する事ができなければ、我々は一歩も外に出られん!!』

ラエレク
『そうだカルセルモ!
フォースウォーンを排除する事ができれば、ファリーンの捜索隊も出せるのだ!』
52
カルセルモ
『そうか、やはり・・・』

彼はファリーンの様子が、彼らにも解らない事を悟り一瞬躊躇ったのだが、すぐに考えを切り替えた。
自分にやれる事をやるしかない!
53
カルセルモ
『・・・ある事はあるっ!!』

三人集まれば文殊の知恵とも言うが、彼は実にユニークな作戦をイグマンドに提案した。
54
まずは城外にいる者を中に呼び、正門を固く閉じた。
非戦闘員を避難所に案内する。
城壁より高い位置に自宅がある者は、そこで待機。
その他の者は、各施設の建物に避難する事になった。
当然ながら市民の外出禁止令が出る。
この時、軍関係の建物は除外された。
54-1
そして兵士や市警隊を使い、多量の土嚢と弓矢を掻き集めるよう指示を出したのである。
55
マルカルスと言う街は、ドゥーマーが突如姿を消してから、他種族によって支配されてきた。
だが誰一人として、この街の有効的な使い方に目を向けた者はいなかった。
しかしカルセルモは知っていた。
この街が堅牢と呼ばれる所以(ゆえん)を。
56
マルカルスは山の斜面を削って作られている。
その為、奥に行くほど急斜面になっており、それはちょうどアルファベットの【J】という形になる。
そしてこの街のもう一つの特徴は、山頂からゴンゴンと湧き出る、とんでもない量の流水である。
その水は、下に位置する城壁の一か所から出ていくよう設計されている。
これを内側から多量の土嚢で防いでしまう。
毎分数トンにも及ぶとてつもない流水量は、一日と掛からないうちに街の半分を水底に沈めてしまうのだ。  
当然リスクもそれなりにはあるが、外からの侵入を防ぐには、最も効果的な方法でもある。
それはこの水が、石よりも遥かに固く分厚い壁になり、そしてとんでもない武器にもなるからだ。
57
ラエレク
『だがそれではダメだ!
水が溜まるまでに時間がかってしまう!』

イグマンド
『アイツらは壁を手足でよじ登って来る。
水が溜まる前に、城壁を超えられてしまい、門を開けられたら一巻の終わりだ!』
59
するとカルセルモは、懐から濁った金色の小さな壺を取り出し、イグマンドに見せた。

カルセルモ
『それなら・・・これを使うと良い』
60
住民達を避難所に逃がしつつも、兵士達はテキパキと作業を重ねていった。
排水溝を防ぐ作業も順調に進み、徐々にではあるが水位が上がって来た。
61
次に兵士達が指示されたのは、各高所に陣取るという命令である。
だがこれは、足場が城壁よりも上でなければいけない。
複数の兵を集められる場所は、距離や視野などの関係上から、かなり際どい位置が多数を占めるのだが、足場の悪い位置にも単体で配置する事でカバーする事にした。
つまりは、この高所からの弓矢による攻撃のみで、壁をよじ登ってくるであろうフォースウォーン達を撃退するのである。

そしてその時はきた・・・






62
マルカルスでは、重い空気を孕んだ緊張感が走っていた。
壁の向こう側から、フォースウォーン達の地響きにも似た雄叫びが聞こえてくる。

フォースウォーン
『リーチを我らの手に!!リーチを我らの手に!!』

まるで巨人が足踏みするかのように、街全体を揺らした。
63
否応なしの緊張感が走る。
兵士達は誰一人口を開こうとしなかったが、それでも心の声は共有していた。

”額に新しいケツの穴作ってやる!”

”絶対に通さんぞっ!”

”風穴開けてやる!”

”ハチの巣にしてやる!”
64
イグマンド
『いいかっ!一人もあの壁を越えさせてはならん!昇ってくる奴がいたら、一人残らず撃ち落とせっ!!』

マルカルス兵士
『おおおおおうっ!!』

65
マダナックが腹の底から号令を掛ける。

マダナック
『壁をよじ登れええぇーー!!』

フォースウォーン
『うおおおおおお!!』
66
野生の大群が、掛け声とともに一斉に動き出す。
壁を押し倒さん勢いの大人数が、城壁の下に集まるり、手を掛けては次々と登っていく。
それはまるで蟻の大群が、壁に張り付いているかの様でもあった。
67
だが、壁の上まであともう少しと言うところで、一人が下に落ち、また一人と次々と下へ落ちて行ってしまう。
68
落下した者は固い石畳に打ち付けられ、衝撃で骨折し動けなくなる者もいたが、落ち方が悪かったせいで、変な形となって命を落とす者もいた。

フォースウォーン(男)
『クッセー!!なんだこの臭い!?』

すると一人の女が、遺体の手に付着した黒光りするモノに気づく。

フォースウォーン(女)
『この黒いは何?』
69
カルセルモがイグマンドに差し出した壺とは、ドワーフのオイルである。
高度な文明を要していたドゥーマー達は、今では失われてしまった機械の技術を持っていた。
このオイルは、金属同士の摩耗を減らすための潤滑油だった。

実は彼は、このオイルを再現するために、随分と実験を繰り返していたらしく、その副産物として度々黒い液体が精製される事がわかった。
乾溜液、いわゆるタールである。
タールは重ね塗りをすると乾きにくく、粘性が高い、そして液体のままなので滑りやすい、更に石油や石炭を原料としたタールは、強烈な刺激臭を有する。

マルカルス兵達は、このタールを壁の上に出来る限り塗りたくった。
一旦手に着いたタールは、壁を掴もうとする手をいとも簡単に滑らせたのである。
70
それでもフォースウォーンたちは諦めなかった。
壁に手が掛けられないとわかると、今度は下にいる者を踏み台にして昇っていく。
71
ようやく壁の上に着いた一人は、体中タールだらけで真っ黒だった。
彼はしてやったりとばかりに雄たけびを上げる。

フォースウォーン
『うぉおおおおお!!!』
72-1
だがその喜びも束の間。
今度は各所に配置したマルカルス兵達が、待ってましたとばかりに狙いを定める。
72-2
引き絞った弦を一気に放すと、尾を引きながら一直線に鋼鉄の矢が飛んでいった。
72-3
魔法で反撃しようと狙いを定めていたフォースウォーン。
無音で近づいて来た一本の矢が、彼の額を貫いた。
72-4
成す術も無いまま後ろに倒れると、体ごと仰け反らせて下へ落ちていった。
73
もしも、壁にタールを塗っていなかったら、今より3倍、いやその倍以上の人数が登り切り、今頃城門が開けられていたに違いない。
イグマンドには、妙な期待感が沸いていた。

イグマンド
『いいぞ!よく狙って撃て!』

その間も城内の水嵩(みずかさ)はどんどんと増していった。
74
マダナックも諦めていない。
壁が駄目ならと、今度は正門を破壊する方法を取った。

マルカルスの正門は、ドゥーマーが独自に作り上げた金属で出来ている。
鋼鉄よりも固く、鉄よりも柔軟性があり、強く叩くだけでは、そうそう簡単に破壊することは難しい。
そこでマダナックは、炎系の魔法を得意とするハグレイブンを集め、火力を扉に集中し、これを融解してしまおうと考えた。
75
悲願達成を目前に、フォースウォーン達は必死にあがく。
全身タールまみれになりながらも、登り切ったところで、足を滑らせそのまま落下する者。
例え落ちても、登り途中の仲間の頭や肩を鷲掴みし、彼らを踏み台にして上がっていこようとする者
もはや意地を通り越し、執念だけが、彼らのモチベーションを保っていた。
76
フォースウォーンには、命を惜しまず戦うという厳しい教えがある。
一族の為、勇敢に戦って死ぬ事こそが、彼らにとって最も名誉とされていた。
77
この考え方は、正規の軍隊においても、そういう風習のようなモノが確かにあった。
だがそれは、隣に立つ者は仲間であり、仲間を守る事が国を守る事、そして家族を守る事に繋がるからこその、 ”最後の選択”として存在している。
だからこその勇者であり、英雄と呼ばれるのある。
78
しかしフォーウォーンはそうではない。
上の者を守るために、下の者が犠牲になるのは当たり前であり、そして力の有る者こそが”勇者”と称えられる為、それに叶わない者は、彼らを守るために命を犠牲にするのである。
云わば捨て駒のような勇者である。
79
暫くすると腹心のボルクルがマダナックに諫言した。

ボルクル
『マダナック!川の水位が減ってるぞ!』

マダナック
『それがどうしたっ!?』

ボルクル
『内側から堰き止めてるんだ!!』

マダナック
『ああ!?』
80
ボルクル
『あの門を開けたら!鉄砲水が飛んでくるぞ!!』

マダナック
『なにっ!?』

マダナックは”しまった”とばかりに驚き、声を詰まらせた。

しかし、気付くのが遅すぎた・・・






82
ドカーーーーン!!!!

次の瞬間、溶けた門を吹飛ばし、その後ろから巨大で強烈な鉄砲水が、破裂したかのように飛び出して来た。
鉄砲水は外に陣取っていたフォースウォーン達を、遥か彼方まで吹飛ばしたのである。
あっという間に広場全体を、荒波を抱えた大海原にしてしまった。
仲間たちが次々と飲み込まれていく。
悲鳴やうめき声さえも、その轟音にかき消され、成す術も無いまま押し流されていった。
83
その光景を高見台から目の当たりにしたマダナックとボルクルは、大口を開けて唖然とする。
嘗て経験した事のない。
また、見た事もない、あまりにも信じ難い光景に、言葉を失った。
84
壁をよじ登っていたフォースウォーン達も、思わず動きが止まる。
正門から噴き出す、大砲の様な鉄砲水に唖然とした。
84-1
地面の水位が急激に上がっていき、壁にしがみついていた者達が次々と流されていく。
85
今まで踏み台にされていた者が、その勢いに流されまいと、上にいた者の頭や足を掴む。
その重みに耐えられなくなった者は、手が壁から離れ、一蓮托生と皆流されて行ってしまった。
86
何とか登り切って偶々(たまたま)難を逃れた者もいたが、マルカルス兵達の良い的になるだけで、ハチの巣になるか、壁の向こうに落とされていった。
87
この瞬間、イグマンドは勝利を確信した。
カルセルモの突飛な作戦が、見事に功を奏し、なんとか獣の猛攻を押し返す事ができたのである。
88
この瞬間、イグマンドは勝利を確信した。
カルセルモの突飛な作戦が、見事に功を奏し、なんとか獣の猛攻を押し返す事ができたのである。
89
逆にフォースウォーンは、水が引くまで一歩も動けず、もう一度陣形を立て直さなければならない。
90
その隙を見てマルカルス兵達は、正面の門を塞ぐために、次々と土嚢を積み重ねていった。
91
この頃になると、いつの間にか陽は西に傾き始めていた。
そしてここで、一旦休戦となったのである。
だがどちらが優勢なのかは、一目瞭然だった。
92
街の南側は地面が低い為に、排水溝を開けない限り水が溜まったままになってしまうのだが・・・
元々高所の多いマルカルスは、再び水が溜まったとしても、城壁以上に水位が上がる事はない。
故に乾いた場所はいくらでもある
93
だが下で陣取るフォースウォーンは、常に城壁から溢れてくる水のせいで、地べたがビショビショの為に座る事すらできない。
座る事ができないのだから、寝る事もできない。
火を起こそうにも、濡れたままでは焚火もできない。
革製の鎧は、多量の水を含み重みが増す。
加えてスカイリムは、寒冷地帯である。
幾ら雪が少ないマルカルス周辺でも、山々に囲まれたこの地は、冷気が下に溜まりやすい。
日差しが隠れた夜になると、凍てつくような寒さがその身を切る。
たかだかそよ風が吹くだけで、ドンドン体温を奪い、それは容赦なく体力をも削っていった。
94
それでもマダナックは、退却しようなどどは微塵も考えなかった。
長年に渡り恨み辛みを重ね、ようやく回ってきた”天が与えしこの機会”を、どうしても捨てる気にはなれなかったのだ。
彼は仲間を纏めると、囲いのあるサルヴィウス農園にて陣を敷き、ここで一夜を過ごす事にした。
95
辺りが暗闇に包まれた朝方の深夜、リッケの寄越した偵察兵がカース川の対岸に姿を現した。
破壊された橋、その向こうからは多量の水が流れ、通常の流路があちこちと方向を変え散流していた。
彼はこの時の光景を、コスルケッガーに到着する前のリッケ達に伝えたのである。



後編に続く・・・



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